付表2 放射能調査

1. 自然放射能

1.地表からのγ線〔気象庁〕

 γ線計数装置を5ヵ所に回送して測定する。

2.空気中の自然放射能〔気象庁〕

 気象庁本庁においてγ線自動計測器により年間連続測定を行う。

2. 大   気

1.地表付近の大気〔気象庁、気象研〕

 浮遊塵埃、落下塵埃および大量雨水(5ヵ所)、降雨(14ヵ所)、特に水戸地方気象台を整備して東海村周辺の常時放射能観測を行う。

2.上層大気

(イ)成層圏内の放射能観測〔気象研〕
 大型気球により20km、25km、30kmの各層について年4回観測する。
(ロ)気球による対流圏の放射能観測〔気象庁〕
 放射能ゾンデを毎月1回飛揚し(18 kmまで)汚染濃度の垂直分布を測定する。
(ハ)飛行機による放射能観測〔気象庁、防衛技研〕
 年2回飛行機に電気集塵器および粒子計数器を取り付け高度4,000mおよび成層圏の試料を採集し、一部の試料は化学分析を行う。

3. 海   洋

1.海水〔気象庁、気象研、海上保安庁〕

 本邦近海の黒潮、親潮の定線について海水の放射能を測定調査する。特に深海水、深海底のバックグラウンドの調査を行う。

2.海洋生物および海底沈殿物〔水産研〕

 バックグラウンドの調査を拡充しフォールアウトによる汚染経路および海洋生物ならびにその環境への影響等を調査するため海洋生物、海洋沈殿物調査および特殊地点として東京湾の調査ならびにSr90,Cs137,He5等の分析を行う。

4. 地   表

1.陸水〔地方衛生研、放医研〕

 地方衛生研究所に調査を委託し、9ヵ所の地点について毎月1回〜年数回cpm測定を行う。さらに分析を必要とする場合は放医研で分析を行う。

2.土壌〔農業試、農技研〕

 土壌から植物への汚染度の関係を明らかにするため5地区について年2回以上試料を採集し、cpm測定ならびに元素分析を行う。

5. 動植物および食品

1.農産物〔農業試、農技研〕

 米、麦、飼料、牛乳、ソサイ、果樹、茶等につき土壌と同様な調査を行い、大気、土壌、農作物の関連性の調査を行う。

2.家畜〔家畜試〕

 4地区の牛骨各5例を集めSr90の分析を行う。また牛、山羊、豚各3例ずつにつき骨、臓器、筋肉等につきSr90を分析し放射能の移動経路をしらべる。

 特に戦前の馬骨(5例)につきSr90の分析を行う。

3.食品〔地方衛生研、放医研〕

 陸水と同様に地方衛生研究所に調査を委託し、cpm測定を行う。また必要な場合は放医研で元素分析を実施する。

6.特殊調査

1. 核爆発実験による大気振動の観測〔気象研〕

 核爆発日時および地点を確定するため倍率100倍の微気圧計を国4ヵ所に設置し毎日観測する。

2.原子力研究所周辺の放射能〔原研〕

 原子炉を中心として10km範囲内の大気、地表、植物、食品および海洋の放射能の連続測定を行う。

3.人体および尿の放射能〔放医研、地方衛生研〕

 人体の各臓器、骨などに蓄積しているSr90等の放射能について調査する。また2ヵ所の地方衛研において集めた尿中のCs137について調査する。

4.放射能資料センター〔気象庁〕

 世界における放射能資料センターに指定されたので、その業務を行う。

付表3

 昭和34年度国立大学原子力関係大学院、学科、講座の新設および増設計画

1.大学院

2.学部、学科

 京都大学工学部原子核工学科
    学生定員  20名
  完成6講座、33年度2講座、34年度2講座(3に再掲)

3.講座、部門数  (  )は33年度までに既設


 既設 30  34年度新設19  計 49