関西研究用原子炉設置計画の審査についての原子炉安全審査審門部会の報告

本格的審査は正式申請後


 原子炉安全審査専門部会では、京都大学から提出された関西研究用原子炉設置計画資料について同部会に設けられた第4小委員会を中心に検討を行ってきた(本誌第3巻第12号8〜12ぺ−ジ原子力委員会専門部会の審議状況のうち原子炉安全審査専門部会の項参照)が、一応全体の検討を終ったので、12月9日付で矢木部会長から原子力委員会三木委員長あて次のような審査結果の報告が行われた。

 なお本報告中にも述べられているように、本原子炉の本格的審議は、土地が選定され、設置許可申請書の提出をまって行われることになっており、本報告はもっばら設置計画の考え方を安全性の確保の点から検討したもので、立地条件等と関係なしに調べられる範囲について行った事前審査的な意味のものといえる。

              昭和33年12月9日

  原子力委員会
    委員長  三木 武夫殿

         原子炉安全審査専門部会  
             部会長 矢木  栄

関西研究用原子炉設置計画の審査について

 本部会は、関西研究用原子炉設置計画資料について検討を行ってまいりましたところ、今般一応全体の検討を終りました。

 ここにその結果を別紙のとおり報告いたします。

関西研究用原子炉設置計画の審査について

                      33.12.9  
           原子炉安全審査専門部会

 本部会は関西研究用原子炉設置計画資料につき検討を行ってきたが、今般一応全体の検討を終えた。その結果は下記のとおりである。


 京都大学が提出した関西研究用原子炉設置計画資料は、1,000キロワット研究用原子炉およびその付属施設の計画仕様とこれにもとづく安全および障害対策書(Hazards Report)から成っているので、本部会は同大学の原子炉設置計画の考え方が安全性の確保の点から十分であるかどうかについて検討を行った。その結果の意見は別記のとおりである。

 なお、当部会の本原子炉安全性の本格的審議は、今後、京都大学がこの設置計画に従って土地選定を行い、立地条件、建設費予算等との関連において具体的設計を作成し、原子炉設置許可申請書を提出することをまってなされるものであろう。

意  見

1.本研究用原子炉の計画は、十分な安全諸対策を採用しているうえ、その本来の性質上負の温度係数をもち、自動調整作用もあるので暴走することは考えられないが、万万一の災害時(人災および天災)に対処するため立地条件によっても異なるが、設置計画資料に記載されている隔離距離をとることが望ましい。

2.放射性廃棄物の処理の計画は、十分検討されているのでその安全性は期し得られるものと認められる。なお、今後の具体的計画において、その排水が上水道水源に流入するおそれのある場合は、流入しないよう措置することが望ましい。

3.その他設置場所の選定にあたっては、人家の密集した市街地、地盤に対する安全性を期し得ない土地、浸水のおそれのある場所は避けるべきである。