ウラン鉱石の基準価格について

 原子燃料公社によるウラン鉱石の買上に関しては、わが国ウラン資源の開発を促進するためウラン鉱石の価格について長期的指針を与える必要があるとの見地から、32年6月29日原子力委員会決定により買上の基準価格が定められた。本基準価格は、当初全鉱石の生産費および米国AECの買上制度等を参考として0.1%U38鉱石トン当り5,000円と定められ、今日まで変更されることなく経過したものである。

 今回(8月8日)の原子力委員会決定(下記参照)は、上記決定にかかる基準価格を今後5年間変更しない旨定めているが、これは、前回決定後、ウラン精鉱の生産過剰から、その輸入価格は世界的に低下の傾向を示してはいるものの、なおその帰趨があきらかでなく、他方、わが国における開発の現状からも当面実用規模での採掘が行なわれる可能性に乏しい等の事情にかんがみて、本基準価格については、当面小規模の試験開発における採掘費をカバーしうる程度の額とすることが適当であるとの判断にたって、現行価格を据えおくこととしたものである。

 なお、5年間を経過した後の価格については、本価格設定の趣旨が鉱業権者に対して長期の開発指針を与えることとする点にあることにかんがみ、昭和40年においてその改定を検討する方針とされた。

 決定事項

 原子燃料公社によるウラン鉱石の買入れについては著しい事情の変更のない限り、「ウラン鉱石の基準価格等の設定について(昭和32年6月29日原子力委員会決定)」において定めた要領を今後5年間変更しないことを適当とする。