海外における再処理の調査について

 昭和35年5月、再処理専門部会から原子力委員会にご提出された「使用済燃料再処理に関する当面の研究開発方針」に関する中間報告書において、世界における再処理技術の現況とその動向を総合的に把握し、分析することの重要性が強調された。このため原子力局においては昨秋来、海外における再処理の調査に関する準備を進めてきたが、調査団受入に関し関係各国政府の公式の了解を得たので原子力委員会の了解を得て、次の要領により調査を行なうことに決定した。

1.目 的

 わが国の原子力開発において、再処理の開発は重点事項の一つとして取り上げられており、現在日本原子力研究所に化学工学用ホットケーブを建設し、再処理に関する基礎的研究を推進するとともに、さらに原子燃料公社においては、将来わが国に建設する再処理パイロットプラントに関する調査検討を進めている。

 しかしながら、使用済燃料の再処理は、一般の化学工業とおもむきを異にしており、再処理に必要な臨界管理、高放射能下の操業等の技術は部分的には文献等により概念的に知られているが、わが国としては未開拓の分野に属していると言って過言ではない。

 ここにおいて、先進諸国における再処理の実際を調査し、わが国における再処理開発の合理的かつ効果的な進展を図ることが必要であるので、次の要領により海外における再処理調査を行なうものとする。

2.調査員

 調査員は次のとおりとする。

東京工業大学教授
原子力委員会参与
 工学博士  大山 義年
 
原子燃料公社理事
原子力委員会再処理専門部会専門委員
 理学博士  今井 美材
 
日本原子力研究所主任研究員
原子力委員会再処理専門部会専門委員
 工学博士  山本 寛
 
電力中央研究所理事
原子力委員会再処理専門部会専門委員
 荒川 康夫
 
科学技術庁原子力局次長  工学博士  井上 啓次郎

3.調査先
 別紙による。

4.調査期間
 昭和36年4月6日から約50日間とする。

5.調査項目
 再処理技術および再処理に伴う管理の実態、再処理コスト、再処理設備の適正規模等について調査する。

(1)再処理技術
 (a)再処理プラントの運転、保守の実態
 (b)再処理プラントの設計および建設の経験
 (c)使用済燃料の運搬および放射性廃棄物の処理

(2)再処理に伴う管理
 (a)臨界管理
 (b)計量管理
 (c)保健管理

(3)再処理プラントのコスト
 (a)建設費
 (b)操業費
 (c)輸送費

調査先一覧表