放射線を放出する同位元素の数量等を定める告示

◎科学技術庁告示第22号
 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令(昭和35年政令第56号)及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則(昭和35年総理府令第56号)の規定に基づき、昭和33年科学技術庁告示第4号(放射線を放出する同位元素の数量等を定める件)の全部を改正するこの告示を次のように定め、昭和35年10月1日から適用する。

  昭和35年9月30日

科学技術庁長官 荒 木 万寿夫

放射線を放出する同位元素の数量及び濃度
第1条 放射性同位元素による放射線障害の防止に関する法律施行令(以下「令」という。)第1条に規定する放射線を放出する同位元素の数量及び濃度は数量については次の各号に掲げるとおりとし、濃度については0.002マイクロキュリー毎グラムとする。
一 放射線を放出する同位元素が密封されていないものであって、その種類が1種類のものについては、次の表の上欄に掲げる種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる数量
二 放射線を放出する同位元素が密封されていないものであって、その種類が2種類以上のものについては、次の表の上欄に掲げる種類の放射線を放出する同位元素のそれぞれの数量の同表の下欄に掲げる数量に対する割合の和が1となるようなそれらの数量
三 放射線を放出する同位元素で密封されたものについては、100マイクロキュリー


販売の業の許可の申請に係る放射性同位元素の区分
第2条 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則(以下「規則」という。)」第3条第2項に規定する放射性同位元素の区分は、密封された放射性同位元素及び密封されていない放射性同位元素ごとの第1群、第2群、第3群及び第4群の区分とする。

主要構造部等、汚染検査室又は排気設備に係る放射性同位元素の種類及び数量
第3条 令第12条第4項及び第5項並びに令第17条第五号ただし書に規定する放射性同位元素の種類及び数量は、次のとおりとする。
一 主要構造部等を耐火構造とし、又は不燃材料で造ることを要しない場合については、次の表の上欄に掲げる種類に応じて、それぞれ同表の中欄に掲げる数量
二 汚染検査室又は排気設備を設けることを要しない場合については、次の表の上欄に掲げる種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる数量
三 前2号の場合において、放射性同位元素の種類が2種類以上であるときは、次の表の上欄に掲げる種類の放射性同位元素のそれぞれの数量の同表の中欄又は下欄に掲げる数量に対する割合の和が1となるようなそれらの数量

管理区域に係る許容線量等
第4条 令第11条第四号に規定する管理区域に係る許容線量、許容濃度及び許容密度は、次のとおりとする。
一 外部放射線の許容線量については、1週間につき30ミリレム
ニ 空気中又は水中の放射性同位元素の許容濃度については、1週間についての平均濃度が第6条に規定する濃度の10の3
三 放射性同位元素によって汚染される物の表面の放射性同位元素の許容密度については、第8条に規定する密度の10分の1

しやへい物に係る許容線量
第5条 令第12条第1項第三号イ及びロに規定するしやへい物に係る許容線量は、次のとおりとする。
一 使用施設内の人が常時立ち入る場所における許容線量については、1週間につき100ミリレム
二 工場又は事業所の境界及び工場又は事業所内の人が居住する区域における許容線量については、1週間につき10ミリレム。ただし、病院又は診療所の病室における場合にあっては、人が被曝するおそれのある放射線の線量が3月間につき130ミリレム

最大許容空気中濃度及び最大許容水中濃度
第6条 令第17条第五号イ並びに規則第1条第六号及び第七号に規定する人が常時立ち入る場所における空気中又は水中の放射性同位元素の許容濃度は、8時間についての平均濃度が次の各号に規定する濃度の2.5倍とする。
一 放射性同位元素の種類が明らかで、かつ、1種類である場合にあっては、別表第1の第2欄に掲げる放射性同位元素の種類に応じてそれぞれ第3欄に掲げる濃度
二 放射性同位元素の種類が明らかで、かつ、空気中又は水中にそれぞれ2種類以上の放射性同位元素がある場合にあっては、それらの放射性同位元素の濃度のそれぞれその放射性同位元素についての前号の濃度に対する割合の和が1となるようなそれらの放射性同位元素の濃度
三 放射性同位元素の種類が明らかでない場合にあっては、空気中の濃度については別表第2の、水中の濃度については別表第3の左の欄に掲げる放射性同位元素の区分に応じてそれぞれ右の欄に掲げる濃度

排気又は排水に係る放射性同位元素の許容濃度
第7条 令第17条第四号イ本文及び第五号口本文並びに規則第19条第1項第四号及び第五号に規定する排気中又は排液中の放射性同位元素の許容濃度は、8時間についての平均濃度が前条各号に規定する濃度の10分の1とする。

2 令第17条第四号イただし書及び第五号ロただし書に規定する空気中又は排水中の放射性同位元素の許容濃度は、3月間についての平均濃度が前条各号に規定する濃度の10分の1とする。

