参与会 第1回 〔日時〕昭和37年2月8日(木)14.00〜16.30 〔場所〕総理官邸 〔配布資料〕 〔出席者〕 稲生、井上、菊地、倉田(代)、久留島、嵯峨根、瀬藤、高橋、塚本、成富、藤岡、伏見、正井、三島、安川、山県、吉沢、脇村、和田、各参与 大蔵省、通産省、運輸省 鈴江事務次官、森崎次長、井上次長、政策課長、調査課長、国際協力課長、研究振興課長、原子炉規制課長、核燃料課長、放射線安全課長、アイソトープ課長、その他担当官 〔議事概要〕 森崎次長から、資料1−1昭和37年度原子力関係予算について、および資料1−2昭和37年度原子力関係予算査定額総表について要旨説明があった。 藤岡参与:資料1−1中における原研のプラズマ等の研究とはどのようなことか。 菊地参与:原研としては、核融合の研究もしたいし、もう一つは将来の直接発電にそなえて研究を始めたい。これらの点については名古屋大学等の協力を得ている。今回、37年度予算として少し認められたので将来の種としたい。 しかし、総合的なものでなく、非常に部分的な研究となると思われる。 駒形委員:原研の総括的なことについて、重点的に菊地参与から、説明をお願いする。 菊地参与:まず、人員については、137名増、(内1名は放中研担当理事)で、内訳は、19名は、新設の放中研にふりむけられる。一方、事業の伸びは一般にいわれているようにかならずしも減っていない。むしろ、原子炉等の運転により、研究管理部門面が非常にふえている。従って人員を非常に必要とするため、要員の確保ということに費やされてしまう。 今後原研を伸ばして行くためには、もっと予算を計上していただきたい。 事業としては、放中研が認められた。 土地の問題については、確定していないが、候補地として二つあがっておる。一つは東海の近くの大洗町、もう一つは、高崎の手前の岩鼻である。原研としては両地区共に甲乙なく原子力委員会に一任している。 また、計算機の設置が認められた。 今後は、原子炉開発に必要な研究およびその他の研究の一層の効率化が図れると期待している。現在得られる一番大きな計算機は709型であるが、最初に入れるものとしては、機械を遊ばせず、最も有効に使用するためにも気象研にあるような、704型程度のものにしたい。 また、再処理ホットケーブについても予算を相当付けていただいたので前年度に引続き進めていきたい。また、プルトニウムの研究についても前年度に引き続きやっていく。しかし、現在入手出来ないので順次やっていきたい、再処理、プルトニウムの問題は公社と協同して進めていく。 また、国産1号炉(JRR−3)は、37年度中に臨界に達し、JRR−2は3,000kWで運転しており、出力上昇試験を経て定常運転に入る予定である。JRR−2を用いてのインパイル・ループの研究も各種やって行く。 藤岡参与:放中研が出来ることは非常に喜ばしいことだと思う。 駒形委員:材料試験炉についてはどのように考えているのか。 菊地参与:現在10名ばかりで研究を続けている。作る場合を仮定して研究を進めている。 藤岡参与:原研としてはどう考えているのか。 菊地参与:それはぜひ欲しいと考えている。 5年後においてわが国に材料試験専用炉が一つも無いということは非常に頼りないことだ。燃料の開発を研究するためにも材料試験炉は欲しい。規模としては大体50MW程度のものを考えている。 また、材料試験炉運転のための臨界実験装置も必要である。これらに要する金額は80億円程度の予定であり、昭和38年から始めても、43年頃までかかるだろう。 内訳は1年目 5億円、2年目 19億円、3年目 22億円、4年目 23億円、5年目 7億円、6年目 4億円である。 また、敷地の問題についても、放射性アルゴンの許容濃度から推して東海に設置することも充分可能であると考えている。 また、材料試験炉が出来上がれば、その6〜7割を原研側で使用するだけの仕事もある。 駒形委員:原子力委員会の材料試験炉専門部会においても検討を重ねており、ある程度の成案が得られると思う。後日、参与会においても御審議をいただきたい。 駒形委員:公社についてお願いしたい。 高橋参与から図表にて要旨説明が、次のようにあった。 36年度に引き続き人形峠および東郷鉱山を重点に探鉱を行なって行く。 また、人形峠鉱山においては、二段採掘試験の実施を進める。 