核燃料経済専門部会、第2次中間報告書を提出

 核燃料経済専門(部会部会長大山義年氏)は昨年第1次中間報告書を原子力委員会に答申したが(原子力委員会月報Vol4、No.9、21ペ−ジ参照)、このほどウラン濃縮に関する問題の検討を終ったので、その結果を4月11日付で原子力委員長あてに第2次中間報告書として提出した。その概要は次のとおりである。

は し が き

 原子力委員会核燃料経済専門部会はわが国に最も適した燃料サイクルのあり方を検討しているが、ウラン濃縮の問題の考慮を核燃料経済の検討に加えるため、同専門部会の下にウラン濃縮小委員会を組織してウラン濃縮の問題を審議させることとした。

 ウラン濃縮小委員会は昨年3月末に第1回の会合を開き、以後今日にいたるまで計10回の審議を重ねてわが国にウラン濃縮を実施する場合の問題を技術的経済的に検討してきた。

 現在ウラン濃縮の問題に関連して海外から入手されうる資料およびデータには濃縮の理論に関するものが多く、ウラン濃縮工場もしくは試験設備の実際の建設や運転によって得られる技術的な知識およびデータの入手は困難である。ウラン濃縮小委員会においては、これらの入手可能な資料ならびにデータを基として、わが国でウラン濃縮を行なう場合の技術的経済的問題および原子力発電との関連においてウラン濃縮を行なうことの意義を検討した。本「第2次中間報告書」はその検討結果を取りまとめたものである。

 ウラン濃縮に関する資料の入手は限られているので、今後得られる知識、資料等によってさらに詳細な検討を経てなお不明な点を明らかにしていく必要があるが、これまでの検討を一応の段階として報告書を取りまとめた次第である。

I編 ウラン濃縮法

 1章 ウラン濃縮法の概観
 今日までに考えられているウラン濃縮法としては次のものがあげられる。
(1)物理的分離法 電磁分離法、ガス拡散法、質量拡散法、熱拡散法、遠心分離法、ノズル分離法、蒸留法、分子蒸留法、通電効果法
(2)化学的分離法 交換反応法、光化学反応法
 以上の各方法について濃縮原理、長短等を検討してみると、濃縮ウランを大規模にかつ経済的に生産する方法としてはこれらのうちガス拡散法、遠心分離法およびノズル分離法の三つに限られることとなる。II編においては、これらの三つの濃縮法によってわが国にウラン濃縮プラントを建設する場合を想定してさらに詳細に技術的経済的な検討を行なうこととする。

 2章 濃縮プラントの構成(カスケード理論)

 3章 濃縮ウラン生産原価の計算法
 235Uの濃縮に適用される同位体の分離法はその1単位あたりの濃縮効果がきわめて小さい。したがって所要の濃縮度の製品を得るためには、それの直列あるいは並列の組合せ使用が必然的に要求されてくる。この組合せをいかに有効に行なうか、すなわちいかに効率の良いカスケードを設計するかという問題の解決には、カスケード理論の助けを借りなければならない。

 2章および3章では各ウラン濃縮法に共通した問題としてカスケード理論ならびに濃縮ウラン生産原価を計算する理論式を展開している。

 4章 UF6の性質と取扱上の問題
 多くの濃縮法に使用されるUF6に関してその性質と取扱上の問題を述べている。

II編 ガス拡散法、遠心分離法およびノズル分離法とその経済性と検討

 1章 ガス拡散法
 本章では主として昨年発表された仏国のウラン濃縮パイロットプラントに関するデータを使用して、近くマルクール近傍に建設される濃縮工場の規模、建設費、所要電力などを推定している。さらにわが国に濃縮工場を建設した場合を仮定して必要な諸経費および生産される濃縮ウランの原価が試算されている。試算の前提と試算結果は次のごとくである。

