原子力委員会専門部会の審議状況

核燃料経済専門部会

第17回(3月28日(月)14.00〜18.00)

配布資料
1.昭和35年度原子力平和利用委託費、補助金の試験研究題目等について
2.ウラン濃縮小委員会中間報告書(4次案)
3.発電炉の一般的評価方法(英文)
4.海外における原子力発電コストの動向

議事概要
1.核計算の検討方針について

(1)前回専門部会の決定によって3月10日に開かれたworking group の話合いの内容が報告され、核計算に入る場合の問題として次の点がまず認められた。

i 計算コードとしては、現在どこかで持っているものをそのままもってきて使えるというわけにはいかないであろう。当専門部会の計算目的に向いたコードを作る必要があろう。
ii 計算に使用するデータもいろいろ持ちよって十分考えてきめる必要がある。
iii したがってworking group の人数を増したほうがよいことも考えられる。

(2)核計算を進めるためworking groupを開き、次の方針で計算方法をつめることとした。

i 責任者は高橋専門委員、なお都合が悪ければ浅田(忠)専門委員
ii working group の増員はworking groupの考えで必要な増員をしてよいこととし、専門委員とは無関係な人から選んでもよい。

2.ウラン濃縮小委員会中間報告書(4次案)について
 資料により説明し、討論の結果若干の修正を行なった。
 各専門委員の意見を4月5日までにいただき、それを考慮して4月11日(月)のウラン濃縮小委員会で専門部会としての最終決定とすることを了承した。

3.その他
 Pittman資料は専門委員に配布するよう部会長から事務局に要請があった。

原子炉安全審査専門部会

第24回(3月29日(火)13.30〜17.00)

配布資料
1.第11小委員会報告書(東芝)
2.第11小委員会報告書案(日立)
3.原子炉と飛行場に関する外国文献
4.川崎市長から原子力委員会に対する照会
5.原研第3号炉の安全性について(答申)
6.原研動力試験炉の安全性について(部会報告書)
7.東芝原子炉設置許可申請書の追加資料
8.神奈川県知事から原子力委員会に対する照会

1.第11小委員会報告
a)東芝原子炉
 第11小委員会主査竹山専門委員から資料1に基づいて要旨次のごとき報告が行なわれた。

 前回の審査部会の審議結果により、東芝申請の研究用原子炉の立地条件に関して基準部会に意見を求めたところ、「基準部会としては、原子炉の立地基準を定める際には原子炉の規模によって考え方を変えるべきであると考える。この種小型研究用原子炉の立地条件については、審査部会で個別に審査していただいてさしつかえない」との回答を得た。

 今回の報告書案では、最悪事故として、大型航空機が衝突した場合を想定して事故評価を行なった。また石油タンク火災事故や海産物に対する影響についても詳細な検討を行なった。いずれの場合もこの原子炉の安全は確保されるとの結論を得た。

 次いで、事務局から、わが国の航空法による制限区域および外国における原子炉と飛行場との関係についての考え方などについて説明が行なわれ、小委員会の報告書の内容について質議討論が行なわれたが、そのおもなものは次のとおりである。

1)高潮については、風と満潮との最悪条件が重なり合った場合について検討した。
2)万一、浸水があっても、廃棄物処理室には水密な蓋がしてあり、また貯槽や配管類は地下に埋没されてあるので安全上問題はない。原子炉室に浸水しても高潮は予知され、十分対処できるので安全上さしつかえない。
3)この原子炉では、臨界未満実験の計画もあるが、その場合の安全性については、核燃料物質の使用許可の扱いで別途取り扱う。
4)事故解析においては、独立な2事象(たとえば地震と火事)が重なる場合も考慮する必要があろう。
5)石油タンクの火災については、敷地境界まで火災が一面に広がった場合を検討したが、さらに防油堤が倒壊して原子炉建屋の周囲まで火災が広がった場合についても今後検討したい。
6)廃棄物処理槽に入っている放射性物質の量は少ないので、万一航空機が衝突しても問題ないと思うが、なお詳細に検討したい。

b)日立原子炉
 第11小委員会主査竹山専門委員から資料2に基づき、「最近炉心の設計が変更になったので、審査報告がおくれていたが、現在までの検討結果によれば、特に安全性の上で問題になることはない」と報告された。

 次いで報告書案の検討が行なわれたが、そのおもなものは次のとおりである。

1)五島育英会原子炉の場合は、排水の灌漑に及ぼす影響について検討したが、この炉の場合にも、この問題にふれたほうがよかろう。
2)日立原子炉の場合は、燃料を自分の所で作ることになっている。そのでき具合は経済性には影響しようが、安全性には影響しないと思う。
3)放射性同位元素の取扱いについては、参考までに検討するが、報告書に記述しなくてもよいだろう。
4)十分安全に管理することができるという表現にしたらよかろう。
5)東芝と日立の原子炉を比較すると1Wあたりの熱中性子束の値が相当異なっている。以上の審議の結果、日立原子炉についても小委員会で引き続き検討を加えることとなった。

