放射能白書の作成

わが国内外における放射能の現状


 わが国における放射能調査は、昭和32年度から科学技術庁が中心となって一元的な方針のもとに実施することになり、すでに第1年目を経過したわけであるが、その結果については、担当各省庁から速報、期報、年報として出されている。しかしこれらの内容は概して専門的であり、また各個ばらばらに出されているので、わが国における放射能調査の現状を大観するには不便である。しかも放射能に対する国民の関心はますます深まりつつあり、ときには不要な危惧を抱いている向きもあるので、原子力委員会では、わが国における放射能の調査結果をとりまとめその問題点を明らかにすると同時に、今後の放射能調査計画を樹立し、これを広く知らしめることにより国民の放射能に対する関心に応えようとする目的で「わが国内外における放射能の報告書」を作成することを昭和32年7月の放射能調査専門部会において決定したが、昭和32年度の放射能調査はまだその途上にあり、最終的な結果は得られておらず、人員その他の関係もあって着手はのびのびとなっていた。しかし、この報告書の作成は必要欠くべからざるものであるので、調査年度も終りに近づいた昭和32年12月および33年1月の放射能調査専門部会でふたたびとり上げられ、内容等について審議の結果ただちに着手することとなり、所定の手続きを経て作成にとりかかった。しかし、その執筆者は専門部会委員のほか、各省庁の担当者等多くの方面にわたり、同一項目についてもたとえば海洋関係は気象庁、水路部、水産研究所などで行われているものをまとめる必要があり、また内容についても内外の情勢など微妙に関係するところもあって、一応原稿のまとまったのは4月上旬となった。これを謄写印刷として配布し、これにより検討会を5月初めから数回に渡って開催した。その結果、全面的に訂正を要求されたものもあり、また新たに追加すべき資料もあって、これらは提出され次第謄写印刷として配布し、ひきつづき検討を行うこととなっている。(6月7日現在)