付表1.試験研究計画

1.原子炉の設計、開発および運転に関する研究

1.IBM計算器の整備〔原研〕

 IBM電子計算器(602A、650、653)を使用して、原子炉設計計算およびその他の計算を要求によって行う。

2.原子炉の設計研究〔原研〕

(1)熱中性子増殖炉:U233を用いた系における共鳴中性子の影響、中性子スペクトル、循環燃料型原子炉の動特性の研究を行う。
(2)高速中性子増殖炉:燃料サイクル、原子炉の核的諸元の計算等を行う。
(3)軽水炉二沸騰水型炉の不安定性に関する研究、ボイドによる中性子束の変化の研究等を行う。
(4)材料試験炉:核的特性の研究を行い、材料試験炉の調査検討を行う。

3.教育訓練用小型原子炉の試験研究〔(補助金)〕

4.JRR−3の建設〔原研〕

 建家工事を33年度に引き続き実施するとともに各工場における各機器の製作を促進し、34年12月から現地組立および据付を開始する。

5.零出力炉予備実験〔原研〕

 U235(2kg)、重水3.2トン、ThO2(2トン)を用いた2領域型均質臨界集合体を組み立て、臨界量、温度係数、中性子束分布、転換比等予備的な測定を行うとともに35年度から零出力実験を行うことを目標に装置の改良を加え、零出力炉のための予備的試験を行う。

6.高速炉予備実験〔原研〕

 高速炉ブランケット集合体実験装置に天然ウラン約2.3トンを装入し、中性子の平衡過程やそのスペクトルならびに拡散距離を測定し理論計算と比較する。高速中性子源としては当初はヴアンドグラーフ加速装置を使用するが後半はJRR−1水平熱中性子柱においてU235、3kgのコンバーターを使用する。

7.半均質実験−I〔原研〕

 黒鉛を主体として、酸化ウラン、酸化トリウムを混合した燃料を用いて、2分割型実験装置を試作する。これを用いて半均質型原型試験炉の核的モックアップを作り、臨界パラメーター、温度係数、制御棒効果、即発中性子寿命などに関するデータを求める。

8.半均質実験−II〔原研〕

(1)中性子束分布測定装置を試作し上記の実験に使用する。
(2)反応度を階段状、正弦波状に変化させた場合の動特性実験を行う。

9.JRR−1の運転と保守〔原研〕

 炉の特性試験、付帯設備の性能解析等の試験を行い、炉の安全運転をはかる。また一部の改造を行い機能を向上させる。

10.JRR−2の運転管理ならびに保守〔原研〕

 上期中に炉各系統の機能試験、付帯設備機器の試験運転を実施し、これらの試験終了後燃料装荷による零出力実験、全出力実験を行う。下期には炉の試験運転を開始し、炉の安全性の向上や炉の性能改善等をはかる。

11.JRR−2の特性の測定〔原研〕

 JRR−2の静特性、たとえば中性子束分布、温度係数の測定とともに動特性の測定を実施する。さらに炉の運転中の重水、軽水の分布を質量分析器および赤外線吸収分析器により行う。

2.原子炉制御に関する研究

1.原子炉制御の研究〔原研〕

(1)動力炉(BWR、PWR、黒鉛型等)の動特性をアナコンを使用して解析する。また伝達函数法を用いた検討も行う。
(2)原子炉伝達函数を測定し原子炉制御に必要な基礎データを得る。また不規則信号により伝達函数を測定する統計的手法も考慮する。
(3)最終的にはJRR−3を対象とする不連続制御装置の試作検討
(4)制御用機器の調査研究、高精度の位置伝達装置、安定な直流増幅器、記録計類、サーボモーター等の調査研究
(5)原子炉シミュレーターの開発、33年度に試作したものについて試験改良を行う。
(6)原子炉自動起動の研究、JRR−1を対象として自動起動の実験を行う。

2.原子炉系中の機械的コントロール〔原研〕

 原子炉およびその系統機器に関して機械工学的な面からその動特性を求め、制御についての基礎実験を行う。

3.原子炉動特性の実験的研究〔原研〕

(1)JRR−1について中性子束の統計的変動から炉の核的動特性を推定する方法について研究する。
(2)JRR−2について階段状、正弦波状反応度変化を与えて炉の平均中性子寿命、遅発中性子および遅発光中性子の実効比率を測定する。

4.燃料棒破損検出法の研究〔原研〕

(1)核分裂生成物からの放射線による検出方法を引き続き行う。
(2)核分裂片分離装置を試作する。

5.計算機の整備応用およびデータ・プロセシングの研究〔原研〕

 ACおよびDCアナログ計算機を整備し、各種原子炉の動特性の計算、制御系の解析ならびに各種の力学系のシミュレーションに役だてる。

3.原子炉冷却系続に関する研究

1.水冷却原子炉の伝熱と流動〔原研〕

(1)放射線下の伝熱
 JRR−2、Co60照射室を利用して小型常圧ループ中の発熱体に放射線をあて沸騰現象、熱負荷の限界を研究する。
(2)2相流ボイドの研究
 2相流ボイド系の圧力、入熱量、流速等による影響を調べるためにまずボイドの測定方法を確立する。

2.ガス冷却型原子炉の伝熱と流動〔原研〕

(1)33年度に引き続き2次元および3次元伝熱流動に関する研究を行いフィンについての基礎資料を確立する。
(2)高温(300℃)高圧ガスによる燃料棒からの熱除去の研究をするため実験ループの設計製作を行う。

3. クーラントの炉内の流れ〔原研〕

 円筒形、球形、同心球形の容器内の流動が流入口、流出口の位置、形状による変化、またそのときの圧力損失を測定する。

4.液体金属の伝熱〔原研〕

 液体金属の熱伝達特性および液体抵抗の測定を行う。さらに多種類の計器、ポンプ等についての改善改良を研究する。

5.ウランおよびトリウム系スラリーの流動伝熱等の研究〔原研〕

 常圧用流動伝熱ループを完成させ、水、スラリー、トリアスラリーの順に流動伝熱実験を行い、均質炉の基礎資料を得る。またエロージョン試験装置によりスラリーについてのエロージョンの基礎研究を行う。

6.管路内非定常沸騰熱伝達の研究〔東芝〕

(1)気泡の発生、消滅および熱伝達率の変化を知るため発熱体の構造を変化しうる模型管路を試作する。
(2)この管路により発熱体表面における気泡発生状況、密度分布等を高速度カメラ、光学系、γ線透視等により定性定量的に研究する。
(3)フランジ結合部の漏洩およびその防止法の研究も行う。

