原子力局

 放射線医学総合研究所組織規則の一部を改正する総理府令が12月27日総理府令第89号として公布され、第1基礎、第2基礎の両研究部がそれぞれ物理研究部、化学研究部と改称され、また生物研究部、生理病理研究部および管理部技術課の新設をみるなど、一歩一歩新しい体制をもって機構の充実を急いでいる。いっぽうアメリカのアルゴンヌ国立研究所のヴォーゲル博士をかこむ懇談会の開催、日本短波放送による「放射線と人類」に関する放送の開始などの動きがみられた。

放射線医学総合研究所のうごき

組織規則を一部改正


ヴォーゲル博士を囲む懇談会

 アメリカ、アルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory)の生物医学研究部において、中性子による生物学的研究を行っているヴォーゲル(Vogel)博士はさる12月23日オーストラリアからの帰途来日、原研東海研究所、ABCC等を訪問したが、同27日帰国の途についた。

 この在日最終日、同博士は特に時間を割いて、午後1時30分から4時まで、放医研主催による「ヴォーゲル博士を囲む懇談会」に出席した。同懇談会には塚本憲甫放医研所長および所員のほか石川一郎原子力委員会委員、都築正男日赤中央病院長、村地孝一立教大学教授、宮川正東京大学教授、山下久雄癌研付属病院放射線科部長、島津フミヨ東京女子医大教授、亘理信一原子力局科学調査官の諸氏も出席した。ヴォーゲル博士はスライドを使用して、最近同博士がアメリカで原子炉を用いて行った動物実験の方法とその結果について講述、それについて、照射線量の測定、動物の生存時間、用いられた原子炉の種類と炉室の構造等を話題として活発な質疑応答が行われた。

「放射線と人類」について放送

 日本短波放送の毎週土曜日午後6時25分から40分までの15分間をあてられている科学技術庁調査普及局企画による「科学技術の話題」の時間を1月から3月まで「放射線と人類」と題するシリーズとして放射線医学総合研究所が企画担当することとなり、すでに1月3日を第1回として毎週放送されている。講師と演題および放送月日は下記のとおりである。(ただし一部予定のものを含む)

1月3日
 放射線医学総合研究所について(放医研所長 塚本憲甫)

10日

 放射線防護のための測定について(放医研物理研究部長 伊藤岳郎)
17日

 放射線の遮蔽について(放医研障害研究部人体障害研究室長 橋詰 雅)

24日

 放射線の人体への影響について(東大教授 宮川 正)

31日

 放射線の遺伝的影響について(立大教授 村地孝一)

2月7日

 最大許容量について(放医研障害研究部長 江藤秀雄)

14日

 アイソトープの安全取扱いについて
    (放医研化学研究部分析研究室長 伊沢正美)

21日

 放射線の健康管理について(東大助教授 勝沼晴雄)

28日

 放射線の診断への利用について(対談)
    (東京医科歯科大教授 足立 忠、東大助教授 田坂 皓)

3月7日

 アイソトープの診断への利用について(千葉大教授兼放医研付 筧 弘毅)

14日

 放射線とアイソトープの治療への利用について
    (癌研付属病院放射線科部長 山下久雄)

21日

 放射線の影響についての国際的な動き(立大教授 田島英三)

28日

 放射線医学総合研究所への要望(対談)
    (日赤中央病院長 都築正男、放医研所長 塚本憲甫)


放医研人事異動

12月27日、放医研組織規則改正に関する総理府令公布にともない、同日付をもって下記のとおり発令された。

総理府技官  塚 本 憲 甫

 放射線医学総合研究所第2基礎研究部長の併任を解除する。
 放射線医学総合研究所化学研究部長に併任する。
 放射線医学総合研究所生物研究部長に併任する。
 放射線医学総合研究所生理病理研究部長に併任する

総理府事務官  渥 美 節 夫

 放射線医学総合研究所管理部技術課長に併任する。

総理府技官  伊 藤 岳 郎

 放射線医学総合研究所物理研究部長に配置換する。