2.その他
 事務局から原子力委員会設置法改正案に対する衆議員科学技術特別委員会の附帯決議について説明が行なわれた。

第25回(4月19日(火)13.30〜17.00)

配布資料
 1.第11小委員会報告書(東芝原子炉)
 2.    〃    (日立原子炉)
 3.東芝原子炉設置許可申請書訂正
 4.日立原子炉設置許可申請書訂正

議事概要
1.第11小委員会報告について
(A)東芝原子炉
  第11小委員主査竹山専門委員から、配布資料1に基づいて報告があり、前回の原子炉安全審査専門部会において審議された結果の改正箇所の説明が行なわれ、結論として、この原子炉の設置の安全性は確保しうると述べられた。この後、質疑応答が行なわれたが、そのおもな内容は次のとおりである。

(1)高潮に対する安全性については、過去の経験からこの敷地に予想される高潮に対しては、非常に不利は条件を仮定しても標高の点で余裕がから、またきわめて大きな台風が襲来して従来の記録をはるかに上回わる高潮が生じ、多少の床上浸水があっても、放射性物質等の危険物は安全な箇所に格納する時間的余裕がある。また、波浪に対しても建物の構造からみて不安はないと考える。
(2)高潮の計算は江東地区におけるものである。この敷地付近では、おそらくそれよりも低くなるであろう。しかし、誰も調べた人がないので、何ともいえない。したがって安全側の計算を行なった。
(3)RIの使用施設は浸水のおそれのある所に設置してはならないことになっているが、原子炉の場合はどうか。炉のほうで問題ない場合でもRIの関係でその規制を受けないのか。
(4)原子炉のほうには、そのような規定はないが、RIの場合でも浸水のおそれの少ない場所ということであり、程度の問題であろう。
(5)事故時における海産物の汚染の正確な計算は非常に困難と思われるが、申請者の提出した資料はおおむね妥当と思われる。

 以上審議の結果「第11小委員会報告書(東芝原子炉)」は承認され今後部会長および小委会主査一任のもとに若干の語句の修正を行なって原子力委員会への部会報告書を作成することになった。

(B)日立原子炉
 第11小委員会主査竹山専門委員から配布資料2に基づいて報告があり、前回の原子炉安全審査専門部会以降の検討内容および報告書改正点の説明があった。この後、質疑応答が行なわれたが、そのおもな内容は次のとおりである。

(1)原子炉施設付近の農業に及ぼす影響については、その後申請者から五島育英会原子炉の同様主旨内容の資料が提出されているが、三井専門委員の検討結果、問題はないと認められている。
(2)報告書5頁の原子炉プールおよび各集液槽内の沈積汚染について「長年月にわたって、保守が怠られないこと期待する。」となっている。適切な保守が行なわれるよう希望しているまでで、当然のことであるのではぶいたほうがよかろう。
(3)報告書8頁12行目の「最大超過反応度は小さく」は比較的な条件であるから不要だろう。

 以上審議の結果、この原子炉の設置の安全性については問題はないと結論されたので、「第11小委員会報告書(日立原子炉)」は承認され、東芝原子炉の場合と同様今後部会長および小委員会主査一任のもとに、若干の語句の修正を行なって、原子力委員会への部会報告書を作成することとなった。

2.第13小委員会の設置について
 事務局から近畿大学がさる4月8日付で、原子炉設置許可の申請を行ない、4月19日に原子力委員会から当専門部会に対し、安全審査の依頼があった旨の説明があり、この原子炉の設置の安全審査を行なうため、第13小委員会を設けることになった。続いて、その審査にあたる第13小委員会の委員として、武田(主査)、江藤、久布自の3専門委員が選ばれ、了承された。

原子炉安全基準専門部会

第13回 (4月25日(月)13.30〜17.00)

配布資料
1.通産省地震対策小委員会関係資料

議事概要
1.原子炉安全調査団帰朝説明について
 福田専門委員(原子炉安全調査団長)および矢木専門委員から、欧米諸国における原子炉の安全性に関する諸問題調査結果について要旨次のとおり説明が行なわれた。