7.軽水型模型原子炉伝熱回路の試作による熱伝達および循環材の漏洩防止に関する試験研究〔三菱原子力〕

 熱伝達試験回路(4"φおよび3"φ)を試作し、高温高圧水の伝熱特性および無漏洩工作法の研究を行う。

8.原子炉炉心部または熱交換器の熱伝達に関する研究〔(補助金)〕

4.原子炉付属装置の製作に関する研究

1.原子炉材料の溶接の研究〔金材技研〕

 (1)原子炉用Zr、Nbおよびそれらの合金の真空溶接に関する研究
 (2)原子炉用クラッド鋼溶接部の熱脆化と熱応力破壊防止の研究

2.動力用原子炉の主配管に必要な各型式の弁の試作および性能の研究〔岡野バルブ〕

 (1)150mm口径のウェッジゲートバルブ、パラレルスライドバルブおよび50mmベローセフティバルブを試作し140kg/cm2における機能耐久力について検討する。
 (2)各種材料につき500℃までの物理試験を行う。
 (3)140kg/cm2、300℃においてパッキング部の漏洩試験を行いパッキングの種類、充填法を研究する。
  (4)1〜10m/secの流速で弁の工作、構造が摩擦抵抗に及ぼす影響を調べる。

3.特殊加工法による原子炉用キヤンドモーターポンプの試作研究〔三菱電機〕

 350kVA、180rpm、140kg/cm2、300℃程度のキヤンドモーターの製作を目標としてケーシングの溶接加工、ポリウトの精密加工、大型肉薄インコーネルの加工、デポジットクラッド等の研究を行う。

4.遠心鋳造法による原子炉用ステンレス鋼管の製造に関する研究〔日本金属〕

 304L鋼種につき工業的規模の遠心鋳造に最適の製造条件を確立するため溶鋼成分、鋳型の厚さ、予熱温度、鋳込温度等の条件、試作品の機械的性質、非破壊検査等を検討する。

5.ウランおよびウラン合金の真空溶解鋳造炉の研究〔日本真空技術〕

 アーク炉式真空溶解炉を設計製作し、溶解鋳造の試験運転を行う。

6.燃料材料の熱応力〔原研〕

 不均一加熱下における燃料棒の熱伝導、熱応力に関する研究を33年度に引き続き行うほか熱応力を生ずる材料の高温下における機械的、物理的性質を調べて熱応力についての判断の基礎資料を得る。

7.原子炉圧力容器または熱交換器の加工に関する試験研究〔(補助金)〕

8.原子炉圧力容器または原子炉に付帯する機械装置における漏洩の防止または検出に関する試験研究〔(補助金)〕

9.原子炉に付帯する機械装置または器具の試作に関する試験研究〔(補助金)〕

10.ウラン濃縮を目的とした装置機器または材料に関する試験研究〔(委託費)〕

5.核燃料の探鉱、採鉱、選鉱、製錬、加エに関する研究

(探鉱、採鉱)

1.核原料物質の探鉱に関する研究〔地質〕

2.核原料物質の探鉱、採鉱に関する試験〔公社〕

(選鉱)

1.人形峠鉱石の選鉱に関する研究〔公社〕

 放射能の利用、浮遊選鉱、優先粉砕法等の基礎研究を行い、国産貧鉱処理に関する資料を収集する。

2.ペグマタイト鉱床鉱物の利用に関する研究〔資源試〕

 ペグマタイト鉱床鉱物の試料について選鉱学的検討を加えるとともに、ウラン精鉱の湿式処理によって生成した泥状液から有用金属化合物を分離、濃縮する試験、この濃縮した液から金属化合物を分離精製する試験をイオン交換樹脂、溶媒抽出法について行う。

(製錬)

1.乾式法によるウランの製錬法の研究〔東工試〕

(1)塩素化炉本体に連続的に原鉱を送入するに適した脱水予熱炉の構造、寸法の研究
(2)脱水予熱炉と塩素化炉の運転方法に関する研究

2.ウラン抽出法に関する研究〔公社〕

(1)イオン交換法、溶媒抽出法による粗製錬試験を行い、各抽出法の得失を検討する。
(2)溶媒抽出法における溶剤回収方法の研究ならびに硫酸浸出液からUO2Cl2の製造の研究を行う。

3.移動床式イオン交換装置の化学工学的研究〔公社〕

 ビギンズ塔の規模を小さくした模型イオン交換塔により実験を行い実際操業して得た資料と比較検討し、規模拡大における化学工学的諸因子を追求し、設計ならびに操業の基礎資料を得る。

4.高純度ウラン化合物の製造に関する研究〔公社〕

 UO2Cl2またはUCl4からUO2、UO3を沈殿あるいは析出させてセラミック系燃料の素材を製造する方法をエキサー法の見地から研究する。

5.金属ウランスクラップ処理法の研究〔公社〕

 地金押湯部、切削屑および実験廃材について回収処理法を検討する。

6.金属ウラン加工用素材の製造に関する研究〔公社〕

 一定寸法のビレットについて鋳造条件を決定し脱酸剤その他の添加剤の効果について調査する。

7.原子炉用高純度酸化トリウムの精製法の研究〔三井金属鉱業〕

 モナズ鉱石から抽出したリン酸トリウムをカ性ソーダ処理して水酸化トリウムとして、これを硝酸に溶解しTBP抽出により精製する各工程について、工業的生産規模における諸条件を検討する。

(加工)

1.JRR−3燃料要素の製造加工および諸性質試験、検査に関する研究〔原研〕

(1)30kg高周波誘導炉による溶解、鋳造の研究
(2)100馬力2段溝口ールによるウラン棒の圧延加工の研究
(3)β焼入法の研究(不活性ガス中の誘導加熱、ソルトバス加熱、真空中加熱による方法)
(4)スエージングマシン、ドローベンチによるAl被覆の試作研究
(5)超音波、表面汚染検出、放射線利用、過電流、螢光探傷等による非破壊検査の研究
(6)熱サイクル、X線、熱膨張、熱伝導その他の物理冶金的試験
(7)高温応力下における変形測定その他によるウランの高温材料強度学的研究
(8)JRR−2による照射試験

2.コールダーホール型原子炉を対象としたウランクロム合金燃料棒の製造研究〔住友金属工業〕

 熱サイクル効果および照射成長の少ない燃料棒の製造条件を確立するためアーク溶解炉によるウランクロム合金の溶解鋳造、熱間鍛造、熱処理等の各工程および真空焼鈍に最適なクロム含有量分析法について検出する。

