原子力委員会専門部会の審議状況


 原子力委員会専門部会運営規程第1条にもとづき、原子力委員会に、その指名する参与および専門委員をもって構成する専門部会を置き、原子力委員会が定める専門事項を調査審議することとされているが、本年度はじめの専門部会改組により、放射能調査、原子炉安全審査、重水、核融合、原子炉安全基準、核燃料、核燃料経済、金属材料および原子力船の合計9部会が設置され、調査審議にあたってきた。さらに10月、動力炉調査、原子力災害補償の2部会の設置が決定し、現在合計11の専門部会がおかれている。これらの専門部会の審議状況は、そのおもな項目についてはそのつど、審議日誌としては随時紹介してきたが、以下に今まで未掲載の分をとりまとめて紹介することとした。


 放射能調査専門部会(32.5.25.設置)

     (第7回までの議事概略については本誌Vol.3 No.2 25ページ参照)

 第8回(4月8日(火)14.00から)

  議題 1. 第4回国連科学委員会審議結果の報告
      2. その他

  議事内容

  藤岡原子力委員が3月辞任したため、放射能調査専門部会担当の後任委員として暫定的に菊池委員があたる旨了承し、次いで第4回国連科学委員会出席者(都築、 檜山、田島、森脇の客氏)から、それぞれの担当部門について、その審議結果の報告説明が行われた。


 第9回(5月27日(火)14.00から)

  議題 1. 第5回国連科学委員会出席についての打合せ
      2. その他

  議事内容

1.第5回国連科学委員会に、都築、田島の両委員が出席する件について説明のあったのち、国連から送付された報告書草案のAnnexについて検討された。次いで、報告書草案作成任務終了後の科学委員会のあり方につき、科学委員会に提出すべき日本側としての意見の検討とりまとめを行った。

2.三宅委員が、個人的に発表した海洋汚染に関する論文が米国側のマグロかん詰業者間で問題となり、日本側のマグロかん詰を排斥する動きがあるということについて、外務省アメリカ局長から問合せがあったので、三宅委員から論文内容の説明を求め、検討ののち、その意見を事務局においてとりまとめ提出することとなった。 (なお、本件については、 6月17日外務省アメリカ局長あてに当局の意見を提出した。)


 第10回(7月8日(火)14.00から)

  議題 1. 第5回国連科学委員会の報告
      2. 放射能白書(仮称)発行について
      3. 昭和34年度放射能調査計画について

  議事内容

1.第5回国連科学委員会に出席した都築、田島の両委員から、国連科学委員会最終報告草案の内容につき、担当部門別に説明があったのち、国連科学委員会を今後どのような形で存続すべきかについて検討が行われた。

2.事務局から提出された案にもとづき、34年度の放射能調査計画について審議された。

3.放射能白書(仮称)について審議されたがなお問題点があるので、檜山、田島、三宅の3委員がそれぞれ専門部分を受け持って検討を加えることになった。


 原子炉安全審査専門部会(33.3.28.設置)

  専門部会準備会(4.23水) 、第1回(5.27土)の議事については本誌Vol.3 No.514ペ一ジ参照。第2回議事概要は同No.8 32ページに掲載ずみであるが、関連事項の関係からやや詳細にして再録した。 (同号の日付5月17日は6月17日の誤り)

 第2回(6月17日(火)13.30〜17.00)

  議事内容

1.審議方針の検討について

 (イ) これの参考資料として配布資料「米国における原子炉許認可手続と災害評価の現状」について事務当局から説明を行った。これについて委員から米国における公聴会開催の方法および公聴会の権限、基準部会との関連、米国以外の諸国における安全評価の機構および方法、災害評価の具体的な作業の方法等について質疑応答があった。なお公聴会については、佐伯委員から電力設備については現在通産省で法律によって聴問会の開催を要求されているとの説明があった。

 (ロ)審議方針として下記事項が了承された。

(1)原子炉設置の許可は、米国における建設許可(条件付許可の場合も合めて)に相当するもので、その後の設計および工事の認可、性能検査合格、保安規定の認可とあいまって原子炉の安全性確保が図られ、原子炉運転が認められるものである。この段階が米国におけるAECの運転許可に相当する。

(2)本専門部会の審議範囲は、規制法で老えれば設置の許可についてだけであるが、原子力に関する重要問題と認識されれば、設置の許可以降の諸許可等の各段階においても審議を行うこととする。

(3)設置の許可の際に付された条件等についてのその後の処置は本部会において審議する。

(4)災害評価についての計算的チェックを行うような場合には、局、申請者、ときによっては原研等で行うこととする。
 さらに建築研究所、機械的強度の判断等についての適宜の機関に委嘱するかどうかは今後具体的なケースのつど定めることとする。

