原子力委員会専門部会の審議状況

原子力災害補償専門部会

 第7回(4月16日(木)10.00~12.30)

配布資料

(1)核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律に対する付帯決議
(2)西独原子力保険プールによるドイツ連邦共和国大蔵大臣宛陳情抜粋
(3)第6回原子力災害補償専門部会議事録

議事内容

 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律の公布に至るまでの経過報告が事務局から説明された。次いで原子力賠償責任保険普通保険約款案の問題点に関する見解を損保側専門委員から述べられ、検討を行った。それらの問題点は保険料、輸送、 Occurence base、公権の命令、復元、地震、時効、告知義務違反等であった。

 第8回(5月14日(木)10.10~12.10)

議事内容

 前回に引き続き原子力賠償責任保険普通保険約款案について討議を行った。

 第9回(5月29日(金)10.00~12.00)

配布資料
(1)原子力賠償責任保険普通保険約款案審議の要約(案)
(2)部会の審議事項(案)
(3)放射能調査の展望
(4)原子力委員会参与会、専門部会名簿
(5)第8回原子力災害補償専門部会議事録
(6)英国保険委員会回答文

議事内容

1.英国委員会からの回答について

 資料により逐次説明を行った。

2・原子力賠償責任保険普通保険約款案審議の要約について

 内容について審議し、字句の修正等を行った。

3.本部会の運営方針について

 資料により討議を行い、次回までに星野委員と幹事が相談の上、審議方法を考慮することとなった。

原子力関係科学者,技術者養成訓練専門部会

 第1回(5月26日(火)14.00~17.00)

議事内容

1.部会設置の経過報告

 部会設置に至るまでの経過説明を行った。

2.部会の運営および部会長の選出

 瀬藤参与を部会長に選出し、専門部会の運営要領説明、今後の運営方針の検討を行った。

3.原子力関係教育の現状

 原子力海外留学生の実績、ラジオアイソトープ研修所の状況、原子炉研修所の状況、原子力関係国立大学の状況につき説明を行った。

4.原子力関係科学者、技術者に関するアンケートについて

 同アンケートについて概況説明を行った。

金属材料・核燃料両専門部会

 第1回合同会議(33年11月14日(金)13.00~15.00)

配布資料

1. 金属材料第1回専門部会議事録
2. JRR-3用天然ウランロッドサブアセンブリー仕様
3. ASTM原子力における非破壊検査に関するシンポジウム論文集
4. JRR-3燃料試験項目説明

議事概要

 三島議長から合同会議の趣旨説明があった。

1. JRR-3燃料について

 杉本原研理事から資料2によって説明し、参考意見を求めたところ、同燃料研究者側から被覆材Al、ALP第2種を要求しているが,これは溶接の見地から再検討を要する旨の意見があり、結局石田委員を斡旋役とし、小野、小崎,伊藤,新実各委員が原研側と小委員会を開いて討議することになった。また岩瀬委員から国際原子力機関からウラン地金を購入する際、分析値と同時にその分析方法についての情報入手方を提案し、事務局で了承した。

2. ASTM原子力における非破壊検査に関するシンポジウム論文の紹介

 伊藤委員が燃料検査の全体的展望を説明した。また橋口委員から資料3そのものでは消化が困難なので、これをまとめたものを原産冶金グループにおいて作成し、次の合同会議に提出する旨申し出た。また原子力の分野における検査技術の多様性のため、この方面の各専門家の協力と技術者の養成が強調され、また溶接については自動溶接の必要性が主張された。

3. JRR-3燃料の試験について

 川崎委員から資料4により説明があった。

 検査にあまり神経質ではないかという疑問に対しては一つは経済性とのかね合いであり、また試験段階を過ぎ使用経験も増せば順次検査は整理されていくというのが一般的意見で,この見地からも検査員の養成、試験機器の標準化の必要性が主張された。

 第2回合同会議(2月24日(火)13.00~16.30)

配布資料
1.合同部会第1回議事録
2.燃料要素の検査について
3.金属ウラン分析法に関する打合会経過報告
4.ウラン金属の規格および分析値
5.ウラン金属不純物分析感度
6.ウラン元素分析法
7.燃料、材料関係補助金要望テーマ例示案
8.原子力における非破壊検査のシンポジウム論文総合報告

議事概要

1.三島議長から金属材料専門委員として志賀知英(古河電工)を追加する旨報告された。

2.燃料検査小委員会の報告について

 高木委員から小委員会で作製した資料2に従って説明し、三浦幹事からその所要経費についての試算を報告した。また分析に関して宗宮委員から資料4-6の内容を説明した。

 橋口委員から

a 資料2の金相学的検査に粒度検査とは別に結晶集合組織検査の項を設けること
b 基礎的資料を求める事項中に完成燃料要素照射試験を加えること
c 完成燃料の検査の項を設けること