3.原子炉用燃料要素の加工に関する試験研究〔(補助金)〕

4.金属ウランの製造または加工に関する試験研究〔(補助金)〕

5.酸化ウラン、ステンレス鋼被覆燃料要素の製造に関する研究〔三菱原子力〕

 不錆鋼鋼管の試験、検査法、燃料部端部の密封溶接法の研究、UO2ペレット入り燃料要素の試作を行う。

6.スエージング等による酸化ウラン燃料体の製造に関する研究〔三菱原子力〕

 高密度酸化ウラン粉末を被覆管に充填し、これを圧縮加工して高密度の酸化ウラン燃料体を製造する方法を確立する。

7.セラミック系燃料の製造に関する試験研究〔(補助金)〕

8.動力炉用酸化物燃料の研究〔原研〕

(1)酸化物粉末の物理的、化学的性質の研究
(2)焼結体の物理的、化学的諸性質、機械的性質の研究

9.半均質炉用燃料体の研究〔原研〕

(1)半均質炉燃料体に適した特殊形状をもったUO2、ThO2粒子の製造の研究
(2)ThO2、UO2の高温における黒鉛との反応の研究
(3)燃料体ペレットの物理的、化学的諸性質の研究
(4)黒鉛燃料鞘の不浸透性の研究
(5)燃料鞘と炭酸ガスその他の冷却用ガスとの反応

10.半均質炉炉心、燃料体の製造に関する試験研究

〔原研からの委託研究〕

11.ウラン濃縮を目的としたウラン化合物に関する試験研究〔(委託費)〕

12.ウラン濃縮の経済性に関する試験研究〔(委託費)〕

(照射試験)

1.半均質炉インパイルループテスト実験〔原研〕

 半均質炉の実現性を研究するためガス状核分裂生成物の挙動、黒鉛被覆材の不浸透性、黒鉛とクーラントの反応、燃料体と黒鉛被覆材との熱接触抵抗等の実験を行うためインパイルテストループを製作し、年度後半から実験を開始する。

2.原子燃料および材料の照射効果〔原研〕

(1)照射燃料のバーンアップと金属学的現象の関連性に関する研究
(2)放射線照射による原子炉構造材料の諸性質に関する研究
(3)照射後の核燃料および原子炉構成材料の腐食に関する研究
(4)射効果の固体物理的測定に関する研究以上の実験はホットラボおよびJRR−2の完成を待って年度末から開始するが、年度前半は遠隔装置によるモックアップ実験、設備の整備を行う。

(検査)

1.核燃料素材の検査法の研究〔公社〕

 超音波探傷、X線透過法等による燃料素材の検査法の研究を行う、とともに核燃料要素の検査の予備的研究を行う。

6.原子炉用材料に関する研究

(金属材料)

1.原子炉被覆材、炉心材料の冶金学的研究〔原研〕

(1)magnox、Zr合金の物理冶金、組織、加工度、機械的性質、鋳造法等の研究
(2)Fe−Al−Cr合金等の物理冶金、組織的検討、ことに高温高圧水中の特性、Mo、Tiなどの添加による性能の変化等の研究
(3)JRR−2による照射のためのインパイルテスト用実験装置のj検討

2.原子炉内における水およびガスによる構成材料の腐食、侵食の研究〔原研〕

 炉内腐食実験装置(JRR−1に据付)および動的腐食実験循環装置により主としてJRR−3に使用する予定の各種合金(不錆鋼、Al合金等)の腐食実験を行う。

3.液体系燃料による腐食、侵食の研究〔原研〕

 特殊オートクレーブによる不錆鋼の腐食の研究を33年度に引き続き行うとともにJRR−1を使用して炉内試験を行う。

 34年度後半は動的腐食試験循環装置により実験を開始する。

4.液体金属による腐食、侵食の研究〔原研〕

(1)石英またはステンレス製の簡単な熱対流ループによりNaの自然対流循環による腐食を研究する。またNa中の酸素の測定法の検討を行う。
(2)機械装置研究室と共同して強制循環装置を作り流速の大きい場合の各種金属材料の腐食、侵食およびコロージョンの研究を行う。

5.原子炉用金属材料の腐食、防食の研究〔金材技研〕

(1)各種金属材料についてその耐食性につき検討を加えるため水素発生による腐食測定装置により研究を行う。
(2)33年度に継続して静水動試料試験装置に水還流装置を加え試験中の水質変化の影響を除去した試験を行う。
(3)また高温水を高速に環流し得る動水腐食試験装置の試作研究を行い水流の腐食に及ぼす影響ならびに各種材料のこれによる腐食試験を行う。

6.燃料被覆用アルミニウム、マグネシウム合金またはジルコニウム合金の製造、加工または検査に関する試験研究〔(補助金)〕

7.燃料被覆用ベリリウムまたはベリリウム合金の製造または加工に関する試験研究〔(補助金)〕

8.原子炉用特殊鋼の製造、加工または検査に関する試験研究〔(補助金)〕

9.原子炉用ハフニウムの製造に関する試験研究〔(補助金)〕

(非金属材料)

1.炭化ホウ素の製造研究〔大工試〕

 原子炉用制御棒、遮蔽材の原料として必要な炭化ホウ素の国産化をはかるため、ホウ酸の脱水、無水ホウ酸の還元、無水ホウ酸の直接還元、炭化、沃化ホウ素の粉砕、成形、焼成に関する研究を行うとともに製品の性能試験を行い工業的製造法の確立をはかる。

2.原子炉用構造材料の研究〔金材技研〕

 TiO2、ZrO2等酸化物および窒化物、ホウ化物、炭化物について電気的、機械的、化学的性質のすぐれた材料を得るための研究を行う。

3.炭素材料資源の調査〔資源試〕

 核磁気共鳴吸収装置によりB10とB11の含有率、常磁性共鳴吸収装置により原料素材の黒鉛化性ならびに生成黒鉛の性状を調査し、素材の適応性を研究する。

4.原子炉用炭酸ガスの精製に関する研究〔昭和炭酸〕

 炭酸ガス純度に最も大なる影響を与える吸収、分解工程のモデルプラントを設計製作し、炭酸アルカリ吸収液による炭酸ガスの精製試験を行う。

5.二重温度交換法による重水の製造に関する研究〔昭和電工〕

(1) 将来の工業化に対しての基礎条件を把握するため二重温度交換装置(H2S−H2O系)を連続運転し物質収支、熱収支等の総合的結果を検討する。
(2)水素の水中あるいは触媒表面への拡散速度を大きくするため高圧、超攪拌、触媒の懸濁法等の基礎的条件の研究を行う。

