第2回放射線取扱主任者試験の実施

受験申込者総計464名


 第2回放射線取扱主任者試験は、8月27日の科学技術庁公告にもとづき10月18日(土)、19日(日)の両日東京(東京大学法学部)および大阪(関西大学天六学舎)の両試験地において実施されたが、その受験者の内訳および受験状況は次のとおりである。なお合格者の発表はおって公告される。

第2回放射線取扱主任者試験受験者数一覧表


第2回放射線取扱主任者試験問題集


1.法令

第1−1問

(1)放射性同位元素を使用しようとする者(以下1問において「使用者」という。)は、使用の許可を受けた後使用を開始するまでにどのようなことをしなければならないこととなっているか。

(2)使用者が、放射性同位元素又は放射性同位元素によって汚染された物を土中埋没の方法によって廃棄する場合には、どのような技術上の基準に従わなければならないこととなっているか。

(3)使用者は、放射性同位元素のすべての使用を廃止したとき(使用の許可を取り消され、又は使用の停止を命じられたときを除く。)以後において、どのような措置を講じなければならないこととなっているか。

第1−2問 次の文章中正しいものには○印を、誤っているものには×印をつけ、誤っている場合にはその理由を簡単に記せ。

(1)100万電子ボルト以上のエネルギーを有するエックス線装置を使用しようとするときは、「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」に基く使用の許可を受けなければならない。

(2)放射性同位元素、放射性同位元素装備機器又は放射線発生装置の使用の許可は、禁治産者及び準禁治産者に対しては与えることができないが、使用の許可を取り消され、取消の日から2年を経過した者に対しては与えることができる。

(3)放射線発生装置を随時移動して使用する場合(放射性同位元素を製造する場合を除く。)に、使用施設の基準として要求されることは、工場又は事業所内において、放射線量率が科学技術庁長官の定める許容線量率の10分の1をこえるおそれのある場所に、境界さくその他人がみだりに立ち入らないようにするための施設を設け、かつ、総理府令で定めるところにより標識を附することだけである。

(4)放射性同位元素の使用の許可を受けた者が、その住所を変更した場合には、変更の日から30日以内に科学技術庁長官に変更の許可を申請しなければならない。

(5)放射性同位元素装備機器を鉄道、軌道、索道、無軌条電車、自動車及び軽車両により運搬する場合には、放射性物質車両運搬規則の規制を受ける。

(6)放射性同位元素の使用の許可を受けた者は、総理府令で定めるところにより、使用施設、貯蔵施設又は廃棄施設に立ち入る者について、放射線量、粒子束密度及び放射性同位元素による汚染の状況を測定して、その結果を記録し、かつ、これを保存しなければならない。

(7)放射性同位元素の販売の業の許可を受けた者は、その許可証に記載された貯蔵施設の貯蔵能力の範囲内では、使用又は販売の業の許可を受けない者からでも自由に放射性同位元素を譲り受けることができる。

(8)放射性同位元素の販売の業の許可を受けた者が、放射線取扱主任者の代理者を選任したときは、放射線取扱主任者が職務を行うことができない期間が30日にみたない場合を除き、選任した日から30日以内にその旨を科学技術庁長官に届け出なければならない。

第1−3問 次の文章中の      のうちに入る適当な語句を番号とともに記せ。

(1)放射性同位元素の詰替は、1.     において行わなければならない。

(2)使用施設に常時立ち入る者の1週間の被ばく放射線量は、2. (手、前ぱく、足又は足関節部のみが被ばくする場合にあっては、3. )をこえないようにしなければならない。

(3)放射性同位元素の販売の業の許可を受けた者から運搬を委託された者は、放射性同位元素を容器に入れ、かつ、包装してトラックにより運搬する場合に、その放射性同位元素による放射線量率を、その放射性同位元素から1メートル離れた位置において4. 、包装の表面において5.    をこえないようにしなければならない。

(4)「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」でいう「放射性同位元素」は、放射線を放出する同位元素及びその6. 並びにこれらの7.       、放射線を放出する同位元素の数量が科学技術庁長官が定める数量をこえるものである。ただし、8. 、核原料物質及び9.     を除く。

(5)換気設備は、10.    における排気中の放射性同位元素の濃度を、作業室内の人が常時立ち入る場所における空気中のその放射性同位元素の最大許容空気中濃度の11.     以下とする能力を有していなければならない。ただし、このようにすることが著しく困難である場合において、放射線監視設備の設置その他放射線障害の防止に関し特別の措置を講ずることによって12.      と認められるときは、この限りでない。

(6)管理室には、少くとも、13.     14.        及び15.      を備えなければならない。

2.管理技術

第2−1問 放射線取扱者がガンマ線を全身に照射され、放射線障害を受けたか、又は受けたおそれのある場合に放射線取扱主任者のとるべき処置を3つ以上あげよ。

第2−2問 次の事柄について簡単に答えよ。

(1)放射線の最大許容週線量

(2) 放射線取扱者が体内外より同時に照射される場合の最大許容週線量

(3)放射性同位元素の最大許容水中濃度

第2−3問 下記の条件で放射性同位元素を扱うときの注意すべき重要な事項を3つあげよ。ただし、廃棄のための準備を含めて考えてもよい。

(1)24Naを塩化物として水溶液で扱うとき

(2)35Sを硫化物として高温でつかうおそれのあるとき

(3)10-6マイクロキュリーの131Iを気体として用いるとき

第2−4問 32Pの22,200cpm/ml のものを使用したい希望があった。1mc/ml のものが貯蔵びん(内容10ml)に1mg入っているとき、どのようなうすめかたで目的の溶液を調製するか。使用するG−M計数管のみかけの計数効率は10%である。