(5) 本部会は構成員も多いので開催回数等審議能力にも限度があるので、適宜少人数からなる小委員会を構成、そこで検討した結果(問題点の摘出であってもよい)を本部会に報告し、検討審議をする形態をとることとする。

2. 小委員会の設置について

(イ)さしあたりの問題として東海大学申請原子炉、原電の発電所候補地に関する安全性の審議は小委員会を作って行うこととし、その委員は次のとおり部会長から指名され了承された。

  第1小委員会(東海大学申請原子炉に関して)

    山崎、武田、広瀬各専門委員

  第2小委員会(原電候補地に関して)

    小平、佐伯、久布白各専門委員

(ロ) 原電のコールダーホール改良型原子炉についても資料の提出が行われたならば小委員会を組織して審議する。

(ハ) 関西原子炉等今後に予想されるものの審議については小委員会に付託するかどうか、そのつど考える。

 第3回(7月15日(火)13.00〜17.00)

  議事内容

1. 第2小委員会中間報告について

 第2小委員会主査小平委員から配布資料「第2小委員会中間報告書」にもとづいて報告ならびに説明が行われた。これに対して種々検討の結果、立地条件の調査の中心は気象についてであり、第2小委員会としては今後さらに「気象条件について調査すべき事項」を具体的に検討して、本部会に諮ることとした。

2. 第1小委員会中間報告について

 第1小委員会主査山崎委員から配布資料「第1小委員会中間報告書」にもとづいて報告ならびに説明があった。これに対して種々討論がなされ、第1小委員会の中間報告を了承し、安全部会としては、なお、本炉に対する結論を現在出すことなく、報告の主旨を原子力局から東海大学に連絡し、申請者の補足説明、本炉に対する米国AECの取扱等を承知した上でふたたび審議することとした。

3. コールダーホール改良型原子力発電所の安全について

 原電から提出された資料「コールダーホール改良型原子力発電所の安全について」の審議は第3小委員会を設けることとなり、委員として次のとおり部会長から指名され了承された。

  竹山、内田、山田、青木各専門委員

4. 関西原子炉設置について

 関西原子炉設置について、矢木部会長および藤波管理課長から、本部会に提出された主旨および在来の経緯について説明があった。本炉の事前審査については原子炉施設の設置場所が未決定であり、資金繰額等も不明である等の点から審議の意味はないのではないかという意見と、これらあいまいな点があってもある程度まで事前審議を行ってよいという意見があったが、結論として、場所、資金等について資料が提出された場合さらに再審議することとし、とりあえず立地条件と関係なしに調べられる範囲についてできるだけ事前審議を行っておくこととなり、第4小委員会をおくこととなった。なお委員として次のとおり部会長から指名、了承された。

 杉本、大山、武田、(樋口当日欠席)各専門委員

5.最後に矢木部会長から原子力委員会に対して次のような要望があった。

 本審査部会としては、安全を第一として審査を行うこととしているが、万一の災害の場合には、保険、補償について政府において十分な措置を講ぜられたい。
 これに対して兼重原子力委員から次のような答弁があった。
 これについては現在検討を進めている。時期はまだわからないが、原電の発電所ができるまでには確定したいと思っている。

 第4回(8月26日(火)13.30〜17.00)

  議事内容

1. 第1小委員会中間報告について

 第1小委員会武田、広瀬両委員(主査山崎委員欠席)から配布資料「第1小委員会第2次中間報告書」にもとづいて報告ならびに説明があった。これに対して種々討論がなされ、第1小委員会の中間報告が了承された。なお小委員会としては引き続いて審議を行うが、各委員においても本日の配布資料「東海大学原子炉設置追加申請書」について検討しておき疑問点等あれば次回において討議することとした。

2.第2小委員会中間報告について

 第2小委員会主査小平委員から口頭で報告が行われ了承された。報告の要旨は次のとおりである。
 「本小委員会は前回の報告後7月29日および8月26日に開催し、気象条件について(特に放射性空気の拡散について)検討した。特に8月26日には原電の関係者を招き、原電が行う気象調査の計画の説明を受けた。この結果この気象調査は長期間を要するので、その結果をまって審議することは現状に沿わないので、放射性空気の拡散についての Sutton の算式を諸外国ではどのように適用しているかを調査し、原電の場合について一応結論を出すこととするが、今後原電の気象調査会の調査についても常にその状況を把握するよう努める。
  なお、海洋、地震等気象以外の立地条件についても引き続き検討することとする。」

3.第3小委員会経過報告について

 第3小委員会主査竹山委員から配布資料「第3小委員会経過報告書」にもとづいて報告ならびに説明があった。これに対して種々討論がなされ、第3小委員会の経過報告が了承され、本部会としては報告の主旨を原子力局から原電に連絡し、回答をまってさらに審議を進めることとした。