6.水素液化精留法による重水素の濃縮に関する試験研究〔(委託費)〕

7.非金属材料の放射線損傷〔原研〕

(1)グラファイトの放射線化学的損傷、放射線により誘起されるグラファイトと冷却用気体(CO2、N2、空気等)の化学反応を研究しグラファイトと混合気体の放射線損傷を研究する。
(2)高分子材料の放射線効果
  Co60、リニアック、原子炉による高分子、たとえばイオン交換樹脂、ガスケット、絶縁物等の照射実験を行い耐放射線材料の研究を行う。
(3)高分子溶液の放射線効果の研究

8.材料試験〔原研〕

(1)金属材料(鉄、アルミニウム、ジルコニウム等)の常温、高温における特性、溶接点の強度、材料特性、疲労を試験する。
(2)非金属材料(合成樹脂等)の材料試験
(3)材料の非破壊試験、欠陥検査、燃料の表面検査等

9.燃料体外套用不浸透炭素に関する試験研究〔(補助金)〕

7.燃料再処理および廃棄物処理に関する研究

1.放射性廃棄物処理装置の研究〔原研〕

(1)イオン交換膜処理
  国産小型装置および輸入大型装置について連続イオン交換膜処理の工業的操作条件を検討する。
(2)沈殿濃縮処理
  フロキュレーターのエ業的操作条件を検討しまた合成高分子凝集剤の検討を行う。
(3)放射性廃気処理
  液体煙霧質のみでなく固体煙霧質についてもその基礎的実際的処理の研究を行う。

2.溶媒抽出法による燃料再処理装置の研究〔原研〕

 前処理(燃料溶液、気体処理)、抽出(脈動抽出塔ミキサーセトラー)、後処理(再生ウランおよびプルトニウムのイオン交換精製、FP流動層仮焼)、腐食、防食の研究を行うとともに国産技術を活用して試験装置本体の一部を製作する。

3.各種物性定数の測定研究〔原研〕

 比表面積測定、高温溶融金属および塩の物性測定を行う。また、廃棄汚泥の濃縮脱水に関する物性測定も行う。

4.フッ化物分留による燃料再処理の研究〔原研〕

 コールドエリアにおけるフッ素の取扱、耐フッ素材料試験、フッ素廃ガスの処理に関する研究を行う。後半はBrF3によるウランのフッ素化、UF6の分留研究を行うとともに高温におけるHF、F2の取扱を開始する。

5.溶媒抽出法による燃料再処理に関する化学的研究〔原研〕

(1)溶媒に対する放射線(γ線および中性子線)の影響
(2)ウラン抽出機構に関する研究
(3)新溶媒の合成とその溶媒特性の研究

6.廃棄物処理の化学的研究〔原研〕

(1)ルテニウムの化学的研究
 各種の錯塩形成別の影響を調べ分離の効率がよく、また固定するに便利な薬品を見出すことに重点をおく。同時に希薄酸濃度における加水分解の挙動、特に吸着イオン交換などの際の挙動を研究する。
(2)放射性廃棄物の固定法の研究
 放射性廃棄物の固定化、安定性および焼結方法について検討する。

7.強放射性物質の取扱技術に関する研究〔原研〕

 重装置の遮蔽を得て遠隔操作をなし得る化学反応装置およびそれらの取扱技術に関する調査研究を進める。

8.半均質系炉心、燃料再処理〔原研〕

 使用済燃料では多くの核分裂生成物は反跳エネルギーによって核燃料母体から飛び出してグラファイト中に存しているので核分裂生成物を機械的な分離法によって核燃料と分離することを目的として34年度は核燃料の粉砕の研究、重液ならびに乾式法による分離の方法等の研究を行う。

9.放射性廃棄物処理装置の試作に関する研究〔(補助金)〕

8.原子炉材料の物理学的研究

1.高速中性子に対する原子炉材料の核物理的性質の研究〔原研〕

(1)ヴァンドグラーフのパルス運転によるタイムオブフライト法により原子核による中性子の非弾性散乱等の測定を行い、高速中性子炉設計に必要なデータを提供する。このため34年度はヴァンドグラーフの高圧端子におけるパルス化およびミリマイクロセカンドタイムアナライザーの改良等によりタイムオブフライト法の測定装置の精度を向上させる。
(2)核分裂過程の研究を原子核乾板および大型液体シンチレ一夕一等により行う。

2.原子炉による炉材の検査法の研究〔原研〕

 パイルオシレーター法、黒鉛測定法を開発し、熱中性子吸収断面積測定精度をより高め原子炉材料の 純度測定法を確立する。

 中性子源としてはJRR−1を使用する。

3.低速中性子に対する原子炉材料の核物理的性質の研究〔原研〕

 原子炉構成材料の低速中性子に対する散乱、吸収、分裂断面積の精密測定を行う。JRR−2の完成後はクリスタルスぺクトロメーターおよびスローチョッパーをJRR−2に移しより精度を高める。そのためクリスタルモノクロメーターには回転式速度選別装置を製作し、JRR−2プラグ内に設置する。

4.原子炉材料の固体物理的研究〔原研〕

(1)黒鉛の照射(JRR−1、JRR−2、ヴァンドグラーフ、Co60)による蓄積熱量測定および昇温にともなう熱放出格子欠陥構造等を測定または解析を行い、黒鉛の安全性、耐久性の資料を得る。
(2)極低温における物理測定を行い、照射効果の機構を明らかにする。

5.照射損傷の研究〔原研〕

 放射線照射による物質の物理的性質の変化を測定し、照射損傷機構を解明する。また極低温における照射ならびに測定の準備を行う。

6.熱中性子線による原子炉材料の固体物理的研究〔原研〕

原子炉から出る中性子線を利用し、それを単色化して結晶物質にあて、その透過、回折、散乱等の強度を測定することにより固体物理性質を明らかにする。このため34年10月には、中性子線回折装置を完成させ予備的実験を行う。また粒子線では一義的に求められない不完全性等の研究を核磁気共鳴装置により実験を行う。

9.核燃料および原子炉材料の分析化学、放射化学的研究

1.中性子照射下ウラン、トリウム塩溶液およびスラリーの化学的安定性に関する基礎研究〔原研〕

 種々のウラン化合物(UO2、UO3、UC2、UF4)の合成、それらの化合物の放射線照射の場合の固体物理化学的、構造化学的研究を行う。

2.核燃料の分析化学的研究〔原研〕

(1)ウラン中の微量不純物、特に分離、定量の困難な希土類元素につきその分析法を検討する。
(2)金属ウラン中の各種添加物(Mo、Nb、Zr等)の分離、定量法の研究
(3)金属ウラン中の沃素、窒素、酸素などの非金属成分のガス分析法の研究
(4)702B質量分析計の整備を行い、主としてウラン同位体濃度の測定について検討する。
(5)トリウム中の微量不純物の分析をウランと並行して行う。

