参与会

第6回

〔日時〕昭和36年6月8日(木)14.00〜16.10

〔場所〕赤坂プリンスホテル

〔配付資料〕
1 原子力損害民事責任に関する政府間会議について
2 原子力船運航者の責任に関する条約会議について
3 昭和37年度原子力予算について
4 昭和37年度原子力関係予算編成予定
5 昭和37年度原子力関係予算編成日程表
6 昭和37年度原子力関係予算の主要問題点
7 濃縮ウランおよび劣化ウランの価格改訂について
8 衆議院科学技術振興対策特別委員会の付帯決議
9 参議院商工委員会の付帯決議
10 世界の動力炉一覧表(1961年版)
11 米国AECによる原子力発電コストの試算
12 原子力委員会専門部会の審議状況
13 原子力委員長および西村原子力委員の海外出張について

〔出席者〕
石川、兼重、有沢、西村、駒形各委員

稲生、井上、大屋、岡野、菊池、倉田(代)、嵯峨根(代)、瀬藤(代)、高橋、成富、伏見、正井、三島、三宅、安川、山県、吉沢、我妻、脇村各参与

大蔵省、通産省、運輸省、文部省、原研森崎、井上各次長、井上、村田、高橋、中島、田中各課長、その他担当官

〔議事概要〕
1 原子力災害補償条約草案起草委員会および原子力船運航民事賠償責任条約会議の状況について事務局より

 資料1および資料2に基づき、それぞれ説明

伏見参与 各条約とわが国の法律案と矛盾する点はないか

事務局 条約も未だ決定ではないが、条約案については、金額、輸送時の責任の移行、求償権の範囲等について今後検討を要しよう。

山県参与 原子力船の条約案は軍艦にも適用されるとしてあるが、この条約でいう許可は軍艦の入港許可とどういう関係にあるのか。

事務局 この条約案での許可は、運航者の責任限度の要件あるいは、損害賠償について補償を行なわしめる国を許可国とすることなどに係わらしめるもので、入港許可とは全く別の問題である。

2 昭和37年度原子力関係予算の重要項目について

 事務局より資料3、4、5、6に基づき、昭和37年度予算に関し、今後の予定、重要項目等について説明。

1)人形峠、東郷鉱山の開発問題について

 事務局の説明につぎ、高橋参与より補助説明が行なわれた。

石川委員 東郷鉱山の有望性とは

高橋参与 人形峠の品位は1/10,000程度で世界のレベルに比して比較的よくないが、東郷鉱山の品位は1000分台と、高品位であり、豊富な鉱量が期待できる。したがって今後積極的な探鉱を行なうと共に、東郷鉱山開発に備えて道路等を建設する必要があると思われるので、37年度予算においても、同鉱山開発に要する費用を重要項目の一つとして挙げて欲しい。

2)補助金、委託費について

 事務局より、現状ならびに今後の見通しについて説明

稲生参与 原子力の研究は多額を要する反面収入が伴わない。未だ原子力の研究費の調達は困難が伴う。

 その意味で、補助金の交付は、それ自体の役割とともにその研究が補助金の対象と認められたということで研究費調達が容易になる面もある。今後補助金も引き続き交付して頂くとともに、さらに金額の増加もお願いしたい。

三島参与 賛成である。政府の積極的援助を期待したい。

伏見参与 原則的には稲生参与のご意見に賛成である。

 ただ、現状では大学の研究にふさわしいものが、民間の会社で行なわれているのではないか。民間の会社は、なるべく結果が明確に期待し得るものがよいのではないか。

稲生参与 原子力の研究はきわめて長期を要するものが多く、また中間報告も出しにくいものが多い。

山県参与 大蔵省で今後補助金が問題となるというのは金額の点か、あるいは結果が不明であるということか。

事務局 原子力の研究を実施している民間会社は余力があるのが多いということであろう。

石川委員 補助金、委託費とも、今後の原子力開発の進展のために、より多額が望ましいという結論になる。

3)災害補償制度の整備について

 事務局より、資料6、8、9に基づき今後の災害補償制度の整備につき特に、原子力施設地帯の整備、周辺住民の線量管理、従業員災害対策の3点を重要項目として説明した。

 これと関連して、原子力災害補償関係2法の審議状況および付帯決議について報告した。

我妻参与 原子力災害補償は、単に法律ができたというだけでは万全を期し難い。

 他の諸方策が整備することによって可能となる。この点付帯決議は十分妥当であり、また、事務局の説明された3点は必要と思う。

 さらに要望すれば、1つは従業員について万全を期して欲しいこと、他の1つは、国際条約の成立に積極的であって欲しいことである。

菊池参与 原子力施設用辺地帯整備については、今後の土地確保という点からも、根本的に検討して頂きたいと考える。

 線量管理については、最近は被曝量を定期的に調査するというよりは、放射線を管理するという方向に進んでいるようである。

稲生参与 線量調査を定期的に実施するのは、住民に不必要な危険性の疑念を生じさせるのではなかろうか。英国のコールダーホールで行なっているように、魚、植物等で間接的に調査するという方法は考えられないか。

伏見参与 付帯決議に述べられている安全基準について、安易なものはかえって弊害が多いと考えるが、その必要性は十分あるので、安全基準審査会での検討を促進せしめるよう図って欲しい。

4)大型計算機の問題について

 菊池参与より、原研における電子計算機の使用の現状について説明

 37年度予算においては、新たに大型計算機を入れることを計画している旨報告があった。

石川委員 その際は、民間の利用もできる限り行なうようになろう。

菊池参与 機械を入れるだけでは足りず、プログラマーの養成の必要があるので、37年度で計画しているのは、現在の最大の型ではない。

 なるべく外部のサービスにも提供したい。

稲生参与 私の方では最大の型7090がIBMより今年の末までには入ることになっている。これに要する経費は、借科が月32百万円、その他を含めて月50百万円程度となろう。

駒井(倉田参与代) 機器メーカーは必ず大型計算機が必要となろう。各グループとも入るのではないか。

3 濃縮ウランおよび劣化ウランの価格改訂について

 事務局より資料7に基づいて報告

4 原子力委員会各専門部会の審議状況について

 事務局より資料13に基づいて報告

5 米国AECによる原子力発電コストの試算(資料11)および世界動力炉一覧表(資料10)を事務局より説明

 次回は、37年度予算事務繁忙のため、特別の議題がない限り7月は行なわず8月とする。