4.第4小委員会中間報告について

  第4小委員会主査杉本委員から配布資料「第4小委員会中間報告書」にもとづいて報告ならびに説明があり、種々討論ののち第4小委員会の中間報告が了承された。なお、杉本主査から原子炉および廃棄物処理等の付属施設の具体的設計、設置場所の立地条件がわからないと小委員会としては、これ以上の審議が困難であり結論は出せない旨の補足説明が行われた。
  これに対し種々討論がなされたが、本部会としては原子炉および廃棄物処理等の付属施設の具体的設計および既提出資料に対する疑問点についての解答資料の提出をまって、さらにもう一歩審査を進め、立地条件についてはその上で検討することとした。

 第5回(10月7日(火)13.30〜17.00)

  議事内容

1.第1小委員会報告について

 第1小委員会主査山崎専門委員から配布資料「第小委員会報告書」にもとづいて報告ならびに説明が行われた。これに対して下記の問題点について種々意見交換がなされた。

(1)東海大学の原子炉格納施設が地下3階で現在の校舎に非常に近接して建設される計画なので現在の建物への影響が懸念されるから、工事施工については十分の注意が必要であり、建設費も通常よりはかなり高くなると予想されること。

(2)東海大学の原子炉管理能力については、(イ)現在、原子炉およびアイソトープ関係の主任教授が交渉中であること。(ロ)運転員、補助員は審議中であり、保健物理関係の担当者は交渉中であるとし、原子炉運転に直接従事する者が明らかにされていないこと。(ハ)これらの点は再三申請書が修正提出されたにもかかわらず一向充足される気配なく、したがって将来原子炉運転の管理能力が十分な者が確実に充足されるか否か疑わしいこと。(ニ)一般に原子力関係のための実験設備が貧弱であ り、また技術者の層が薄いことは第1号民間原子炉として管理能力の点から一考の余地ある問題であること。(ホ)申請書の記載にあたって管理能力を疑わしめる点がうかがわれること。(ヘ)以上の点からみて原子炉設置後の管理に万全を期し、かつ教育効果を十分あげることができるか否か疑わしい点があること。
  (なお、審査部会として、主任技術者等の技術者−保健物理関係者を含む−について内規を設けてはどうかという意見があった)

(3)廃水を流す下水は住宅街を貫流していて、開渠の部分があり、かつ水道管と交錯している箇所がある点について非常事故の排水対策、この部分の改修計画はどうであろうかということ。
  審議の結果当部会としては第1小委員会の報告の主旨を了承し、本日の部会での交換意見を反映した答申案を第1小委員会において作成の上、これを次回部会に諮ることとした。

 なお、小委員会報告書中の7行目「防水工事、地震対策等で」を削除した。

2. 第2小委員会報告について

  第2小委員会主査小平専門委員から配付資料「第2小委員会報告書」にもとづいて報告ならびに説明 が行われた。これに対して種々討論されたが、本報告書は現在までの資料にもとづく予備審査としては最 終的なものとして部会において了承された。なお、本申請がなされた場合その取扱については別途部会において決めることとした。

 なお、同報告書中2の(1)の1〜2行目を次のように変更した。

 「設置候補地及びその周辺は地質的には原子炉建設上の難点は見出し得ない。次に地震的には本州中央部としては現在のところ難点の少ない地点とみられている。(なお・・・・・・)」

 また(注)の(1)の2行目を次のように変更した。

 「・・・・・・の拡散式は低い所での測定(地上20mくらい以下)から・・・・・・」

3.第4小委員会報告について

 第4小委員会主査杉本専門委員から口頭でその後の審議経過の報告があった。報告の要旨は次のとおりである。

 「当小委員会は関西研究用原子炉について第1次の検討を終え、さきの部会に報告したように京都大学あて質問を発していたが、これに対して大学から回答(本日配布)があった。よって京都大学の藤本教授ほか2名の出席を得て10月6日に小委員会を開催し、追加資料の検討を行った。

 この小委員会においては時間がなかったので、詳細な部分についてまで十分な検討はできなかったが、結論としては原子炉自体の仕様書としては考え方として十分な安全性が確保できるよう作成されて いると認められる。廃棄物処理については、前回の非現実的な面をかなり修正しており、おおむね妥当 なものになったと思われる。したがって全般的には、通常の運転の場合には安全性上問題となる考え方はしていないように思われる。なお、非常の場合特に廃水の問題についてはやはりある程度定量的な解析が必要と思われる。これについては立地条件が必要となるので当小委員会としては、設置場所として阿武山を仮定して行うつもりである。