3.金属ウランの分析法の規格化に関する研究〔公社〕

(1)分光分析、化学分析の併用による微量不純物の分析法の研究
(2)矩形波ポーラログラフによる微量不純物分析法の研究
(3)水素、酸素、窒素等のガス分析法の研究

4.炉材料の分析化学的研究〔原研〕

(1)重水濃度の各種測定法(比重法、質量分析法、赤外線吸収分析法)の比較検討を行い日常分析法の基礎を確立する。
(2)炉材料に用いられる各種金属中の微量不純物としてアルカリ、アルカリ土類、希土類、ホウ素などの分析法を研究する。
(3)X線螢光分析法による各種合金類の定量法の確立
(4)ショットガン法等の物理的手段による中性子吸収物質の測定法につき、化学分析の結果と比較して検討する。

5.強放射性試料の化学分析に関する研究〔原研〕

(1)遠隔操作による重量、容量、吸光光度、発光分光等の分析法の研究を行う。
(2)微量の試料(μg以下)の分析に適した分析法の分析装置器具の研究

6.放射線の分析化学への利用研究〔東工試〕

(1)RIを線源とするX線吸収分析法の簡易装置を試作するため単色X線法に関する分析法の研究を行う。
(2)X線源としてRIを使用した小型分析装置を試作する。

7.核燃料の放射化学的研究〔原研〕

(1)U−Np−Pu系燃料の放射化学的研究
 トレーサ−量のPu239を用い、イオン交換樹脂法、溶媒抽出法などによりプルトニウムの化学的挙動を調べ、再処理におけるPuの分離精製法のデータを得る。またPu化合物、特に錯塩の物理化学的性質、Pu239のrecoilchemistryの研究を行う。
(2)Th−Pa−U系燃料の放射化学的研究
 JRR−1、JRR−2によるトリウムの照射によって得られるPa233を用いて共沈法、溶媒抽出法、陰イオン交換樹脂法等によりTh−Pa−Uの分離法等を確立する。希薄酸溶液中におけるPaの化学的挙動についても研究を進める。

8.放射能利用による分析法の研究〔東工試〕

(1)超微量成分の放射化分析法のうち放射化されがたい不純物の検出を行う場合の定量法の研究を行う。
(2)原子炉以外の中性子照射による微弱な放射能を迅速に測定して行う分析法の研究

9.核分裂生成物の放射化学的研究〔原研〕

(1)核分裂生成物から有用放射性同位元素の分離精製法の研究
 核分裂生成物の反跳を利用してFPからキャリア・フリーのI131の分離精製法の研究を行い、毎月数キュリー規模の製造プラントを目標にしてその設計に必要なデータを提供する。さらにTe132を分離精製し短寿命のI132をミルキングする方法を研究する。
(2)反跳核分裂片の燃料要素中における化学的挙動に関する研究
 ホットアトムの挙動およびその後の基底物質との反応について研究し燃料要素の破損現象を化学的見地から考慮する。34年度はアルミニウム、フッ化リチウムの単結晶をターゲット試料として基礎的な実験を行う。

10.原子炉化学に関する研究〔原研〕

(1)放射化分析法の研究
 33年度に引き続きJRR−1を利用して中性子放射化分析の開発研究を進め、核燃料、原子炉材料、半導体材料その他各種高純度材料中の微量不純物の放射化分析の実用化をはかる。またJRR−2を用いてさらに感度ならびに精度のすぐれた超微量分析法の開発を行う。
(2)ホットアトムの化学に関する研究
UO2−グラファイト系の半均質燃料要素の再処理法および天然ウランターゲット法によるI131の製造法にホットアトム特性を適用する研究を行う。

11.半均質系炉で燃料中の揮発性核分裂生成物の挙動

〔原研〕

(1)黒鉛結晶中の揮発性核分裂生成物の熱拡散の状態を明らかにし、さらに黒鉛ペレットにおける熱拡散の状態の研究をする。
(2)模擬燃料の炉内試験装置を組み立て、年度後半から炉内試験を行い、核分裂生成物の漏出状況をγ線スぺクトロメーターにより連続的に測定する。

10.核融合反応に関する研究

1.核融合反応に関する研究〔電試〕

 ドーナツ型放電管により超高温プラズマの発生ならびに観測の研究を行う。34年度は特に安定磁界による渦状ピンチを加えた場合の複合ピンチ現象およびこの観測のための特殊計測法の開発を行う。このため充電容量300KJのコンデンサー、プラズマ測定装置等を整備する。

2.核融合を目的とした超高温プラズマに関する研究

〔三菱原子力〕

(1)大型環状放電管を作り、この製作を通じて設計および工作、真空技術、重水素封入技術の研究を行う。
(2)100kW高周波発振器、100KJ衝撃電流発生装置を使用してプラズマの予備加熱の研究を行う。
(3)小型環状放電管を製作し高能率主電力注入方法の研究を行う。

3.大電流環状放電による超高温プラズマに関する研究〔東芝〕

 大容量短絡発電機、衝撃大電流発生装置および高周波電流発生装置を併用してドーナツ型放電管内に誘導ピンチ型プラズマを発生させオッシログラフ、高速度力メラ等によりプラズマの状態を研究し超高温の発生に必要な条件を求める。

4.核融合超高温プラズマの発生ならびに観測に関する研究〔神戸工業〕

 液体シンチレーション、高速度シンクロスコープ等により中性子の発生状況を定量的に測定する。

5.超高温プラズマ現象の測定に関する研究〔理研〕

 低圧大容量電解蓄電器により50kA程度の高温プラズマを得る方法およびその装置について研究を行い、発生したプラズマの物理的、電気的諸性質を測定する。

6.核融合反応実験装置の設計検討〔原研〕

 大学その他の研究機関の協力を得て委員会を組織し、中型実験装置の設計検討を行う。

7.核融合実験装置またはこれに必要な機器もしくは材料に関する試験研究〔(委託費)〕

11.原子力船に関する研究

1.原子力船の遮蔽の研究〔運技研〕

 原研のCP−5型原子炉を使って原子力船の遮蔽に必要な研究を行う。

2.舶用原子炉の動揺および振動の研究〔運技研〕

 33年度に設置した振動動揺試験台を利用して舶用原子炉構造物のうち比較的簡単な部分から耐振性の実験を行う。

3.原子力船船体の研究〔運技研〕

(1)水上船の推進性能に関する研究
 高速状態(20ノット以上)における波浪中の推進性能を研究するため水槽内の模型試験を行い原子力船の開発を促進する。
(2)潜水船の研究
 潜水船の推進抵抗試験、自航試験を実施し原子力潜水船の基礎研究を行う。

