(4)増殖炉

a 高速中性子増殖炉

 高速中性子増殖炉の開発は、すでに海外でもかなり強力に進められているが、わが国としては、最終的な理想的形態を目標とし、日本原子力研究所を中心として研究開発を促進する必要がある。この場合、海外における技術情報を十分に吸収し、国内でも開発が可能と思われるもの、安全性等に直接関係のある部分で実験的研究の必要な技術等を将来に備えて重点的に開発する。なお、将来の形態として、プルトニウムを使用するセラミックまたはサーメット燃料炉を目標とするのが適当である。以上の趣旨に沿って今後の研究開発を次のように推進する。

i)ナトリウム技術

 ナトリウムについての主要な問題は、空気または水との反応およびナトリウムによる腐食である。これらについては、すでに試験ループによる研究が民間企業で行なわれているが、今後さらに日本原子力研究所の研究炉を利用したインパイルループを設置し、ナトリウム冷却に伴う腐食や熱伝達特性についての研究を行なう。

 一方、ナトリウム冷却に関連した機器についても、将来の国産化をめざして開発をすすめる。

ii)プルトニウム技術

 プルトニウムは、毒性があるうえに放射性が強いため、その取扱いが困難である。したがって、まずその取扱いに習熟するとともに成型加工法の研究を行なう。さらに進んでセラミックまたはサーメット系について熱的特性の研究、照射試験等行なう。

iii)炉物理および制御

 高速中性子増殖炉の場合には、核定数の解明は、炉の安全性確保のため、また炉心設計の最適化をはかるため特に重要である。このため、高速領域を臨界未満とし、若干の熱中性子を混用した臨界実験装置を日本原子力研究所に建設し、核断面積、遅発中性子割合等を明確にする一方、高速中性子炉の制御についての研究をも行なう。

iv)実験炉の建設

 以上の研究成果をもとにし、さらに海外技術情報をも取り入れたうえ、前期段階の後半または後期段階の前半に小規模の実験炉を建設し、これによって主として安全性に関連した研究を行ない、さらに進んで実用規模炉のための工学的研究を推進する。

b 水性均質炉

 水性均質炉の研究開発は、すでに海外においてかなり以前からすすめられているが、燃料溶液、スラリー等に関する困難な問題があるため、まだ実用化の時期にはかなり遠い状況である。したがって、わが国としてもいま直ちに動力炉を想定した研究は行なわず、当分は日本原子力研究所の臨界実験装置を使用し、これらの基礎的な研究に重点を置いて研究を進め、海外における発展とにらみ合わせて実用炉のための関連機器の開発等を行なう。

 以上のような趣旨にそって今後の研究開発を次のように推進する。

i)炉物理

 水性均質炉の基礎研究としては、中性子経済、増殖率、燃焼度長期変化、臨界実験装置による核定数の解明等の研究を行なう。

ii)燃料溶液

 炉心燃料としての硫酸ウラニル水溶液の高温、高圧下における安定性、腐食等について研究を行なう。

iii)スラリー

 ブランケット親物質としての酸化トリウムスラリーを一様に懸濁させる技術、高温、高圧放射線下でのスラリーの安定性、腐食、浸食等に関する研究を行なう。

v)実験炉の建設

 以上の研究成果および海外での発展状況からみて、動力炉として有望であることが明らかとなった場合には、小規模の実験炉を建設することを考える。

(5)試験研究用原子炉の設置

a 遮蔽研究用原子炉

 遮蔽構造の設計に必要な放射線と遮蔽材、構造材との各種反応の確率および放射線源については、現在でも未知の分野が多く、実際の遮蔽設計は、大きな安全率で補足されている。この安全率の使用は、既存の研究用原子炉、発電用原子炉の遮蔽においては、問題とはならないが、船舶推進用原子炉のように重量および容積を制限されるものの開発においては、遮蔽設計の資料を得るための基礎研究、実物大模型を利用した実験研究等が経済的にも重要な意味をもってくる。

 このような見地から、従来原子力開発における弱点となっていた遮蔽に関する基礎研究をすすめるため、早急にスイミングプール型原子炉を主体とする遮蔽研究施設を日本原子力研究所に設置し、原子炉の遮蔽に関する総合的研究を行なう。

 施設の運営にあたっては、日本原子力研究所と関係機関の共同利用をはかることとする。

b 材料工学試験炉

 材料試験のための施設は、比較的小規模な照射試験と大規模な工学試験によって異なるが、工学試験においては圧力、温度、流量、中性子束、熱流束、形状等について、実際の炉の運転条件になるべく近い状態を実現する施設が望ましい。

