原子力委員会専門部会の審議状況

核燃料経済専門部会

第16回(2月25日(木)14.00〜17.00)

 〔配布資料〕
1.原子炉燃料の輸送費
2.核計算のすすめ方(案)

 〔議事概要〕
1.原子炉燃料の輸送費および再処理費について
 浅田(原電)専門委員から資料1によって150MW.OMRの燃料を西独⇔米国間で輸送する場合と、コールダー型発電炉の燃料を日⇔英間で輸送する場合とにつき、輸送費の試算値を説明した。再処理費の検討については、山本専門委員から次の発言があった。

(1)使用済燃料にはPuがUkgあたり数100ミリgram程度含まれるので、毒性のために再成型加工は特別の施設の中で行なわねばならない。したがってUとPu とを分けないで再成型加工することの魅力はその点では少なくなる。

(2)工程の省略によるメリットは考えられるが、それによるcost downは取るにたりないのではないか。現在では資料が不足しており、推定するには数ヵ月かかる。3月にワインリッヒが来るので定性的な答えなら得られるのではないか。

2.核計算のすすめ方について
 核計算のすすめ方に関する working group の試案が資料2として提出され、その内容を審議した結果

(1)資料2の核計算をA型炉についてやってみれば等価性は0.7か0.8のような1以下の数値になるだろう。

(2)したがって、A型炉にPuをリサイクルするのは経済的でなくなるから、PuとnaUとをまぜてB型炉に入れることを考えるほうが計算がむだにならないであろう。

(3)米国AECのPittman報告によれば使用済のnaU燃料から取り出したPuは別の炉型にリサイクルしたほうが有利であるという結論になっており、709電子計算機で計算している。

(4)B型炉にPu燃料を入れたときの核計算を行なうにはまだデータが問題で、計算の精確度が疑問になる。しかし、半年か1年まっても良いデータが入手できるかどうかも疑問である。

(5)等価燃料の考え方として、A型炉に入れて3,000MWD/トン燃えた時の残りの反応度で測ることを資料2では考えているが、B型炉に入れたとして反応度の時間積分で比較する等他の方法もある。

 以上の討議があり、核計算のすすめ方としては、
(1)資料2の1.(2)まで計算をすすめて、A型炉でnaU燃料を照射した場合のPuの生成量と各同位元素の含有率を計算しておく。

(2)その後Pu添加燃料をB型炉に入れて照射することを考えて等価性を検討する。

(3)作業の具休的な内容および金額の見当についてはworking groupに一任する。
 を取り決めた。

3.ウラン濃縮小委員会の中間報告書について
 次回専門部会に小委員会の中間報告書(案)を披露できる予定であると大山部会長から伝えた。

動力炉調査専門部会

第13回(3月26日(土)10.00〜12.00)

〔議事概要〕
 前回の部会で本部会の第1次報告書は“むすび”を除いてできあがったので今回は“むすび”について検討を行ない意見の一致を見たのでここに第1次報告書は完成し、ただちに委員会に答申を行なった。その概要は別記のとおりである(20ページ参照)。

再処理専門部会

第6回(2月19日(金)14.00〜17.00)

〔配布資料〕
1.再処理専門部会中間報告書(未定稿)(局,公社,原研)
2.Industrial Reprocessing Group(公社)

〔議事概要〕
1.局幹事から、資料1を朗読した後、本案に対して局内部関係者で討論した結果、次のような意見がある旨、紹介された。

○ 中間報告として、パイロットプラント建設を結論するのは早すぎる感があり、再処理事業の経済性の検討、プルトニウム燃料の実用性等の審議の結果をまって結論すべきではないか。この意味から中間報告の内容としては、パイロットプラント建設を決めるため、どのような調査および基礎研究が当面必要かを詳細に述べたほうがよい。

○ 再処理政策決定のための資料整備の観点から中間報告をとりまとめ、資料はさらに詳細にすることが望ましい。

○ パイロットプラント建設には、相当の予算を必要とするので、パイロットプラントの建設費、運転費等をさらに検討する必要がある。

○ 今後の基礎研究のすすめ方、ホットケーブとパイロットプラントの関連等をさらに明らかにしたほうがよい。

 上記意見につき、次のような討議が行なわれた。

(a)当専門部会としては、パイロットプラントの必要性を認め、その中間報告書は、諮問事項に関するAdvisory Reportとして出すことがベターであり、Survey Report のみにとどめるのは、この場合あまり意味がないというのが大勢の意見であった。
(b)再処理コストについては、答申までに資料を集めて検討を行なうこととし、可能ならばこのコスト低減の可能性について原研、公社で調べることとした。
(c)原研のホットケーブと、パイロットプラントとはその目的および機能からみて併置すべきものであるという意見が強調された。なお、本問題に関連して、今井委員から、資料2(IRGメンバー会社表および再処理工場建設のための調査および計画請負業者)の説明が行なわれた。その予想では再処理コストはAECのconventional plantでのassumed price よりは安くなりそうな見通しとのことである。

