原子力船専門部会の中間報告

 原子力船専門部会は本年4月21日以来原子力船建造についての基本方針の検討を行なってきたが、9月15日日、その審議過程を中間報告として以下のように提出した。

原子力第一船の建造に関する基本的な考え方および今後の審議方針について

 原子力委員会から諮問のあった原子力船建造についての基本方針の審議過程において、標記の件について一応の結論を得たので、下記のとおり中間報告として提出します。


1.開発の必要性

 原子力船の開発は、米国、ソ連、英国、西独等において活発に進められているところであるが、世界有数の海運、造船国であるわが国としても、将来の原子力船の進展に備えて、早急にその開発に着手すべきである。

2.開発機構

 原子力船の開発は、原子力船の将来性からみた開発の必要性ならびにわが国の海運界、造船界の現状からみて、国またはこれに準ずる機関を中心として、国家資金を根幹とした開発資金によって行なうこととし、これに民間産業界が積極的に協力するという形によるのが妥当であると考えられる。

3.第一船の船種

 第一船としては、将来原子力船として活躍することが期待されると思われる高速、大型の商用船を建造することも考えられるが、資金効果、建造運航上の諸問題等からみて、将来開発される原子力船の基礎となる建造技術の開発、運航技術の習得、技術者、乗組員の養成訓練の目的達成に適したものであり、かつ、充分な安全性を確保しうるものとし、これらの見地から第一船は排水量10,000トン以下主機出力20,000馬力以下であって、なるべく高速力のものが適当であると考えられる。

4.小委員会等

 上記の趣旨に沿って、開発機構および第一船の船種、船型等の具体的検討を行なうために、「開発機構小委員会」および「第一船小委員」を設置することとする。

 なお、これらの問題のほか、原子力船の受入れ、規制、災害補償等の運航上の諸問題が別途検討されるべきである。