原子力委員会参与会

第 5 回

〔日 時〕 5月21日(木)14.00〜17.00

〔場 所〕東京都千代田区永田町2の1 総理官邸

(出席者)稲生(代理 大井上)、井上、大屋、大来、茅、瀬藤、田中、中泉、松根、山県、脇村、各参与
 一本松原電副社長
 石川、有沢、菊池各原子力委員
 篠原科学技術事務次官
 佐々木原子力局長、法貴次長、島村次長、井上政策、中島研究振興、鈴木アイソ卜ープ、藤波原子炉規制各課長ほか担当官

〔議 題〕
1.一本松原電副社長の帰朝談
2.その他

〔配布資料〕
1.原子力委員会各専門部会の審議状況
2.原子力委員会専門部会委員について
3.原子炉安全審査専門部会専門委員の追加について
4.原子炉安全審査専門部会委員名簿
5.原子炉安全基準専門部会委員名簿
6.放射能調査の展望(放射能白書)

1.一本松原電副社長の帰朝談

一本松原電副社長から訪英の目的と交渉内容についての説明があった。訪英の目的としては、

(イ) AEAから手交される1etter of intentの内容の検討
(ロ)燃料供給条件の大綱を話しあうこと
(ハ) Hollow Fuelの問題
(ニ)最近の英国の原子力事情を知ること

 があげられた。

 これに続き、島村原子力局次長からも交渉状況、英国の諸施設の視察状況等につき報告があり、次のように質疑応答がかわされた。

 石川委員:コッククロフトはBeに期待していたが。

 一本松氏:ハーウェルと違い、 リズレーのカニンガムはBeはまだ完成していないと言っていた。

 菊池委員: AGRはジルカロイを使っているか。

 一本松氏:マグノックスでは駄目だとのことである。

 菊池委員: Hollow Fuelが駄目だったら中実燃料と取り替えるのにAEAがやるのか。

 一本松氏: GECが自分の責任でやる。その場合はAEAと相談することになっている。 AEAは少しでも自信のないものは造らないから、 GECの考えに一致すると思う。

 菊池委員: Hollow Fuelを実用規模の炉に使う計 画はないか。

 一本松氏:まだない。日本が初めてである。

 菊池委員:燃料は将来ともAEAで造るのか。

 一本松氏:英国の議会でも大きな問題になっている。英国の空気としては、 「燃料関係の大きな事業をAEAが独占するのはメーカーも困る」ということがいわれている。

 島村次長:英国の産業界にはAEAの独占のために、燃料の値段が下らないのだという声があった。製錬、加工を近く民間にやらせるということだったので、燃料関係の仕事もだんだん民間に移っていく傾向にあると思われる。

2. 日加原子力協定の交渉経過と見通しについて

 佐々木原子力局長から次のように報告があった。

 佐々木局長:日加協定締結の交渉を急ぐという閣議決定はすでに行われている。日加協定締結の目的は、

(イ)イエローケーキを大量に輸入する道を開く
(ロ)天然ウラン重水型炉の情報や技術の導入を可能とする
(ハ)国産1号炉用燃料の加工等の関係である

 今年度初めから交渉に入ったが、ようやく交渉も最終の段階に達しており、参議員選挙直後の国会または秋の臨時国会で批准する段どりである。

3. 原電導入炉に対する自民党の見解について

 佐々木局長: 4月30日に自民党の特別科学委員会があり、コールダ-ホール改良型原子炉を日本に導入する問題に対し自民党はどういう態度で望むかについて検討を行った。安全問題も見当がつきそうだ。経済性もよいようなので、自民党としては早期導入に賛成するという結論を出した。 「電源開発法との関連」もあるが、政府の審議の終り次第許可をしようということになっている。政府側としては安全性の問題を科学技術庁が通産省といっしょに検討中であり、経済性についても通産省が大蔵省に説明を行っている。

 松根参与: 「電源開発法との関連」とはどういうことか。

 佐々木局長:電発が原電に出資したが、それが電源開発促進法からみて適法かどうかという問題である。今後の出資も考えられており,法律改正をしたらどうかということになっている。

4. 高碕大臣の帰朝について

 佐々木局長:高碕大臣が訪米を終り帰ってきた。

 訪米の印象は、

(イ)米国の原子力に対する熱は非常に高く驚くほどであった
(ロ) AECの主脳部との会見では,米国会の要請によって米国型の原子炉がどういう発展をとげるかをAECが検討し報告書にまとめたが、日本にも送るから米国型式の炉も検討してほしいと言っていた。

5. 最近の原子力関係情勢について

 佐々木局長から、その他の最近の原子力情勢として、次のような事項を報告した。

(イ) IAEAが船舶安全の問題で国際法規を検討する目的でミーティングを開くので日本からも専門家を送ることにした。
(ロ) ILOでは放射線から生ずる諸問題をとりあげジュネーブで会議を開く予定になっている。
(ハ) IAEAのFact Finding Teamという視察団が、各国の原子力開発はどうあるべきかという目的で極東を視察し、その後6月23日から1週間日本を訪問する予定である。

6. 原子力委員会専門部会の審議状況について

 法貴次長が配布資料1〜5にもとづいて報告を行った。