最大許容表面密度
第8条 規則第1条第八号に規定する人が触れる物の表面の放射性同位元素の許容密度は、別表第4の左の欄に掲げる放射性同位元素の区分に応じてそれぞれ右の欄に掲げる密度とする。

管理区域から持ち出す物に係る表面の放射性同位元素の許容密度
第9条 規則第15条第十号及び規則第17条第1項第七号に規定する放射性同位元素によって汚染された物の表面の放射性同位元素の許容密度は、前条に規定する密度の10分の1とする。

最大許容被曝線量
第10条 規則第1条第三号に規定する放射線作業従事者に係る1定期間内における許容被曝線量は、3月間につき3レムとする。ただし、皮ふのみに対する被曝については8レム、手、前ぱく、足又は足関節のみに対する被曝については20レムとする。

最大許容集積線量
第11条 規則第1条第五号に規定する放射線作業従事者に係る一定時点における許容集積線量は、次の式によって算出される数値(単位レム)とする。
 D=5(N-18)
この式において、Dは許容集積線量を、Nは年令の数を表わすものとする。

2 放射線による事故によって25レム未満の被曝を受け、又は規則第29条に規定する緊急作業に従事することによって被曝した結果、その時における集積線量が前項の式によって算出される数値をこえた場合には、その被曝した日からその超過した被曝放射線量を2レムで除して得た数の年数を経過するまでの期間に限り、同項の式によって算出される数値にその超過した被曝放射線量を加えた数値をもって許容集積線量とする。

3 放射線作業従事者の過去における被曝が明らかでない場合は、その明らかでない期間については1年間につき5レムの割合で被曝したものとみなして、集積線量を算出するものとする。

緊急作業に係る許容被曝線量
第12条 規則第29条第2項に規定する緊急作業に係る許容被曝線量は、12レムとする。

管理区域随時立入者及び運搬従事者に係る許容被曝線量
第13条 規則第15条第三号、規則第17条第1項第三号及び規則第22条第三号ニに規定する管理区域随時立入者に係る許容被曝線量並びに規則第18条第1項第八号に規定する放射線作業従事者以外の運搬に従事する者に係る許容被曝線量は、1年間につき1.5レムとする。ただし、皮ふのみに対する被曝については、3レムとする。

計算による測定に係る許容被曝線量
第14条 規則第20条第2項第一号イただし書に規定する計算による測定に係る許容被曝線量は、1週間につき30ミリレムとする。

一時的立入者の測定に係る許容被曝線量
第15条 規則第20条第2項第三号に規定する一時的立入者の測定に係る許容被曝線量は、10ミリレムとする。

粒子束密度
第16条 第4条、第5条及び第10条から前条までの放射線量については、その放射線が中性子線である場合には、別表第5の左の欄に掲げる中性子エネルギーの強さに応じてそれぞれ同表の右の欄に掲げる粒子束密度の時間積分量が1ミリレムの放射線量に相当するものとして計算することができる。

線量並びに空気中及び水中の濃度の複合
第17条 第4条から第7条までの規定については、外部放射線による被曝がある場合又は空気中若しくは水中に放射性同位元素がある場合において、それらを同時に被曝し、呼吸し、又は飲用するおそれのあるときは、それぞれその許容線量又は許容濃度に対する割合の和が1となるようなその線量又は空気中若しくは水中の濃度をもって、その許容線量又ほ許容濃度とする。ただし、第4条に規定する管理区域に係る水中の放射性同位元素の濃度については、複合することを要しない。

内部被曝の場合における被曝放射線量の計算
第18条 第10条から第15条までの規定については、放射線による被曝が気体状の放射性同位元素若しくは放射性同位元素によって汚染された空気を呼吸し、又は液体状の放射性同位元素若しくは放射性同位元素の濃度のそれぞれその放射性同位元素についての前号の濃度に対する割合の和が1となるようなそれらの放射性同位元素の濃度
三 放射性同位元素の種類が明らかでない場合にあっては、空気中の濃度については別表第2の、水中の濃度については別表第3の左の欄に掲げる放射性同位元素の区分に応じてそれぞれ右の欄に掲げる濃度

排気又は排水に係る放射性同位元素の許容濃度
第7条 令第17条第四号イ本文及び第五号口本文並びに規則第19条第1項第四号及び第五号に規定する排気中又は排液中の放射性同位元素の許容濃度は、8時間についての平均濃度が前条各号に規定する濃度の10分の1とする。

2 令第17条第四号イただし書及び第五号ロただし書に規定する空気中又は排水中の放射性同位元素の許容濃度は、3月間についての平均濃度が前条各号に規定する濃度の10分の1とする。

最大許容表面密度
第8条 規則第1条第八号に規定する人が触れる物の表面の放射性同位元素の許容密度は、別表第4の左の欄に掲げる放射性同位元素の区分に応じてそれぞれ右の欄に掲げる密度とする。