 このため、実用炉を一部材料試験に利用することも考えられるが、研究を効果的に進めるためには、専用の材料工学試験炉を設置することが適当である。したがって、炉型、規模、運営方法について早急に調査を行ない、開発段階のできるだけ初期に日本原子力研究所に設置するものとする。

c 化学用原子炉

 原子炉において発生する放射線および熱エネルギーを、直接化学プロセスに使用することを目的とする化学用原子炉については、日本原子力研究所を中心として調査および必要な基礎研究を行ない、実用化の見通しを得た場合に建設を行なうものとする。

d 医用原子炉

 中性子線による腫瘍治療の研究、生物および人体への中性子線の影響ならびに障害の研究等を行なうため、放射線医学総合研究所を中心として早急に医用原子炉の利用方法、利用計画に関する調査研究を行ない、日本原子力研究所の協力を得て、その設置を考慮するものとする。

(6)原子炉の研究開発プログラム

 原子炉の開発利用については、研究施設としての研究炉および材料工学試験炉の建設とともに、将来実用化される可能性のある各種動力炉についての開発と連携せしめつつその方向を明らかにする必要がある。

 かかる観点から原子炉の研究開発を全体として眺めると、次の図に示すようなプログラムとなるであろう。

 もとより20年間にわたる原子力技術の発展を正確に予測することはできないので、特に後半におけるプログラムは、むしろ展望に近いものとならざるをえない。しかし、そのような事情にもかかわらずあえて、このプログラムの中に将来の原子炉の建設を含めたのは、これによって原子炉の研究開発の方向を明確に示すためである。

 試験研究炉については、JRR-1、JRR-2に引き続き、JRR-3が1961年に完成し、これに引き続いて遮蔽研究用原子炉を建設するとともに、材料工学試験炉は、1965〜1966年に運転を開始する目標のもとに建設に着手する。

 動力炉については、第2部長期見通しに示されたところにより建設が進められるが、日本原子力研究所に建設中で1963年に完成を予定されている。JPDRは、軽水冷却炉の動特性の研究等のほか、今後の改良に必要な研究開発に役だてるものとする。さらに、JPDRは、さきに述べた遮蔽研究用原子炉とともにわが国の原子力船の開発に貢献し、将来は軽水冷却炉の技術の進歩に応じて、核過熱の研究にも利用することも考慮する。

 後期10年間に動力炉として、実用化される可能性のあるものについては、日本原子力研究所を中心として研究開発を行なう。すなわち、半均質炉の実験炉を前期10年の後半に建設することとし、その運転試験研究の結果、ビスマス冷却の優秀性が十分認められる場合は、引き続きビスマス冷却のプロトタイプの段階を経て、後期10年間の後半にかけて実用規模の動力炉にまで発展させることを考える。

 一方、内外における高温ガス冷却炉開発の進展状況とにらみ合わせつつ、可能な場合は、海外との共同研究等によってその技術を吸収し、高温ガス冷却炉として発展せしめることを考える。この場合、1970年代半ばには、実用規模の原型炉まで発展させることが期待される。

 水性均質炉については、前期10年後半に小規模の実験炉を建設することを考えるが、これを将来動力試験炉まで発展させるか否かは、実験炉の性能等の解明をまって決定する。

 さらに、後期10年間には、プルトニウムを使用する高速中性子増殖炉の実用化が期待されるので、1960年代末までに、実験炉を建設することを目標として研究開発を進める。なお、プルトニウムを熱中性子動力炉に燃料として利用する可能性が高まれば、1960年代後半にプルトニウムリサイクル熱中性子実験炉の建設を考慮するが、この場合、できうれば海外諸国あるいは国際機関との共同研究によって効果をあげることを考える。プルトニウムの動力炉燃料としての利用の見込みがうすく、一方において天然ウラン重水型動力炉による天然ウランの高度利用をはかる方式が有利に展開する場合には、天然ウラン重水減速炉の開発を積極的に取り上げることとし、実験炉の建設を考慮する。

原子炉研究開発プログラム

4.核燃料の研究開発

 核燃料の製造加工技術については、さらに燃焼率および熱効率の向上、新しい製造加工方式の開発等燃料要素の設計および製作技術上改善の余地が多く、また原子炉自体が研究開発の段階にあるため、異なった新しい型式の核燃料も次第に要求されるものと考えられるので、原子炉開発と密接な関連のもとに研究をすすめる必要がある。

 原子力発電の進展に伴い、生成されるプルトニウムは、かなりの量に達する見込みであり、この実用化の可否は、原子力発電の将来に大きな影響を及ぼすので、プルトニウム燃料の開発を原子燃料公社および日本原子力研究所の共同研究プロジェクトとして促進する。さらに、使用済燃料の再処理および劣化ウランの再使用に関する技術の開発を並行してすすめることにより、燃料サイクルを国内で自立することができるように努力する。

 また、将来における濃縮ウラン需要の増大に備えるとともに、供給源の多様化を期して、ウラン濃縮に関する研究を推進する。

(1)製錬

 ウランの粗製錬および精製錬については、現在原子燃料公社において工業化試験を行なっているが、さらに工程の簡略化、機器の改良等製錬技術の改善に関する研究をすすめるとともに、その施設を利用して当面の試験研究に必要な金属ウランの生産を行なうほか、貧鉱の処理に適した製錬方式に関する研究等を行なう。