安 全 基 準 …… 事故発生の危険は確率的に考え、安全性は判断により行なうのが
一般的な考え方である。
許 容 量 …… 131Iは一般的に25レムを採用している。
米国では大統領のもとに5名からなる許容量をきめる委員会がある。
各州別に許容量をきめることができる。
各種の団体が許容量の算定を行なっている。
燃料の取扱 …… 次第に他の商品といっしょに輸送するようになっている。
立   地 …… 米国は人口の割合に国土が広い点を痛感した。
周辺の放射能
  の調査
…… AECが行なうとともに連邦、各州に調査機関がある。
最悪想定事故 …… F.P.の放出量はアイダホ等の研究機関で研究中であり、
1年後には相当正確な値が求められるであろう。
現在の核分裂生成物の放出量は多過ぎると思われる。
コンテナー …… 米国では原則としてコンテナーは必要と認めているようである。
製造費の低減方法を検討中である。
安全委員会 …… 炉の設置者はすべて、その長に直結した安全委員会を設け、
炉の安全性の検討を行なっている。
委員長はその職に専念している。
2.第1小委員会経過報告
 江藤専門委員から要旨次のとおり鋭明が行なわれた。前回の専門部会以後、第1小委員会を1回開催し、ICRP勧告(1958年)受入れに伴う関係法規改正に対する考え方および事故時における基準被ばく線量に対する基本的な考え方について審議を行なった。しかし当日青木主査欠席のため、決論は次回に持ち越された。

 この後質疑応答が行なわれたが、そのおもな内容は次のとおりである。
(1)今回の原子炉等関係法規の改正は、放射性同位元素等による放射線障害の防止関係法規の改正に伴い行なわれるもので、放射線審議会には6月中にかける予定である。具体案は、事務局で調整中であるが、内容については、本部会が前に出した答申との関係もあり、第1小委員会で検討していただいている段階である。次の部会に要綱を出したい。
(2)事故時における基準被ばく線量の基本的考え方については、この内容をただちに規則にすることには問題があろうし、すぐ数字を作って概念を規定するように進めてよいかどうかも問題である。規則改正に間に合わす必要もないので、後ですぐ変わることのないよう慎重に考えたい。しかし、思想の統一だけは欲しい。

3.第4小委員会経過報告
 武田専門委員から要旨次のような説明が行なわれた。前部会以後、原研村主氏からウィーンにおけるIAEAの安全手引のパネルミーティングの状況について説明を受けた。6月上旬にIAEAから修正された原案が送られてくるので、その人手をまって検討を行ない、必要があれば6月末までにはわが国としての修正意見をIAEAに提出することになった。

4.第5小委員会経過報告
 小平専門委員から要旨次のような説明が行なわれた。放射性分裂生成物の大気中への拡散については、原子炉安全審査上の必要から一応の審査のための基準を出さざるをえない状況にある。これは専門的にみてきわめて問題が多いのであるが、一応次のような基本的考え方をとりたい。風下方向への拡散濃度でもっとも問題の多いのは、今までの安全審査の経験によれば3km以内である。3km以内を問題とするならば、いずれの拡散式によって計算しても大差はない。現在もっとも多く用いられている英国気象局方式とサットンの方式を比較すると、英国方式は大気の状況すなわち気象要素が決定されれば拡散濃度がただちに計算できるが、サットンの式では諸定数をどう選ぶべきかがはっきりしない。したがって実用的であるという点から英国方式を採用したい。英国方式をどのような形で基準化するかについて今後さらに検討していきたい。また、これとからんで過去の記録から大気の状況を統計的に処理したデータを得て、平常時または事故時に想定する気象条件をより合理的なものにしていきたい。

5.原子力平和利用研究委託費について
 藤波規制課長から要旨次のような説明が行なわれた。日時の関係で前回部会には説明することができなかったが、原子力平和利用研究委託費(今年度126,100千円)の委託項目中に今年度から「原子炉の設計または原子炉の安全性に関する試験研究」が加わり、その募集が行なわれた。基準問題に直接関係あるものとしては、第5小委員会関係委員の指導のもとに気象協会が気象要素の分類調査をテーマとして申請している。また通産省耐震対策小委員会関係からも申請が出ている。

6.通産省耐震対策小委員会説明
 藤波課長から本部会と直接関係はないが、通産省耐震対策小委員会(主査竹山氏)において原子力発電所耐震設計基準案がつめられつつあるので、一応参考として説明を受けるという主旨で議題に加えた旨説明があった後、通産省常沢技官から要旨次のような説明があった。

 この委員会は昨年10月20日に発足し、構成メンパーは竹山氏を委員長として大学、メーカー、ユーザー等11名からなっている。現在までに合計13回の会合をもち、東電の品川工場でダクトの振動実験を2回行なった。現在配布資料の線にそって審議を進めつつある。1〜5までは幹事試案がまとまっている。委員長は6月中には大部分を取りまとめ、10月には最終案を確定したいと考えている。

7.その他
 その他、伏見部会長から原子力施設地帯の自然放射能についての調査、青木委員から原子炉施設についての試験方法の規準作成などについて発言があった。