IAEA第6回総会について

 国際原子力機関(IAEA)の第6回総会は、昭和37年9月18日から26日までウィーンで開かれた。その審議状況は、次のとおりである。

1.役員の選挙

 役員として次の各氏が選出された。

議長 Dr.R.B.Baffour(ガーナ代表 Nkrumah 科学技術大学副総長)

事業計画委員会委員長 Mr.C.Ammoun (レバノン代表IAEAおよびユネスコ常駐代表)

行政委員会委員長 Prof.H.Hulubei (ルーマニア代表原子物理学者)

 なお、日本代表在オーストリア内田大使は、副議長の1人に選出された。

2.新規加盟国の承認

 サウジアラビアが新規加盟国として承認された。

3.国際原子力機関憲章第14条の改正問題

 憲章第14条の改正(IAEAの事業費を加盟国に分担金として割り当てるようにするという英国の提案)に関して、英国から次の趣旨の決議案が提出され、採択された。なお、日本もこの決議案の共同担案国になった。

 総会は、憲章の財政条項に関するさきの英国の提案についての理事会における意見の交換に注意を払い、一般経費に対する任意拠出金の増額要望に関する第5回総会の決議を思い起こし、財政問題が複雑でなお一層の研究が必要なことを認識し、理事会に対し、財政条項の改正問題をすでに表明され、または今後表明される意見に照らして検討し、その検討の結果を第7同総会に報告することを要請する。

4.原子力の平和利用に関する国際会議の開催

 原子力の平和利用に関する国際会議については、1955年および1958年に、ジュネーブで国際連合の主催で開催されているが、次のこの種の会議に関し、総会において次の提案がなされ、採択された。

 総会は、国際連合が本会議を主催することを信じ、事務局長に対し、第3回原子力の平和利用に関する国際会議を1964年にジュネーブで開催することについて国際連合事務総長と協力することを要請し、また、理事会と事務局長に対し、この問題について国連および科学技術諮問委員会(SAC)と十分協議の上勧告を付して第7回総会に報告を提出するよう要請する。

5.国際理論物理センターの設立

 国際理論物理センターの設立に関して、次のような共同決議案が捏出され、採択された。

 総会は、この種のセンターが大多数の加盟国の科学者の要求に適合するであろうことを考慮し、理事会と事務局長に対して機関の援助の下に国際理論物理センターを設立する方法と手段を検討することを要請し、また、理事会に対してこの検討の結果が得られたならば、できるだけ早く機関の事業計画にこの国際理論物理センターを含めるように要請する。

6.低開発国に対する技術援助計画に関する提案

 ソ連代表は、一般演説の中でソ連圏諸国共同の低開発国技術援助計画に関する具体的提案を行ない、その後これと同趣旨のソ連圏諸国の共同決議案が事業計画委員会に提出された。これに対して、オーストラリア、コロンビア、スペイン、タイ、ベトナム等から次のような提案が行なわれ、採択された。

 総会は、ソ連圏諸国の提案について関心ト注意を払い、これらの諸国が、この計画に要する費用の1/3を負担する用意がある旨の言明を考慮し、IAEAが現在作成している長期計画に低開発国の要望を取り入れるべきであることをも考慮し、理事会と事務局長に対し、この提案およびこれと同種の提案の詳細が決定しだい現在作成中の長期計画に組み入れるために、この提案について慎重に検討するように要請する。