1.前 提
(1)設計基準
 (a)UF6(理想気体とみなして)
     温度 35℃〜85℃(平均60℃)
     粘度1.94xl0-4gm/cm.sec at 60℃
 (b)拡散隔膜  Teflon円筒
     直径  1.4cm
     長さ   150cm
    有効孔径 200Å
     透過率 1.12×10-7gmoIUF6/cm2
                 cmHg sec at 60℃
 (c)化学工学的数値
     Schmidt数  ρDo/μ=1.3

(2)仮 定
 (a)隔膜両側の圧(最適条件)
     高圧側  30cmHg
     低圧側  6cmHg
 (b)段分離係数 1.00298
 (c)各種器材の価格
     隔膜の単価   $0.005/cm2(既設)
     運転機械の単価 $10,000per m3/sec
                  圧縮機容量
     電気機械の単価 $50/kW 入力
 (d)供給天然ウランの単価 $39.27/kgU

(3)設計目標
 (a)プラントの資本費率(/year) 20%
 (b)圧縮機効率  45% 30% 20%
 (c)電力価格(/kWh) 5円 3.6円 2.5円
 (d)濃縮度  2.5% 3% 5%
 (e)濃縮ウランの生産目標
   2.5%濃縮ウラン 40トン/year

(4)総建設費と主要機器建設費との比率
    総建設費/主要機器建設費=1.75

(5)濃縮プラントに関する総合結果

2.試 算 結 果
(1)建設費
 プラントの建設費は、だいたい200億円前後である。

(2)使用電力
 圧縮機効率が45〜20%と変化すればこれに応じて約45〜100MWeとなる。

(3)濃縮ウランの原価
 濃縮ウランの原価は、圧縮機効率、使用電力料金の大きさを変化させて試算したが、電力料金を2円50銭/kWh とした場合について試算結果をながめると、圧縮機効率が45%のとき約460ドル/kgU of UF6、30%のとき約500ドル/kgU、20%のとき約560ドル/kgUとなり、米国AECによる公表価格297ドル/kgUに比較すると150〜190%に相当する。

 濃縮ウランの生産原価の構成のうち電力費が占める比率は使用電力料金、圧縮機効率の水準とともに変動するけれども、ほぼ25〜35%という大きな値となっている。

2章 遠心分離法
 まず遠心分離法の歴史を述べ、次いでI編2章のカスケード理論の延長として遠心分離法に特有な理論を展開し、分離パワー、段濃縮係数、段分離係数、処理量、所要動力等について説明している。

 次にわが国に将来遠心分離法のプラントを建設することを仮定して、濃縮ウランの生産原価を試算している。

1.前 提
  2.5%の濃縮ウランを年間235Uとして1トン(2.5%Uとして40トン)生産する遠心分離法の濃縮プラントを考える。遠心分離機の性能としては、

 筒長 Z=2.00〔m〕 内径2r2=0.20〔m〕
回転周辺速度 wr2=350〔m/sec〕(回転数=335×104r.p.m)、運転所要動力1,000Wを考える。

2.試 算 結 果
 2.5%濃縮ウランの原価Cp〔円/t of 2.5%U〕
比較のためコストは原料費、運転費および資本費にわけて計算を行なった。

   Cp=原料費+運転費+資本費
    原料費=CF/(F/P)
    運転費=(Ceng)(ΔU/P)
    資本費=(ia/I/δU)(ΔU/P)

 3章 ノズル分離法
 装置の概要および物理的原理が述べられている。気体がノズルから噴出すると連続体として取り扱える領域から中間領域を通って自由分子流の領域まで変化するが、特に中間領域は理論的な取扱いが困難であり、ノズル分離の理論は学問的にも未完成である。したがってノズルによる分離効果を操作条件の関数として厳密な数式によって表現することは困難である。

 そこで、本章では気体の流れが連続体として取り扱える場合と自由分子流として取り扱える場合との二つに分けて、ノズルによる濃縮係数、分離係数等の試算式を示している。この計算式に実際の係数を入れてノズルの性能を知るには理論の不完全さと実験数値のきわめて少ないことから困難が生ずる。西独のベッカー教授等による実験結果の数値を使用してみると、ノズル分離法のエネルギー的効率はかんばしくない結果となった。これは今日までに行なわれた実験の段階ではノズル分離法は他のガス拡散法や遠心分離法に効率的に及ばないことを示している。