 なお、民間企業における精製錬研究も、並行してすすめ、将来天然ウラン型動力炉用燃料を国産化する場合、精製錬の方式については、原子燃料公社および民間企業において開発されたそれぞれの技術を検討し、技術的および経済的に最も有利な方式を採用することとする。

(2)大井化ウランの二酸化ウランまたは金属ウランへの転換、濃縮六弗化ウランの二酸化ウランまたは金属ウラン等への転換は、当分の間は海外に依存することとするが、将来濃縮ウラン系燃料の加工を国内で行なう場合、その経済性いかんによっては、国内で転換を実施することを目榛として、早期に濃縮六弗化ウランの処理技術を開発する。この技術の開発にあたっては、加工との関連において主として民間企業において開発されることを期待する。この場合、要すれば海外技術の導入を考慮する。

(3)加工

 JRR-3用燃料については、日本原子力研究所を中心とし、民間企業の協力を得て、引き続き燃料性能の向上を期して、天然ウラン系合金燃料およびその加工方式ならびに被覆材および被覆方式に関する研究をすすめる。

 動力炉燃料については、将来の開発に備え、技術の蓄積をはかるほか、核燃料の加工技術には、なお改良の余地が多いので、新合金系燃料の開発、セラミック燃料のスウェージングおよび抽出加工法等について民間企業による研究の発展を期待する。

 これと並行して、日本原子力研究所においては、核燃料加工に関する一般的基礎研究および新型式の燃料の開発に関する研究を推進する。

(4)核燃料の検査および照射試験

 核燃料の検査技術は、原子炉の安全性とも関連して特に重要である。このため、非破壊検査および破壊検査法に関する研究をすすめ、各種型式の核燃料に対するこれら検査法の適用方式を開発するとともに、検査基準の確立をはかることとする。

 この研究は原子燃料公社を中心とし、民間企業等の協力を得て強力に推進する。

 また、核燃料の開発に際しては、原子炉による照射試験が不可欠のものであるので、日本原子力研究所の試験研究炉を有効に利用しうるよう措置するとともに、前期10年の後半において材料試験炉を設置し、核燃料開発の促進をはかる。

(5)ウランの濃縮

 濃縮ウランの将来の需要に備えるとともに、その供給源の多様化を期するため、後期10年の後半に濃縮ウランの一部国産化を目標として、ウラン濃縮に関する研究開発をすすめる。

 このため、ウラン濃縮に関する一般的基礎研究を日本原子力研究所を中心としてすすめるとともに、現在着手している遠心分離法についての研究開発を原子燃料公社を中心とし、関係機関の協力を得て推進する。なお、将来ウラン濃縮事業は、原子燃料公社に受け持たせることを考える。

(6)再処理

 使用済燃料の再処理については、将来原子力発電における燃料インベントリー、使用済燃料の輸送費節減等のために、さらには燃料サイクルの円滑な実施をはかるため、わが国においても早期にその方式を確立しておく必要がある。このような観点から前期10年の後半に完成を目標として原子燃料公社に再処理パイロットプラントを建設し、再処理の工業化試験を実施する。この再処理パイロットプラント建設に関する基礎的資料を得るため、日本原子力研究所に設置されるホット・ケーブを利用して両者協力のもとに溶媒抽出法に関する工学的試験研究を実施する。日本原子力研究所においては、半均質炉、水性均質炉および高速中性子増殖炉の開発と並行して、それらの炉の使用済燃料の再処理を対象として、機械的分離法、弗化物分留法、乾式冶金法等に関する基礎的研究をすすめ、研究の進展に応じてホット・ケーブを使用して、工学的研究を実施する。

(7)劣化ウラン

 使用済燃料を再処理して得られる劣化ウランは、将来相当の量に達するものと見込まれており、これの再使用技術の開発は、燃料サイクル確立のために不可欠であり、その再使用の方式としては、増殖炉にブランケットとして使用する方式、再濃縮またはプルトニウム強化をして再使用する方式のほか、より高濃縮またはより低濃縮ウランと混合して所定の濃縮度を有するウランに調整して再使用する方式等が考えられる。これらの再使用方式について、その技術的可能性を明らかにするとともに、最も経済的な再使用方式を確立するため、原子燃料公社を中心として研究をすすめる。

(8)プルトニウム

 プルトニウム燃料の開発は、燃料サイクルの基礎ともなるべき事項であるので、後期10年の前半において熱中性子炉への実用化を、後期10年の後半において高速中性子増殖炉への実用化を目標とし、原子燃料公社および日本原子力研究所の共同研究プロジェクトとして、強力に推進する。この場合、日本原子力研究所は、主としてプルトニウムに関する物理的および化学的基礎研究、原子炉物理、原子炉設計等の分野を担当し、原子燃料公社は主としてプルトニウム冶金、加工冶金、燃料試作および製造等の分野を担当する。

