原子炉安全基準専門部会の審議状況

 原子炉の安全基準は、原子力開発の技術が発展の途上にあることに鑑み、常に研究を行ないその進展に応じたものを採用する必要がある。

 原子力委員会では原子炉安全基準部会を定期的に開催し、またその小委員会を随時開催して安全基準の検討を行なっている。審議状況は大略次の通りである。

(1)人体の被曝放射線防護

 原子炉の平常運転時は主としてICRP勧告を検討して「放射線の許容線量および放射性物質の許容濃度について」の報告書を作成した。

 事故時は主として英国医学会資料(MRC)を検討し、「原子炉等非常事故時における一般公衆に対する退避、食物制限等の措置に関する線量について」の中間報告を作成した。英国医学会資料の詳細な検討は、現在放射線審議会が行なっており、その結論が近く出る予定なので、それを待って更に検討する予定である。

(2)動力炉の立地基準

 通産省の原子力発電所安全基準立地専門委員会と合同して、動力炉の立地条件について審議したが、通産省の安全基準(第1次報告書)中の立地基準は動力炉の立地基準として妥当なものであるとの結論になった。なお、米国、英国等の立地基準についても調査検討を行なう予定である。

(3)原子炉の性能検査

 性能検査の技術上の基準について検討し、報告書を作成した。更にJRR-2の検査経験から原子炉の安全保護系、耐震性等の検査基準の検討も行なう予定である。

(4)炉とその災害評価

 従来の原子炉安全審査の経験および外国の事情等事故解析の考え方をまとめる予定である。

(5)気象条件

 (2)の最悪事故解析のうちの主要問題の一つの大気中拡散の推定方法については、米国気象庁方法を採用することに一応決定した。 現在、東京地区の過去7ヵ年のデータの整理検討を実施中で、上記方式の採用に当っての決定を行なう予定である。

(6)原子力船の安全基準

 運輸省との合同審査により、舶用原子炉の安全基準を作成する予定である。

(7)申請書記載基準

 設置許可申請書記載基準を作成中である。

表-1 原子炉安全基準専門部会審議経過

表-2 原子炉安全基準専門部会各小委員会の活動