動力炉開発専門部会設置さる

 原子力委員会は、第27回定例会議において動力炉開発専門部会の設置を決定した。本専門部会は、国産動力炉を開発するに必要な事項について審議検討を行ない、38年3月まで結論を得るよう作業を進める予定である。なお同部会構成メンバーについては下記のとおりである。

1.設置理由

 わが国における原子炉の開発研究については、理想的形態として高速中性子増殖炉と同時に、当面、すでに海外において開発されている技術を導入して国産化の能力を培うことが必要である。しかしながら、これと併行して、これまでに培養された国内技術を基盤として、わが国の特殊事情のもとに将来性の期待できる型式の動力炉を自らの手で基礎から建設まで一貫して効果的に開発し、もってわが国原子力開発の自主性ならびに技術的水準をさらに向上させ、その総合的開発能力を一段と強化育成することが望ましいと考える。

 上記の開発を進めるためには、まず最も適当と考える炉型式およびその規模を選定し、併せてその開発手順等基本的事項について検討する必要がある。よって本年度末までにその結論を得るべく次の要領により早急に標記専門部会を設置する。

2.諮問事項

 国産動力炉開発のための計画に必要な事項

3.審議事項

(1)開発すべき炉型式およびその規模の選定

(2)開発体制と分担、開発スケジュールおよび経費の見積等、開発のための基本的事項

4.審議に当っての前提条件

(1)審議事項(1)についての前提条件

i 国内にある程度技術的基盤があるもので長期計画後期10年において実用化される見込の高いもの。
ii 今後8〜10年の間に実験炉にひきつづき、原型炉の開発が可能と見込まれるもの。
iii 燃料、材料、機器の開発ならびに製作等において国内技術に期待できる程度の高いもの。
iV 燃料、安全性その他わが国の特殊事情に適合するもの。

(2)審議事項(2)についての前提条件

 本計画にもとづく開発は、日本原子力研究所を中心として、わが国における原子力関係の研究開発諸機関の参加を求め、その総力を結集して推進するものとし、実験炉および原型炉は日本原子力研究所に建設することを予定する。

5.動力炉開発専門部会の委員ならびに構成

(1)委 員

荒川 康夫 電力中央研究所理事

今井 美材 原子燃料公社理事

草野 光男 (株)明電舎研究所長

柴田万寿太郎(株)日立製作所電気事業部次長兼原子力部長

杉本 朝雄 日本原子力研究所理事

武田 栄一 東京工業大学教授

中尾常世  日本原子力研究所工学部昆兼開発所長

西堀栄三郎 日本原子力研究所理事

野田 順二 電気事業連合会事務局長

藤関 信彦 電源開発(株)企画部長

馬郡  巖 通商産業省企業局参事官

三島 良績 東京大学助教授

向坊  隆 東京大学教授

山田太三郎 工業技術院電気試験所電力部長

山本広三郎 富士電機製造(株)原子力部長

横須賀正寿 三菱原子力工業(株)技術部長兼研究所副長

吉岡俊男 日本原子力発電(株)取締役技術部長

吉村 国士 日本原子力事業(株)調査開発部長

脇坂 清一 東京電力(株)技術部次長

(2)担当原子力委員  駒形委員

(3)主管課 研究振興課

(4)幹 事 研究振興課長       本永 秀彦

       政策課課長補佐      福永  博

       調査課課長補佐      川島 芳郎

       研究振興課課長補佐   一文字正三

       研究振興課振興係長   長柄喜一郎

       核燃料課課長補佐     元田  謙

       原子力開発機関監理官補佐 牧村 信之