 ノズル分離法は装置が簡単であるという利点を持っており、将来の発展が期待されるわけであるが、現在得られる実験データからコスト試算を行なうことは以上のような点からあまり意味がないので、コスト試算は行なっていない。

む  す  び

 ウラン濃縮法として今日考えられている方法は大別して物理的分離法と化学的分離法とは分けられる。このうち化学的分離法は濃縮に際してのエネルギーの消費量が比較的少量ですむ可能性があるが、現在では基礎研究の段階に止っている。

 物理的分離法に属する多くの方法についてそれぞれの長短を比較してみると、近い将来にウラン濃縮事業に適した方法となる可能性があるものとしては、すでに大規模にウランを濃縮する方法に採用されているガス拡散法のほか遠心分離法およびノズル分離法があげられる。

 本「第2次中間報告書」は上記の3方法によるウラン濃縮の技術的問題ならびにわが国にこれらのプラントを建設した場合の経済性の考察をもってその骨子としている。この際近い将来に動力炉の燃料として低濃縮ウランが使用される場合を予想しつつ、低濃縮ウランを製造するプラントを対象にして問題を検討した。

 検討結果の詳細は本文に示されているが、ここで要約を試みることとする。

 ガス拡散法は米、英、仏、ソの各国ですでに相当規模のプラントについて実際に建設、運転の経験が得られている。その技術的問題点は拡散隔膜や特殊な圧縮機の製造およびUF6に対するプラント保守にあるが、技術的には一応確立された段階にあるので、プラントとしての性能に関しては最も信頼がおけるということができる。

 しかしながら、軍事目的にも使用されるという濃縮ウランの特殊性に基づいて、これまで各国においてガス拡散法に関して得られた知識の詳細はいまだ発表されていないので、この方法によってわが国にウラン濃縮工場を建設する場合のプラントの内容およびそれによる濃縮コストを試算するにはなおいくつかの問題がある。技術的な面では、隔膜に期待される性能の限界、隔膜両側における圧力の最適値、圧縮機効率の推定等の問題が残されており、経済性に関しては隔膜、圧縮機等の主要機器を含めての総建設費プラントの耐用年数、維持費等について不明な点が多い。

 これらの点について比較的妥当と考えられる数値を前提として試算した結果は次のごとくである。2.5%の濃縮ウランを年間40トン製造するガス拡散工場において資本費率を20%/年とし、2円50銭/kWhの電力を使用した場合の生産原価は460〜560ドルノkgU(2.5%UF6)と試算されて、米国AECの公表価格の297ドル/kgに比較すれば、約50〜90%割高となる。ガス拡散法においては生産原価中に占める使用電力費の割合は大きく、ほぼ25〜35%に相当しており、上記試算値と米国AEC価格との差は使用電力料金の水準、プラントの建設費および資本費率における相違を大きな原因として含んでいると思われる。

 遠心分離法による同位体の分離はすでに戦前から研究が行なわれており、その歴史は必らずしも新らしくはない。しかし、ウラン濃縮にこの方法を適用してすぐれた結果を期待するにはさらに工夫が要求され、現在遠心分離機内の対流を利用する考え方が採用され、主として西独で開発されている。遠心分離法が有する利点はすぐれたエネルギー的効率を期待できることで、ガス拡散法における場合の数倍以上の効率となる可能性もある。遠心分離法が経済的にすぐれた濃縮法として完成されるためには、大きな回転周辺速度を可能とする回転円筒の材料や高速回転に関連するその他の技術的問題の解決が最も大きな問題としてあげられるほか、遠心分離機の建設費が合理的な範囲に納まることも望まれる。遠心分離法によって、濃縮ウランを大量に生産した経験はいまだ得られていないので、この方法に関してはなお研究開発をまって明らかにされるべき問題が多く、またわが国にこの種のプラントを建設した場合の経済性の検討を試みるには多くの仮定のもとで試算を行なわねばならない。本文中に示したプラントの建設例と濃縮ウランの生産原価の試算に際して使用した仮定の主要なものは遠心分離機1基あたりの分離能力、遠心分離機の価格および駆動動力等である。