第2−5問 放射性同位元素又は放射性同位元素によって汚染された物を廃棄する方法4つを示し、その場合に必要な設備を記せ。

第2−6問 次にかかげる液体状の放射性同位元素を流す排水管の材料のうち、不適当なもの2つを挙げよ。
    鉛管   陶管(土管)  フューム管   塩化ビニール管   鉄管

3.測定技術

第3−1問 ガンマ線の照射線量率(レントゲン毎時)を測定するには、電離箱、G−M計数管、シンチレーション・カウンターのうち、どれを使用するのが原理的に最も適当であるか。またその理由を簡単に述べよ。

第3−2問 最大許容水中濃度の10分の1程度の45Caを含む廃液がある。この放射性濃度を決定するにはどのような測定を行ったらよいか。

第3−3問 50ミリキュリーの60Coを厚さ3.6センチメートルの鉛容器に入れ、各辺30センチメートルの段ボール箱の中央に納めた。この荷物は車両輸送に適しているかどうかを計算によって確めよ。ただし、(1)60Coのガンマ線に対する鉛の半価層は1.2センチメートル、(2)この荷作方法は、放射線の漏えいに関する以外は充分満足なものとする。(3)段ボール箱のしやへい能力を無視する。(4)1キュリーの60Coから1メートル離れたところの照射線量率は1.35r/hである。(5)車両輸送において許される漏えい照射線量率は、線源から1メートルの距離において10mr/h、包装表面において200mr/hとする。

4.物理学

第4−1問 ガンマ線と物質との相互作用について簡単に述べよ。

第4−2問

(1)1.    の数がひとしく、2.      の数をことにする原子核又は原子を、たがいに同位体という。

(2)3.     の数は4.      番号とひとしく、その原子の化学的性質を定め、それぞれ異った元素に対応するものである。

(3)現在発見されている元素の数はおよそ5.     で、またその同位体各部をかぞえると、約6.        に達する。

(4)原子核の大きさは、およそ7.       センチメートル、またその周囲の電子軌道の拡がり、すなわち原子の大きさは8.     センチメートル程度である。

第4−3問 次の2問のうち1問について答えよ。

(1)1/40eVのエネルギーをもつ中性子の速さを計算せよ。ただし、中性子1個の質量を1.67×10-24 g、また1eV=1.6×10-12erg とする。

(2)235Uの原子核1個が熱中性子によって分裂する際、およそ200MeVのエネルギーを発生する。235U 1gがすべて分裂するとき発生するエネルギーは何カロリーか。
  ただし、1eV=1.6×10-12erg、1cal=4.2×107erg、Avogadro数=6×1023

5.化学

第5−1問 放射性核種を製造する3つの異る方法を、原子核反応式により例をあげて説明せよ。

第5−2問 放射線取扱主任者の職務上、化学的な知識はどんな場合に必要か。3つ以上例をあげて説明せよ。

第5−3問 次の事柄について説明せよ。

   (1)放射平衡  (2)ホットアトムの化学 (3)ラジオコロイド (4)同位体希釈分析

6.生物学

第6−1問 「放射線の効果を考察するには2つの方法が可能であるが、これらは決して互いに両立しないものではなくて、互いに補足しあう点が多い。」と国連科学委員会報告書第4章放射線生物学基礎論の「直接効果と間接効果」に関するところに書かれている。放射線生物学でいう直接効果と間接効果とは、どういう効果をいっているのであるか、それを説明せよ。

第6−2問 次の文章中の(       )内の適当でない方を消せ。

 放射線によっておこる突然変異は、一般に (1.無害、有害) であり、非常に低い線量水準においてさえ、遺伝有意線量(Genetically significant exposure)に (2.正比例、比例)して増加すること、人間の集団における(3.自然突然変異、放射線による突然変異) の2倍にするには、おそらく(4.一週、一世代)の間に10ないし100ラドの照射量が必要であろうことが認められる。全出生数の約4%は遺伝的異常におかされており、少くともその約4分の1は(5.単一の遺伝子、染色体上の遺伝子の位置)の変化によって主として決定されているように思われる。

 これに基いて、突然変異率が増すと、異常は直線的に増加して結局この4%の一部−−その4分の1から全部までの間−-だけが加わることになる。

第6−3問 人体が放射線の外部照射を受けた場合の放射線障害には、比較的早期に発生するものと、晩期に至って生ずるものとがある。これらの例を2つずつあげて簡単な説明を加えよ。

第6−4問 次にかかげる組織は、それぞれ放射線の感受性が異なると一般に考えられている。これらを(a)感受性の高い(放射線によって障害されやすい)もの、(b)中程度のもの及び(c)感受性の低いものの三群に分けよ。

生殖腺  皮ふ  限  骨髄  淋巴組織  脾臓  肝臓  腸  筋組織  結締織  血管  脂肪組織