参与会

第2回

〔日時〕昭和37年3月8日(木)14.00〜16.00

〔場所〕総理官邸

〔配布資料〕
1.経済面からみた原子力産業の実態(原産調査資料)
2.昭和37年度原子力平和利用研究委託費、同研究費補助金に係る要望課題
3.昭和36年度特別研究促進調整費放射能対策特別研究の研究分担および研究費追加分
4.36年度上期末核燃料物質等在庫量一覧
5.プルトニウムリサイクル試験炉(PRTR)の概要(原子力メモ第79号)
6.原子力委員会専門部会等の審議状況

〔出席者〕
石川、有沢、西村、駒形各委員

稲生、井上、大屋、岡野、菊地、倉田(代)、瀬藤、高橋、藤岡、伏見、正井(代)、松根、三島、三宅、安川、山県、吉沢、我妻、脇村、和田各参与

大蔵省杠局長、井上次長、政策課長、調査課長、国際協力課長、研究振興課長、原子炉規制課長、核燃料課長、その他担当官。

〔議事概要〕
1.昭和37年度原子力平和利用研究委託費、同研究費補助金に係る要望課題について
 研究振興課長から資料にもとづき説明があった。

松根参与:長期計画に関係あるものはなにか。

石川委員:原子力船やウラン濃縮の研究がある。再処理等の問題も考えている。

2.昭和36年度上期末燃料等在庫量について
 核燃料課長から資料にもとづき説明があった。

大屋参与:核燃料等が民有になっても計量管理をするか。

石川委員:協定があるかぎり必要である。また協定がなくなっても続けてゆきたい。

3.研究開発段階における今後の振興策について
大屋参与:原産調査資料について概略説明。

石川委員:原子力発電所の建設は民間に期待している。

稲生参与:いきさつはそうであるが、国家的見地から推進してもらいたい。

 ネックになっているのは資金である。また1号炉の安全基準が厳しすぎるのも金のかかる原因になっている。長期計画がそのまま推進されていれば、産業界もこうくたびれなかっただろう。後期10年で年間60〜85万kWの建設をすることになっているので、それだけこなすには、5グループぐらいは必要であり、今から技術者を養成しておかなければならない。そのためには、研究をやらせる必要があるが、補助金では自己負担が多く苦しい。全額自社でするよりはましだということで、赤字受注という事態も発生してきている。

 そのためにも委託費等を大幅に増額してもらわないと困る。

安川参与:本日国会によばれたが、そこでの結論は原子力委員会がイニシアティヴをとらなければ、100万kWの実現はできない、というものであった。

杠局長:斎藤代議士等の質問があったが、長期計画の実現が振興策の大綱でなければならない。委員長は責任をもって推進すべしという結論であった。 補助金、委託費の増額についても努力していきたい。

松根参与:1.補助金等の増額
      2.仕事を作ること
      がポイントである。

 アメリカでは安くできる発電所も日本に持ってくると高くなってしまう。これは研究費の一種として考えるべきものだ。この点についても政府がその差額を援助することを考える時期ではないか。いつまでも石油に頼るわけにはいかず、いずれは原子力が必要になるのだから。

石川委員:そのためには、たとえば2号炉のコストはいくらぐらいというデータがなければならない。

松根参与:必要ならいくらでもデータは出すが、データを出さねば考えられぬという態度でなく、もっと積極的に原子力委員会が民間の意見を聞いてほしい。

西村委員:どうしたら長期計画が実現できるかというのが問題である。

石川委員:原電や電力会社の関係者を集めて考え方を聞くこととしたい。

稲生参与:原子力発電は建設費が高く、資金効率が悪い。その辺を考えてもらいたい。

石川委員:政府が直接金を出すことは、かえっていやがられるのではないか。

稲生参与:開銀に口を利いてもらうだけでもよい。

岡野参与:行政組織上、大蔵省が予算の決定権をもっている。もっと研究費を出す必要があるということを大蔵省に解らせる努力をしてほしい。

瀬藤参与:原子力関係者だけで議論しても問題は解決しない。長期計画にしても、甘い点は作りなおしてもよいから、閣議で決めるなど、国論にまで成長させなければ駄目である。

岡野参与:日本人は優れた素質があり、どのような物でも最終的には安くて良いものを造れる。開発の初期には研究費が必要だが、これはコストに入れず、別扱いにする必要がある。

 さし当り2号炉をどうするかである。コストが引合わなくともやると決めるべきであろう。民間だけで無理なら、国も協力する必要がある。

石川委員:判断のためのデータを出してほしい。

倉田参与(代):データよりもやるかやらぬかであろう。

石川委員:果たしてコスト高かどうか。そういうことも調べに調査団を出すことにしている。

有沢委員:仕事が増えれば、自然と研究費も増やせるようになる。しかし仕事が少ないなら別途国から研究費を出すこともよいであろう。

稲生参与:研究補助金では、研究規模が大きくなると自己負担が増えて大変である。

瀬藤参与:委託費では、設備は国有であり成果も皆出さねばならぬので困る。しかし、他に方法がないならそれでもよい。

石川委員:補助金の比率はどのくらいか。

研究振興課長:全研究費の45%程度になっている。

杠局長:大蔵省では大企業の内部の声として、一補助金の金額は少なくてもよいという印象を得ている。こうした印象を与えないようPRしてほしい。

稲生参与:原子力発電が電気事業者にとって魅力のあるものとなるよう資金効率の悪い点をカバーしてほしい。

石川委員:今後とも打合せの機会を作り、ご意見をお聞きしたい。

西村委員:岡野参与の説は、発電3号炉は日本でできるということか。

岡野参与:できるだけ国産比率を高めようということで、ライセンスをとってもよい。

倉田参与(代):各社とも赤字受注をしている。原研予算の決め方を変える必要があろう。

石川委員:見積りの中には予算よりかなり低いものもあるようだ。安く応札しておいて、損したといわれても困る。

稲生参与:技術者温存のため、やむを得ず損をしても、仕事をとらざるを得ない。

瀬藤参与:今後は赤字受注はしないという線でゆく。支障が起きてもやむを得ない。

藤岡参与、伏見参与:安全上の規制が厳しいという問題を具体的に知りたい。

稲生参与:近くまとめて発表したい。

菊地参与:原研の担当させられた研究計画は、非常に希望的なもので背伸びしている。発電計画にも似たような点があるのではないか。

有沢委員:どうやって沈滞を打破するかを原子力委員会で考えてゆきたい。
    1.仕事を増やすこと。
    2.委託費等の増額をはかること。
 これらの問題をとり上げてゆきたい。

脇村参与:1号炉はどれくらい計画から遅れているか。

安川参与:昭和39年7月完成の予定だったが、設計変更が重なって遅れた。順調にゆけば昭和40年3月に完成の予定である。

脇村参与:1号炉が動きだせば、2号炉に金を出そうというものも出てこよう。実物が動いていないと説得力が弱い。

有沢委員:それでは困る。2号炉までで前期10年で終わってしまう。

石川委員:次回は4月12日(木)とする。