の提案がありこの旨修正して、現段階ではこれを燃料の受入検査の方式として認めることとなった。

 また岩瀬委員からウラン購入に際してはあらかじめウラン分析法を相手国に問い合わせるよう要請があった。

3.ウラン分析について

 今井委員から資料3により原研、原燃、東大、名大の4者協同で行われているウラン分析法の比較検討の中間報告を行い、かなりの成績を収めつつあることが認められた。

4.JRR-3燃料の仕様について

 前回で問題となった溶接材料のアルミニウムの規格につき、その後小委員会(原研主催)を開いて検討した結果、熔接協会で行っている溶接の研究と腐食の研究グループとの間にアルミの化学成分の検討上ギャップがあるので明確な結論は出せないので加工の研究をも含めて総合研究グループをつくって研究を進めたいが、目下のところ外国に注文するのはA1245相当品でよいと思われるという結論を出し、その旨次回に報告書として提出することとなった。

5.海外調査団について

 三浦幹事からその派遣についての打診の結果を報告したoこの派遣に対しては米、加両国は歓迎の意を表したが、英・仏両国は消極的態度であると見受けられる。

6.燃料、材料関係要望テーマの検討

 萩野谷幹事から資料7に追加すべきテーマがあるかどうかを質問されたが特に追加すべきものはなかった。

放射能調査専門部会

 第13回(5月11日(月) 14.00から)

議事内容

1.各省庁関係発表会について

 前回の専門部会で各省庁関係の放射能調査結果の発表会につき審議されたが、今回はその具体的な日程等につき審議された結果、 10月下旬ごろ一般公開としておよそ1日の日程で行い、fall-outのほか放射線による一般環境汚染も含める等の点が決定された。

2.放射能調査に関する日独交流について

 ドイツ原子力大臣バルケ氏から放射能調査に関する試料および測定法の交換について申し出があった旨鈴木アイソトープ課長から報告があり、検討の結果技術的な面については放医研を中心として推進することとなった。

3. 「放射能調査の展望」について

 内田老鶴圃から「放射能調査の展望」の英訳を出したい旨申し出があったことを鈴木アイソトープ課長から報告があり了承された。

4.国連科学委員会出席報告について

 第6回の国連科学委員会に出席した都築、田島両委員から出席結果の報告が行われた。

 それによれば今回は国連科学委員会の今後の任務がおもな議題であった。その結果きめられた仕事としては
 (1) 1958年8月に出した報告書の内容を新しくし、それに要する資料をあつめること
 (2) WHO、 FAO、 WMO, IAEA等の機関と協力すること

 で、今後研究を行うべきものとして

(1)成層圏におけるfall-out降下機構の研究
(2) food-chainの研究
(3)医療用放射線が人体、ことに骨髄に与える影響の研究
(4)各国における人口統計を遺伝学の目的に使うこと
(5)自然放射線レベルの高い所に住んでいる人の影響をしらべること
(6)人響遺伝学の問題、性比の問題の研究
(7)原子炉事故に関する情報交換と治療に関する研究
(8)細胞の中に取り入れられたアイソトープによる影響の研究
(9)放射線の一般生物、特に細胞のあつまりとしての人体に対する研究、特に少線量の放射線による影響の研究

がとりあげられ、委員会は春秋2回行うこと,本年度の秋の委員会は35年1月11日ニュ-ヨ-クで行うことになった。この会議に提出を希望する資料としては上記の項目のうち(1), (2), (6), (9)およびC14の問題に関するものである。このために次期会議出席者を早くきめ、それを中心としてworking groupを作って堤出資料をとりまとめることに決った。

 なお都築部会長から個人的な意見として国連科学委員会協力に関する日本側の態度の確立について強い要望があり,各委員の同感を得、また科学技術庁関係と文部省関係の壁をできるだけ取り除きたい旨各委員から要望があった。

原子炉安全審査専門部会

 第11回(4月21日(火) 13.30~15.00)

配布資料
1. 第10回議事録
2. 第9回訂正議事録
3. 原子炉の設置、運転等に関する規則の一部を改正する総理府令
4. 原子力委員会から内閣総理大臣に対する答申書「アメリカ合衆国原子力委員会の軽水減速濃縮ウラン不均質型原子炉の設置について」
5.動力試験炉(JPDR)の概要

