原子力委員会目誌

第1回(1.6)〜第4回(1.27)

第 1 回

〔日  時〕 昭和35年1月6日(水)14.10〜16.30

〔配布資料〕
(1)35年度予算について
(2)当面の主要懸案事項
(3)通常国会提出予定法案審議日程
(4)IAEA保障措置について
(5)昭和35年度予算査定調書総括表
(6)日本原子力研究所予算査定額表

〔審議決定および報告事項〕
(1)昭和35年度予算について
 昨年末大蔵省との交渉を妥結した昭和35年度原子力予算について概況の説明ならびに問題点の説明があった。
(2)当面の主要懸案事項
 昨年から持ち越された懸案事項のうち通常国会提出予定法案審議日程ならびにIAEAの保障措置について審議が行なわれ、法案審議日程については原案が了承され、IAEAの保障措置については査察ならびに報告の回数、内容等IAEA原案に対する当方意見につき了承された。またIAEAにおける本件に関する会議には、外務省の了承が得られれば、専門家を派遣することになった。

第 2 回

〔日  時〕 昭和35年1月13日(水)14.35〜16.40

〔配付資料〕
(1)原子力委員会設置法の一部を改正する法律(案)
(2)日本原子力研究所法の一部を改正する法律(案)
(3)原子力損害賠償保障法案
(4)原子炉等規制法施行令一部改正(損害賠償措置)関係運用基準(案)
(5)原子炉の設置、運転等に関する規則の一部を改正する総理府令
(6)コールダーホール改良型原子炉用燃料購入覚書交換について
(7)コールダーホール改良型原子炉燃料購入に関する Heads of Contract について(案)
(8)プラズマ研究所の設立について(勧告)
(9)IAEAユネスコ共催の「物理、化学および産業におけるアイソトープの利用に関する国際会議」の開催について

〔審議決定および報告事項〕
(1)コールダーホール改良型炉の燃料購入覚書交換について
 事務局から日本原子力発電株式会社が英国原子力公社との間に同社が建設するコールダーホール改良型発電用原子炉に使用する燃料に関し、Hea-ds of Contractを交換することを適当と考える旨の案が提出され、審議されたが、Heads of Contractの内容をさらに検討したうえで決定することとなった。
(2)原子力委員会設置法の改正
 委員の総員を6人にし、うち3人を非常動とすることができることを主旨とする改正案が、事務局から提出され原案どおり決定された。
(3)原研法の改正
 現行の理事5人を6人に増員するための改正案が事務局から提出され、原案どおり決定された。
 なお、改正事項の規定の仕方が変ることもありうるのでその際は改めて付議することとした。
(4)原子力損害賠償保障法案について
 事務局でまとめた素案が資料として提出され、内容の説明があった。
(5)原子炉の設置、運転等に関する規則の改正
 原子力損害賠償措置の実施(原子炉等規制法施行令の一部改正、35年1月1日施行)に伴う総理府令の一部改正の内容につき報告があり、了承された。またこれに関連した部内用の運用基準につき案が提出され了承された。
(6)プラズマ研究所の設立について
 科学技術会議はこの問題の所管庁を文部省とし、具体案を検討させるが、原子力委員会の意向を十分取り入れることを決めている旨報告があり、了承された。
(7)IAEA、ユネスコ共催の「物理、化学および産業におけるアイソトープの利用に関する国際会議」の開催について
 IAEAからこの会議への参加および論文提出方を要請してきた旨報告があり、提出論文の選考、推薦方法についての案が提出され、連絡会議にユネスコ国内委員会、放同協を追加して了承された。

第 3 回

〔日  時〕 昭和35年1月20日(水)14.10〜17.00

〔配布資料〕
(1)アメリカ合衆国政府からの濃縮ウランの受入れに伴う債務負担に関する法律
(2)IAEA事務局Dクラス候補者リスト提出方に関する件
(3)原子力船の運航者の責任に関する国際条約について
(4)主要諸国ならびに国際機関における原子力災害補償制度
(5)第9回原子力委員会原子力関係科学者技術者養成訓練専門部会議事録