本年度においては、再処理プラントと、プルトニウムの問題についても本格的に研究を始めなければならない等の説明があった。 駒形委員:放医研のことについてお願いする。 塚本参与:昭和34年の春から始められた放医研の研究施設の整備もかなり整ったので、今年度としては、研究内容の充実に力を入れて行きたい。 37年度計画としては、前年に引き続き放射線障害の防護、治療等の研究業務を更に押し進めるとともに、新らたに認められた薬学研究部および分析計等の研究機器ならびに動物舎等を用いての地味な研究が進められると思う。また、核爆発等の現状にかんがみ、フォールアウト等の調査業務も充実していきたい。 原子力平和利用が進んでくるにつれて放射能レベル等を、どこかでやっていかなければならないという意味から放射能検査課の充実をみた。また、原子力平和利用分野が広がるに従って、放医研としての立場が非常に難かしくなってきた。 放医研として放射線を用いての治療等は現状のままでも良いと思われるが、独立性をもたせた方が良いのではないかと思われる。 藤岡参与:放医研のような基礎的研究部門の予算は非常につきにくい。しかし、基礎的な研究部門こそ充実が必要なのである。このような意味でも、原子力委員会、原子力局などの考慮をお願いしたい。 駒形委員:原子力委員会としては、予算面等についてもそのようにして参りたい。 国際協力課長から資料2−1および資料2−2によりアジア地域ラジオアイソトープ訓練センターについての要旨説明があった。 藤岡参与:この資料によるとIAEAと協同してと、書かれているが、設置後の所有は日本のものか、あるいはIAEAのものなのか。 国際協力課長:とりあえず、この運営はIAEAと日本とが協同して行なうという状態であり、所有権の問題についてはまだ定っていない。なお、この点については今後引き続き検討を重ねて参りたい。 森崎次長:大体は日本の機関になると思われる。 藤岡参与:南米等諸外国の例をみてもIAEA理事会の承認を得るには大変だろう。 嵯峨根参与:各国のIAEAのキーメンバのOKを得られなければならず理事会にかけるのは最終段階であり、その前に広く目的を立てての事前工作が必要であると思われる。私の経験からみて3年位先になるのではないかと思う。 駒形委員:三木大臣も積極的に推進をしており、また設置についての閣議了解も得ているので、外務省でもこれを基として理事国と話し合いを進めることができると思われる。 国際協力課長:理事国の過半数を取ろうと検討を加えている次第で、これからも活発に話し合ってやって行きたい。 この後、井上次長から資料3要旨説明、資料4は省略、資料5、6、7を続けて要旨説明があった。 稲生参与:昨年の春、日本の原子力開発利用長期計画が立てられたが、これには、政府はもとより、民間としての声も大いに反映されて出来た。その時、私はこの席上で「計画通りできますか」と質問したがこの質問に対する、ある人の答は、「できるか?ではなく、やろうとする気持でやるんだ」ということであった。しかし、実態はこの1年間何もせずに終ったといえよう。日米原子動力合同会議においてはプルトニウム問題等、難問題をかかえ、また、国内に目をむけても大きな問題として、原子力発電、原子力船等審議は重ねて来たものの、この1年間ぜんぜん進歩が見られない。無論民間としても、もっともっと努力をし反省する点も多々あるが、政府としても長期計画にのっとり、政府のやるべきこと、民間のやるべき事等、今後共、より一層協力していかなければならないと思う。例えば、政府としては、資金面等の裏付けも強力に推し進めてもらい、民間を実質的にリードして行っていただきたい。 嵯峨根参与:私も稲生さんの意見に全面的に賛成である。資金的な面等は、政府から全面的バック・アップをしていただき、進むべき方針を御指導ねがいたい。また、考え方を少し変えるだけで、金を掛けなくとも大いに促進になることもある。 有沢委員:原子力委員会が、それらの点については推進をしようではないか。 また、大蔵省等の問題についても原子力委員会としてやろうとする、はっきりした決断が必要であろう。 嵯峨根参与:今日の御意見の中にもあった再処理およびプルトニウムなどの点に付いても、原子力委員会等の具体的裏付けが得られなければ、民間産業としても具体的方針がうちだせないと思う。 駒形委員:次回は3月8日としたい。 |