管理区域から持ち出す物に係る表面の放射性同位元素の許容密度
第9条 規則第15条第十号及び規則第17条第1項第七号に規定する放射性同位元素によって汚染された物の表面の放射性同位元素の許容密度は、前条に規定する密度の10分の1とする。

最大許容被曝線量
第10条 規則第1条第三号に規定する放射線作業従事者に係る1定期間内における許容被曝線量は、3月間につき3レムとする。ただし、皮ふのみに対する被曝については8レム、手、前ぱく、足又は足関節のみに対する被曝については20レムとする。

最大許容集積線量
第11条 規則第1条第五号に規定する放射線作業従事者に係る一定時点における許容集積線量は、次の式によって算出される数値(単位レム)とする。
 D=5(N-18)
この式において、Dは許容集積線量を、Nは年令の数を表わすものとする。

2 放射線による事故によって25レム未満の被曝を受け、又は規則第29条に規定する緊急作業に従事することによって被曝した結果、その時における集積線量が前項の式によって算出される数値をこえた場合には、その被曝した日からその超過した被曝放射線量を2レムで除して得た数の年数を経過するまでの期間に限り、同項の式によって算出される数値にその超過した被曝放射線量を加えた数値をもって許容集積線量とする。

3 放射線作業従事者の過去における被曝が明らかでない場合は、その明らかでない期間については1年間につき5レムの割合で被曝したものとみなして、集積線量を算出するものとする。

緊急作業に係る許容被曝線量
第12条 規則第29条第2項に規定する緊急作業に係る許容被曝線量は、12レムとする。

管理区域随時立入者及び運搬従事者に係る許容被曝線量
第13条 規則第15条第三号、規則第17条第1項第三号及び規則第22条第三号ニに規定する管理区域随時立入者に係る許容被曝線量並びに規則第18条第1項第八号に規定する放射線作業従事者以外の運搬に従事する者に係る許容被曝線量は、1年間につき1.5レムとする。ただし、皮ふのみに対する被曝については、3レムとする。

計算による測定に係る許容被曝線量
第14条 規則第20条第2項第一号イただし書に規定する計算による測定に係る許容被曝線量は、1週間につき30ミリレムとする。

一時的立入者の測定に係る許容被曝線量
第15条 規則第20条第2項第三号に規定する一時的立入者の測定に係る許容被曝線量は、10ミリレムとする。

粒子束密度
第16条 第4条、第5条及び第10条から前条までの放射線量については、その放射線が中性子線である場合には、別表第5の左の欄に掲げる中性子エネルギーの強さに応じてそれぞれ同表の右の欄に掲げる粒子束密度の時間積分量が1ミリレムの放射線量に相当するものとして計算することができる。

線量並びに空気中及び水中の濃度の複合
第17条 第4条から第7条までの規定については、外部放射線による被曝がある場合又は空気中若しくは水中に放射性同位元素がある場合において、それらを同時に被曝し、呼吸し、又は飲用するおそれのあるときは、それぞれその許容線量又は許容濃度に対する割合の和が1となるようなその線量又は空気中若しくは水中の濃度をもって、その許容線量又ほ許容濃度とする。ただし、第4条に規定する管理区域に係る水中の放射性同位元素の濃度については、複合することを要しない。

内部被曝の場合における被曝放射線量の計算
第18条 第10条から第15条までの規定については、放射線による被曝が気体状の放射性同位元素若しくは放射性同位元素によって汚染された空気を呼吸し、又は液体状の放射性同位元素若しくは放射性同位元素によって汚染された水を飲用することによるものである場合には、第6条各号に規定する濃度の空気又は水を呼吸し、又は飲用することが1週間につき100ミリレムの放射線量率の放射線に被曝することに相当するものとしてその被曝放射線量を計算するものとする。

診療上の被曝の除外等
第19条 第4条から第7条まで及び第10条から第15条までの規定については、放射線量又は被曝放射線量を算出する場合には、100万電子ボルト未満のエネルギーを有する電子線及びエックス線による被曝を含め、かつ、診療を受けるための被曝及び自然放射線による被曝を除くものとし、空気中又は水中の放射性同位元素の濃度を算出する場合には、空気又は水のなかに自然に含まれている放射性同位元素の濃度を除くものとする。

最大許容集積線量に係る経過措置
第20条 この告示の適用の際現に集積線量が第11条第1項の式によって算出される数値をこえている者にあっては、この告示適用の日から5年間は、同項の式によって算出される数値にその超過した被曝放射線量を加えた数値をもって最大許容集積線量とする。

別表第1 種類が明らかで1種類である放射性同位元素の場合の許容濃度




別表第2 種類が明らかでない放射性同位元素の場合の許容濃度


別表第3 種類が明らかでない放射性同位元素の場合の水中の許容濃度

別表第4 最大許容表面密度

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