第9回国連科学委員会

 第9回国連科学委員会は1961月3年13日から24月まで2週間にわたってジュネーブ市のパレデ・ナシオンにおいて開かれ、日本からは政府代表塚本憲甫(放医研所長)、代表代理田島英三(立大数授)、市川龍資(放医研環境衛生研究部)の三氏が出席した。

 会議では、1962年国連総会に提出される報告書の主文に付属させられるAnnexの各章−ここに専門的な科学的資料が述べられる−の作製に主点がおかれ用意された草案または草案概要について審議が行なわれ、案の内容の変更、新資料の追加が行なわれた。これらの討議は大別して次のような内訳になっている。

(1)放射線基礎生物学
(2)放射線の遺伝的影響
(3)放射線の身体的影響
(4)自然放射線による被曝
(5)環境汚染による被曝
  a.放射線フォールアウトの影響
  b.食物連鎖から人体に達する放射性物質の影響
  c.放射性廃棄物の影響
(6)医学的利用および職業上の被曝
(7)人体に与える種々の放射線照射の評価

 審議された結果は、ふたたび科学委員会事務局において整理され、次の第10回会議までに案として用意されることになっている。

 次回、第10回科学委員会はニューヨークにおいて1961年8月24日から3週間にわたって行なわれることになり、議長としてチエッコスロバキヤ代表F.Hercik(ヘルチク)氏、副議長として日本代表 塚本憲甫氏が選出された。