許容被曝線量等を定める告示

◎科学技術庁告示第21号
 原子炉の設置、運転等に関する規則(昭和32年総理府令第83号)第1条第五号及び第七号、第7条第一号ロ、第8条並びに第14条第八号及び第九号並びに核燃料物質の使用等に関する規則(昭和32年総理府令第八十四号)第1条第三号及び第四号、第3条第四号ロ及び第六号、第4条第十号及び第十一号並びに第8条第2項の規定に基づき、許容被曝線量等を次のように定め、昭和35年10月1日から適用する。

  昭和35年9月30日

科学技術庁長官 荒 木 万寿夫

管理区域に係る放射線量等
第1条 管理区域に係る外部放射線の放射線量、空気中若しくは水中の放射性物質の濃度又は放射性物質によって汚染された物の表面の放射性物質の密度は、次のとおりする。
一 外部放射線の放射線量については、1週間につき30ミリレム
二 空気中又は水中の放射性物質の濃度については、1週間についての平均濃度が第6条第一号から第四号までに規定する許容濃度に0.75を乗じて得た濃度
三 放射性物質によって汚染された物の表面の放射性物質の密度については、第3条に規定する許容表面密度の10分の1

2 前項の場合において、同一の場所に外部放射線と空気中の放射性物質とがあるときは、外部放射線の1週間の放射線量又は空気中の放射性物質の1週間についての平均濃度のそれぞれの第一号の放射線量又は第二号の濃度に対する割合の和が1となるようなその放射線量又は濃度をもって、それぞれ第一号の放射線量又は第二号の濃度に代えるものとする。

周辺監視区域外の許容被曝線量
第2条 周辺監視区域外の許容被曝線量は、1年間につき0.5レムとする。

許容表面密度
第3条 管理区域内の人の触れるおそれのある物であって放射性物質によって汚染されたものに係る放射性物質の許容表面密度は、別表第1のとおりとする。

許容集積線量
第4条 従事者の許容集積線量は、次の式によって算出される数値(単位レム)とする。
  D=5(N-18)
この式において、Dは許容集積線量を、Nは年令の数を表わすものとする。

2 放射線による事故によって25レム未満の被曝を受け、又は緊急作業に従事することによって被曝した結果、その集積線量が前項の式によって算出される数値をこえた場合には、その被曝した日からその超過した被曝放射線量を2レムで除して得た数の年数を経過するまでの期間に限り、前項の式によって算出される数値にその超過した被曝放射線量を加えた数値をもって許容集積線量とする。

3 従事者の過去の被曝が明らかでない場合は、その明らかでない期間については、1年間につき5レムの割合で被曝したものとみなして、集積線量を算出するものとするものとする。

従事者の許容被曝線量
第5条 従事者の許容被曝線量は、3月間につき3レムとする。ただし、皮ふのみに対する被曝については8レム、手、前ばく、足又は足関節のみに対する被曝については20レムとする。

2 前項の従事者の被曝する放射線が中性子線である場合には、別表第2の左欄に掲げる中性子エネルギーの強さに応じてそれぞれ右の欄に掲げる粒子束密度の時間積分量が1ミリレムの放射線量に相当す各ものとして計算することができる。

従事者に係る許容濃度
第6条 従事者の呼吸する空気中又は飲用する水中の放射性物質の許容濃度は、次のとおりとする。
一 放射性物質の種類が明らかで、かつ、1種類である場合にあっては、その放射性物質の3月間についての平均濃度が別表第3の第2欄に掲げる放射性物質の種類ごとにそれぞれ第3欄に掲げる濃度
二 放射性物質の種類が明らかで、かつ、空気中又は水中にそれぞれ2種類以上の放射性物質がある場合にあっては、それらの放射性物質の3月間についての平均濃度のそれぞれその放射性物質についての前号の許容濃度に対する割合の和が1となるようなそれらの放射性物質の濃度
三 放射性物質の種類が明らかでない場合にあっては、その放射性物質の3月間についての平均濃度が、空気中の濃度については別表第4の、水中の濃度については別表第5の左の欄に掲げる放射性物質の区分に応じてそれぞれ右の欄に掲げる濃度
四 空気中及び水中に放射性物質がある場合においてそれらをあわせて呼吸し、及び飲用するおそれがあるときは、その空気中または水中における放射性物質の3月間についての平均濃度のそれぞれ空気中又は水中のその放射性物質についての第一号又は前号の許容濃度に対する割合の和が1となるようなそれらの放射性物質の濃度
五 3月間について1.7レムをこえて外部放射線により被曝するおそれがあり、かつ、空気中又は水中に放射性物質がある場合において、それらを呼吸し、又は飲用するおそれがあるときは、その外部放射線による被曝放射線量から1.7レムを減じた数値の1.3レムに対する割合と空気中又は水中の放射性物質の3月間についての平均濃度のその放射性物質についての空気中又は水中の前各号の寸許容濃度に対する割合との和が1となるようなその空気中又は水中の放射性物質の濃度

緊急作業に係る許容被曝線量
第7条 緊急作業に係る許容被曝線量は、12レムとする。

従事者以外の者に係る許容被曝線量
第8条 従事者以外の者であって業務上管理区域に立ち入る者(一時的に立ち入る者を除く。)の許容被曝線量は、1年間につき1.5レムとする。ただし、皮ふのみに対する被曝については、3レムとする。

内部被曝の場合における被曝放射線量の計算
第9条 第2条、第4条、第5条、第7条及び第8条の規定については、放射線による被曝が放射性物質によって汚染された空気を呼吸し、又は放射性物質によって汚染された水を飲用することによる場合には、第6条第一号から第四号までに規定する許容濃度の空気を呼吸し、又は水を飲用することが3月間について1.3レムの放射線量率の放射線に被曝することに相当するものとしてその被曝放射線量を計算するものとする。

周辺監視区域外の許容濃度
第10条 周辺監視区域外の空気中又は水中の放射性物質の許容濃度は、3月間についての平均濃度が第6条第一号から第四号までに規定する許容濃度の10分の1とする。ただし、外部放射線による被曝及び空気中又は水中に放射性物質がある場合において、それらをあわせて被曝し、及び呼吸し、又は飲用するおそれがあるときは、外部放射線の3月間の被曝放射線量の130ミリレムに対する割合と空気中又は水中の放射性物質の3月間についての平均濃度のその放射性物質についての第6条第一号から第四号までに規定する空気中又は水中の許容濃度の10分の1に対する割合との和が1となるような空気中又は水中の濃度をもって、その空気中又は水中の許容濃度とする。

許容集積線量に係る経過措置
第11条 この告示の適用の際現に集積線量が第4条第1項の式によって算出される数値をこえている者にあっては、この告示の適用の日から5年間は、同項の式によって算出される数値にその超過した被曝放射線量を加えた数値をもってその者の許容集積線量とする。

旧告示の廃止
第12条昭和32年科学技術庁告示第9号(原子炉の設置、運転等に関する規則等の規定に基づき許容週線量、許容濃度及び許容表面波度を定める件)は廃止する。

別表第1 許容表面密度


別表第2 1ミリレムに相当する粒子束密度の時間積分量


別表第3 種類が明らかで1種類である放射性物質の場合の許容濃度



別表第4 種類が明らかでない放射性物質の場合の空気中の許容濃度

別表第5 種類が明らかでない放射性物質の場合の水中の許容濃度

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