 プルトニウムについては、核的性質、固体としての性質がまだ十分に解明されておらず、また、アルファ放射体でかつ強い毒性を有しており、その取扱いに細心の注意を要すること、さらに金属として五つの変態点を有し、融点が低く、熱伝導性、照射に対する安定性も良くない等の性質がある。したがって、開発初期においては、プルトニウムの分析、物理的および金属学的基礎研究等を進めるとともに、取扱技術の習得、研究人員の養成をはかり、これを基盤として、加工冶金学的研究をすすめる。さらに、プルトニウム燃料の試作設備を設置して開発の促進をはかるとともに、臨界実験装置等に必要なプルトニウム燃料を供給する。

 これと並行して既設の原子炉、材料工学試験炉等を使用して、プルトニウム燃料の照射試験を行ない、さらにその成果をもとにして漸次既設の原子炉にプルトニウム燃料を使用することを考え、熱中性子炉に対するプルトニウム燃料の実用化をはかることを考える。

(9)トリウム

 トリウムについては、半均質炉系増殖炉および水性均質炉系増殖炉燃料として、日本原子力研究所を中心として、民間企業の協力を得て酸化トリウムに関する研究をすすめているが、さらに将来は金属トリウムの製造およびその加工に関する研究を行なう。なお、トリウムの製錬に関する研究は、民間企業に期待する。

5.原子力船の研究開発

 前期10年間には、船舶用原子炉としてまず軽水冷却炉を対象とし、海外からの技術導入によるわが国技術の向上をはかるとともに、国産化のための研究開発をすすめるうえに最も有効な手段として原子力第1船を建造し、運航することを研究開発の主体とする。

 第1船の仕様は、必要な設計研究を行なったのち決定するものとするが、設計と建造の過程を通じて設計研究の成果をできるだけ実験によって確かめながら、原子力船の建造技術を習得するとともに、実用化のための技術的経済的問題点を明らかにする。

 完成後は、運航試験によって設計基準の適否、設計に使用された計算と実験結果の精度比較、製作誤差等を検討するほか、経済性について解析を行ない、これらの成果を取り入れて、さらに経済的な炉心の開発に努める。また、有機材冷却炉、ガス冷却炉、核過熱方式の採用等についても研究をすすめるとともに、原子力の特色を最も発揮しうる潜水船等の研究を行なう。

(1)設計研究

a 設計基準の確立

 わが国ではすでに1956年以来、船の運動による外力が原子炉に与える影響、船の負荷変動から要求される船舶用原子炉の動特性、原子力プラントに共振を起こすような船の振動、原子炉周辺の船体構造、船舶用原子炉の制御方式等についての研究が実施されてきた。これらの研究成果の解析により、また必要があれば新たに研究を行なうことにより、原子力船およびその推進装置に対する設計基準を作成する。

 すなわち、解体運動により原子炉系に加えられる外力の加速度、原子炉系に影響を与える振動の振動数および振幅、原子炉系が追従すべき負荷変動の度合、補助動力装置の仕様、スクラム方式、コンテナの仕様、衝突に対する船体強度、損傷時復原性、廃棄物処理等について作成する。

b 船体、機関およびぎ装に関する設計研究

 前記の設計基準を前提として、原子力船の技術的、経済的な評価を行なうための設計研究をすすめる。船体関係の設計研究は、原子力船として、船の用途、大きさ、速度、出力、航続距離、安全性等の最良の組合せを求める基本設計と、原子力プラント、推進装置、補機、居住区等の配置、原子炉防護構造および2区画可浸制の適用等の詳細設計を行なう。

 機関関係の設計研究は、飽和タービンと補助動力装置の設計に重点をおき、特にタービン翼の浸食、湿分分離の方法等湿分対策の研究を行なう。

 ぎ装については、廃棄物処理装置、燃料交換設備、放射線監視装置、特殊備品等について研究を行なう。

c 原子力プラントの設計研究

 個々の機器の設計や製作上の問題等は、技術導入による知識をできるだけ利用することとし、主として、軽水冷却炉のプラント方式について設計研究を行なう。すなわち、加圧水炉における加圧器と炉容器および沸騰水炉における蒸気ドラムと炉容器の一体化、直接サイクル方式と間接サイクル方式の比較、強制循環方式における炉心の冷却方法と方要ポンプ動力の関係、自然循環方式における冷却材流量と上下方向加速度の関係、機械シールの採用とプラントの複雑化の問題、炉心の寿命と初期超過反応度の制御方法、材料の選択と浄化系能力および遮蔽重量の関係等について、できるだけ詳細な解析を行なう。

(2)第1船の建造に伴う研究

 設計研究の結果により、第1船の仕様を決定したのち、建造に着手する。設計をより正確にするため、JPDR、遮蔽研究用炉および臨界実験装置を活用して可能なかぎり実験による裏付けを行ない設計に使用された基礎データと計算の精度を確かめながら、今後の開発のための問題点を明らかにする。

