原子力委員会日誌

第24回(5.4)〜第27回(5.25)

第 24 回

〔日時〕 昭和35年5月4日(水)14.10〜16.50

〔配布資料〕
1.原子力関係科学者技術者養成訓練専門部会容申
2.第2回原子炉主任技術者筆記試験の結果について
3.1960年海上人命安全条約会議の対処方針について
4.専門部会の現状について
5.遮蔽実験用原子炉の設置について

〔審議決定および報告事項〕
(1)第2回原子炉主任技術者筆記試験の結果について
 第2回原子炉主任技術者の筆記試験の結果、受験申込者86名中29名が合格し、7月上旬口答試験が行なわれる旨報告された。

(2)専門部会の現状について
 専門部会の活動状況ならびに当面放置を必要とする専門部会の状況について報告され、原子力関係科学者技術者養成訓練専門部会を解散し、材料試験炉専門部会の設置を考慮することとし、その他の部会の改組、存続については今後なお検討することとなった。

(3)原子力関係科学者技術者養成訓練専門部会の答申について
 さきに提出された上記部会の答申書の取扱いについて審議され、長期計画改訂の一環として答申を検討することとし、長期計画の改訂に伴い一部変更あるべきことを含みとして、科学技術会議、文部省に伝達することとなった。

(4)遮蔽実験用原子炉の建設について
 運輸省から遮蔽実験用としてスイミングプール型を原研に設置することを要望してきた旨報告され、審議の結果、原子力船全般の研究開発計画との関連において検討することとし、この旨運輸省に回答することとなった。

(5)1960年海上人命安全条約会議の対処方針について
 標記方針についての案が提出され、事故時の原子力災害補償、廃棄物の海洋投棄、緊急措置等についてIAEAを中心に取り上げ、これにIMCO、各国政府が協力する旨の提案を行なうことを追加することとなった。

(6)原子力損害の賠償に関する法律案について
 上記法律案が5月2日付で国会に上提された旨報告された。

第 25 回

〔日時〕 昭和35年5月11日(水)14.10〜16.30

〔配布資料〕
1.原子力船調査団報告書
2.Mr. Roger M. Smithの来日について
3.国際原子力機関の1961年度事業計画と予算

〔審議決定および報告事項〕
(1)Mr.R.Smithの来日について
 事務局からR.Smith の在日日程の原案が説明され、16日午前10時から挨拶のみ行ない、委員会との懇談は別途行なうことになった。

(2)原子力船調査団の報告について
 事務局から資料1の1章の朗読とその他の章についての概説が行なわれた。
 なお、原子力船開発に関係ある事項の検討に必要な機関を設けるため、これに関する原案を原子力局で作成することになった。

(3)国際原子力機関の1961年庶事業計画と予算
 事業局から資料3について説明があり、現在各省に聴取中の結果がまとまり次第再度検討することになった。

(4)ILO総会について
 事務局からILO総会に本年度は原子力局からは出席しない旨の報告があり了承された。

(5)参与および参与会について
 新しい参与の発令はだいたい来週初めに行なわれる旨報告があり、次回参与会は6月2日に行なうことになった。なお、それ以後の参与会の日取り決定は当日審議することになった。

第 26 回

〔日時〕 昭和35年5月18日(水)14.20〜17.10

〔配布資料〕
1.国際原子力機関の1961年度事業計画と予算について
2.放射線化学専門部会の設置について(案)
3.特殊核物質配分原案
4.特殊核物質申請集計(1)
5.昭和35年度原子力デー事業報告
6.材料試験炉についての懇談会

〔審議決定および報告事項〕
(1)議事録の確認
 3.原子力船調査団の報告についてのうち「なお原子力船開発に関係ある事項の検討に必要な機関を設けるため、これに関する原案を原子力局で作成することになった」とあるを「……必要な機関に関する原案を……」と訂正の上了承された。

(2)IAEAの予算および事業計画について
 標記についてIAEAあて回答の原案が事務局から提出され、6については「国際原子力機関の研究所の拡充は加盟国からの一般資金の収入とにらみ合わせて実施し、他の計画の実施上の障害とならぬよう配慮すること」と訂正、 3のPanelについては今後なお検討することとなった。

(3)放射線化学専門部会設置について
 放射線化学専門部会の設置について事務局から原案が提出され原案どおり了承した。

(4)専門部会の解散について
 原子力災害補償専門部会および原子力関係科学者技術者養成訓練専門部会の解散手続が進められている旨報告された。
 なお、放射能調査専門部会の担当委員は有沢委員から木原委員に交代された旨報告された。

(5)特殊核物質配分について
 特殊核物質の配分について使用申請の集計結果ならびに配分委員会の配分原案が報告され、原案にしたがい外務省を通じ米国AECに申入れを行なうこととなった。

(6)原子力デーについて
 さる4月22日に行なわれた原子力デーの行事について報告があった。

(7)材料試験炉についての懇談会について
 材料試験炉の必要性が増大したことにかんがみ、標記懇談会を設置することとし、人選については産業会議に推薦を依頼するとともに原子力研究所からも出席を求めることとなった。

(8)JPDRの契約について
 原子力災害補償制度の関係で契約締結が遷延してきたJPDRの契約については「原子力損害の賠償に関する法律案」も国会に上提されたので、上記法案の国会通過を停止条件として正式契約を締結することも考えられるが、なお6月中ごろまで国会審議状況の進展をまつこととなった。

(9)技術導入について
 GEC と富士電機との間の技術援助契約について外資審議会の審議状況が報告され、「原子炉製作等に関する甲種技術援契約について」の原案が提出されたが、上記原案については一部字句修正の上決裁の形で決定することとなった。

第 27 回

〔日時〕 昭和35年5月25日(水)14.15〜16.45

〔配布資料〕
1.遮蔽の実験研究について
2.放射線化学の研究開発について
3.専門委員の任免について
4.事務分掌規程の改正
5.東海村原子力施設上空への航空機の侵入事件について
6.原子力船の開発体制の整備

〔審議決定および報告事項〕
(1)議事録の確認
 7)項の最初を「材料試験炉について産業界の意見を聴取するため標記懇談会を開催することとし……」と訂正し了承された。

(2)専門委員の任免について
 事務局から湯川、中泉両氏の専門委員の任命と、大山、都築、正井の3氏の専門委員の解任について説明があり、原案どおり決定した。

(3)事務分掌規程について
 科学調査官の職務を定める訓令および定員増、調査官付の創設等に伴う事務分掌規程の改正について事務局から報告があった。

(4)長期計画について(放射線化学の研究および開発)
 資料2について事務局から説明が行なわれ、今後は基礎資料をそろえた上で検討することになった。

(5)飛行問題について
 現在までの関係各省庁との折衝結果について事務局から報告があり、これに基づいての今後取るべき措置についての説明が行なわれた。飛行機の調査は今後も引き続き続けるものとし、取るべき措置については原案どおり了承された。

(6)遮蔽の実験研究について
 事務局から資料1について説明が行なわれたが、さらに事務局で問題をつめた上、検討することとなった。

(7)原子力船の開発体制の整備について
 事務局から資料7につき説明が行なわれたが、種々問題もあるので、基本方針について原子力委員と運輸省官房長(船舶局長事務取扱)との懇談を行なうこととなった。