〔審議決定および報告事項〕
(1)JPDRの燃料についての特別立法
 米国から供給を受ける濃縮ウランの賃貸料および購入代金についての債務負担に関する法律案が提出され、各省庁との交渉のための原案とすることを了承された。
(2)IAEA 事務局Dクラス候補者の推薦について
 標記についてIAEA事務総長からの要請が報告され、候補者の人選については今後各方面と打ち合わせの上早急に決定することとなった。
(3)原子力船の運航者の責任に関する国際条約について
 米国政府から標記国際条約策定についてIAEAの指導下に早急に進めたい旨申入れがあったことが報告され、わが国としては同申入れの趣旨に賛成し、政府間海事機構と連けいしつつ、IAEAにおける原子力船第三者賠償責任問題に関するパネルの結論等を基礎に作業を進めたい旨の回答案が了承された。
(4)原子力局の組織について
 35年度予算における管理職1名の増員に伴う原子力局の組織変更については「原子力委員室」を設け、委員会の調査事務にあたらせることとし、行政管理庁等と交渉することとなった。
(5)原子力施設周辺の整備について
 事務次官から過日茨城県知事から原電の建設工事の進行に応ずるためかねて計画中の二号国道を早急に実現すること、ならびに原子力施設用辺地帯整備法案の対象地域外においても特定施設については助成措置を講じられたい旨の申し出があった旨報告され、国道計画については建設省に実現方を申し入れることとなった。
(6)原子力損害賠償保障立法について
 原子力損害賠償保障についての法律案のうち、主として国家補償について審議されたが、国家補償の規模、性格ならびに補償料等については今後引き続き検討することとなった。
(7)原研の予算について
 原研予算のうち、JPDR関係予算について大蔵省が債務負担行為についての考えを変えたため、34年度までに出資済の金額967百万円が名目上35年度の債務負担の予算金額からさし引かれる旨報告があり了承された。

第 4 回

〔日  時〕 昭和35年1月27日(水)14.15〜16.00

〔配布資料〕
(1)特殊核物質の賃貸借に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の第 次協定(案)
(2)同英文
(3)第1次および第2次日米細目協定に関する交換公文について
(4)第3次〜第5次日米細目協定について
(5)原子力施設地帯計画(案)
(6)1500MWコールダーホール改良型原子力発電所の燃料購入契約に関する Heads of Contractの主要点
(7)Heads of Contract から燃料購入の本契約までの手続き
(8)日本原子力発電株式会社と英国原子力公社間の燃料供給に関する Heads of Contract
(9)コールダーホール改良型原子炉用燃料購入に関するHeads of Contractについて(案)
(10)Heads of Contract の性質について

〔審議決定および報告事項〕
(1)議議録の確認について
 前回議事録中5−(5)原子力の施設周辺の整備についての文中“実現方を申し入れることになった”の前に“調査の上”の一句を挿入することになった。
(2)JPDRの燃料についての特別立法について
 大蔵省との交渉の結果向う5年間の債務負担で処理することに話合がまとまったため特別立法は行なわないことにした。
(3)原子力局の組織について
 原子力局内に調査官を責任者とした委員会室を設けて委員会の調査にあたらしめることになった。
(4)第1次および第2次日米細目協定に関する交換公文について
 資料3につき説明があり、原案どおり了承された。
(5)第3次〜第5次日米細目協定について資料4につき説明があり、了承された。
(6)原子力施設周辺の整備について
 茨城県から提出のあった東海村周辺の整備計画について説明があった。なおこれらに関してのオークリッジのマスタープランの概説も行なわれた。
(7)Heads of Contract
 Heads of Contract の原子力発電会社案ならびにその説明資料が提出された。Heads of Contractの性質について審議が行なわれ、これについての事務局案が了承された。また原子力発電会社が英国原子力公社と Heads of Contractを交換することを適当と考えるという主旨の事務局案も審議され、最終的に交換する場合には政府の承認を心要とする旨を書き加えることで了承された