 ここで必要と思われる実験は、臨界実験装置による出力分布、初期超過反応度および制御棒価値の測定、炉心冷却方法の流体力学的実験、動揺状態における流量あるいはボイド分布の変化、制御棒駆動実験、1次系機器の振動模型試験、遮蔽の実物試験等である。

 船体の建造、機器のすえつけを通じて、建造工程および工作法、コンテナの組立、遮蔽施工法、機器のすえつけ順序と配置、燃料装置方法、検査および試験方法についての経験を得るものとする。

 第1船の完成後、運航を含む各種試験を実施して、設計上の性能と実際の性能を比較することにより、設計に使用された基準の適否、計算と実験の比較、製作誤差等を検討するとともに取替用炉心の開発改良を行なう。

(3)遮蔽の研究

 原子炉の遮蔽については、一応の計算方法は開発されているが、まだ未開発の分野が広く、実際の遮蔽設計は、大きな安全率で補足されている。既存の陸上原子炉の場合には、このような大きな安全率の使用によって不利益をこうむることは少ないが、原子力船の場合には、遮蔽重量の増加は、直ちに載荷重量の減少となって商船の性能に影響する。しかも遮蔽重量は、機関全重量の半分以上を占め、ほぼ在来機関の積載燃料の重量に匹敵する。

 したがって、遮蔽方法を開発してその重量を減らすことは、原子力船の性能を向上させるための重大な要素の一つである。このため、遮蔽設計に必要な各種遮蔽材料の放射線に対する物理定数の測定のような基礎的研究から、空気中における放射線の散乱までを考慮した2次遮蔽の研究、さらに3次元遮蔽の実物大模型試験に至るまでのすべての遮蔽研究を実施しうる施設を早急に日本原子力研究所に設置する。

 この施設の利用により、主として、遮蔽体による放射線の透過減衰、放射線物理量の測定、水中および空気中における2次遮蔽の工学的実験、遮蔽体の熱発生、冷却材の放射化等の実験研究を行なう。

(4)新型式原子力船の開発

a 船舶用原子炉の開発

 現在のところ、船舶用原子力プラントの改良には、二つの方向が考えられる。第1は経済的に大きな負担となる原子炉の資本費を切り下げる方向にすすむものであり、第2は原子力プラントの効率の改善をはかるもので、軽量小型のガス冷却炉、ガスタービンプラントの開発、軽水冷却炉における核過熱の採用等である。

 これらのうち、前者は第1船の試作とも関連して比較的早期から開発をすすめるものとし、後者は後期10年間における実用化を目ざして研究を行なう。

b 新型船の開発

 現状では、在来船の機関を原子力でおきかえた原子力船の開発が主力であるが、原子力の特色は、在来機関では実現不可能であった超大型の超高速船、潜水船等への利用によって真に発揮される。したがって、今後も従来の研究に引き続き、高速大型潜水船の抵抗試験、動的安定性、船体構造、潜水航法等に関する研究を実施する。

6.核融合反応の研究

 核融合反応に関する研究は、現在予想されない未知の要因が多く含まれており、長期的な研究計画の樹立は困難であるが、当面は、高温プラズマ現象に対する理解を深めることに重点をおき、合わせてプラズマ実験に関する技術的基盤を養うこととし、以下により研究を促進することが効果的であると考える。すなわち、プラズマ物理の理論的研究を推進すると同時に高プラズマ実験に関する研究は、従来に引き続き各試験研究機関において実施するが、それらの研究と密接な関係を保ちつつ、プラズマ科学を体系的に研究するための中核的機関として設立準備中のプラズマ研究所については、その実現と施設の充実に対して積極的に協力するものとする。さらに、前期開発段階の後半になれば、諸外国の開発の動向および成果ならびに国内の研究成果から核融合反応の実現に具体的見通しがつくことも予想されるが、その場合には、研究をプロジェクト化し、相当規模の実験装置を建設し、研究規模を拡大するものとする。

 また、直接発電についても海外における研究状況を勘案しつつ、日本原子力研究所を中心として研究をすすめる。

(1)高温プラズマの発生、加熱および現象の解析

 各研究機関の実験装置、測定装置等の施設を充実させ、高温プラズマの物理、制御、加熱、発生、診断、測定について実験を行ない、信頼性あるデーターの集積をはかり、プラズマ現象の解析あるいはプラズマ現象の理論的研究を推進し、合わせて人員の養成を行なう。また、プラズマの加熱および保持に関する新しい着想を機動的に実験に移しうるような措置を講ずる。

 以上の研究は、従来の研究に引き続き大学における研究と並んで国立試験研究機関、日本原子力研究所、その他において実施する。

 なお、民間企業において大学等の協力参加を得て開発してきたイオンサイクロトロンレゾナンス方式、スカロップ型、誘導ピンチを並用した環状放電によるプラズマの発生加熱測定等の研究は、今後も継続し成果を早期に得るよう措置する。

