原子炉の設置、運転等に関する規則の一部を
改正する総理府令

 原子炉の設置、運転等に関する規則(昭和32年総理府令第83号)の一部を次のように改正する。

 第1条第1項第一号ホ中「核燃料物質及び核燃料物質によって汚染された物で廃棄しようとするもの(以下「放射性廃棄物」という。)」を「放射性廃棄物」に改め、同条を第1条の2とし、同条の前に第1条として次のように加える。

定義
第1条 この府令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 「放射性廃棄物」とは、核燃料物質及び核燃料物質によって汚染された物で廃棄しようとするものをいう。

二 「燃料体」とは、原子炉に燃料として使用できる形状又は組成の核燃料物質をいう。

三 「被曝放射線量」とは、一定期間において人の被曝(診療を受けるための被曝を除く。)する放射線(100万電子ボルト未満のエネルギーを有する電子線及びエックス線を含み、自然放射線を除く。以下同じ。)の放射線量をいう。

四 「集積線量」とは、人がその時までに被曝(診療を受けるための被曝及び皮ふ又は手、前ばく、足若しくは足関節のみに対する被曝を除く。)した放射線の放射線量をいう。

五 「管理区域」とは、炉室、使用済燃料の貯蔵施設、放射性廃棄物の廃棄施設等の場所であって、その場所における外部放射線の放射線量が科学技術庁長官(以下「長官」という。)の定める放射線量をこえ、空気中若しくは水中の放射性物質(空気又は水のうち自然に含まれている放射性物質を除く。以下同じ。)の濃度が長官の定める濃度をこえ、又は放射性物質によって汚染された物の表面の放射性物質の密度が長官の定める密度をこえるおそれのあるものをいう。

六 「保全区域」とは、原子炉施設の保全のために特に管理を必要とする場所であって、管理区域以外のものをいう。

七 「周辺監視区域」とは、管理区域の周辺の区域であって、当該区域の外側のいかなる場所においてもその場所における人の被曝放射線量が長官の定める許容被曝量線をこえるおそれのないものをいう。

八 「従事者」とは、原子炉の運転又は利用、原子炉施設の保全、核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物の運搬、貯蔵、廃棄又は汚染の除去等の業務に従事する者であって、管理区域に常時立ち入るものをいう。

 第3条第1項第三号及び第2項第三号中「第1条」を「第1条の2」に改め、同条第3項第二号中「原子炉に燃料として使用できる形状又は組成の核燃料物質(以下「燃料体」という。)を「燃料体」に改める。

 第3条の2第1項第三号中「第1条」を「第1条の2」に改める。

 第4条第1項を次のように改める。

 法第30条の規定による原子炉の運転計画(発電の用に供する原子炉及び船舶に設置する原子炉に係るものを除く。)は、原子炉ごとに、別記様式第1により作成するものとし、運転開始の予定の日の属する年度(毎年4月1日からその翌年の3月31日までをいう。以下同じ。)以後毎年度、当該年度の4月1日を始期とする3年間の運転計画を当該年度の前年度の1月31日までに届け出るものとする。

 第4条第2項中「2月1日からその翌年の3月31日」を「当該年度の前年度の2月1日から当該年度の3月31日」に改める。

 第6条第1項の表中第四号を次のように改める。


 第6条に次の3項を加える。

3 第1項の表第四号この従事者の3月間の被曝放射線量を記録する場合には、放射線による被曝のうち放射性物質によって汚染された空気を呼吸し、又は放射性物質によって汚染された水を飲用することによる被曝に係る記録については、その被曝の状況及び測定の方法をあわせて記載しなければならない。

4 第1項の表第四号ニ及びホの記録の保存期間は、その記録に係る者が従事者でなくなった場合において日本原子力研究所及び原子炉設置者(以下「原子炉設置者等」という。)がその記録を長官の指定する機関に引き渡すまでの期間とする。

5 原子炉設置者等は、第1項の表第四号この記録に係る従事者に、その記録の写しをその者が当該業務を離れる時に公布しなければならない。

 第7条を次のように改める。

管理区域への立入制限等
 第7条 法第35条の規定により、原子炉設置者等は、管理区域、保全区域及び周辺監視区域を定め、これらの区域において次の各号に掲げる措置をとらなければならない。
一 管理区域については、次の措置を講ずること。

イ 壁、さく等の区劃物によって区劃するほか、標識を設けることによって明らかに他の場所と区別し、かつ、放射線等の危険性の程度に応じて人の立入制限、かぎの管理等の措置を講ずること。

ロ 床、壁その他人の触れるおそれのある物であって放射性物質によって汚染されたものの表面の放射性物質の密度が長官の定める許容表面密度をこえないようにすること。

ハ 管理区域から人が退去し、又ほ物品を持ち出そうとする場合には、その者の身体及び衣服、はきもの等身体に着用している物並びにその持ち出そうとする物品(その物品を容器に入れ又は包装した場合には、その容器又は包装)の表面の放射性物質の密度がロの許容表面密度の10分の1をこえないようにすること。