4.原子力船の船型、原子炉室の配置、遮蔽、その他周辺構造等に関する試験研究〔(委託費)〕

5.原子力船における外力の原子炉に及ぼす影響またはその対策に関する試験研究〔(委託費)〕

6.原子力船における機器こ関する試験研究〔(委託費)〕

12.放射線の測定に関する研究

1.放射線計測の研究〔原研〕

(1)マルチチャンネル波高分析器、時間分析器の試作
(2)高速度掛算器の試作および応用
(3)タイムオブフライト法の研究
(4)高分解スぺクトロメトリーの研究
(5)放射線標準機器および基礎データの整理

2.放射線の化学的計測の研究〔東工試〕

(1)放射線量測定用感光材料を改善するため潜像退行性がなく解像力もよく、広範囲の線量を測定できる写真乳剤の製造、現像処理の研究を引き続き行う。

(2)ポリビニルアルコールを保護膠質とする写真乳剤の製造研究および非ハロゲソ銀特殊乳剤の製造研究を行う。

3.放射性同位元素分析用干渉分光計の試作研究〔大工試〕

 放射性同位元素の成分、濃度の分析に最も適当と考えられる干渉分光計を試作するためエタロン用反射多層薄膜の試作に重点をおく。

4.RI利用による鋭感ガラスの研究〔電試〕

 放射線鋭感ガラスを使用した高感度線量計の試作研究を行う。

5.放射線標準確立の研究〔電試〕

 前年度に引き続き34年度は次の設備の整備および研究を行う。

(1)加速粒子照射装置および速中性子絶対測定装置、速中性子エネルギー測定装置を設置して中性子計測器の速中性子エネルギー特性と中性子計測器の較正方法の研究を行う。
(2)液体シソチレ一夕一式β放射能標準測定装置を整備して、低エネルギーβ放射線絶対測定装置にて測定を行い、気化放射能絶対測定装置による測定と比較して低エネルギーβ放射能の標準測定の精度を確保する。
(3)放射能標準溶液を製作して国内の需要に応ずる体勢を整える。
(4)β−γ、γ−γ同時計数式放射能絶対測定装置を整備して精度向上のための研究を行う。
(5)その他X線標準測定、X線量標準測定、微弱放射線量標準測定、β線の吸収線束、γ線の放射線量ならびに放射能の絶対測定を行う。

6.低エネルギー放射線の測定に関する試験研究〔(補助金)〕

7.放射線の検出または監視に関する機械装置または器具の試作に関する研究〔(補助金)〕

13.放射線障害防止に関する研究

1.人体および生物に対する放射線の測定に関する研究〔放医研〕

(1)個人被曝放射線量の測定方法に関する研究
(2)環境放射線量の測定方法に関する基礎的研究
(3)環境放射能の測定方法に関する基礎的研究

2.人体および生物に対する放射線の照射に関する研究〔放医研〕

 放射線の人体に対する吸収線量算定方法に関する基礎的研究

3.低汚染検出法改善の研究〔原研〕

(1)人体内放射性物質の量を知るため尿中の放射性物質の量を調べその核種を定量するデータを得る。また野外の放射性物質の核種の決定、定量法の基礎データを得る。
(2)低バックグランド高効率検出法を確立し、人体内の放射性物質の検出法を研究する。
(3)シンチレーション、スぺクトロメーター、蛍光分析計等を使用し物理的に核種を決定する方法の研究を行う。

4.核燃料物質による内部被曝線量の測定法に関する研究〔原研〕

 人体から放出される尿中のウラン量から内部被曝線量の算定法を研究する。

5.中性子吸収線量の測定に関する研究〔原研〕

(1)等価媒質のエキストラポーレーションチェンバーによる中性子のradの測定法を研究し(2)の研究の基礎とする。
(2)LETおよびmean LETを組み入れた中性子線の測定方法を確立する。

6.放射性物質による空気汚染度測定方法の確立に関する研究〔中検〕

 空気の汚染度の測定の標準測定方式を確立し、ダストサンプラーの検査、検定方式の確立をはかるため34年度は熱分離塔を設置しウラン鉱石、P32(リン酸ナトリウム)、Na24(酸化ナトリウム)の粉末を粒子の大きさ別に分離し、粒子の大きさと濾紙の通気度による捕集効率を測定する。

7.放射性物質による生活環境の汚染に関する研究〔放医研〕

 一般環境汚染特にSr90の人体への移行過程に関する研究

8.放射性物質による生活環境の汚染の除去に関する研究〔放医研〕

 一般環境の汚染の防止と除去のため、主としてフォール・アウトの粒度分布に関する研究を行う。

9.放射性物質による食品の汚染に関する研究〔放医研〕

 放射性ストロンチウムによる食品の汚染を主食、野菜について季節的、地域的に研究する。

10.水、空気、食品等の汚染機構の解明、分析処理方法の研究〔公衆衛生院〕

11.散乱ガンマ線の防御に関する研究〔鹿島建設〕

 原子炉およびホットラボにおける放射線遮蔽に関する設計の基礎を確立するため散乱放射線の防御理論ならびに防御設計理論をたて、それにもとづき防御構造体の部分試作を行う。

12.放射線防護の研究〔原研〕

 γ線、中性子線からの散乱線または2次線に対する有効な遮蔽の研究を行う。

13.放射線からの人体防護に関する研究〔放医研〕

 一般放射線の取扱施設におけるX線、γ線照射時の2次線のエネルギー分布および強度分布に関する研究

14.空気中の放射性物質に対する対策の研究〔労働衛生研〕

 通気抵抗が少なく、効率のよい放射性粉じん用防じんマスクの作成に必要な研究を行う。15.原子力の利用施設の放射線障害防止のための設計基準に関する研究〔建研〕

 33年度に引き続き照射室内の迷路の設計基準、塗床材料基準、汚染処理施設の設計基準に関する研究を行う。

16.放射性気体ならびに低レベル廃棄物の投棄に関連した東海周辺の気象海洋の観測〔原研〕

(1)気温、風向、風速等の2,000mまでの垂直分布の常時観測
(2)東海村周辺の大気乱流による拡散の研究
(3)研究所沿岸の海潮流の定期観測
(4)沿岸海流の乱流による拡散の研究

17.放射性廃棄物の海洋投棄に関する研究〔気象研〕

(1)深海用流速計による深海流の測定
 深海観測用13,000mテーパーワイヤー、深海流速計を用いて直接に深海の流速を求める。
(2)C14による深海流の速さの測定
 深海水のC14の放射能を測定し、その放射能の減衰から深海流の平均の速さを決定する。

