核燃料物質の使用等に関する
規則等の一部改正について


 (改正趣旨)
1.施設検査関係(核燃料物質の使用等に関する規則第2条の2、第2条の3、及び第2条の5の改正)

○プルトニウム1g以上又は使用済燃料100c以上の使用に際しては、原子炉等規制法第55条の2の規定により、その使用施設等について検査を受けなければならないとされており、「核燃料物質の使用等に関する規則」においてその手続、検査基準等が定められている。

○上記により、これまで施設検査が実施された施設としては、原研ホットラボ、プルトニウム特研等があるが、最近におけるプルトニウム、使用済燃料関係の研究の進展に伴い、大量の使用が開始される気運にあり、原研におけるホットケーブの建設、プルトニウム特研の拡張等関係施設も漸次大規模のものがあらわれるに至った。

〇これに対し、従来の規則は、必ずしもかかる大量の物質の使用を予想して制定されたものではなかったので、工事の技術上の基準等においてこれらの事態に適合しない点が生じて来ている。

〇このため、この際次の3点について、規則改正を行ない、最近の事態に即応することとしたものである。

イ 工事の技術上の基準を整備すること

ロ 検査の実施を施設検査後に行なうほか一部は工事中にも行なうものとすること

ハ 検査の申請書の記載事項を改善すること

2.国際規制物資の使用届関係(核燃料物質の使用等に関する規則第6条の2、原子炉の設置、運転等に関する規則第23条の改正)

○規制法上の使用者及び原子炉設置者が国際規制物資を使用するにあたっては、同法第61条の7の規定により事前に届出を要することとなっており、その届出の期限は「核燃料物質の使用等に関する規則」及び「原子炉の設置運転等に関する規則」により、使用開始前30日までとされていた。

○しかしながら、この30日前届出の制度は、現実の核燃料物質の流通及び使用の実態に適合していなかったため、使用者等に不便を与えることが多かったので、この際、事前届出であれば足りることとしてその緩和を図ることとしたものである。

総理府令第28号

 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律第166号)第55条の2及び第61条の7の規定に基づき、核燃料物質の使用等に関する規則等の一部を改正する総理府令を次のように定める。

      昭和38年6月12日

内閣総理大臣 池田勇人

核燃料物質の使用等に関する規則等の一部を改正する総理府令

(核燃料物質の使用等に関する規則等の一部改正)

第1条 核燃料物質の使用等に関する規則(昭和32年総理府令第84号)の一部を次のように改正する。

第2条の2第1項第4号中「検査の期日」を「検査の期日、場所及び種類」に改め、同号を同項第5号とし、同項第3号中「セル又はグローブボックス(以下「セル等」という。)」を「ケーブ、セル若しくはグローブボックス(以下「ケーブ等」という。)に、「使用しようとする」を「使用し、又は貯蔵施設において貯蔵しようとする」に、「最大の放射性物質量(キュリーを単位とする。以下同じ。)」を「最大の量(令第10条の2第1号に掲げるものにあってはプルトニウムの質量、同条第2号に掲げるものにあっては放射性物質量。以下次項及び第2条の5において同じ。)」に改め、同号を同項第4号とし、同項第2号の次に次の一号を加える。

(3)検査を受けようとする使用施設等の範囲

第2条の2第2項第4号中「検査の期日」を「検査の期日、場所及び種類」に改め、同号を同項第5号とし、同項第3号中「セル等」を「ケーブ等」に「使用しようとする」を「使用し、又は貯蔵施設において貯蔵しようとする」に、「最大の放射性物質量」を「最大の量」に改め、同号を同項第4号とし、同項第2号の次に次の一号を加える。

(3)検査を受けようとする変更に係る使用施設等の範囲

第2条の3を次のように改める。

(施設検査)

第2条の3法第55条の2第1項の検査は、次の各号に定めるときに行なう。

(1)再処理の研究の用に供する設備であって、気密又は水密を要するもの(以下「再処理研究設備」という。)について、非破壊試験又は気密試験若しくは水密試験を行なうとき。

(2)しゃへい壁その他のしゃへい物について、その厚さの測定ができるとき。

(3)核燃料物質が臨界に達することを防ぐため寸法又は配置を管理する必要のある設備について、その部分の寸法又は部分相互の間隔の測定ができるとき。

(4)前各号に掲げるほか、使用施設等が完成したとき。

第2条の5中各号を次のように改める。

(1)使用施設に設けられたケープ等は、第2条の2第1項又は第2項の規定により施設検査の申請書に記載された最大の量の核燃料物質を使用する場合において、その外側における外部放射線の放射線量を1週間につき100ミリレム以下とするしゃへい能力を有する構造であること。

(2)ケープ等がその内部を負圧状態(内部の気圧が外部の気圧より低い状態をいう。以下同じ。)に保つ必要があるものであるときは、当該ケーブ等は、その内部を常時負圧状態に維持しうるものであること。

(3)ケーブ等の内部が負圧状態でなくなった場合に警報を発する装置は、すみやかに動作するものであること。

(4)プルトニウム及びその化合物並びにこれらの物質の一又は二以上を含む物質(使用済燃料を除く。)を使用するケーブ等又は再処理研究設備をその内部に設置するケーブ等は、給気口及び排気口を除き、密閉することができる構造であること。

(5)再処理研究設備は、その内部の物質が外部に漏れるおそれのない構造であること。

(6)プルトニウム及びその化合物並びにこれらの物質の一又は二以上を含む物質であって、プルトニウムの量が100グラムをこえるもの又は放射性物質量が10万キュリーをこえる使用済燃料を使用する室は、その内部を常時負圧状態に維持しうるものであること。

(7)前号に規定する室に備えられた臨界警報装置は、すみやかに動作するものであること。

(8)使用施設及び貯蔵施設は、核燃料物質が臨界に達することを防ぐため必要な構造を有すること。

(9)廃棄施設は、法第52条第1項又は法第55条第1項の使用又は変更の許可の申請書に記載した構造を有すること。

(10)非常用動力源その他の非常用安全装置は、迅速、かつ、確実に動作するものであること。

第6条の2第1項中「その使用を開始する日の30日前までに」を「あらかじめ、」に改める。

(原子炉の設置、運転等に関する規則の一部改正)

第2条 原子炉の設置、運転等に関する規則(昭和32年総理府令第83号)の一部を次のように改正する。

第23条第1項中「その使用を開始する日の30日前までに」を「あらかじめ、」に改める。

附則

この府令は、公布の日から施行する。