再処理専門部会審議状況 再処理専門部会は昭和34年1月28日に「使用済燃料処理についての当面の研究開発方針」を検討するために設置され、以来10回にわたり検討を重ねてきた。その間、昭和35年5月には、「海外の状況調査とわが国における当面の研究開発方針」に関して中間報告を行なった。 その後本部会においては、審議をすすめるにあたり現在設置されているホットケーブの取り扱いあるいは原電1号炉および国産1号炉の使用済燃料に関する問題等についての具体的な検討が重要となってきたので、新たに原子力発電(株)の浅田忠一氏、原子燃料公社の浅田弥平氏および日本原子力研究所の西堀栄三郎氏を委員に加えることとなり、新委員を加えた初の会合が11月4日行なわれた。 一方、本年4月に、再処理調査団が海外先進国の実状と動向調査を行ない、また核燃料経済専門部会も再処理の経済性に関する報告書の提出を行なう等、再処理に関する資料も次第に集積されてきたので、本部会は来春を目標に答申案検討をすすめることとなった。本部会の従来までの審議経過の概略は以下のようなものである。 再処理専門部会審議経過 〈第1回〉 1.開催年月日 昭昭34年6月9日 2.議 題 (1)議長の選出 (2)原研の再処理試験装置の検討 (3)その他 3.議事概要 部会長に大山委員を選出し、事務局から本専門部会設置の趣旨説明があり、ついで資料3により山本委員から原研の再処理研究状況および再処理試験装置の計画(案)について説明が行なわれ、その大綱について各委員の賛成を得た。再処理の研究開発について資料4を中心に検討されたが、その結果の概要は以下のものである。 i)再処理の必要性に関する諸条件、すなわちプルトニウム燃料の実用化の見通し、ウランの需給予想価格等の諸因子を検討する必要がある。 ii)プルトニウム燃料の開発はできるだけ速やかに着手する方針をとり、プルトニウムを自家生産して研究者の研究意欲を向上させることが望ましい。 iii)パイロット・プラントの開発方針としてその必要性、建設時期、規模についてワーキンググループをおき検討する。 vi)本専門部会としては技術的な面に重点をおきコスト問題は別扱いとする。 〈第2回〉 1.開催年月日 昭和34年7月14日 2.議 題(1)当面の再処理開発方針について (2)導入された再処理技術情報の紹介 3.議事概要 上記の各資料の紹介ののち前回の申し合わせによりワーキンググループで検討された再処理パイロット・プラントの考え方について討議が行なわれ、プラントの建設時期、規模に関し各委員の意見がのべられた。 またプルトニウムを経済的に獲得するには濃縮ウラン燃料の再処理を考慮すべきであるという意見が出、これに関連して濃縮ウランの要再処理燃料の量の見通しを検討してみることとなった。 〈第3回〉 1.開催年月日 昭和34年9月1日 2.議 題(1)当面の再処理技術開発方針 (2)その他 3.議事概要 核燃料経済専門部会第1次中間報告書に関連してプルトニウム燃料につき討論が行なわれ、プルトニウムとウラン235の等価性を検討するためには、プルトニウムの核的性質、冶金的研究の重要性が主張された。 また局幹事から、資料2により前回資料2の補充事項を前回要請のあったプルトニウム燃料開発に要するプルトニウム見込量について説明が行なわれた。これに関連してプルトニウムの供給見込と需要見込についての論議が行なわれ、その結果次回にはわが国における具体的な使用済燃料を対象としてプルトニウムの供給見込量を試算して、資料を提出することとなった。 〈第4回〉 1.開催年月日 昭和34年11月10日 2.議 題(1)当面の再処理技術開発方針 (2)その他 3.議事概要 資料8、9によって米国の再処理施設を視察してきた今井委員から米国における再処理の状況および、ユーロケミックの計画の現状について紹介があった。またプルトニウム生産見込量、世界各国の再処理方式ウランの需給見通しについての資料が提出者によって説明された。 次いで、本部会の今後の検討方針について討議が行なわれ、35年3月に当面の再処理開発方針に関する報告を原子力委員会に提出することとし、草案の骨子および問題点を次回までにまとめることになった。 <第5回> 1.開催年月日 昭和34年12月17日 2.議 題(1)当面の再処理技術開発方針 (2)その他 3.