18.放射性廃棄物の海洋投棄用容器の耐久性または放射性充填物の海洋汚染に関する試験研究〔(委託費)〕

19.事故対策の研究〔原研〕

 原子炉事故に関する調査および原研における原子炉その他放射性物質による事故時に対する対策を立案し、あわせて必要な器材の整備、職員の訓練を行う。

14.放射線の人体に及ぼす影響および放射線障害の予防診断治療に関する研究

1.放射線の作用に関する生物学的研究〔放医研〕

(1)細胞および組織に対する放射線の影響に関する研究
(2)細胞および組織の放射線に対する防護、回復作用に関する研究

2.放射線の遺伝的有意線量に関する調査所究〔放医研〕

3.放射線誘発突然変異の生物集団に及ぼす影響に関する研究〔放医研〕

(1)職業人集団に関する統計的研究
(2)遺伝的疾患集団と被照射集団との比較研究

4.放射線の影響に関する生理学的研究〔放医研〕

(1)放射線の神経および内分泌機能に及ぼす影響に関する研究

5.放射線の影響に関する病理学的研究〔放医研〕

(1)生体各臓器の放射線障害に関する病理組織学的研究
(2)放射線の腫瘍発生に及ぼす影響に関する研究

6.放射線による人体の影響に関する研究〔放医研〕

(1)各種自然および人工放射線による被曝線量と人体に対する影響との関係に関する調査所究
(2)各種放射性物質に起因する放射性汚染空気の吸入障害に関する調査所究

7.放射線の作用に関する生化学的研究〔放医研〕

(1)生物の物質代謝およびエネルギー代謝に対する放射線の作用に関する研究
(2)保護効果およびafter effectに関する生化学的研究
(3)生体物質に対する放射線の作用に関する研究

8.放射性物質の分析等に関する研究〔放医研〕

(1)生体および環境の各種成分元素の定量に関する研究
(2)生体および環境の放射性核種の化学分析に関する研究

9.放射線の作用に関する生物物理学的研究〔放医研〕

 細胞に対する放射線の作用機構に関する基礎的研究

10.放射線の人体に対する許容度に関する研究〔放医研〕

(1)微量放射線の長期被曝の影響に関する研究
(2)人体に対する体内放射性物質の許容量算定の基礎となる諸因子に関する調査所究

11.放射線による人体障害の予防および早期発見に関する研究〔放医研〕

(1)微量放射線の照射による障害に関する調査所究特に障害の早期発見に役だつ生物学的指標に関する調査研究
(2)呼気、体液、血液、排泄物中の放射能と障害の相関関係に関する研究

12.放射線障害の診断に関する研究〔放医研〕

 放射線障害の早期診断および障害度の決定に関する調査研究

13.放射線障害の治療に関する研究〔放医研〕

 放射線障害の治癒と悪性化、遅発性障害、後遺症等に関する調査研究

14.放射線による障害の予防薬および治療薬の基礎的研究〔放医研〕

(1)放射線保護物質の薬学的研究
(2)放射性物質の体内沈着除去物質の薬学的研究

15.放射線による障害の予防薬の薬理作用に関する研究〔放医研〕

(1)放射線保護物質の薬理作用に関する研究
(2)放射線物質の解毒排泄物質の薬理作用に関する研究

15.放射性アイソトープの製造に関する研究

1.短寿命RIの製造研究〔原研〕

 I131、P32の製造法、製造装置について33年度に引き続き研究を行う。34年度においては新たにCo58、Cr51、Cu64、Mn56、Ni65等の製造研究も行う。

2.ターゲットの分離精製に関する研究〔原研〕

(1)Fe、Co、Ni、Mn等の相互分離の研究
(2)P32製造用ターゲットであるイオウ中の不純物
 特にヒ素についての比色分析、放射化分析を行う。
(3)C14製造用ターゲットの金属窒化物の合成研究を行う。

3.高比放射能RIの製造研究〔原研〕

 ホットアトム効果による高比放射能のCr51の製造法を検討し、生産に移すためのデータを得る。また(n,p)、(n,α)および(t,n)反応によりCo58、P32その他のアイソトープを無坦体に製造する研究を行う。

4.RI不純物検定の研究〔原研〕

2πまたは4π比例計数管、シンチレーション計数管により、RI中の不純物の量および種類を測定する。

5.RI試験製造〔原研〕

33年度までに製造研究の行われたNa24,K42,As76,Br82,Au198,Cu64,Mn56等の試験的製造を行う。

 また大量のRIの生産が必要となるP32,S35,I131についての製造装置のための予備装置を作る。

16.放射線の利用に関する研究(農業)

1.γ線照射による育種研究〔農林水産会議〕

 各種農作物についてγ線照射による放射線突然変異を利用した育種研究を行うためにCo60γ線照射圃場を整備する。

2.アイソトープ利用研究〔農技研〕

(1)施肥法改善に関する研究
(2)γ線照射による作物の品種改良に関する研究
(3)堰堤漏水および潅漑水量測定に関する研究
(4)家畜飼育法改善に関する研究
(5)家雛の育種に関する研究

3.アイソトープ利用研究〔北海道農試〕

(1)泥炭地改良および合理的施肥法の研究
(2)馬鈴薯疫病の研究

4.アイソトープ利用研究〔東北農試〕

 火山灰漏水田の土壌改良ならびに施肥法改善の目的のため土壌中のリン酸の行動、リン酸の生産能率、低温下におけるリン酸の土壌および水稲体内の行動を明らかにする。

5.アイソトープ利用研究〔関東東山農試〕

(1)火山灰土壊の改良および合理的施肥法の研究
(2)家畜の飼養法改善の研究

6.アイソトープ利用研究〔東海近畿農試〕

 秋落水田の改良ならびに施肥法改善の研究を行う。

7.アイソトープ利用研究〔九州農試〕

(1)暖地瘠薄土壌の改良ならびに施肥法改善の研究
(2)病害虫に関するトレーサー研究

8.アイソトープ利用研究〔家畜試〕

(1)鶏白血病の診断に関する研究
(2)ウイルス増殖に関する研究
(3)γ線による微生物の変異に関する研究

特)γ線照射による家畜の障害に関する研究

9.アイソトープ利用研究〔蚕糸試〕

(1)絹糸タンパク質合成過程の研究
(2)γ線照射による桑および蚕の品種改良方法の研究

10.アイソトープ利用研究〔林試〕

(1)RIによる木材材質改良の物理化学的研究
(2)材木の合理的施肥法に関する研究
(3)リグニン、セルローズの生合成に関する研究
(4)γ線による材質処理に関する研究
(5)γ線による材木の人為突然変異に関する研究(食品)