 プラントの規模をガス拡散法の場合と同様に2.5%濃縮ウラン40トン/年とし、資本費率を20%/年、使用電力料金を2円50銭/kWhとすれば、濃縮ウランの生産原価は回転周辺速度が350m/secの場合に約500ドル/kgUと試算され、これは米国AECが濃縮ウランを提供する場合の価格として公表した297ドル/kgに比較すると、約70%高い原価となる。遠心分離法の経済性は、今後の研究開発により回転周辺速度の向上、建設費の低下、所要動力の減少等を通じてさらに改善されることが期待されている。一例として回転速度が400m/secに上昇した場合について試算すれば、濃縮ウランの生産原価は約380ドル/kgUとなり、米国AECの価格の約30%高に止まる。

 ノズル分離法は、装置が簡単になるという利点があり、西独、イタリア、米国において理論的実験的な研究が進められている段階である。実験室的にもUF6を分離したデーターはきわめて少なく、したがって分離ノズルの性能をある程度明らかにし、本法の経済性の帰趨を明白にしうるような試算を試みることは不可能であった。

 ガス拡散法、遠心分離法およびノズル分離法の経済性をこのように検討してみると、それぞれの技術的発展段階には差があり濃縮コストの試算にあたって使用した前提数値の信頼性も相違するので、これらの試算結果を並列してその間に優劣をつけることは必らずしも当を得ない。これら3方法の将来性に関する結論としては次の諸点があげられるであろう。

1.ガス拡散法による濃縮コストの試算結果には比較的に信頼がおける。米国AEC価格に匹敵するコストを期待するには、安価な電力を使用しうる環境に建設することのほか、経済上の優遇措置を講ずる必要があるかもしれない。

 なお検討を重ねればこの方法の経済性の向上に関していっそう信頼のおける予想を下すことも可能と思われる。

2.遠心分離法による濃縮コストの試算数値には問題が多い。しかしながら遠心分雛法によって、米国AEC価格に近いコストで濃縮ウランを生産しうる可能性が示され、その際の問題点も具体的に指適される。今後の検討および研究開発によって残された問題を処理していくことはきわめて意義があると考えられる。

3.ノズル分離法の将来性を推定するに足るようなコスト試算を行なうことは不可能であったが、今後の発展を期待して、海外における研究の動向をも参考としつつ研究を続ける必要のあることはいうをまたない。

 以上が本報告書の内容からの結論であるが、最後に、核燃料経済専門部会の下部組織としてのウラン濃縮小委員会において本問題を考慮した意義にかんがみて、わが国の将来の原子力発電との関連において濃縮ウランを国産することの意義ないし影響について付言することとする。

 低濃縮ウランを燃料とするいくつかの原子炉型式が動力炉としての発展を将来に予想されており、わが国の将来における燃料サイクル系に濃縮プラントが伴われる可能性は当然考慮されるところである。したがって、濃縮ウランを海外から入手する可能性と価格、海外に供給を依存することの可否、わが国における濃縮コスト等の政治的経済的問題を長期的ならびに短期的な観点からながめて濃縮プラントを建設することの意義を検討する必要が生ずる。

 海外に縮濃ウランの供給を依存する燃料サイクル系と国内の濃縮プラントからの濃縮ウランを使用する系とを比較すれば、濃縮プラントを有することが燃料サイクル系に及ぼす経済的影響は濃縮ウランの生産原価の面と濃縮プラントの建設費の面、エネルギーバランスの面、さらに外貨節約の面を通じて現われることとなる。

 この点に関して、本中間報告書で考察の対象とした濃縮法のなかからガス拡散法を選び、このプラントによって最近米国の設計による大型低濃縮ウラン型発電炉に燃料を供給する場合を一例としてあげることとする。