議事概要 上記各資料について各提出者から説明があり、次いで資料2を骨子として中間報告案を起草することとなり、報告書の構成、標題、建設すべきパイロット・プラントの規模、処理燃料、処理方式等各種の要目を決定した。 <第6回> 1.開催年月日 昭和35年2月19日 2.議 題(1)当面の再処理技術開発方針 (2)その他 3.議事概要 資料2を中心に中間報告書作成のための討議が行なわれた。 その席上、局側から (1)中間報告としてパイロット・プラント建設を結論するのは早すぎる感があり、そのためには再処理事業の経済性、プルトニウム燃料の実用性等の審議の結果をまって結論を出すべきではないか。したがって中間報告の段階ではパイロット・プラント建設を決めるためにどのような調査、および基礎研究が必要かを詳細に述べた方がよい。 (2)パイロット・プラント建設には相当の予算を必要とするのでパイロット・プラントの建設費、運転費等をさらに検討する必要がある。 (3)ホットケーブとパイロット・プラントの関連等をさらに明らかにした方がよい。 という意見が出されたが、(1)の意見に対しては諮問事項に関するAdvisary Reportとして出すことがベターであり、Survey Reportにとどめるのはあまり意味がない。再処理コストについては答申までに資料を集めて検討する。原研のホット・ケーブとパイロット・プラントとはその目的および機能からみて併置すべきものであるということとなった。 その他、海外の情況をさらにくわしくし、プルトニウムの研究努力、ユーロケミックの計画を紹介すること等追加すべき事項あるいは表現を変えること等についての意見が開陳された。 これらをうけて次回までに幹事の手によって本案を加筆訂正し、第2次案を作成することとなった。 <第7回> 1.開催年月日 昭和35年4月12日 2.議 題(1)当面の再処理技術開発方針 (2)その他 3.議事概要 資料2について意見を交換し、次の事項を追加することに決定した。 (a)付表の英文は和訳すること。 <第8回> 1.開催年月日 昭和35年5月28日 2.議 題(1)当面の再処理技術開発方針 (2)その他 3.議事概要 資料2について検討を行ない第3節4−7所要経費に付加した付録を削除する等多少の修正を加えて原子力委員会へ報告することとした。 また今後の運営方針として (a)再処理資料の収集、検討の継続 ことを定めた。 <第9回> 1.開催年月日 昭和35年12月19日 2.議 題(1)核燃料経済専門部会再処理経済小委員会の審議経過報告 (2)再処理に関する海外技術調査 (3)その他 3.議事概要 海外の再処理調査を行なうための調査団を欧米に派遣するにあたり、資料1〜4にしたが って調査団派遣の目的、調査事項、訪問先等の計画の概要を事務局から説明し、次いで、核燃料経済専門部会再処理経済小委員会の審議状況が資料5〜11について今井小委員長およびその関係者から紹介された。 今後、本専門部会としてはパイロット・プラントの資料をツメて、海外の再処理調査のための調査項目を確定しておくこと。また調査団の帰国後、その調査結果をもとに検討を行なった上答申の運びとすることとなった。 <第10回>(核燃料経済専門部会と合同) 1.開催年月日 昭和36年3月23日 2.議 題(1)再処理経済小委員会審議状況 (2)再処理経済小委員会報告のまとめ方 (3)海外における再処理の調査について 3.議事概要 1)再処理経済小委員会審議状況 今井小委員長から資料1によって工場規模、処理方式、処理範囲および試算方法について説明され、その結果建設所要資金は76億円〜87億円になることが明らかにされた。 この点に関し、石川原子力委員から建設資金は工場規模の大小によって余り影響されないということであるので、パイロット・プラントの建設をして次に本プラント建設にとりかかるべきか、あるいはパイロット・プラント建設を省略すべきか、その点を調査団はよくしらべてきて欲しい。また産物としてのプルトニウムの純度について、加工に対する影響、炉内の挙動といった面からどの程度のものであればよいのかといったことも調査してきて欲しい旨発言があった。 ついで再処理費について公社から資料2および4について説明があり、小委員会における試算結果は、5,750千円/tから8,700千円/tになると紹介された。 2)海外における再処理の調査について 資料5にもとづき、田中核燃料課長から再処理調査団の調査目的、団員構成、調査期および調査項目について説明があり、了承された。 |