 いずれにしても、大学側としては、これからメーカーに注文して具体的設計を作製するので、原子炉の安全性を本格的に審議するのはこれら具体的設計および立地条件が出そろわなくてはできず、現段階としてはこの程度の批判しかできない。

 なお、今後の審査としては、廃水、立地の問題が出てくるので委員の追加をお願いしたい。

 部会としてはこの報告を了承し、新たに小委員として広瀬専門委員を部会長から指名して了承された。

4.コールダーホール改良型原子炉の安全性について

  コールダーホール改良型原子炉の安全審査を今後通産省に設けられるコールダーホール改良型原子力発電所審査委員会と合同して行うことについて配布資料「コールダーホール改良型原子炉の安全審査について」にもとづいて原子力局藤波管理課長から説明が行われ、了承された。

5.JRR−2設計および工事の方法の認可申請書について

 JRR−2の設計および工事の方法の認可申請書について原子力局藤波管理課長から局内におけるその進捗状況について簡単な説明が行われた。これに対し各委員からこの内容については質疑はなかった。

 (本件については本誌Vol.3No.5 20ページ参照)

  なお、当部会としてJRR−2原子炉施設の安全性について、その考え方を別の機会に原研から説明を求めることとした。

 第6回(11月11日(火)13.30〜17.00)

  議事内容

1.専門委員の追加について

 専門委員の追加について原子力局藤波管理課長から配布資料「原子炉安全審査専門部会専門委員の追加について」にもとづいて説明が行われ、続いて新専門委員、福田氏(後藤氏は欠席)の紹介挨拶があった。

2・東海大学原子炉設置許可申請に対する答申案の審議について

 第1小委員会で作成した東海大学原子炉設置についての答申案(配布資料「東海大学原子炉の設置について」)にもとづいて検討が行われた。その際討論された要旨は次のとおりである。

(1)原子炉を都内に設置することについて首都圏整備法で制約をしてはということも考えられるが、 小型原子炉については原則的に設置を排除する必要はなく、ケースバイケースに考えていくべきである。なお、大型のものについては別に考慮すべきであること。

(2)下水を改善する場合には少なくとも川に入るまでのところを改善した方がよいと思われること。

(3)誤操作および故意の行為等考えられないような事故のこともある程度考慮すべきであること。

(4)管理能力が悪いと適切な措置を誤ることが多いから管理能力と設置場所の広さとは関連がないとはいえないこと。

(5)周囲の事故の炉施設への影響も多少考えたこと(たとえば周囲の大火)。

(6)ノースアメリカンの事故解析は万全であると思えるが、東海大学申請の場所は常識的にあまりに狭すぎること。

(7)米国において、このような狭い場所の設置例があったとしても、米国と日本では経験および人口密度、下水施設の状況が違うこと。

(8)事故の際には人は25レム以下の被ばくで逃げることはできようが、この場合は補償問題が起ること。

(9)以上(1)〜(8)の諸点を総合して考えると設置場所が人家密集地帯であり、きわめて狭いということ、および下水が完備していないということが本答申の結論に影響しているのであるが、科学技術的にこれは危険であるという解析が必ずしもなされていないのに設置場所がいけないということに結論づけてよいかどうかについては、まだ原子炉は初期のものであり、日本における民間1号炉でもあるから、予想し得ないような事故に対する考慮とともに一般的に管理が複雑困難になるという常識的考慮にもとづいてなされたものと考える。

  設置場所はここでは絶対にいけないかどうかに  ついては、人家密集地帯であるから現在の計画では適当と認めないということであって、原則的には現計画が改められて提出された場合には再審査することとなろうということである。

  以上のような討論の結果、本答申案は現段階においては妥当なものと部会において了承された。なお、正式答申書ではこの案をもとにして形式、字句の修正を行うこととなり、部会長に一任された。

3.第4小委員会報告について

 第4小委員会主査杉本専門委員から配布資料「第

 4小委員会報告書」にもとづいて報告ならびに説明が行われた。

 なお、質問に関連して小委員会から次のような補足説明が行われた。

 「報告書中1.の半径500mの根拠は、事故の際この内部では25レムの放射能を受ける probability があるという範囲である。

 2.で排水を水道用に利用されないようにとしたのは、現在の規制法では、水の濃度が許容濃度の1/10以下であればよいのであるが、現段階では遺伝的影響もわかっていないし、民衆に与える心理的影響もあるので常時飲用する水道用水のためにはできるだけさけたほうが望ましいと考えたのである。

 なお、排水が灌漑用水に使用されることについての影響は、小委員会で検討したが、問題はないので報告書には書かなかった。

 これについて種々討論されたが、本報告書は部会において了承された。

4.コールダーホール改良型原子力発電所審査委員会の設置について

 今回通産省に設置されたコールダーホール改良型原子力発電所審査委員会について原子力局藤渡管理課長から配布資料「コールダーホール改良型原子力発電所審査委員会の設置について」にもとづいて報告、説明が行われた。