1.アイソトープ利用研究〔食糧研〕

(1)防虫、防黴剤の作用効果究明の研究
(2)放射線照射による食品の保蔵の研究

2.アイソトープ利用研究〔水産研〕

(1)放射性標識化合物による養魚飼料の効率向上の研究
(2)水産動物油の栄養価の研究
(3)γ線照射による水産食品の保蔵加工の研究
(4)γ線照射による寒天原料処理の研究

3.放射線利用に関する研究〔栄養研〕

(1)アルコール、アミノ酸および無機質の代謝の研究
(2)放射線照射食品の質的変化とその生体に及ぼす影響(鉱工業)

1. 工具摩耗に関する研究〔機械試〕

2.放射性同位元素の鉱業等への利用に関する研究〔資源試〕

(1)機関燃焼における燃焼反応、潤滑油の劣化および摩耗の研究
(2)選鉱、選炭に対する利用の研究

3.有機化合物の放射線化学の研究〔原研〕

(1)有機減速材の研究ヂフェニール、ターフエニールおよびその混合系についてγ線、中性子線照射実験を行う。
(2)窒素化合物の中性子照射による標識化合物の直接合成の研究
(3)放射線分解の1次反応の研究、有機化合物の放射線分解反応の研究を行い、放射線の工業的利用の基礎データを得る。

4.放射線の有機化学工業への利用に関する研究〔東工試〕

 放射線の照射によって有機化学合成の分解反応の促進をはかり連続合成反応に必要な基礎的諸条件を追求する。

5.放射線利用に関する総合開発〔名工試〕

(1)放射線高分子化学の研究
 (イ)高分子材料(天然ゴム、ポリアクリロニトリル、スチレン、ポリ塩化ビニル)の品質改善の研究
 (ロ)高分子化合物(ポリメタクリル酸メチル)の合成法、塩化ビニルの気体重合、水と有機物との反応、エステル化反応の研究
(2)ラジオアイソトープの物理的利用に関する研究
(3)加速装置(リニアアクセラレーター、ヴァンドグラーフ)の維持および利用に関する研究

6.放射線による化学反応の促進に関する研究〔(補助金)〕

7.放射線照射による合成繊維の染色性、吸湿性改善に関する研究〔繊維試〕

 ポリ塩化ビニル繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリエチレン繊維等普通の方法で染色しがたい合成繊維の染色性を改善し、また吸湿性の少ない点を改善してすぐれた性能を付与する研究を行う。このためCo60、500キュリー照射設備を整備する。

8.放射性同位元素による試薬の精製、試験法の研究〔大工試〕

 亜ヒ酸、ヨウ素酸カリウム、シュウ酸ナトリウムの標準試薬の精製の研究を行う。

9.放射性同位元素による薄膜の測定に関する研究〔産工試〕

(1)インキ付着量に関する研究
(2)接着に関する研究

10.ラジオアイソトープの発酵工業に対する利用に関する研究〔発酵研〕

(1)発酵菌の物質代謝の機構の研究
(2)照射による微生物の変異に関する研究

11.アイソトープを利用した管理用計測器に関する研究〔(補助金)〕

(医薬品および医学)

1.外部放射線による診断法に関する研究〔放医研〕

 異なる線質を利用しうる診断法および装置に関する研究

2.アイソトープをトレーサーとして利用する診断法の研究〔放医研〕

 診断に利用しうるアイソトープの選択および従来の診断法との精度の比較に関する基礎的研究

3.外部放射線による治療法の研究〔放医研〕

 各種放射線の照射方式、線量、治療効果等の基礎的調査研究を行う。

4.内部放射線による治療法の研究〔放医研〕

 治療に利用しうるアイソトープの選択、内部組織、線量の算定等に関する基礎的調査研究を行う。

5.放射線利用に関する研究〔清瀬病院〕

(1)各種結核治療剤の体内分布および適当投与量研究
(2)結核患者の増血機能に関する研究

6.放射線利用に関する研究〔刀根山病院〕

(1)結核菌の微細構造とその機能に関する研究
(2)I131標識結核抗体とその他抗体による実験的空洞の研究
(3)C14標識菌による食菌現象の研究
(4)I131ツベルクリンによるツベルクリン反応の研究

7.放射線利用に関する研究〔予研〕

(1)放射線の抗毒素免疫および施療の異種移植にぼす影響
(2)血液保存、溶血性貧血および血液型因子支配物質の研究
(3)抗生物質の生合成ならびに検定法の研究
(4)バクテリオファージ感染過程に関する研究
(5)毒素タン白の生合成に関する研究
(6)放射線による殺菌、殺虫に関する研究

8.放射線利用に関する研究〔らい研〕

(1)標識らい菌によるらいの感染、発病、治療機構の研究
(2)γ線照射によるらい菌の変異および動物感受性の変化ならびにらい菌に対する致死効果の研究
(3)らい菌の代謝経路およびらい患者の代謝異常の研究
(4) 標識した薬物の合成とその生体内運命の研究

9.放射線利用に関する研究〔衛生試〕

(1)放射性医薬品の規格試験法に関する研究
(2)放射線による医薬品、衛生材料の殺菌に関する研究

(土木)

1.アイソトープ利用による研究〔運技研〕

 平面水槽を用いて漂砂の現象を解明し、漂砂対策工法の研究を行う。

2.アイソトープ利用による水理および構造材料に関する研究〔土木研〕

(1)地下水の追跡法に関する研究
(2)鉄筋コンクリート中の鉄筋の腐食に関する研究
(3)洪水時における河床洗堀測定法に関する研究
(4)中性子線を利用する表面水分計に関する研究

(その他)

1.アイソトープによる遺伝の研究〔遺伝研〕

 放射線による蚕およびネズミの遺伝に関する研究を行う。

2.短寿命RIの利用研究〔原研〕

(1)Co60γ線源を用いて(γ,γ)反応によるCo60γ線 の新しい線量測定法の研究を行う。
(2)Cd,In,Sr等安定アイソトープの濃縮度の決定をCo60γ線源による(γ,γ)反応により研究する。

3.Co60照射室整備および照射研究〔原研〕

 化学的線量測定法を研究し、すべてこの線量領域に対して測定しうる測定法を確立する。これに関連して水溶液系の放射線化学的研究を行う。あわせて照射に必要な付属実験施設を整備する。

4.リニアックの調整測定〔原研〕

 出力ビームおよびこれをターゲットにあてたとき発生する放射線に関係する測定器等を整備するとともにビーム特性、ランニング条件の測定および動作監視のための機器を整備する。また大電力マイクロ波およびパルス技術の研究を行い、本体の運転にそなえるとともにリニアックの出力増強のデータを得る。

5.トリチウムの利用に関する試験研究〔(委託費)〕

6.アイソトープを利用した発光体に関する試験研究〔(補助金)〕