放射線医学総合研究所の動き

業務計画の概要と営繕等実施計画


放射線医学総合研究所では、本年7月1日をもって創立1周年を迎え、さきに起工式を挙行するなどようやくその活動も本格化してきたが、このたび、33年度業務計画と営繕等実施計画について科学技術庁庁議の承認をうけ、さらに前進への体制をととのえつつある。

千葉大筧教授併任さる

7月1日付をもって下記のとおり発令された。
総理府技官に併任する。  文部教官 筧 弘毅

昭和33年産業務計画
(昭和33年6月)

第1基礎研究部

1.放射線測定方法の研究

(1)実用放射線測定方法の研究

イ、個人被曝放射線の測定方法の研究
ロ、環境放射線の測定方法の研究

(2)実用放射能測定方法の研究

イ、環境放射能の測定方法の基礎的研究

2.放射線照射に関する研究

(1)放射線の吸収線量の算定に関する研究

イ、β線、γ線の人体に関する吸収線量の算定方法の研究

3.放射線防護に関する研究

(1)放射線防護用遮蔽に関する研究

イ、X、−γ線防護用遮蔽に関する研究
ロ、二次X、−γ線防護に関する強度およびエネルギー分布の研究

 

第2基礎研究部

1.放射線障害に関する分析化学的研究

(1)放射性核種の化学分析に関する研究

イ、骨中の放射性ストロンチウムの定量とその意義
ロ、放射性ストロンチウム、セシウム等の分析法

(2)生体の各種成分元素に関する研究

イ、放射化分析による生体成分元素の定量法

2.放射線の化学的作用に関する研究

(1)放射線の生化学的作用に関する研究

イ、放射線照射大腸菌のリボ核酸の安定性
ロ、大腸菌の酸可溶性リンの成分および代謝の照射による影響
ハ、呼吸酵素に対するX線照射の影響

障害研究部

1.人体に対する微量放射線の影響に関する調査研究

(1)各種自然および人工放射線による被曝線量の調査研究

イ、診療時の生殖腺被曝線量の調査研究(特に文献調査)

(2)各種放射性物質に起因する放射性汚染空気の吸入障害に関する基礎的研究

イ、発塵および吸入方法の研究

2.放射線の人体に対する許容量に関する調査研究

(1)微量放射線による障害についての直接的調査研究

イ、X線技師の障害ならびに遺伝的影響についての調査

(2)長期障害に関する調査研究

イ、二十日ネズミの被曝線量の寿命短縮に及ぼす影響に関する実験的研究

(3)人体細胞の放射線感受性に関する研究

イ、組織培養法による実験的研究

(4)長大許容量に関する研究

イ、文献的調査研究

3.放射線障害の早期発見および予防警戒法に関する基礎的研究

(1)微量放射線の照射による障害の早期発見に役だつ生物学的指標に関する研究

イ、放射線障害の発見に役だつ生物学的指標の分類

(2)放射線保護物質の研究

イ、還元酸化物質の反障害作用

(3)放射性物質の体内沈着除去物質の研究

イ、核分裂生産物の生体分布について
ロ、セシウムおよびストロンチウムの沈着除去物質について

環境衛生研究部

1.放射性物質による環境汚染に関する研究

(1)一般環境の汚染に関する研究

イ、特定地域の環境汚染に関する調査研究
ロ、バックグラウンド放射線の測定ならびにフォールアウトのバックグラウンド放射線への寄与に関する研究

(2)一般環境汚染の人体への移行過程に関する研究

イ、生体の骨中のストロンチウム90の測定に関する研究
ロ、フォールアウトの農作物から生物体への移行ならびに沈着機序に関する研究

2.放射性物質による食品の汚染に関する研究

(1)放射性物質による食品の汚染に関する研究

イ、飲料水、食品の汚染に関する研究

3.放射性廃棄物の処理に関する研究

(1)気体、液体および固体廃棄物の処理に関する研究

イ、廃棄物処理に関する文献的調査研究

営繕等実施計画