2.中間報告案については、次のような諸意見が開陳された。

(a)パイロットプラントの必要性のところに、外国でのプルトニウムの研究努力に触れ、さらに再処理パイロットプラントへの投資分が全体の原子力開発の投資に対してしめる位置を明らかにしその妥当性を強調するほうがよい。
(b)第1章 「世界における再処理の状況」海外の状況をさらに詳しくし付録にEurochemicの計画を紹介したほうがよい。
(c)第3章 「再処理技術に関する基礎研究」基礎研究と今後の研究計画とは、できるだけ書き分けたほうがよい。
(d)第4章 「わが国に建設するパイロットプラントの基本的な考え方」建設の時期は、昭和何年ということでなく開発年度として累年で表現したほうがよい。
(e)第5章 「再処理技術開発を推進するに必要な措置」パイロットプラントの担当者については当部会としてふれないほうがよい。これらの意見を参考として局、原研、公社の幹事で本案に加筆して第2次案を次回に提出することとした。

4.山本委員から部会長に対して、35年度に再処理関係の指導者、たとえば、Oak Ridge NLのKarrer(Director of Div. of chemical technology)を委員会で招へいしてほしい旨要望があった。

放射能調査専門部会

第17回(2月6日(土)10.00〜12.30)

〔議事概要〕
 塚本、田島、槍山、三宅の各委員から1月11日より2週間にわたり開かれた第7回国連科学委員会について報告が行なわれた。

 科学委員会は会議の第1週にはfall-outの機構についての討論を行ない放射性物質の成層圏滞留時間、滞留量、これまでの観測による春に降下量に多いという事実等が論ぜられた。また低線量の影響の問題についても討論が行なわれたが、他の問題に比べて論議は低調であり、この問題についての情報が不足していることが感ぜられた。第2週には Food-chain 関係の問題が扱われ、二つの小委員会により討論が行なわれた。Fall-out,Food-chain の問題では1959年中に核爆発実験が行なわれなかったことから1960年春までの調査結果により多くの手がかりが得られるであろうということであった。

 また第2週には試料採取・分析の国際協力について論ぜられたが、わが国としては各国が食品としてミルクなどに重点をおくので、米食民族の障害の程度を推定するために適した試料採取の必要性を強調し、また、これまで不足していた海上への降下量の調査の必要性についても述べた。

 第8回の委員会は1960年9月下旬2週間にわたり、ジュネーブで開かれるよう決った。(なお会議については本誌Vol.5No.3 6ページ参照)

 第18回(2月18日(木)10.00〜12.30)

〔配布資料〕
 国連日本政府代表部松平大使から発せられた文書、“原子放射線の影響に関する第14回総会議決に基づくサンプル分析引受け通告に関する件”

〔議事概要〕
(1)外国試料の受入れ、分析およびそのサンプリングについて
 先の第14回総会において決議された試料分析の国際協力については、わが国は第7回科学委員会の席上、受入れの用意のある旨発言を行なった。しかし、その具体的な事項については代表が帰国後検討して文書で提出することになっていた。この問題について科学委員会は、この問題の基礎となる試料の種類、サンプリングの方法について十分検討の必要があるという考え方であった。

 専門部会としては、わが国はこれまで米食民族に関連した調査研究が十分行なわれてなく、米食民族の放射能による障害を推定するには資料が不十分であるので、この目的に適した方法で採取された試料について、もし希望があるなら、日本のできる範囲において協力をすることとし、この趣旨で科学委員会に出席した代表と、外務当局で国連に発する文書を作成することとなった。なお現在、アルゼンチン、カナダ、イタリア、ソ連が協力の申し出をしている。

(2)次期国連科学委員会に提出する資料について
 まず資料のとりまとめをいかなる組織により行なうかが討議され、これまでは用意不十分の点があったので、専門部会としては都築、塚本(憲)、田島、檜山、三宅、村地、和達の7委員による小委員会を組織し作業を進めることとなった。
 なお資料のとりまとめについては学術会議にも協力を要請することになった。