 上述の試算値に基づいて、2.5%濃縮ウラン40トン/年の生産規模を有するプラントによる濃縮ウランの生産原価が米国AECの公表価格の50%高であると仮定すれば、これによる燃料費の増加分は発電原価全体からみれば、10%程度の上昇に止まると推定される。

 次に1,000MWeあたり2.5%濃縮ウラン40トン/年を補給燃料として必要とする発電炉を想定するならば、この発電炉の建設資金としては1,000億円(10万円/kWe)が一応概算されるのに対して、補給濃縮ウランを充足するための濃縮プラントの建設資金は紆200億円であり、総体としての建設資金の所要額は20%程度増加することとなる。

 また、ウラン濃縮に費やされるエネルギーが濃縮ウランから取得しうるエネルギーに比べて不当に多いというような心配はない。

 すなわちガス拡散法によるウランの濃縮に要するエネルギーは取得されるエネルギーの10数%程度と考えられる。遠心分離法によれば、濃縮用のエネルギー所要量はさらに少なく、ガス拡散法に比べて一桁低いと見るのが妥当であろう。

 以上は、ウラン濃縮の実施によるマイナス面を考慮したわけであるが、他方プラスの面としては外貨負担の節約をあげることができる。天然ウランの輸入価格を39.27ドル/kgU(UF6)として日本に建設したガス拡散工場によって25%濃縮ウランを生産するとし、本試算の数値から一例をとって推算すれば、米国AECから297ドル/kgで25%濃縮ウランの提供をうける場合に比較して外貨の節約額は使用する濃縮ウランkgあたり約60ドルとなる。さらに、国外からは精鉱(イエローケーキ)を輸入するだけで、以後の工程は国内において行なえば大幅に外貨を節約しうる可能性が考えられる。すなわち精鉱の価格を8ドル/lbとして推算すれば、濃縮ウランの国産により、所要外貨量は2.5%濃縮ウランを輸入する場合に比較して1/3程度を要するのみに止まることが試算される。濃縮ウランの国産を図るという見地からすれば、この外貨負担の軽減という要素は核燃料の供給の安定とならんで見逃すことのできないメリットと見なすべきであろう。

 ウラン濃縮をわが国に実施すべきか否かの問題は、単に米国AECによる濃縮ウランの公表価格もしくは将来これに代るような国際的な価格とわが国における国産価格との高低の比較のみから論ぜられるべきでなく、燃料サイクル系に取り入れた場合の上述のような影響をも考慮しなければならないことはいうまでもない。

 近い将来にわが国でウラン濃縮を実施する場合の対象としてガス拡散法、遠心分離法およびノズル分離法があげられることは、すでに述べたところであるが、これらのうち、実際に取り上げられる濃縮法は、それぞれの方法に関する将来の発展とウラン濃縮プラントの建設が意義ありとされるにいたった時期との関連において決定される性質の問題であるから、現在早急に結論を下すわけにはいかない。現在としては、各国におけるウラン濃縮法の開発の成果に関して調査を続け、その動向を参考としつつ上記3方法を中心に試験研究を実施して将来の発展を期すべきであろう。すなわち遠心分離法に関しては昭和34年度の原子力平和利用研究委託費によって遠心分離機を試作しその運転によって実際のデータが得られるものと期待されており、今後は引き続き同濃縮法の試験研究を促進するとともに、さらにガス拡散法およびノズル分離法に関しても試験研究の促進を図るべきであると考えられる。その際には各濃縮法それぞれの現在の発展状況に応ずる妥当な試験研究の内容が考えられるべきであろう。

 本第2次中間報告書で主要な考察の対象とした上記の3方法の他にもさらに将来には異なった原理に基づく濃縮法が脚光をあびる可能性もないわけではない。今日までの知識によれば、これらの濃縮法をも含めた多くの方法においてUF6の形でウランを処理する可能性が大きいので、UF6の精製、UF6に対する設備の保守等の問題はこれらに共通した問題として同様に研究の対象とされねばならない。