原子力委員専門部会の審議状況

専門部会の審議状況について前号(第4巻第2号12ページ)以後の分を以下に紹介する。

放射能調査専門部会

 第11回(2月16日(月)14.00から)

議事内容

(1)放射能白書(仮称)について

 放射能白書(仮称)編集についての経過説明ならびに原案7以降のおもな訂正についての説明を行った後審議に入り、

(イ)広島、長崎の原爆影響調査のうち、ABCCの調査結果の部分を適当に省略する。
(ロ)天水調査のうち、ラジウムの分析結果は省略する
こととし、また発表の事務的手続について決定した。

(2)国連科学委員会について

 外務省中山事務官から国連科学委員会存続に関するいきさつについて、従来どおりの形でこれまでの任務を継続するということとなり、加盟国のメンバーも変りなく、予算もこれまでの仕事を続ける費用175,000ドルが認められたとの説明があった。続いて各委員から意見の発表および質疑応答があった。

 続いて、中山事務官から次の科学委員会が3月23日から国連本部において開催される通知があった旨報告があり、ついで国連科学委員会事務局勤務科学専門家候補について審議され、数人の候補者があげられ、人選については、都築部会長に一任することになった。

原子炉安全審査専門部会

 策8回(1月20日(火)13.30〜16.00)

配布資料
1.第7回議事録
2.関西研究用原子炉設置計画の審査について(答申書写)
3.原子炉設置許可申請書提出予定表
4.米国における比較的人口密集地の研究用原子炉について
5.原子炉災害について
6.教育用原子炉

議 事

1.コールダーホール改良型炉等の審議について

 今後の審査部会の審議の予定について伊原幹事(大沢幹事後任)から配布資料原子炉設置許可申請書提出予定表にもとづいて説明が行われた。なお、原子力局においては助成金を交付して、小型の研究炉を試作させることを考えているが、まだ具体的に決定してない旨の補足説明が行われた。

 これの審議にあたり確認された事項は次のとおりである。

(1)コールダーホール改良型炉の審査は通産省と合同で行うことになっており、これについての小委員会の結成については、現在ある第2、第3小委員会の処置をも含めて、事務局で案を作り次回の部会にはかる。
 なおコールダーホール改良型炉の申請がおくれるかも知れないが、参考説明書等の提出があった場合は各委員に送付、あらかじめ検討を願う。

(2)国際見本市展示用炉の審査については、まだ申請書は提出されていないが、性質上早急な審査を必要とされるので、とりあえず小委員会を作ることとした。小委員会は第5小委員会とし、小委員として武田委員を決定、その他は部会長に一任された。

2.基準部会との打合せについて

 この議題を持った主旨について原子力局藤波管理課長から要旨次のとおり説明があった。

 研究炉が都会に設置される傾向があるのでそれに対処し、民家との最小離隔距離等、立地条件について審査上の内規をあらかじめ定めておくほうがよいとも考えられる。基準部会では通産省の安全基準委員会と合同小委員会を設け発電炉、研究炉等の立地基準を審議中であり、また原子力委員会でも東海大学に関連してエクスクルージョンエリアについて研究中でもあるので、これについて各委員の御意見を伺いたい。

 また兼重原子力委員から要旨次のような説明があった。東海大学の原子炉設置については、部会で審議を願い、答申書も提出された。また松前重義氏からも質問書が出て、これに対して政府として答弁書を作成した。この問題はこれで終ったのではなく、また質問が出てくるかも知れない。

 現在は原子力委員会として東海大学の申請書に対して結論を出す段階にある。立地条件についても外国の例が参考にならないかと思って調べた(配布資料米国における比較的人口密集地の研究用原子炉について)が、本日はこれの検討よりもむしろ立地条件について審査の内規を作るか、作らないかということを検討していただきたい。

