国連科学委員会報告に関する国連総会決議について


 国連科学委員会第2次総会報告に関する共同決議案は、特別政治委員会において、昭和37年11月2日から討議に付され、11月9日に採択された同決議案は直ちに国連総会において審議され、11月20日共同決議案第1部(国連科学委員会報告に関する件)を賛成86、反対0、棄権11(ソ連圏、キューバ)で、また、同決議案第2部(WMO計画「大気中の放射能調査計画」に関する件)を賛成79、反対8(ソ連圏)、棄権1(キューバ)で可決した。
 なお、ソ連は放射能の観測はWMOの管轄外であり、WMOをかかる分野における国際的な調査センターとすることには反対である旨、第2部には反対した。
 共同決議要旨は下記のとおりである。

第I部
 国連科学委員会が指摘している“核実験によって生ずる長短寿命の放射性核種による環境の広範なる汚染を含め、人工放射線源の増加による人体の被曝は特に放射線被曝において、放射線が少しでも増加した場合の長期の影響は身体的にも遺伝的にも十分に明らかにされていない”ことに対し、特に注意を換起する。
 したがって、国連科学委員会は放射線の危険性の評価と放射線の影響に関する調査、研究の批判を継続するとともに、委員会の成果(progress)と将来の作業計画を第18回国連総会に報告するよう要請する。
 また、国連加盟国政府に対し、放射線の影響に関する加盟国機関の大規模な通報計画について(their means large−scale information programmes)準備し遂行することを推しょうするとともに、国連事務局長は国連科学委員会の作業の推進のために必要なる援助の供与を続けることを要請する。

第II部
 国連科学委員会は、1963年1月、ジュネーブにおいて開催される第12回会議で、WMOの大気放射能レベルの観測と通報計画((1961.10.27議決1629(XVI)))を検討することにしている。
 よって、WMOはその計画案(1962.10.8の文書A/5253を含めた)を国連科学委員会と協議し、適当であるならば、できるだけ早期にこの計画を履行することを奨める。
 また、WMO事務局長は、WMO計画の実施の成果(progress)に関して、第18回国連総会に報告することを要請する。