 重水専門部会(33.4.4.設置)

 (第1回議事概要は本誌Vol.3No.8 23ページに掲載ずみであるが、関連事項の関係からここに再録した)

 第1回(6月11日(水)14.00〜17.00)

  議題1.部会設立経過報告
     2.部会長選任
     3.重水関係研究成果の検討および成果の具体化にあったっての問題点の検討なら
      びに今後の研究計画の検討
     4.その他

 議事内容

 部会設立経過の報告があった後、千谷専門委員が部会長に選任された。引き続き米国等の重水の価格の問題等について意見がかわされたのち、重水研究の必要性、水素液化精留法、二重温度交換法等の問題点について検討が行われ、重水製造研究はすこし容量の大きいプラントでさらに進めて、企業化のための基礎技術を確立することが望ましいとの結論に達した。そうしてこれらの討議等をもとにして次回に原子力委員会への報告書を作成することに決定した。なお、この間斎藤専門委員の海外視察の報告があった。

 第2回(8月19日(火)13.30〜16.30)

  議題1.重水製造のための研究成果ならびにその成果の具体化にあたって問題点の検討
     2.その他

 議事内容

 第1回専門部会議事録の承認ののち、前回部会の討議にもとづき作成した原子力委員会への報告書(案)について検討が行われた。主として重水製造に対し今後採るべき措置、今後における重水製造および研究の問題点について検討が行われた。そうして「重水の需要の安定化、関連産業の開発技術の向上、国内付加価値の増加等から重水の国内生産が望ましい。重水を国内で生産するとすればすでに技術の完成した交換反応、水蒸留、回収電解の3法の組合せにより始める以外はなく、生産量は年産3〜4トンが妥当である。またさらに未完成技術である二重温度交換法、水素液化精留法は引き続き研究を進め製造技術を確立することが望ましい。また重水の国産化が必要な場合には国が製造設備を設けて、その運転を民間企業に委託する等の強力な助成措置を講ずる必要がある。」との結論に達した。これらの結論にもとづいて作成した中間報告書(案)は各専門委員に送付し、承認されたのち、10月8日付で中間報告書として千谷部会長から三木原子力委員長に提出された。(本誌前月号7ページ参照)


 核融合専門部会(33.4.11.設置)

  (第1回、第2回議事概要については本誌 Vol.3 No.8 23ページ参照)

 第3回(7月22日(火)10.00〜17.00)
 民間における研究計画について検討するため、科学研究所、東京芝浦電気、神戸工業、三菱原子力工業、関西二井製作所の各社から担当者の出席を求めて、それぞれの社における核融合研究の現状を聴取したのち、各委員から意見がのべられた。次いで核融合全般にわたっての研究開発方針について、菊池委員の作成した試案と前回のとりきめによって作られた全国的な調査結果をもとにして討議が行われた。

 第4回(10月27日(月)13.00〜17.00)
 34年度核融合関係予算についての事務当局からの説明およびジュネーブ会議に関する報告があったのち、今後の核融合に関する研究の進め方について討議した結果、35年度以降に核融合実験のための中間的な装置を作ることを前提とした研究グループを日本原子力研究所内にただちに設置する必要がある旨の答申を提出することに決定した。


 原子炉安全基準専門部会(33.4.18.設置)

  (第1回議事概要については本誌Vol.3 No.8 23ページ参照)

 第2回(7月22日(火)13.30〜17.00)

1.許容量について
 許容量についてまず配布資料「最大許容量の歴史、およびReport of 1956(Amendments to the Recommendations of ICRP」について提出者原子力局亘理科学調査官から内容の説明があった。これに対して、わが国における放射線障害防止法および原子炉等規制法の基準はICRPを基にして作成したものであるので、この改正を参考にしてさらに改正するのが望ましいのではないかとの議論があった。

2.次に配布資料「米国放射線障害防止基準」および、「Federal Law」について原子力局管理課伊原技官から説明が行われた。
  許容量について各委員から種々意見があったが、要約次のとおりである。

(イ)許容量についてはICRPでも米国の案を基にしているようであるからわが国でも米国のものによってはどうか。

(ロ)濃度については1週間平均とし、samplingの値をとってはどうか。

(ハ)線量については現在300mr/週だけ規定されているが、過線量のほかにも非常時の場合はいくら、年間ではいくらとかあわせて決めるとよい。

(ニ)測定の方法として平均値を基準とするとしてもその期間における変動をも規定する必要があるのではないか。

(ホ)廃棄物の場合、その放出絶対量も決める必要があるのではないか。

  許容量については小委員会を設けることになり委員として次のとおり部会長から指命され了承された。

   青木(主査)、江藤、浜田、吉岡各専門委員

 第3回(9月2日(火)13.30〜17.00)

