放射線審議会の動き


 昭和34年4月15日に港区麻布市兵衛町の第3公邸で第4回放射線審議会総会が開催された。

 都築会長が国連科学委員会に出席中だったので、木村会長代理の司会のもとに議事が進められた。

 第1に昨年の暮以来放射線防護部会で審議してきた国際原子力機構の「放射性同位元素の安全取扱手引」についての結論が山崎文男部会長から報告され、おおむね同部会の結論のとおりで了承された。

 次に、内閣経理大臣からの諮問(別記)について審議したところ、原案に対して青木委員からICRPの勧告の採用による最大許容量の数値の変更について慎重な考慮が払われるべきである旨発言があり答申にはその旨付記することとなった。

 議題は、一応これで終りアイソトープ課長から原子力局の機構改正にともない本審議会の庶務は4月16日から放射線安全課で行うこととなったことを報告、原子力局長からは本審議会の構成について国会で問題となった点の説明があり正午散会した。

〔別記〕

               34総第1089号  
               昭和34年4月13日

 放射線審議会会長 都築 正男殿

          内閣総理大臣  岸  信介  

原子炉の性能基準に規定する放射線量率等に関する諮問について

 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律第166号)第29条第2項の規定に基く総理府令を定める必要があるので、当該総理府令に規定する放射線量率等に関し、放射線障害防止の技術的基準に関する法律(昭和33年法律第162号)第6条の規定に基き諮問する。

 原子炉の性能基準に規定する放射線量率及び放射性物質濃度について

 原子炉施設中人の常時立ち入る場所、原子炉の運転中特に立ち入る場所、原子炉の運転停止後一定時間後に立ち入る場所その他放射線管理上測定を必要とする場所の放射線量率及び放射性物質濃度は、許可を受けた原子炉に係る「原子炉の設置の許可の申請書」及びその添付書類(日本原子力研究所にあっては、これに代る書類)に記載した値以下でなければならない。

             34放審第1号  
             昭和34年5月4日

  内閣総理大臣  岸  信介 殿

放射線審議会     
会長 都築 正男  

原子炉の性能基準に規定する放射線量率等に関する諮問に対する答申

 昭和34年4月13日34原第1089号をもって諮問のあった標記に関し、同年4月15日開催された第4回放射線審議会総会において審議したところ貴案のとおりで適当であると認められたので、ここにこの旨答申する。

 なお、国際放射線防護委員会の勧告に基き放射線に関する最大許容量が変更された場合には、原子炉の設置の許可を与えた時における最大許容量と原子炉の性能検査を行う時における最大許容量とに食い違いが生ずるおそれがあるが、このような場合には所要の措置を講じ放射線障害の防止のために万全を期すべきであることを付記する。