 次いで討論に移り、各委員の意見が提出された。そのおもなものは次のとおりである。
(1)立地条件についての内規は設けたはうがよい。
(2)土地の広さについては

(イ)訓練用炉では過剰反応度は0.5%以下のものが多いから、遅発中性子でコントロールでき、また負の温度係数もあって非常に安全であり、たとい暴走が起っても手動によってコントロールできるだけ時間の余裕があるからエクスクルージョンエリアは必要としても非常に狭いものでよいのではないか。
 たとえば広さを決める一方法として、出力10kW以下、過剰反応度0.5%以下ならば半径50m以上、出力1,000kW以下、過剰反応度2%以下ならば半径500m以上という決め方もあろう。
(ロ)臨界量、過剰反応度等は設計と実際とは違ってくるが、燃料装入時には確定させることができるから、これを基準に使うことは可能であろう。
(ハ)半径は100m以上ないと民衆を納得させ得ないのではないか。
(ニ)火薬工場の設置についてはなんらか参考となるような離隔距離の規定があるのではないか。
(ホ)炉を設置する土地の広さのほかに同一敷地内の他の建物との間の広さについても考慮しなければならない。(東海大学の場合は学生の通路に炉を設置している)
(ヘ)コンテナーの有無も考慮しなければならない。

(3)下水については開渠ではいけないのではないか。

 以上のような意見が提出された結果次のことが確認された。

(1)立地条件についての内規を審査部会で作成することとし、次回までに原案を事務局で作成する。

(2)立地条件についての内規は暫定的なものとし、恒久的な基準は基準部会に任せる。

3.原子炉災害について

 原子炉災害補償専門部会から当部会長に対し原子炉の災害について説明を求められており、1月29日の同部会で説明することになっているので、その際の説明内容について、配布資料「原子炉災害について」にもとづいて部会長および事務局から説明、了承された。

核融合専門部会

 第6回(2月20日(金)13.30〜16.50)

議  題

 核融合反応の研究の進め方について、その他

配布資料
(1)第5回核融合専門部会議事錬
(2)核融合反応の研究の進め方について
(3)Study Groupについてのアンケート(核融合懇談会)
(4)私はこう考える(宮本専門委員)

議事経過

 核融合反応の研究の進め方について、核融合懇談会でとったアンケートの結果に関して資料(3)について説明があったのち、これに関して各委員からそれぞれ意見がのべられ、ついで資料(1)にもとづいて答申案の審議を行い、原案に修正を加えて次回(3月30日開催予定)の部会で決定することとなった。次にBグループ結成の準備会を設けることしし、また専門委員の追加を考えることとした。

原子炉安全基準専門部会

 第6回(1月13日(火)13.30)

配布資料
1. 第5回議事録
2. 性能基準制定に問する基本的考え方
3. 性能検査検討事項
4. 放射線の許容線量及び放射性物質の許容濃度について(答申書写)
5. JRR−2の概要とその安全対策
6. 原産安全特別研究会資料(資料番号1から12まで)
7. 原産原子動力専門部会資料(資料番号2457および2482)

議  事

1.第2小委員会報告について

 第2小委員会の左合専門委員から次のとおり説明があった。

 第2小委員会としては通産省の立地専門委員会と合同で審議を行っており、前回の当部会で報告以後人畜の離隔等について審議を行っているが、これについては次回に報告したい。合同幹事会は1月8日開催した。前回の部会において依頼された研究炉の立地基準については、発電炉と並行して審議することとした。研究炉の基準については、(1)研究炉の設置をさまたげないこと。(2)安全を確保することをもとにして進めたい。研究炉の基準を作るにあたり、発電炉との相違は研究炉は比較的便利な地点が選ばれやすく、したがって人口密度、周囲の状況を十分考慮するつもりである。研究炉の基準についてその大綱の原案を原子力局で作成することになっており、次回に検討することになっている。

 次いで質疑応答に移った。そのおもなものは次のとおりである。

(1)通産省の立地専門委員会は3月末までに1次案の作成を目標としている。

(2)臨界実験装置、臨界未満実験装置については現在のところ核燃料物質の使用として規制しており、原子炉としては扱わない。したがって主任技術者、保安規定、報告等に違いがある。なお、臨界実験装置については安全の確保の面から原子炉と同程度に取締を行うつもりで法律の改正を準備中である。

2.第3小委員会報告について

 報告に先だち性能基準制定に関する基本的考え方について配布資料にもとづき事務局から説明があり、次いで第3小委員会主査神原専門委員から配布資料性能検査検討事項にもとづいて報告ならびに説明が行われ、引き続いて検討に移った。そのおもなものは次のとおりである。