1.第1小委員会中間報告

  第1小委員会主査青木委員から配布資料「第1小委員会中間報告書」ならびに同添付資料にもとづいて報告ならびに説明が行われた。さらに青木主査から「非常時において不用意に被ばくする場合の許容量については米国以外においてはなんらの規定もなく、また国際勧告にもないのでさらに検討が必要である」との補足説明が行われた。これに対して種々討論がなされ、小委員会の考え方はおおむね妥当であることが了承されたが、部会としてはICRPの勧告ならびにジュネーブ会議の資料を近く入手できると思われるので、これをまってさらに検討することとし、各委員においても検討結果を次回に持ち寄ることとした。
  なお濃度平均化を裏づけるため、測定方法についても今後小委員会で検討することとなった。

2.立地条件について
 配布資料「立地条件について」にもとづいて提案

 第4回(10月9日(木)13.30〜17.00)

1.第1小委員会報告について
 第1小委員会主査青木委員から配布資料「第1小委員会報告書」ならびに同添付資料にもとづいて報告ならびに説明が行われた。
 これに対して各専門委員から意見が述べられた。
 そのおもなものは

(1)3の3のロ、希釈する下水または河川の水の量をその全流量と仮定しているが、これでは都合よく希釈し得ないのではないか。

(2)3の3のニ、下水に排出する場合には希釈してから排出することにしたらどうか。

(3)3の3のト、大気の場合にも日間排気量を決めたらどうか。また連続監視装置を適当な場所に配置することとしているがこれの選定法をどうするか。

(4)人が通常立ち入る所を明確にしたほうがよい。

  以上のような意見が提出され、種々検討の結果部会において本報告書の大綱は了承され、事務局において字句の訂正等を待ったのち、次回に部会報告書として検討することとした。

  なお、不用意に被ばくする場合の基準についても第1小委員会で検討することとなった。

2.専門委員の追加について
  専門委員の追加について原子力局藤波管理課長から配布資料「原子炉安全基準専門部会専門委員の追加について」にもとづいて説明があり了承された。

3.部会の運営について
  本部会と通産省に設置されている原子力発電所安全基準委員会との調整について配布資料「今後の原子炉安全基準専門部会の運営について」にもとづいて原子力局藤波管理課長から説明が行われた。これに対して簡単な質疑応答が行われ了承された。

4.小委員の選任について
  前回の部会において第2小委員会(立地に関するもの)の小委員の選定は部会長に一任されていたが、閉会後次のとおり選任された。

 福田(主査)、正野、左合、長安各専門委員


 核燃料専門部会(33.4.18.設置)

 第1回(7月24日(木))

 原子力局から専門部会設立の趣旨説明があったのち、小川専門委員を部会長に指名、加工、検査、分析に関する審議方針を検討するためにまず現状の説明を行った。そのおもなものをあげると次のとおりである。

1.核燃料の検査は、原材料、加工工程中、製品の各段階で常時行わねばならぬものであるが、その製品の検査にあたって最も良く用いられる方法が非破壊試験である。一般に現在行われている試験は、(a)表面検査のための浸透剤試験、(b)内部およびポンドの欠陥検査のためのラジオグラフィ、(c)内部のキズおよびポンドの不完全検査のための超音波試験、(d)ウラン存在量決定のためのガンマシンチレーションカウンタ試験、(e)被覆および溶接の欠陥検査のためヘリウム・リーク・デテクタ等である。

 2.検査に要する費用は約20%であり、最初はコスト高になっても、技術指導を受けるほうが特殊効果はあがることになる。

 3.ウラン鉱石、ウラン地金の分析は全く別個のものとして扱わねばならず、前者については現在JISの原案ができている。

 4.酸化ウラン燃料は、大勢として将来用いられるようになると予想されるので、この部会でも審議の対象とするならば、その関係の適任者を専門委員に追加する必要がある。

 5.核燃料の品質および価格は、炉の安全、経済性に大きな影響を与えるが、工業製品としての燃料要素、素材としての核燃料および被覆材に関する検査の実態はほとんど海外の事情が判明していないので、次の要綱により調査団を派遣する。

 調査内容:検査制度、検査基準、検査施設

 調査時期:原子力協定が発効し輸入動力炉の仮契約が成立したのち、可及的すみやかに

 調査先:欧州各国、米国、カナダ等

 調査員:核燃料専門部会委員、原子力局、日本原子力研究所、原子燃料公社から;選出


 第2回(9月30日(火))

