原子力委員会参与会第1回 第 1 回 〔日 時〕 昭昭35年1月21日(木)14.00〜17.00 〔場 所〕 東京都千代田区永田町2の1総理官邸 〔出席者〕 稲生、井上、岡野、菊池、倉田(代理、駒井)、久留島、瀬藤、高橋、中泉、伏見、三島、安川各参与、 〔配布資料〕 瀬藤参与:原研の予備費はどの程度考えられているか。 島村次長:原研、公社の予算には今日お見せした資料の段階では予備費はいくらという数字は出ていない。予算がきまるともう一度原研、公社で作りなおして認可をうける。そのときに予備費がでてくる。土地購入費、鉱区買収費等はっきりきめられないものを予備費に入れることもある。予備費は大蔵省と相談しなければ使えないことになっている。原研、公社の予算は出資金として出るので使い残りは次年度に加算される。 岡野参与:原研の場合、予算がないといって業者にいつも赤字を背負わせる結果になっている。これはぜひ是正すべきだが、最初に予算をとるときに物価、賃金の値上りが織り込めないところに問題があるのではないか。 瀬藤参与:そのような場合に予備費の活用を考えてほしい。 石川委員:最初に予算を作る場合に問題があることも考えられる。検討したい。
(1)原子力損害賠償保障法について 井上(政策)課長:保険に入らねばならぬという制約はなくなる。国家賠償法のほうでカバーされる。 兼重委員:その場合は、国対被害者という関係になるから第三者という考えはなくなる。したがってこの法律ができなくても保障されている。 菊池参与:昨年12月の参与会資料3p6に記載されている「原子力事業者と・・・・契約関係にあるものの故意または重大な過失によって原子力事故が生じたときは、・・・・原子力事業者はこれらの者に対し求償することができる・・・・」というのはどういう意味か。 島村次長:原子力事業者とは原子炉設置者、濃縮ウラン等の加工業者、再処理業者等を意味し、普通の機器メーカー等を含んでいない。指摘された規定は強制的なものでないので求償しないように契約を結ぶことももちろん可能である。実際に今度の原電とGEとの間では求償できない。 石川委員:国の所有する原子炉でも、国民に与える安心感からいえば保険をつけたほうがよいのではないか。 佐々木局長:大学等国有の炉が事故を起こしても、やはり賠償処理委員会で適正な損害額を査定されることには変りはない。 石川委員:付保しておけば事故の場合には30日間に保険金が支払われることを期待できる。 島村次長:免責の問題、保険の問題等いろいろ検討すべき点が残っている。よく検討したい。 駒井(倉田参与代理):菊池参与の指摘された箇所に「重大な過失」という表言がある。漠然とした表言なのでトラブルの起こる可能性が考えられるが。 島村次長:原子力事故が起きたとき、メーカーの重大な過失が原因だと立証することは事実上不可能であろう。故意のような場合にもメーカーに対する求償権を認めないということは観念論としてもおかしいので、これが入っている。実際には上述のようなわけで求償権を放棄することが行なわれると考えている。 瀬藤参与:災害補償の専門部会の答申に対して大蔵省は反対しているというが。 島村次長:態度を保留している。反対とはっきりいえるかどうかわからないがなお検討したいということである。 菊池参与:この法律が成立するのは何日ごろになるか。 井上(政策)課長:2月20日ごろまでに提出できるよう努力している。
(2)原研法の一部改正について 岡野参与:原研の理事の定員増加は1名しか認められなかった。業務管理ばかりでなく研究管理にも力を入れねばならないから、2名増ぐらいを考えておいたほうがよいと思う。 島村次長:全く同じ考えをもっていた。余裕をもってきめておきたいが法律改正には明確な根拠が必要である。原研の管理態勢を将来どういうふうにもっていくか、原研とも相談していって、考えがきまった.段階で必要な法律改正をしていくようにしたい。
(3)原子力施設地帯整備法について 石川委員:原子力施設地帯を整備するために地方公共団体に対し国が補助を与えることを考えている。ただし、地方公共団体にとってはそのような施設が置かれると固定資産税等が入るというメリットがあるので、原研や公社の場合県や市町村で税金をどのように分配しているのか数字的に知りたい。施設が建設中の場合や社宅についてはどうなっているか教えてほしい。 3.原子力委具会各専門部会の審議状況について
4.IAEA事務局Dクラス候補者の推薦について 5.材料試験炉に関する調査について 安川参与:産業会議の動力炉委員会において、日本に材料試験炉を置くとしたら問題をどう進めるかという問題について資料を集めて検討した。結論を今日聞いたが、仮定に問題が残っている。残された問題の調査に1年、着手後完成までに5年かかるから、日本で昭和40年までに材料試験炉を置くことが必要ならばただちに調査に着手する必要がある。アメリカの概況を調査し、資料を集めるよう調査費を予算に組んでほしい。経費がかかるのでメーカーが材料試験炉をどの程度利用するか、CP−5の使途、将来の動力炉の国産方針等に関連してくる問題である。 石川委員:産業会議で検討してもらうほうが適切ではないか。 佐々木局長:生産性本部から調査団が派遣されるというが。 安川参与:それだけでは不十分である。 島村次長:原子力委員会は「発電用原子炉開発のための長期計画」で材料試験炉の必要性をみとめ、昭和35年度からとりかかることを考えていた。昨年夏に予算問題を検討したときは材料試験炉の予算をつけることは時期的にはまだ早すぎると考えた。原子力委員会としては、材料試験炉の建設にとりかかるにはいろいろな調査が必要と考えているが、産業会議でも調査されているので二重にはやらなかった。 駒井(倉田参与代理):実際に動力炉をどういう順序で国産するかという点に関連するので炉の設置者からも注文がある。設置者の意向も調査する必要がある。 瀬藤参与:経済的な経費をどこが出すかという問題もあり、産業界だけの問題ではない。36年度の予算に調査を入れるくらいのことを考えてほしい。 島村次長:この問題で専門部会をつくるという構想もあった。産業会議でやった調査の結論をもらって次の手段を考えたい。 6.長期計画について 島村次長:まだ改訂する必要があるかどうかを考えている程度である。委員長も昨年あたりから改正を考えておられるが、世界状勢から考えてももう一度見直す必要があろうと思われるので準備している。まだ改訂作業をどのように進めるかというところまではいっていない。これまでに作った長期計画に対する意見を各方面から聞いて資料を3月いっぱいまでに集めたい。 |