(2)測定技術および機器材料の開発

 プラズマの実験は、特殊な条件において特殊な測定方法で行なわれねばならないので、上に述べたプラズマ実験と並行してそれに必要な技術の開発を推進する。

 これらの技術研究のうち、民間企業において開発することが適当なものは、積極的に研究を助成する。

7.アイソトープ利用の研究開発

(1)アイソトープの生産に関する研究

 わが国におけるアイソトープの生産に関する研究は、日本原子力研究所を中心として行なわれているが、引き続きこれを推進する。すなわち、基礎的な核反応の研究のほか、ホットアトム効果を利用した製造研究、核反応後の分離精製の研究、短半減期核種の研究、ターゲット物質の研究等をすすめる。さらに、使用済燃料の再処理から生ずる核分裂生成物の有効利用をはかるため、有用核種の分離精製の研究も行なう。

 標識化合物の生産研究については、一部民間企業においてすでに研究を完成して小規模生産を行なっているものもあるが、14C、198Au、3H、35S、32P等についての標識化合物の生産に関する研究を促進する。

(2)生物および農業への利用に関する研究

 生物および農業へのアイソトープ利用の研究は、大学、国立試験研究機関等が中心となってすすめられているが、引き続きこれを促進する。

 分子レベルにおける生物学の研究、生物体の栄養生理、代謝の研究、生化学の研究、病理の研究、実畜疾病の予防診断、治療の研究、土壌肥料の研究、農薬の研究、農業構造物の研究、農林水産物の品質向上等において、さらに強力に3H、14C等の各種標識化合物を使用しての研究あるいは多種類のアイソトープを同時に使って行なう研究を進める。

 生物関係では、窒素、酸素等の生体内の行動についての研究が要望されているが、これらの放射性同位元素は、半減期が短かく、その利用が困難なところから15N、18O等の安定同位元素を使用してこれらの研究を行なう必要がある。

 また、従来困難とされていた土壌、動植物、海水等に存在する微量成分に関する研究に放射化分析を利用し、この分野の研究を促進する。

 放射線育種の研究においては、これまでガンマ線照射室を用いて行なわれ、かなりの成果が得られており、今後もこの研究を推進すべきであるが、他方、農林省放射線育種場を中心として、自然条件下での植物体の照射研究を行なう。また、環境条件の制御下における生物体の照射研究を行ない、遺伝および育種の研究を推進する。

(3)医学利用に関する研究

 医学利用については、基礎医学、診断、治療等への利用をいっそう促進するほか、原子炉による中性子線および加速器による放射線を利用しての研究を推進する。

 アイソトープ利用による疾病の診断治療について基礎となる病理、生理学的研究を推進するとともに、24Na、42K、52Mn、64Cu、72Ga、90Y、198Au等の短半減期核種、33P、132I、152Eu等の新核種および種々の標識化合物の利用に関する研究を推進する。

 また、悪性腫瘍などの治療を行なうため、粒子加速器、アイソトープ線源等の利用を推進する。さらに熱中性子を体外から照射し、病巣において生物学的効果比を大きな重粒子線を発生させ、腫瘍の診断、治療に関する研究等を行なう。

(4)工業利用に関する研究

 わが国の工業への利用は、欧米に比較してまだ相当の遅れが見られるが、この分野での利用は、技術的経済的効果が非常に大きいので、この開発を早急に行なう必要がある。

 アイソトープの工業利用の開発にあたっては、特に下記項目について重点的に行なう。

a アイソトープ利用による工程管理

 わが国においては、アイソトープ利用計測器の利用は、一部行なわれているが、工程管理のオートメーンョン化におけるアイソトープの利用は、まだ開発されていない。これらに関する研究を促進するため、アイソトープ利用管理計測器の精度、安定性の向上、管理計測に適当なアイソトープ、構成部品、計測方式等についての研究をすすめる。さらに、代表的なプロセスについて、アイソトープ利用による工程管理のオートメーンョン化の実際的な応用研究を行なう。

b アイソトープによる工程の解析

 アイソトープの特性を利用して、工程中における材料の流動、拡張、混合などの状況を把握し、工程の合理化を図ることは、化学工業、金属工業等において非常に有用である。したがって、アイソトープ利用による工程および反応解析に関する研究、現場における工程解析に適したアイソトープ、測定器等の研究をすすめ、かつその利用を促進する。

(5)基礎研究

 各分野におけるアイソトープ利用に共通した基礎的研究としてアイソトープそのものの研究、たとえば放射性核種の崩壊様式、アイソトープの純度、低レベルのアルソトープの計測法、混合核種の測定方法、標準線源、散乱線等に関する研究が必要である。

