原子力委員会参与会 第 3 回 〔日 時〕 3月20日(金)14.00〜17.00 〔場 所〕 東京都千代田区永田町2の1総理官邸 〔出席者〕 稲生、大屋、岡野、茅、駒形、瀬藤、高橋、田中、伏見、松根、三島、安川(代理渡辺)山県各参与 〔議 題〕 〔配布資料〕 1.昭和34年度原子力開発利用基本計画(案)について 資料1を読みあげ、各参与の意見を求めた。 茅参与:3.試験研究計画(1)基礎研究のうち原研で行う研究として「中性子に対する原子炉材料の核物理的性質の研究、中性子回折による原子炉材料の固体物理的研究」というのがある。これらの研究は原子炉材料以外のものについてはやらないのか。 駒形参与:原研の考え方としては中性子回折装置は公開する考えであり、外からもいろいろな問題を持ってきて原研と共同研究してもらいたいと思っている。原研としては原子炉材料に重点を置いているが、その他のものも絶対にやらないというのではない。 菊池委員:「原子炉材料に関連する……」となおしたらどうか。 茅参与:「原子炉材料」をとってしまったほうがよい。原子炉材料に限定するとそれ以外の固体物理の研究が進まないおそれがあり、また現在原研が持っている研究者の研究が伸ばされないおそれもある。 伏見参与:核物理と固体物理とはからみあった問題である。特に熱中性子あたりの問題ではそのけじめがついていない。また、原子炉物理的な分野のウェイトが原研では少なすぎるような感がある。基礎研究のページ数がもっと多くてよいという感じがする。 駒形参与:基本計画に織り込まれているのは原子力関係予算が主になっていると思う。このほかに文部省関係の予算も決まっているだろうから、別に各大学でどういう基礎研究が原子力関係として行われているかを文部省と連絡し示してほしい。 大屋参与:材料試験炉((7)原子炉材料に関する研究)はどうしても必要だといわれる。34年度の計画ではあるが、このあたりに、材料試験炉を来年度に導入するということを書けないものだろうか。 三島参与:材料試験炉はなるべく早く設置するように計画してほしい。 石川委員:とりあえずCP−5ができてから考えることにしたい。 菊池委員:材料試験炉はおおいに必要と思う。 駒形参与:MTR,ETRを早くという声があるが、ドイツもユーラトムに造らせて各国と共同使用することを考えている。日本でもよほど考えてとりかかる必要がある。 高橋参与:「……再処理試験装置の設計製作を開始する。」とあるが、これはどこでやるのか。またスケールはどの程度か。 事務局:原研のつもりである。原研で考えているところでは本年度に6千万円をかけるということである。 法貴次長:先日原燃をはじめ皆さんに打ち合わせていただいた問題である。 駒形参与:再処理試験装置として再処理の Unit Operation が将来にできるようにするため、34年度では重要な部分の基礎研究から完成していく。 石川委員:この辺はもっとわれわれも考えを練りたい。原研のお考えどおりにいくかどうかはわからない。 茅参与:(10)ウラン濃縮に関する研究にいろいろ書いてあるが、濃縮の方法としてかなり公開されたものがあるのに、あえて危険を冒して新しいものをやるのか。 事務局:まだ可能性を問題にする段階で、どんな方面の研究をやるのかということを考えるためである。 山県参与:原子力船に関し33年度に行った研究はいずれも重要で34年度に引き継がれるものが多い。したがって「一部」をけずってほしい。また、「要望課題」にあったもののうち大きなものが2、3おちている。 事務局:こまかくは付表に出ているので本文には全部を網羅していない。前回の参与会におはかりした「要望課題」の実については局内の議論がすんでいない。したがってここにのせたものは未調整である。 茅参与:日本放射性同位元素協会では放射性廃棄物の一括処理を行うことをこれからきめるところである。したがって「一括処理を行わしめる予定である。」としてほしい。 駒形参与:「6ヵ月」とあるのは「3ヵ月」としてほしい。 石川委員:御意見はなお今月いっぱいにお手紙などでもうけたまわって、計画をきめることにしたい。 2.その他の報告、説明等 (1)菊池委員の帰朝報告を聞いた。 (2)各専門部会の活動状況について資料にしたがって法貴次長から報告があった。 (3)原燃の精製還元中間試験工場の運転開始状況について高橋参与から報告を聞いた。 (4)子力関係科学者、技術者に関するアンケートについて事務局から資料について説明した。 (5)原子力平和利用に関する日独政府の書簡交換および西独バルケ原子力大臣の来日日程について井上政策課長から資料により説明があった。 (6)原電における発電炉入札審査の進行状況について法貴次長から説明を行った。 3.原子炉に付保する保険料の額について 伏見参与:東海大学で設置しようとしている原子炉は保険料が相当高くなる見込で困っていると聞いている。原子炉の保険料はどう考えられているか。 有沢委員:東海大学の場合には100万円という見当もある。 島村調査官:保険金額をいくらにするかで変る。かりに10億円かけたとすればだいたい100万円ぐらいになるだろう。個々のcaseにおける料率は炉の大きさ、環境、型式による。それでも保険料が高いかどうかの問題は残る。以上は地震を除いた場合であって、地震を入れるともっと高くなる。 有沢委員:研究用原子炉については別途に考えるという考えもあるが、災害補償制度としてどういうものを作るかという問題の一つである。教育用炉をいま設置するのならば保険プールの対象として第三者の被害を補償しうる準備をしてもらうという考えが資料1にでている。 大屋参与:地震をも認めると海外で再保険を引き受けないかも知れないという問題はあるが、それは別として地震も認める保険にしておかねばならない。 佐々木局長:補償制度ができるまでに炉の災害がおこったときは天災みたいなもので、国家がその補償をすべきかどうかを考える。それはcase by caseで判断すると、国会ではのべている。 |