(1)性能検査と施設検査の区別は性能検査は動特性を中心として考えており、その他は施設検査としている。

(2)ウイグナー効果、毒作用、温度係数等の検査は困難であるので検査を行わない。

(3)申請書の記載事項が検査の結果と違った場合に、その結果が安全側にあればよいが、そうでないと変更申請を行うことが必要となる。これをさけるために申請書に記載の際の幅を考慮する必要がある。

(4)検査に際して炉の出力が設計出力に満たない場合にもこの出力に対して許可証を発行する。

(5)申請の際に数値が決まっていないものは条件付認可という場合もありうる。

 以上のような討論の結果、第3小委員会の報告は了承され、さらに第3小委員会において基準の内容、申請書に記載すべき事項等についてさらに検討することとなった。

核燃料経済専門部会

 第6回(2月9日(月)13.30〜16.00)

議  題
1.中間報告の取りまとめ方について
2.核燃料サイクルに関する試算の結果について
3.その他

配布資料
1.核燃料所要量の計算 その2
2.第1次中間報告作成要領(案)
3.中間報告「まえがき」(案)
4.燃料費比較表
5.化学処理工場建設費推算

議事内容

1.中間報告の作成要領を決めた。今回の中間報告にはコスト試算は除き量的な結果のみを示すこととした。

2.BWR型に関する燃料サイクルの試算結果が報告された。

3.小委員会をもうけて、ウラン濃縮の問題を審議することとした。

原子力船専門部会

 第9回(2月2日(月)14.00〜16.30)

議 題  諮問の審議方法について

議事内容

 前回の部会において新諮問の審議の進め方として小委員会により具体案を作成し、この案にもとづいて部会で審議することとされたので、小委員会の設置を骨子とする「原子力船専門部会審議方針(案)」を作成し資料として提出され(別項参照)、内容の説明に続いて各委員から意見がだされ、修正の後決定し、また小委員長も別記のように決定した。

 なお、小委員会には必要があれば専門委員外で適当な人も加えること、小委員会は構成が完了次第作業を始め、次の専門部会に作業の進捗状況を報告することを決定した。

動力炉調査専門部会

 第2回(2月26日(木)13.30から)

議  題
1.資料の説明
2.検討の進め方

議事内容

 第1回専門部会の決定に従い、各専門委員で分担作成した動力炉の資料について、それぞれの型の概要、特長等の説明があり、若干の質疑応答があった。

 なお次回からは毎回一、二の型を取り上げて詳細に検討することとなった。

原子力災害補償専門部会

 第3回(1月29日(木)13.40〜17.00)

議  題

(1)原子力保険プール結成について
(2)原子炉災害について
(3)原子炉等規制法の改正について

議事内容

 現在結成準備中の原子力保険ブールの業務内容、特に原子力賠償責任保険普通保険約款案について逐条説明があり、原子炉等規制法の改正との関係、事故後における保険金額復元の問題等について討議が行われた。次いで原子炉安全審査専門部会部会長矢木栄専門委員から原子炉災害について、主として原子炉の技術的安全性の側面から災害の様相、発生の確率ならびに過去の実例等について説明があった。原子炉等規制法の改正については政府部内における意見調整の問題点およびその解決見通し等につき説明があり、法律に付随する政令の内容等については今後専門部会で固めていくこととした。

 第4回(昭和34年2月17日(火)10.00〜12.30)

議  題

 原子力災害補償問題海外調査員報告、その他議事内容

 欧米各国における原子力災害補償問題について調査した海外調査員から各国の補償制度ないしその案ならびに原子力保険の動向等について調査結果の報告があり、fiancial protectionと国家補償との関係、再保険と関連する各国の保険約款の内容等について質疑が行われた。

 次いで原子炉等規制法の改正について国会に上堤された最終案につき報告があった。

 なお今後の専門部会の運営方針として原子力保険、国家補償、法制問題の3点の審議を進めることとし、とりあえず規制法改正点の実質的内容をなす原子力保険の約款案を取り上げることとなった。