原子力委員会参与会

第 7 回

〔日 時〕昭和35年9月8日(木)14.00〜17.00

〔場 所〕東京会館

〔出席者〕石川、兼重、木原各委員
稲生、井上、大屋、倉田、駒形、瀬藤、高橋、成富、藤岡、伏見、正井、松根、三島、三宅、安川、吉沢、脇村各参与
杠局長、法貴、森崎各次長、井上(政策)、井上(核燃料)、中島、佐藤、亘理各課長、武安監理官、村田調査官、ほか担当官
大蔵省笠川主計官、運輸省榊原技官、原研阿部企画室長、原電渡辺調査室長

〔配布資料〕
1.第4回IAEA総会
2.昭和36年度原子力予算概算総表
3.原子力委員会各専門部会の審議状況
4.日本原子力研究所動力試験炉の安全性について(答申)
5.動力試験炉(JPDR)の概要説明
6.原子力開発新長期計画作業のすすめ方について(案)

1.第4回IAEA総会における討議事項について
 資料1を石川委員が説明。9月15日に出発して第4回IAEA総会に出席する旨を述べた。

2.長期計画作業のすすめ方について
 村田調査官が資料4を説明した。

村田調査官:現在の参与会のほかに各方面の人員を加え拡大された参与会のような形で「長期計画専門部会」を作って長期計画を検討していただくという考えをもっている。学界、産業界、官庁等から適当な人を選んで専門委員として加わっていただきたい。新たに専門委員を任命する必要も考えられる。人数は人選をまたないとはっきりしない。議長は石川委員。

松根参与:現在の参与、専門委員の空席はどのくらいあるか。

村田調査官:参与はゼロ、専門委員は17名である。

松根参与:事務局にも産業会議で作業をやった人が加わるとよい。

石川委員:だいたいこのような方針で進めてよろしいか。

一同了承

3.昭和36年度原子力関係予算概算要求について
 資料2により法貴次長、中島課長および武安監理官が説明した。

伏見参与:民間の出資金が減ったのはなぜか。

石川委員:電力会社の金融難による。

倉田参与:資料2のP5の「17関係各省行政費」というのは人件費が入っているか。

井上政策課長:人件費は入っていない。調査費がおもである。

倉田参与:人がいなくて予算を使いきれないのではないかと心配している。

井上政策課長:使えるという見通しをもっている。

瀬藤参与:大蔵省が予算要求どおりに金をくれた場合はよいが、明らかに不足で大蔵省のいう金額では仕事をやることができないと思われるような時にはどうするか。一応もらえるだけはもらっておくのか。

石川委員:ぜひやらねばならぬものについてはこちらも譲歩しない。

瀬藤参与:予算では不足すると、不足分を民間にしょわせることになるようだが、初めての仕事なら民間にとっても勉強になるが、同じことを何度もやることがある。

4.原子力委員会各専門部会の活動状況について
 法貴次長が資料3を説明し、さらに、材料試験炉専門部会を設けることが8月31日の原子力委員会で決定されたことを報告した。資料4を佐藤原子炉規制課長が説明した。資料5を武安監理官が説明した。

武安監理官:最も問題になったのは第3者損害賠償責任保障である。原子力災害に基づく第3者の損害に対し原研がGEを免責するが、損害賠償措置の裏づけとなる法律体系が燃料の出荷前に整備されないとGEは出荷を停止することになっている。現在国会で継続審議になっている損害賠償法があのまま成立すれば問題はないとGEはいっている。

大屋参与:修正された場合はどうか。

杠局長:損害賠償法の内容の一部を契約の条件のなかに入れているので、原子力事業者に severe に修正されるとそのままでよいだろうが、原子力事業者にゆるやかになった時は再度協議する必要が考えられる。

駒形参与:燃料の契約は入っているか。

井上燃料課長:含まれている。burn-upの保証が40頁に出ている。

藤岡参与:49頁に、天災のような不可抗力の事態が起こったとき原研が金を払うように書いてあるようだが。

武安監理官:手間賃に対する実費である。

藤岡参与:一般に工事契約というのはこんなものか。

杠局長:おしきれたらおしきるべき問題だがやむをえないのでうけたものである。GEは契約期日よりもっと早く造れるといっており、その場合ボーナスを出すことになるのは困る。

成富参与:CP-5 の契約についても、日本側として当然主張してよいことでも言わないでいるということが具体的にある。そのため非常に損をしてきている。まだ金を払わなくてよいと思われるのに相手に手紙で交渉することもせず、こちらから下りて金を払ってしまっている。向こうはそんな甘い態度ではない。

大屋参与:こういう問題を原研だけに任かしておくのはまちがいである。原子力局が連帯責任を負うようなつもりでやってほしい。

杠局長:損害賠償の法律が長びいた。そのためGEとしては一度交渉をごはさんにしよう。そうでなければ見積り直しで高い値段にしようということになった。それでは困るのでもとの値段でやってほしいという弱身もあった。

成富参与:書類を調べてみたが、CP-5の契約ではAMFはplant の設計を誤りなく完成すればよいという契約になっていて設備の動くところまでやらせるということになっていない。また、ギャランティーの期間も300MWDの達成が契約後何日といううちどちらか早いほうというきめ方で、実際に動くことを見届けるまでということになっていないのは、ああいう契約としては大きな欠点である。

 向こうのやり方が悪くて部品が破損した場合、それを送り返したために工事期間が長びいたならば、その延長分は日数の計算に入れなくてよいはずで、最近の学説でもそうなっている。そのような事故によって工事が長びいたため、燃料を持ち込むときにはすでに期限が終っている。そういう時にどう解釈するかは相手方につっこむべきであるのにつっこむ手続きをやっていない。本部では判断せず現地で品物を受け取って悪いとすぐ返すということで、法律効果がどうかをあまり考えないでやっている。向こうが constraction completion の書類を送ってくるとすぐ署名して送っているので、第1回の金を払わねばならなくなった。

 まだ契約のいうギャランティー期間はきれていないと主張してよいと思う。向こうは暦の上で期間が切れてもこっちの注文に応じている。これを法律的にどう解釈するか。私は向こうの解釈でも期間が切れていないとみているから応じているのだと思う。それを期間は切れたが道義的にやってくれているのだと解釈する心要はない。