1.天然ウラン加工の現状報告が関係各機関からあり、次に国産1号炉燃料要素審議の経過報告として原研から次の説明があった。一昨年暮に原研では燃料要素委員会を設置し、数次にわたる会合および設計部門との打合せを行い、全般的に原研の開発する炉についての燃料を検討していたが、昨年9月に国産1号炉燃料加工分科会を設けて特にその焦点をしぼり、海外のメーカーに燃料要素加工の調査を依頼する等具体的な活動を行い、スペックについて各種検討を加えてきた。

 2.分析の現状報告が関係機関からあり、「分析の標準化について同一試料でも分析方法により値が異なってくるため分析方法を確立することと、普遍的な個人差のない標準測定法を確立することとが必要である。しかし公社のみのときは標準分析法の確立を必ずしも必要としないと思われる。共通の試料を配り各所で分析を行ってみないと確立されない。」との意見があった。

 3.原子力委員会で発表した核燃料開発に対する考え方(案)を配布し、意見があれば提出してくださるよう依頼した。

 第3回(11月14(金))

1.国産1号炉用核燃料の加工について

  原子力局から国産1号炉用核燃料加工に関する技術開発の現状調査結果および見通しにつき、資料により説明があり、一部字句訂正の上了承した。次いで国1炉用核燃料の加工の方針について審議し、次の結論を得た。

(1)初期装荷燃料の加工を国内で行う場合は、国産1号炉の完成は1年以上延びる可能性が大きく、これを予定どおり完成させるためには、核燃料の加工は国外に委託する必要がある。

 (2)加工を国外に委託する場合でも、ウラン地金は、原子燃料公社の製錬所において生産されるウランをできるかぎり使用することとしたい。この場合、ウラン地金が使用に耐えるものであるかどうかは国内において検査を行うほか、各種検査を外国に委託する等の方法により、また、予定している時期(34年11月ごろ)までにどのくらいの量が期待できるかはタイムスケジュールを精密にたてて十分検討する必要がある。

(3)国内における技術開発は引き続き推進し、その結果照射試験を含む各種試験を満足するものができ次第使用することとする。このため各研究当事者がよりいっそう密接に協力して研究を推進することが望ましい。

2.その他

(1)金属ウランの分析について原子燃料公社理事今井委員から口頭により分析方式確立のための方策について次の提案があり、これを了承した。

 (提 案)

 とりあえず、日本原子力研究所がフランスから輸入したウランの提供を受け、これと原子燃料公社がアメリカから輸入した手持ウランとを用いて分析試料を作り、これを東京大学(平野教授)、名古屋大学(竹内教授)、原子力研究所、原子燃料公社の各所において分光分析、化学分析を主体として実用的な信頼性のある分析方法を確立するためのおおよその方向を確める。なお、ガス分析は時期的にこれにより多少遅れる見込みである。
 次の段階として原研、公社が中心となり民間企業、原子力金属懇話会、理化学研究所、日本分析学会等の協力を得て分析方法を確立することとし たい。

(2)コールダーホール型原子炉の燃料要素の検査について

   日本原子力研究所、原子燃料公社、日本原子力発電会社においてそれぞれの立場から引取検査の考え方について、次回までに一応の案を作成し、次回専門部会において検討する。


 核燃料経済専門部会(33.4.18.設置)

 第1回(7月1日(火)14.00〜16.00)

 議題

  1.部会長の選出
  2.審議方針の説明
  3.今後の運営についての検討
  4.その他

 議事内容

 1.部会長の選出について
   部会長として大山専門委員を主選出した。

 2.審議方針の説明および今後の運営についての検討
  核燃料サイクルの検討方法に関する事務局の考え方を説明し、討論の結果、次回(8月13日)の専門部会までに事務局において、核燃料サイクルの問題を検討する際に考えに入れるべきファクターの案をつくり、次回にそれを検討して計算に移ることとした。

 第2回(8月13日(水)10.00〜13.00)

 議題

 1.核燃料サイクルの考察にあたり考慮すべき要素について
 2.その他

 議事内容

「核燃料サイクルの考察にあたり考慮すべき要素」

(事務局案)を説明し、今後の審議のすすめ方を検討した結果、次の諸点をとりきめた。

1.核燃料サイクルの問題を検討するに際し、考慮すべき問題としては、

 イ U235の消費量
 ロ 天然ウランの消費量
 ハ 核燃料の輸入金額
 ニ 燃料費
 ホ 発電原価

 が考えられるが、これらのうちでいくつをとりあげるかは、作業を進めてみた結果から考えていく。

2.考慮すべき原子炉型式としては

 イ 黒鉛減速ガス冷却型
 ロ PWR型
 ハ BWR型
 ニ 天然ウラン重水型

 を最初にとりあげる。

3.計算方法として、山田専門委員からSpinradの示す計算式について説明をきき、その方法によって簡単な once-through の場合から計算にとりかかることとした。

