JRR-2の臨界到達


1.原子炉の建設
 JRR-2(CP-5型原子炉)を原研に建設することは、31年1月13日、原子力委員会の決定を経、31年1月27日、閣議において決定された。

 原研においては、31年夏、同炉の建設請負に関し、ACF、AMF、GEおよびNAAの4社について見積り合せを行なったところ、AMF社の条件が最も良かったので、31年10月、AMF社と原子炉建設契約を締結した。

 JRR-2の建設工事はその途次において耐震の面から非常用冷却系統等に関し設計の変更があり、さらに熱交換器、重水ポンプ等の修理を行なわなければならなかった等の理由により、33年4月据付完了という当初の完成予定より1年半以上遅延することとなった。

2.初期装荷燃料の加工
 JRR-2に使用する20%濃縮ウラン4kgの賃貸借に関する細目協定は、国会の承認を得た後、35年5月、日米両国間で締結された。この濃縮ウランの加工は日本政府が直接行なうように規定されているので、当庁は原研から提示されたAMF社の仕様書に基づき、AMF社から推薦のあった米国加工業者4社(M&C,GE,B&WおよびSylcor)について見積合せを行なった結果、33年10月、M&C社を加工業者として内定した。

 その後AMF社が提示した燃料仕様書に対するM&C社との意見の調整および加工契約案中に規定された免責条項についての特別立法のため若干の時日を要したが、当庁とM&C社との加工契約は、34年10月16日に正式に締結された。

 検査に関しては、34年11月、当庁は原研にこれを委託し、原研はAMF社と検査契約を結び原研とAMF社と共同で現地検査を行なった。その検査の状況は次のとおりである。

 本年2月末、燃料22本の加工が終り、3月末AMF社の最終検査を経て、出荷手続を完了した。出荷直前、AMF社の要求により、流水試験を実施したが、その結果、燃料要素の強度および燃料板のウランアルミ合金中に密度の大きい介在物が存在するらしいことの二つの問題が生じたので、解決のため原研研究炉管理部長神原氏が渡米した。

 神原氏、AMF社およびM&C社の間の協議の結果、さらにM&C社でboiling water testを実施し、結局第1次装荷分として加工した22本のうち3本は再加工することにした。残り19本の燃料要素については、AMF社から介在物の大きさを推定した熱計算の結果から低出力運転が勧告された。

 原研は諸種資料を検討した結果、本年7月当庁にあて、燃料要素19本は、検査に合格したものと認められるとともに、初期の運転計画に支障を及ぼさないと報告してきたので、当庁としては、本年8月12日、サンフラソシスコで燃料要素19本(235Uの量として3,404.80グラム)を受け取り、15日に原研東海研究所に搬入を終えた。

3.臨 界 試 験
 原子力局では、JRR-2の工事着工以来「原子炉等の規制に関する法律」に規定されている施設検査を実施してきたが、東海村到着後行なった燃料検査をもって施設検査を一応完了した。その後、引き続き臨界前試験、臨界試験、特性試験および出力上昇試験等からなる性能検査などを実施している。臨界試験は、9月30日午後2時10分最初の燃料装荷によって開始され、明くる10月1日午前4時49分燃料棒15本(235U約2,695kg)の装荷をもって臨界に到達した。

 当初の臨界予想量8本との違いについては、原子炉の設計計算を現在原研で検討中である。

4.今後の運転計画
 JRR-2は臨界試験終了後、出力運転に必要な原子炉特性を得るための特性測定試験を現在実施中である。この特性試験の結果を検討し、現在加工中の残り3本を加え、何kWまでの出力運転が可能かを決定することになっている。なお、この燃料要素は炉内で約1年間燃焼する予定になっている。

 第2回以降の燃料要素の仕様書については、原研の責任において作成するものであり、現在慎重に検討中である。