 一方、これと並行して放射線検出器の精度、安定性の向上のための諸研究、たとえばガイガー計数、比例計数管等の性能向上を図るとともに、微弱放射線の測定機器の開発、半導体計数子またはスパークカウンタ等による重粒子の計測法の研究等を行なう。

 また、物質中に微量に存在するものの検出、微量物質の行動についての研究等は、従来の分析技術では困難な点が多かったが、放射化分析がこの解決に有力な手段となるので、中性子発生装置を利用した放射化分析の研究も行なう。

 このほか、分析化学、反応機構の研究、光合成の研究等生化学の研究、3H、85Kr等気体アイソトープの各分野への利用開発、考古学における年代決定等人文科学および地球物理学への利用、地質年代の測定等地質学への利用、流水の調査、砂泥等推積物の移動調査、地下資源探査等各分野における利用開発を推進する。

8.放射線化学の研究開発

 わが国の放射線化学の研究開発の状況は、基礎研究、反応プロセス開発の放射線工学の研究および放射線源の開発においては、欧米に比べて相当に遅れているのでこれらの研究開発の促進をはかる必要がある。さらに、将来の工業化のための中間規模における試験研究をすすめるため、日本原子力研究所に放射線化学の専門部門を確立する。

 ここには、経済的見地から民間においては、設置が困難な大施設を設置し、有望と考えられる放射線化学に関する中間規模試験、照射原価の低廉な線源の開発研究、大施設の使用を必要とする基礎研究等を行なう。

(1)基礎研究

 放射線化学の反応機構を解明するため、イオン、フリーラジカル、励起分子等1次生成物の寿命の測定および性質の究明、トレーサー技術による放射線作用機構の究明、放射線の種類、エネルギー、線量率の相違による効果の研究、添加物の作用の研究、温度、圧力、磁場、その他外界条件の影響の研究等放射線化学の基礎分野の研究を推進する。

(2)反応プロセスの研究

 放射線化学の反応プロセスの開発の一環として有機高分子反応については、フォルムアルデヒドのイオン重合、塩化ビニル等のラジカル重合、セルローズ繊維におけるグラフト重合およびゴム、ポリエチレン、ポリエステル、有機半導体等における架橋に重点をおく。

 有機低分子反応については、パラフィン系炭化水素からの有機酸製造、ベンゼンからのフェノール製造、メタノールからのアセチレンの製造等のほか、ラロメリゼーショソ反応、加圧下におけるアセチレン等の重合、付加反応等の研究を推進する。

 無機反応プロセスについては、アンモニア合成用触媒、メタノール合成周触媒等の活性化、空中窒素の固定による硝酸の合成等に関する研究を行なう。さらに、放射線を照射することによって、混合酸化物触媒の性能を向上させるための研究をすすめる。

 食品の殺菌および滅菌による食品貯蔵、発芽抑制による食品貯蔵、注射薬、医薬品等の滅菌プロセスについての研究も行なう。

(3)放射線工学の研究

 わが国における放射線化学の工業化を促進させるために、反応装置の開発、照射技術、耐放射線材料の研究、線量測定およびその自動化の研究等を強力に推進する。

(4)放射線源の開発

 わが国における放射線化学の工業化において、これに適する経済的技術的な放射線源の開発が重要な要素であるので、照射原価の低下、安定性、安全性等の見地から研究開発を促進する。

 大量60Co放射線源の照射原価の低下をはかるため、原子炉の制御系の一部にコバルトターゲットを用いて60Coを製造する方法等について研究をすすめる。

 工業用に適する大出力加速器の開発のため、その安定性、加速管の開発、電流およびエネルギーの安定化その他部品の品質の改良等についての研究を促進する。

 また、化学用原子炉の開発のため当分の間は既存のJRR-2、JRR-3等を使用してループ実験を行なう。さらに、使用済燃料、高レベル廃液、核分裂生成物等を放射線源として利用するため、放射能汚染、遮蔽、安全性、均一照射線技術、発熱除去等について研究するとともに、核分裂生成物からの137Cs等のガンマ線源および90Sr等のベータ線源の分離利用についての研究を促進する。

9.放射線の障害防止の研究

 放射線の障害防止の研究については、研究を効果的に行なうため、次の課題について、放射線医学総合研究所が中心となり大学、国立試験研究機関、日本原子力研究所等と協力して研究を進める。

 また、中性子線障害に関する研究を医学的利用に関する研究と並行して医用原子炉によって進めるものとする。

(1)放射線障害に関する基礎研究

 この研究は、許容量算定の基礎となるので、放射線と生体との相互作用、吸収線量の算定および測定法、放射線の細胞組織に対する作用、放射線の生体に及ぼす一般的利用、人体における放射線障害の発生、放射線による突然変異の発生、中性子線による障害等に関する研究に重点をおく。

(2)環境汚染に関する研究

 自然環境からの被曝量の調査研究を行なうとともに、原子力利用開発に伴い環境の放射線による汚染は、増加することが予想されるので、原子力産業の職業環境における放射線の障害に関する研究として、放射性物質の自然界における循環、原子力職業環境における放射線の人体への影響ならびに環境および人体の放射性物質による汚染の研究を行なう。