議事

1. 第10回議事録の件について

 事務局で作成した第10回議事録を検討し,次の訂正を行って採択した。

① 議事2.第5小委員会の報告についての説明要旨第1項(3~5行目)を「…。また、0.25%が急に挿入されても、出力の上昇はかんまんであり、最大出力は80kWまでで以後900W程度の出力値に飽和し、安全性は十分といえる。」と変更。
② 同じく第3項の「地震に対して」を「耐震性に関して」と変更。
③ 同報告の検討要旨第4項の書き出し部「解体後の冷却水」を「解体後の減速用および遮蔽用の水の」と変更。

2. 第7小委員会の報告について

第7小委員会主査福田専門委員から経過報告ならびに説明が行われた。要旨は次のとおりである。

① 第7小委員会は通商産業省のコ-ルダーホール改良型原子力発電所審査委員会と合同で原子炉の安全性を審査することになり, 3月31日に第1回の合同審査会が開催され、主査として福田委員、主査代理として杉本委員が選出された。
② 合同審査会の会則を定め、議事は原則として非公開とし、申請者に対する質問その他の連絡はすべて事務局を通すこととした。
③ 現在小委員会は専門別に九つのグループにわかれて申請書の査読を行っている。

3. 第5小委員会の解散について

 国際見本市展示用原子炉の安全性審査のために設置された第5小委員会はその任務を完了したので解散することとなった。

4. 第6小委員会の報告について

 第6小委員会主査杉本専門委員から立教大学設置原子炉の安全性についての報告があった。要旨は次のとおりである。

① 予定場所は地下水の水位が高いが設計において防水に十分な考慮が払われれば、この程度の原子炉施設に対しては適当であろう。
② 原子炉は即発性の温度係数が負でその値が大きいため、全超過反応度を急激に入れても自己制御作用により暴走や燃料溶融の恐れはなく安全度が高い。
③ 廃棄物処理施設は十分であるが、固体廃業物の保管場所に対する立入禁止施設が必要である。
④ 放射線管理施設はほぼ満足であるが専用の表面汚染計を設けることが望ましい。
⑤ 実験時間の制限によって放射線量を許容限度内に収める方針は適当でないから、遮蔽効果をさらに上げることが望ましい。
⑥ 大学側の責任者が建設の過程に参加し、炉の構成を十分理解するよう措置することが望ましい。

次いで安全性についての第6小委員会報告書の検討に移ったが,そのおもな内容は次のとおりである。

① 竹山専門委員の提案により武山は激震地であるから報告書原案の立地条件の地震の項に次の言葉を挿入することとした。 「この水平加速度を用いれば、本原子炉の形式からみて、一応安全な設計が可能であると思われるが,この地城がわが国地震危険度の多い地城であることを考慮にいれ、設計構造計画ならびに細部の設計については特に注意を要する。」
② 即発性の温度係数という言葉を即効の温度係数に改める。
③ この原子炉は250MWまでのパルス運転を行いうるが、設置者はこのような運転を計画していない。
④ 気体廃棄物による放射線障害の恐れはほとんどなく、むしろホットラボが問題であろうが、これは放射線障害防止法で規制される。

 なお専門部会の原子力委員会に対する報告は,小委員会からの報告の検討結果をもって修正の上行う

 こととし、その修正は専門部会長および関係小委員に一任された。

5. 原子炉安全審査専門部会専門委員の追加ならびに第8小委員会(原研動力試験炉)および第9小委員会(原研臨界実験装置)について

 事務局から日本原子力研究所設置動力試験炉(JPDR)および臨界実験装置について経緯の説明があり、これら審査にあたって動力試験炉については第8小委員会、臨界実験装置については第9小委員会を設けることとなった。これら小委員会新設にあたり、次の専門委員が新しく補充された。

 大山彰、加賀山正、高橋実、渡辺茂

 なお、第8、第9小委員会委員として次の各専門委員を指名、了承された。

 第8小委員会委員:浅田、江藤、大山(彰)、加賀山、渡辺各専門委員

 第9小委員会委員:大山(彰)、高橋、武田、山田各専門委員

 主査としては、渡辺、武田各専門委員があたることになった。

 次いで質疑応答が行われたが、そのおもな内容は次のとおりである。

① 日本原子力研究所に設置される原子炉については、原子炉等規制法によらず日本原子力研究所法にもとづいて設置を認可することになっているが、その安全性についても当専門部会で同様に審査を行い、原子力委員会に報告することになった。
② 臨界実験装置に関する規制については、法律上核燃料使用の面において行うことになっているが、その安全性についても当専門部会で審査を行い、原子力委員会に報告することになった。
③ 浅田専門委員の代理として中村康治氏にお願いすることになった。

6.最後に事務局から国際見本市展示用原子炉UTRについての事後報告および原子力局の組織変更について説明が行われた。