4.計算の前提となる技術的条件をきめた。

第3回(10月30日(木)10.00〜13.00)

議題

1.核燃料サイクルに関する試算結果について
2.今後の進め方について
3.その他

議事内容

1.核燃料サイクルの試算結果につき、荒川、山田、両専門委員から説明があり質疑を行った。
2.浅田、山本両専門委員から計算に使用すべき参考データに関する説明があった。また原子力関連産業の発展予想に関する資料を事務局から説明した。
3.今後の進め方について次の諸点をとりきめた。

イ 荒川、山田両専門委員から提出された計算結果についてなお検討し意見を交換する。

ロ これまでに提出された核燃料サイクル計算の前堤となる資料は事務局において整理し、次回に提出する。

ハ 荒川、山田両専門委員に依頼した計算は、資料の整備をまってさらに続けていただく。

ニ Puと濃縮ウランの価格の比較を行う。

 第4回(12月4日(木)13.30〜17.00)

 議題

 1.核燃料サイクルに関する試算の結果について
 2.核燃料サイクル試算に使用するデータの検討
 3.その他

 議事内容

 1.前回に引きつづき、山田専門委員から提出された核燃料サイクルの計算結果について説明があり、質疑のうえつぎの諸点をとりきめた。

イ これまでの計算方法に開発規模をとり入れて試算していただく。

ロ PuをU235と核的に等価におくという仮定の検討を目標の一つに考えていただく。

 2.核燃料サイクルの計算に必要な技術的データのうち、前回までに決定できなかったものを、SENNに対するproposalの資料を参考として決定した。

 3.これまでに集めたコスト関係の資料を事務局でととのえ、次回専門部会に提出することとした。


 金属材料専門部会(33.5.2.設置)

 第1回(7月16日(水)13.00〜16.20)

 議事内容

 兼重委員から専門部会発足の挨拶、堀助成課長から専門部会設立の趣旨説明があり、部会長の決定を次回に操り越すこととし、三島参与を座長として議事をすすめた。まず原子燃料被覆材の製造ならびに原子炉および付帯装置に使用する金属構造または加工に関する研究計画の調査および検討に関して幹事から資料について原子力予算による金属構造材料の研究実施状況について説明があり、各委員の質疑応答および資料に対する要望があった後、問題点の摘出ならびにこれに対する意見がのべられた。


 原子力船専門部会(33.5.16.改組)

 森専門部会は32年12月9日第1回を開催してから、32年度中に3回開催した。(第1回議事については本誌Vol.2 No.12 4ページ、第2回、第3回についてはVol.3 No.3 16ページ参照)33年4月21日原子力委員会設置法施行令の一部を改正する政令の公布施行にともなって専門委員の定数が増加されたので、本専門部会も5月16日改組され、部会構成人員も増員されて18名となった。

 第4回(7月3日(木)10.00から)
 前3回の部会においては、主として原子力船研究の現状の調査が行われた。今後の審議方針として原子力船開発上の問題点を整理し、本来の議題である研究題目と研究方法に関する結論を求めることとした。今回は原子力局から提出した資料「原子力船開発上の問題点」を中心に検討した。

 第5回(8月7日(木)13.00から)

 前回に引き続き、問題点の整理が行われ、前回原子力局から提出した資料に対する各委員の見解が表明され、問題点の優先順位をのぞいておおむね整理を終了した。

 第6回(10月31日(金)13.30から)

 第2回ジュネーブ会議における原子力船関係論文について原子力局から報告があったのち、前回までに問題点について整理した結果にもとづいて、原子力船の開発に必要な研究題目とその方法に関する報告書案を幹事から提出し検討した。これについては、部会長から担当委員を指名し、次回までに結論を得ることとした。


 動力炉調査専門部会(33.10.22.設置)

 第1回(11月28日(金)13.30から)

  議題1.部会設置の主旨説明
     2.部会長の互選
     3.部会の運営について

  議事内容

 石川原子力委員および法貴原子力局次長から部会設置の主旨を説明し、各位の協力を要請したのち、瀬藤参与を部会長に互選、ついで部会運営の討議に入った。
 部会の結論の出し方は、将来の動力炉に対する研究方針および開発計画につながることが望ましいわけであるが、検討を進めるにあたって動力炉の型式、年代別にいずれを対象とするか、あるいはその評価方法をいかにして行うか等についていろいろの意見が述べられた。部会ではさしあたり各専門委員が分担して、各国で動力炉用として研究されている各型式について資料を整理し、その将来性ならびにわが国への適応性等をまとめ、次回に持ち寄って検討を始めることとした。

次回は34年2月の予定。