(3)許容量に関する研究

 この研究は、原子力関係の職業環境および国民遺伝を考慮した線量の割当等の基礎的データを与えるもので、放射線障害防止に関する研究において、重要な課題の一つである。

 ICRPの勧告等によって、一応の数値は、示されているが、その値も、勧告ごとに切り下げられ、また考慮された生活条件、体質等は、欧米人のものであるので、勧告の中で示された許容量決定の諸因子を日本人の生活条件等を考慮して、許容量算出の基礎となった重要諸因子、遺伝的有意線量および日本人の生活条件の特殊性と許容量との関係に関する研究を行なう。

(4)予防、診断および治療に関する研究

 放射線被曝者の障害の診断および治療に関する研究ならびに放射線障害を事前に防ぐ予防薬の研究は、今後の原子力開発上重要な問題と考えられるので、その促進をはかる。

(5)事故時対策に関する研究

 原子力施設の設置に際しては、その安全性は、十分考慮されているが、事故時における限界線量、危害要因の測定分析、被曝者の応急処置および汚染除去に関する研究を行なう。

10.原子力施設の安全性の研究

 原子力施設の開発を促進するにあたっては、その安全を確保する必要があるので、原子力施設の事故およびそれに伴う災害を予測し、これを防止するための対策の研究を、日本原子力研究所を中心として各国立試験研究機関、大学、民間企業の協力により強力に推進するものとする。

(1)安全設計に関する研究

 原子力施設は放射線を取り扱うという点において、在来の施設とは材料、構造等において大きな差異がある。その安全基準、設計基準の確立について理論計算研究、実物模型実験等による研究を行ない、その安全設計に万全を期する。

(2)遮蔽に関する研究

 計算面からの研究としては、計算コード、炉本体の遮蔽計算、炉心蓄積放射能の計算等を行なうとともに、本格的な理論式または総計理論をもととした計算方式を開発する必要がある。実験的には原子炉を用いて各種の定数の測定を行ない、遮蔽設計についての正確な基艇データを提供するとともに、理論計算結果と照し合わして理論の信頼性を高める。

(3)計測制御および安全保護装置に関する研究

 信頼度、精度のより高い各種計測器、安全保護装置等についての研究開発をすすめるとともに、誤動作、誤操作によっても危険をまねくおそれのない制御方式を確立する。

(4)事故解析に関する研究

 原子炉における冷却材循環動力の衷失事故の際の系の圧力、温度中性子束、炉心出力等の過渡的変化を解析する必要がある。さらに、1次系の破損による冷却材衷失により、炉心の溶融が生ずる場合、燃料冷却材、核分裂生成物の挙動を明らかにする解析式およびその数値解法を各型式の炉について求める研究を行ない、また、この研究に関連してコンテナの最適化設計の研究を行なう。なお、再処理施設等についても必要な事故解析に関する研究を進める。

(5)事故時における放射性物質の放出と拡散に関する研究

 この研究に関しては、諸外国でもほとんど例がなく困難な問題であるが、わが国では、今後系統的な理論および実験により促進をはかる。特に、事故時の漏洩放射線量およびその分布、放出される放射性物質の種類と量の算定ならびに気象その他の状況による周辺地への移動状態を明らかにすることである。

 また、予想すべき気象条件を過去の記録に基づき適切に選定するために高度のデータ処理技術を開発する。放射性物質の拡散については、組織的に実験を行なったのち、採用すべき理論式の吟味、局地性による影響等を明らかにする。

(6)燃料破損に関する研究

 燃料被覆管にピンホールが生じた場合のピンホールの成長、その部分から分裂生成物が放出される機構、破損の程度と放射能レベルとの関連等、燃料破損について不明な点が多く、今後これらの研究を実施するとともにデータの蓄積をはかる。

 燃料被損検出装置については、特に軽水炉にとって困難な問題であるので、サンプリング方法を含め十分信頼性があり、かつ運転中に破損箇所を検知する方式を進める。

 一方、燃料破損検出については、分裂生成物の挙動と関係して各チャンネルごとの検出を必要とするか否かも検討する必要がある。

(7)耐震性に関する研究

 わが国は地震国であるので、特に耐震性については、安全性の見地から問題となる。したがって、各種構造物および機器類の耐震設計基準を確立するため、実物および模型を用いた振動試験、耐震試験等の研究を行なう。

 また、各種機器の地震時における振動性状、共振現象等に関する測定技術の開発に関する研究をすすめ構造物の耐震試験技術を確立する。

(8)その他の研究

 以上のほか、各種の安全系における設定、レベルの選定等具体的な問題についての研究の必要があり、また、強度試験、漏洩試験、非破壊試験等の検査技術の開発のための研究と検査基準の確立に関する研究を早急に推進する。