プラトニウム・リサイクルに関する技術者の
米国への長期派遣について



 原子力委員会は昭和38年3月13日の定例委員会において、プルトニウム・リサイクルに関する技術者を米国へ長期(約1ヵ年)にわたって派遣することとし、次のような決定を行なった。
 なおこの決定にもとづき、原子力局では、原子燃料公社および日本原子力研究所から関係技術者各1名の推薦をうけ、外務省を通じ米国政府に申し入れを行なっている。

 米国におけるプルトニウムリサイクル計画に関する最近の情報を得るため、冶金の専門家および炉物理の専門家各1名をなるべく早い機会に米国ハンフォード施設に長期派遣せしめるものとし、さし当り前者については原子燃料公社から、後者については日本原子力研究所から派遣せしめることとする。

 なお、本件についての経緯、派遣時期および期間は次のとおりである。

 経緯
 プルトニウム専門家の米国への派遣問題は、昭和36年12月、日米原子力産業合同原子動力会議に際し来日した米国原子力委員会のウィルソン委員の提案に端を発したものであるが、その後、昭和37年3月17日付をもって日本原子力産業会議から石川原子力委員および原子力局長宛に「調査団および研究専門家の派遣等を原子力委員会において正式に検討されたい」旨の依頼があった。さらに米国原子力委員会のウェルズ国際部長からも、在米日本大使館を通じ上記ウィルソン提案の内容について公式に確認してきた。
 原子力委員会では、まず調査団の派遣を行なうこととし、昭和37年5月23日付をもって「プルトニウム調査団の米国派遣について」を決定した。この決定について、昭和37年9月11日から約4週間にわたってプルトニウム調査団が米国に派遣され、その報告書が去る2月6日に提出された。
 一方、原子力産業会議からは、昭和38年3月4日付をもって、早急に専門家の長期派遣を実現させたいこと、アメリカ原子力委員会ウィルソン委員には別途原研および公社からそれぞれ1名を派遣したい希望を有する旨連絡をしたこと、専門家の長期派遣に関するとりきめはプルトニウム調査団の場合と同じく日米両国政府の間で話し合う必要があるので、原子力委員会において正式に検討されたいこと等を原子力局長あて書簡により申し入れてきた。
 なお、米国側の意向としては、派遣期間は1ヵ年以上とし、受け入れ決定までに少なくとも3ヵ月の猶予期間を持ちたいとのことである。

 派遣時期および期間

 昭和38年度初頭に派遣することを目標とし、その期間は1ヵ年以上とするのが適当である。