二 保全区域については、標識を設ける等の方法によって明らかに他の場所と区別し、管理の必要性に応じて人の立入制限、かぎの管理、物品の持出制限等の措置を講ずること。

三 周辺監視区域については、次の措置を講ずること。

イ 人の居住を禁止すること。

ロ 境界にさく又は標識を設ける等の方法によって業務上周辺監視区域に立ち入る者以外の者の立ち入りを制限すること。ただし、当該区域に人が立ち入るおそれのないことが明らかな場合は、この限りでない。

 第8条を次のように改める。

被曝放射線量等に関する措置
 第8条 法第35条の規定により、原子炉設置者等は、従事者の被曝放射線量等に関し、次の各号に掲げる措置をとらなければならない。

一 従事者の集積線量及び被曝放射線量が、それぞれ長官の定める許容集積線量及び許容被曝線量をこえないようにすること。

二 従事者の呼吸する空気中又は飲用する水中の放射性物質の濃度が長官の定める許容濃度をこえないようにすること。

三 従事者以外の者であって業務上管理区域に立ち入るもの(一時的に立ち入る者を除く。)については、その者の被曝放射線量が長官の定める許容被曝線量をこえないようにすること。

2 前項第一号及び第二号の規定にかかわらず、原子炉施設に災害が発生し、又は発生するおそれがある場合、原子炉の運転に重大な支障を及ぼすおそれがある原子炉施設の損傷が生じた場合等緊急やむを得ない場合においては、男子の従事者をその被曝する放射線量が長官の定める許容被曝線量をこえない範囲内において緊急作業に従事させることができる。第12条第二号及び第五号中「管理場所内」を「管理区域内」に改め、同条第六号中「運搬する使用済燃料」を「運搬する核燃料物質」に、「容器内の使用済燃料」を「容器の表面」に、「管理場所内」を「管理区域内」に改め、同条に次の1号を加える。

七 従事者以外の者であって核燃料物質の運搬に従事する者の被曝放射線量が第8条第1項第三号の許容被曝線量をこえないようにすること。

第13条中第五号を削る。

第14条第四号に次のただし書を加える。

 ただし、大型機械等容器に封入して廃棄することが著しく困難な放射性廃棄物を障害防止の効果をもった廃棄施設に廃棄する場合は、この限りでない。第14条中第八号から第十二号までを削り、第七号の次に次の2号を加える。

八 放射性廃棄物を排気施設によって排出する場合は、排気施設において、ろか、放射線の強さの時間による減衰、多量の空気による希釈等の方法によって排気中における放射性物質の濃度をできるだけ低下させること。この場合、排気口において又は排気監視設備を設け当該設備において、排気中の放射性物質の濃度を監視することにより、周辺監視区域の外の空気中の放射性物質の濃度が長官の定める許容濃度をこえないようにすること。

九 放射性廃棄物を排水施設によって排出する場合は、排水施設において、ろか、イオン交換樹脂法による吸着、放射線の強さの時間による減衰、多量の水による希釈等の方法によって、排水中における放射性物質の濃度をできるだけ低下させること。この場合、排水口において、又は排水監視設備を設け当該設備において、排水中の放射性物質の濃度を監視することにより、周辺監視区域の境界における水中の放射性物質の濃度が長官の定める許容濃度をこえないようにすること。

第15条第1項中第十四号を第十五号とし、第七号から第十三号までを1号ずつ繰り下げ、第四号から第六号までを削り、第三号の次に次の4号を加える。

四 管理区域、保全区域及び周辺監視区域の設定並びにこれらの区域に係る立入制限等に関すること。

五 排気監視設備及び排水監視設備に関すること。

六 被曝放射線量、放射性物質の濃度及び放射性物質によって汚染された物の表面の放射性物質の密度の監視並びに汚染の除去に関すること。

七 放射線測定器の管理に関すること。第15条の3第1項第一号中「第1条」を「第1条の2」に改める。

 第22条の4第1項ただし書を削る。

 第22条の5第1項中「内閣総理大臣」を「長官」に改める。

 第23条第1項を次のように改める。

 原子炉設置者等は、その原子炉に係る別記様式第2による報告書を、従事者の1年間の被曝放射線量に係るものにあっては毎年4月1日からその翌年の3月31日までの期間について、その他のものにあっては毎年4月1日から9月30日までの期間及び10月1日からその翌年の3月31日までの期間について作成し、それぞれ当該期間の経過後1月以内に内閣総理大臣に提出しなければならない。

 第23条第3項中「最大許容週線量をこえた被ばく」を「第8条第1項第一号の許容集積線量又は許容被曝線量をこえた被曝」に改める。

 別記様式第2中(四)以下を次のように改める。

  (四) 放射性物質の濃度の3月間についての平均値及び最高値


  (五) 従事者の被曝放射線量分布


  (六) 1年間の従事者の被曝放射線量分布


  附 則
1 この府令は、昭和35年10月1日から施行する。

2 この府令の施行の際現に核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第37条第1項の規定により保安規定の認可を受けている者は、昭和35年10月31日までに同条同項に規定する保安規定の変更の認可を申請しなければならない。

3 前項の規定により保安規定の変更の認可を申請した者については、認可をする旨又は認可をしない旨の通知を受けるまでの間は、第15条第1項の改定規定にかかわらず、なお従前の例による。

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