参与会

第8回

〔日時〕昭和36年9月14日(木)14.00〜16.00

〔場所〕赤坂プリンスホテル

〔配付資料〕
1. 昭和37年度原子力関係予算見積方針
2. 一般人の緊急被ばくに関する基本的な考え方について(答申)
3−1 フォールアウト(放射性降下物)の影響について
3−2 日本における放射能観測網の現状と核爆発に関する参考事項
4. 核燃料物質の所有方式について
5−1 核燃料物質、核原料物質、原子炉および放射線の定義に関する政令及び核原料物質、核燃料物
5−2 核原料物質、核燃料物質および原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律の施行期日を定める政令を改正する政令
5−3 核燃料物質、核原料物質、原子炉および放射線の定義に関する政令および核原料物質、核燃料物質および原子炉の規制に関する法律施行令の一部を改正する政令要綱
6−1 原子力委員会設置法施行令の一部を改正する政令
6−2 原子力委員会設置法施行令の一部を改正する政令参照条文
6−3 原子力委員会設置法施行令新旧対照表
7. 原子力船舶推進分野における欧州の共同活動の可能性について
8. 宇宙における原子力利用
9. 原子力委員会各専門部会の審議状況
10. 原子力平和利用研究計画資料(I)

〔出席者〕

 三木委員長、石川、西村、兼重、駒形各委員

 稲生、井上、大屋、大山、岡野、菊地、倉田(代)、 嵯峨根、瀬藤、高橋(代)、成富、藤岡、正井、松根、 三島、三宅、安川、山県、吉沢、和田各参与

 山本政務次官、鈴江事務次官、柾局長、森崎次長、 井上次長、藤田、村田、本永、佐藤、田中、鈴木、 亘理各課長、その他担当官

 通産省、大蔵省、経済企画庁、文部省、原研、原電

〔議事概要〕

 議事に入る前に、新たに任命された塚本、和田両参与の紹介を行ない、三木原子力委員長の挨拶があった。

1.昭和37年度原子力関係予算見積方針について

 森崎次長が、資料1に基づいて説明した。

2.放射線審議会緊急被ばく特別部会の答申について

 亘理放射線安全課長が、資料2に基づいて説明した。

嵯峨根参与:この報告は総理大臣宛となっているが、原子力委員会としては今後これで行こうということか。

杠局長:委員会としてこの報告を政策として取り上げるかどうかは未だ考えていない。

 審議会はなお続いており、最終の結論が出された後、何らかの態度を決めることになろう。

大屋参与:ここで妥当であるとしている英国の基準は、わが国の現状と比較して、厳しいのか。

亘理課長:この報告ではMRCを適当であるとしているが、日本人に対する許容量をいくらにするかの答ではなく、それは別途考慮してもらうことになろう。

 ここで検討の対象にした英国の基準は、日本に比して遥かに援やかである。要するにこの報告では、MRC報告が妥当であることを述べ、さらにわが国に適用するには、たとえば、食生活の差異などさらに考慮すべき点があるということを述べているだけである。

菊地参与:−般的にいって、このMRC報告の基準でよいとすれば、今より楽である。

3.放射能調査の現況等について

 鈴木アイソトープ課長が資料3−1および3−2により説明した。

大屋参与:資料3−110頁の下段に220万カウントの雨はよろしいと結論しているが、これと、一般にいわれている100カウントあるいは200カウントの雨とは大きく数値に開きがあるが、この関係は。

鈴木課長:この試算は、たとえば核爆発1回のみ遺伝的影響を除く等の多くの仮定に基づいて試算しており、仮定が異なるに従って許容量も異なってくる。単位は同じである。

嵯峨根参与:単位は同じでも、測定方法の違いで数値が異なってくる。たとえば、気象庁と大学の発表の違いも、こういう所から出てくる。こういう点から一般向の簡単な解説書は専門家から批判を受け易い。

大屋参与:一般向きに解説して欲しい。

鈴木課長:この資料を今後さらに検討の上、パンフレットにして出すことを考慮している。

杠局長:被ばく許容量について学説が固まっていない現状では、一般向きの解説書はどうしても批判を受ける。この資料を放医研が発表するに当たっても放射能調査専門部会の御意見をきいた上で行なったが、新聞で批判の声がある。しかし行政庁として、何らかの形で、解説書を出す必要はあろうと考えている。

大屋参与:産業会議でやってもよい。

4.核燃料物質の所有方式について

 質及び原子炉の規制に関する法律施行令の一部森崎次長が資料4に基づき説明した。

大屋参与:今回の決定によると天然ウランは民有も可能となったが、濃縮ウランはいかに低濃縮でも依然国有である。今後、炉の型によっては、天然ウランと濃縮ウランが同一の炉に同時に使用することが考えられると思うが、その場合、この決定で支障ないか。

井上次長:現在濃縮ウランの供給は専ら米国からである。日米協定によれば、濃縮ウランは、米国々内で民有が認められるまでは国有となっている。したがって現協定のある限り、濃縮ウランを民有にすることは不可能である。ただ、最近、加工契約については民間ベースで行なうことが認められるようになっている。

三木委員長:米国の方針が国有となっているのだからやむを得ない。

局長:以上で事務局側が予定した議題は終えることとし、一般的に御意見を伺いたい。

 なお、IAEAの第5回総会に原子力委員長が出席することになり、今月16日出発することを報告する。

嵯峨根参与:西村委員がさきにユーラトムを訪ねて決めてきたユーラトム代表の来日の件はどうなっているか。

村田調査課長:現在の方針では、ユーラトムの総裁を委員会としてではなく、政府として呼ぶことにしている。

 その場合、窓口は外務省となるので、外務省と協議中である。

 大体の日程としては、10月29日来日し、約1週間を在日期間として、関係大臣、委員会との話し合い、原研訪問等を行なう予定である。

 討議内容は、具体的には決まっていない。現在ベルギーの下田大使がユーラトムと細部について協議している。

嵯峨根参与:米国、英国、フランス等の原子力開発は軍事利用が中心であるが、ユーラトムのみは平和利用を中心としており、強い関心を持っている。来日に際しては、その基本的考え方が聞けると思うので期待している。したがって随行者の氏名、いかなる内容の話題が許されるか予め知りたい。

村田調査課長:最低6名としているが、氏名は不明である。

 閣僚委の全メンバーの履歴書を送ってきていることからみて、相当大物が来よう。

西村委員:先方は単に技術的な話し合いではなく、ユーラトムとの提携等、政治的な問題について、総理大臣、外務大臣などとも会う希望を持っているようである。

 ただ、その頃日米経済委があるので、どの程度適えられるかどうか。

岡野参与:原子力船の問題について。長期計画には、原子力船開発方針について、抽象的に触れているが、さらに具体的な開発の方針を決めて頂きたいと考えている。

石川委員:原子力船専門部会で検討しており、今後具体化の方向に進むであろう。

 次回は10月12日(木)とする。