さる3月23、24日の両日にわたって、東京および大阪の両試験場において行われた第1同放射線取扱主任者試験の応募者および受験者数ならびに4月12日公告された合格者氏名(東京91名、大阪54名、合計145名)を以下に紹介する。 第1回放射線取扱主任者国家試験応募者および受験者数 (1)応募者数 (2)応募者年齢別内訳 (3)応募者学歴別内訳 (4)科目別受験者出欠数 放射線取扱主任者試験合格者公告 放射線取扱主任者試験の実施細目及び放射線取扱主任者免状の交付等に関する規則(昭和33年総理府令第8号)第6条第1項の規定により、第1回放射線取扱主任者試験(昭和33年3月23日及び24日施行)の合格者を次のとおり公告する。 昭和33年4月12日 科学技術庁長官正力松太郎
第1回放射線取扱主任者試験問題集 1.法令 第1−1問 「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」における放射線、放射性同位元素装備機器及び放射線発生装置とはいかなるものをいうか、具体的に列挙せよ。 第1−2問 「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令」に規定する換気設備について次の問に答えよ。 第1-3問 「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」において、次の行為のうち全く自由に行えるものには○印を、自由に行えないものには×印をつけよ。 第1-4問 「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」において下記の各項のごとき場合、使用者又は販売業者が、科学技術庁長官の許可を受けること若しくは届け出ることが必要な項にはそれぞれ許可叉は届出の字句を、許可又は届出の両者とも不必要な項には不必要の字句を、番号順に記せ。 第1−5問 「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」及び同法施行令の規定に基き、次の文中の のうちに入る適当な語句を番号とともに記せ。 (1)使用者及び販売業者は、総理府令で定めるところにより、1. するおそれのある場所について、2. 、粒子束密度及び3. の状況を測定してその結果を記録し、かつ、これを保存しなければならない。 (2)使用者及び販売業者は、総理府令で定めるところにより、使用施設、4. 貯蔵施設又は廃棄施設に立ち入る者に対し、5. しているかどうかを発見するために必要な措置を講じなければならない。 (3)使用者及び販売業者並びに6. は、放射性同位元素を運搬する場合(7. 又は8. により運搬する場合を除く。)においては、総理府令(鉄道、軌道、索道、無軌条電車、自動車及び軽車両による運搬については9. 令)で定める技術上の基準に従ってしなければならない。 (4)10. である使用施設の主要構造部は、耐火構造又は11. その他の12. を用いた構造とすること。ただし、科学技術庁長官が定める13. 及び14. の放射性同位元素を使用 する場合には、この限りでない。 (5)使用施設には、放射線を15. にしやへいすることができるしやへい壁その他の16. を設けること。 (6)貯蔵施設は、貯蔵室、貯蔵箱等17. の施設とすること。 (7)工場又は事業所内において18. が科学技術庁長官が定める許容線量率の19. をこえるおそれのある場所には、境界さくその他人がみだりに立ち入らないようにするための施設を設けること。 (8)液体状の放射性同位元素又は放射性同位元素によって汚染された液を流す場合には、排水設備(排水管、20. その他液体状の放射性同位元素又は放射性同位元素によって汚染された液を21. し、又は22. する一連の設備をいう。)を設けること。 (9)廃棄施設は、23. 及び24. のおそれの少い場所に設けること。 2.管理技術 第2−1問 放射性同位元素を使う場合、又は放射線発生装置を使って放射性同位元素を製造する場合には通常管理室を設けることになっているが、この管理室について下の問に答えよ。 第2−2問 A)下の各種作業室床仕上のうち、放射性同位元素による汚染と云う点から見て不適当なもの一つをあげよ。 a.磁器タイル張り b.アスファルトモルタル塗 C.板張り d.アスファルトタイル張り B)下の各種構造物の中から多量の放射性同位元素を使う使用施設として不適当なもの二つをあげよ。 a.鉄筋コンクリート造 b.木造板張り C.ブロック造 d.木造モルタル塗 e.鉄骨石綿板張り 第2−3問 次の場合にとるべき適切な処置を順序に従い、箇条書にして簡単に記せ。 (1)10マイクロ・キュリーの燐32(32P)を含む少量の水溶液を実験机上にこぼした場合 第2−4間 次の文の正しいものには○印を、間違っているものには×印をつけよ。 (1)コバルト60(60Co)のガンマ線を遮蔽する場合、遮蔽物の厚さと密度との積が同じであれば、鉛を用いても、コンクリートを用いても、その遮蔽効果は大差がない。 (2)作業室への物品の持込みには、特に制限はない。 (3)使用する放射性同位元素を選択する場合には、使用の目的に適し、かつ最も危険度の少いものを選ぷべきである。 (4)ガンマ線に曝射された物体はかなりの誘導放射能を帯びる可能性があるから、その物体の放射能を検査しなければならない。 (5)放射性同位元素を含む溶液を入れたガラス器具類は必ず廃棄せねばならない。 第2−5問 放射線障害を防止するため行わねばならない健康管理の方法について知るところを記せ。 第2−6問 放射線の人体最大許容量とは如何なることか。 3.測定技術 第3−1問 空間のガンマ線量分布を測定するのに使用されるガイガー・ミュラー計数管式と電離箱式の放射線サーベイ・メーターにつき、それぞれの特性上の特徴と使用上の注意事項とを述べよ。 第3−2問 放射線測定に関する次の各項の計算を行え。但し計算を行う前提条件があれぱ、それも明記せよ。 (1)総計数値が、625の場合の統計的誤差(標準誤差)(%)を求めよ (2)分解時間が100マイクロ秒の計数装置で測定した結果、計数率が20,000毎秒であったという。この場合の計数落しによる誤差(%)を求めよ (3)2πガス・フロー計数管を使用した計数装置でコバルト60を含む試料について測定した結果、ベータ粒子の計数率が1,110毎分であったという。この場合のコバルト60の量(マイクロ・キュリー)を求めよ (4)48.0ミリ・キュリーのコバルト60標準線源から空気中で400センチ・メートルのところにガンマ線用放射線サーベイ・メーターを置いたとき、その指示値が17.0ミリ・レントゲン毎時であったという。この場合の指示値の誤差(%)を求めよ。但しコバルト60標準線源から空気中100センチ・メートルのところにおける照射線量率は1.35レントゲン毎時であるとする 第3−3問 ガイガー・ミュラー計数管、およびこれを使用した測定器に関する次の各項について説明せよ。 (1)プラトー (2)プラトーの傾斜 (3)不感時間(dead time) (4)回復時間(recovery time) (5)分解時間(resolving time) (6)自然計数(natural count)
4.物理学 第4−1問 次の諸単位について簡単に説明せよ。 (1)レントゲン(roentgen) (2)キュリー (curie) (3)ラド(rad) (4)レム(rem) 第4−2問 次の核応式を写し、その□の中に適当な記号を記入せよ。但しβ−は陰電子の、γはガンマ線の記号を表わす。
第4−3問 次に掲げる放射性同位元素を含む物質を壁の厚さ2mmの鉛容器に納めたとき、その外部で電磁放射線が検出される。こからほどうして発生したか、それぞれの場合について説明しなさい。 (1)13N (2)60Co(3)90Sr+90Y
5.化学 第5−1問 次のことばを簡単に説明せよ。 (1)放射化学 radiochemistry 第5−2問 次のA、B 2問中1問を選んで解答せよ。 A) 1 キュリーのラドン222(222Rn)の重量(g)とそれが標準状態でしめる体積(ml)とを示せ。 但し、{222Rnの半減期 3.825日 Avogadro数 6.02×1023 B)ペニシリン製剤中のペニシリン含有量を知るため、その1.00gを正確にはかり、溶媒にとかした。次に生合成でつくった35S−ペニシリン10.0mgを加え、通常の精製法でペニシリンを純粋に結晶としてとり出した。この抽出されたペニシリンと生合成ペニシリンとにつき、同一条件で放射能を測定したところ、下表の結果となった。ペニシリン製剤1g中に含まれるペニシリンのmg数及びその標準偏差を求めよ。但し、ひよう量の誤差は熟視し得るものとする。
6.生物学 第6−1問 人がγ線により外部全身照射を受けたとする。次の場合その人の身体にどんな障害が起るかを簡明に記せ。 (1)毎週300ミリレムの割合で1年間受けた場合 第6−2問 次のラジオ・アイソトープが誤って人体に入ったとき、如何なる臓器組織に主として沈着し障害を与え易いか。 (1)放射性燐(32P) 第6−3問 次の文中の 内に適当な語句を番号と共に記せ。 電離放射線照射(ionizig radiation)は突然変異(mutation)を誘発させる。動物の成熟精子では染色体異常(chromosome aberration)と点突然変異(point mutation)、又はゲン突然変異(gene mutation)とがある。γ線線照射の場合1. は照射線量にほぼ正比例して増大し、2. は線量の2乗又は2/3乗で増大するといわれている。したがって障害予防上微量照射が長く続くような場合には3. の発生に注意しなければならず、一時的大量照射の場合には4. の発生も考えに入れなければならない。 第6−4問 生物学的効果比率(RBE)(relativ biological effectiveness)について簡明に記せ。 |