放射能対策本部 (1)最近の放射能降下状況について 気象庁における雨水の全放射能の測定結果によると、その旬間全国平均値は昭和37年3月以降5月中旬までは次第に減少したが、5月下旬には太平洋海域における米国の核実験による放射能と推定されるかなりの放射能が国内の2、3の観測点で測定されたため平均値は一時高くなった。6月以降は再び減少し、かなり低い値を示し、6月末に至っている。また気象研におけるストロンチウム−90の月間降下量の測定によると3月には従前とくらべてかなり高い値が得られ春季における降下量の増加の傾向を示した。 (2)放射能対策に必要な予備費の決定 5月11日の放射能対策本部決定による「放射能対策実施要領」に基づき関係各省庁では、これが早急に具体化するため予備費使用の要求を大蔵省に対して行なった。 予備費については、6月22日、調査船の派遣に必要な経費773.5万円、分析用試料採取依頼に必要な経費244.5万円、合計1,018万円が閣議決定された。さらに6月26日、飲料用天水対策に必要な経費4,050万円(3,000円×18,000戸×3/4)が閣議決定された。なお、1/4の負担は、各都道府県において行なう。 予 備 費 等 一 覧 表 A.昭洋丸放射能調査航海予定 I コース 14 3 18 4 15 東京−ハワイ〜ハワイ−東京 55日 調査航程 約3,300'、調査時間 70時 マグロ7点、測点14点 II 調査内容 分析用試料の採取 1)海水・・・調査海域0、(予備10m)150、300mの各層の採水(20l)(予備、ナンゼン採水器による採水測温) 2)プランクトン・・・調査海域、稚魚ネットにより出来るだけ多量を採取(予備、航路上で高速採集器、または循環水から長時採取) 3)まぐろ・・・調査海域、延縄操業により試料まぐろ30尾 4)雨水、ちり・・・全航海期間を通じて採取 2.放射能測定 1)雨水、ちりおよび採集試料の測定 2)フォールアウトによる環境汚染および空間線量測定 3)海水の汚染状況測定 4)機器分析 3.その他 1)自記水深水温計による測定 2)ハワイ島における資料の収集 Monitoring Station(Oahu) Bureau of Commercial Fisheries Lab Oratory(Hawaii) University of Hawaii B.依頼船による放射能分析用試料採取要領 各都道府県の試験船等で中部又は南西太平洋に出漁するものから15隻を選び放射能測定用の海水プランクトンおよびまぐろの採取を依頼する。 試料採取法 1.海水 操業区域、または航行区域で5点を選び各点で表面海水20lを採水する。 2.プランクトン 上記5点付近および他に5点を選び計10点で夜間プランクトン・ネット((ち)ネット)で表層を計1時間以上曳網してできるだけ多量のプランクトンを採取する。 3.まぐろ 操業海域で釣獲されたまぐろ類のうちサーベイメーターの反応の強いもの5尾を標本にする。 4.空間線量 ガラス線量計用ガラスを船首、船橋、船尾の3箇所に設置しておく。 試料の処理 1.海水 20l入ポリエチレン瓶に入れ採取日時、地点を記入する。 2.プランクトン 500cc入ポリエチレン瓶(多い場合は2瓶以上に分ける)に入れホルマリン1、海水9の割合で固定し、瓶に日時、地点、曳網時間、速度を記入する。 3.まぐろ 内臓を取り出さず丸のままポリエチレン袋でくるみ釣獲された日時、地点を付して急速冷凍を行ない保存する。 4.空間線量測定用ガラス 入港後取り外し設置場所を明記する。航海日程、簡単なコースを別に記す。 入港後の処置 東京(築地) 入港 直ちに下記に連絡する。 三崎または焼津 〃 海水、プランクトン、まぐろ、ガラス線量計を直ちに下記に着払いで 記 東京都墨田区菊川町2の17 Tel(631)4837 分析化学研究所 C.飲料用天水対策 1.目 的:放射性降下物の緊急事態対策として、飲料用天水の簡易炉過を目的とする。 2.対 象:天水を飲用している人口約10万人、家庭18,000戸、1戸5.7人を対象とする。 3.炉過水量:1家族(5.7人)の飲食用水として1日100lとする。 4.炉過装置:焼成蛭石および木炭を炉過剤とする。 5.対策に要する経費: 1)方針:都道府県における天水ろ過装置(ろ過剤を含む)の整備についてその必要経費の3/4を都道府県に対して補助する。残り1/4は都道府県の負担とする。 2)経費:天水飲用家庭1万8千戸(約10万人)全部に対し、ろ過装置を配置する。 国庫補助額:40,500千円 (3)日 誌 4月24日(火)第14回放能対策本部幹事会 放射性降下物および食品中の放射能について(本部発表第7号)公表 4月26日(木)第6回放射能対策本部会 米国の核実験再開について、今後とるべき方針検討 5月8日(火)第15回放射能対策本部幹事会 米国の核爆発実験に伴う放射能対策実施要領検討 5月9日(水)第5回放射能対策本部長顧問会議 米国の核爆発実験に伴う放射能対策実施要領検討 5月10日(木)第16回放射能対策本部幹事会 米国の核爆発実験に伴う放射能対策実施要領検討 5月11日(金)第7回放射能対策本部会 最近の核爆実験に伴う放射能対策実施要領を決定公表 5月15日(火)第17回放射能対策本部 幹事会調査船派遣実施班任務等に関して検討 5月24日(木)魚市場におけるまぐろ類のサンプル調査について公表 5月25日(金)第18回放射能対策本部幹事会 放射性降下物および食品中の放射能について(本部発表第8号)公表 5月29日(火)第19回放射能対策本部幹事会 予備費使用要求原案検討 6月7日(木)第20回放射能対策本部幹事会 予備費復活について検討 6月11日(月)第21回放射能対策本部幹事会 ジョンストン島危険区域拡大に伴う電波障害対策について検討 6月19日(火)第8回放射能対策本部会 調査団員、医学班を公表 6月22日(木)予備費(調査船(依頼船を含む)に関する経費)閣議決定 6月26日(火)予備費(飲料用天水対策に関する経費)閣議決定 7月2日(月)第22回放射能対策本部幹事会 放射性降下物および食品中の放射能について(本部発表第9号)、予備費一覧、月例発表(第9号)査船(依頼船を含む)派遣実施状況を公表 |