核燃料物質の使用等に関する規則

(昭和32年12月9日公布総理府令第84号)

(核燃料物質の使用の許可の申請)
第1条 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律第166号。以下「法」という。)第52条第2項の核燃料物質の使用の許可の申請書に記載すべき事項中同項第五号の予定使用期間及び年間予定使用量については、核燃料物質の種類ごとに記載するものとする。

2 前項の申請書の提出部数は、正本1通及び副本2通とする。

(変更の許可の申請)
第2条 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令(昭和32年政令第324号)第9条の変更の許可の申請書の提出部数は、正本1通及び副本2通とする。

(使用の技術上の基準)
第3条 法第57条に規定する使用の技術上の基準は、次の各号に掲げるとおりとする。ただし、核燃料物質を使用する者で科学技術庁長官(以下「長官」という。)の定めるものについては、第三号から第五号まで及び第八号の規定は、適用しない。

一 核燃料物質の使用は、使用施設において行うこと。

二 使用施設の目につきやすい場所に、使用上の注意事項を掲示すること。

三 核燃料物質の使用に従事する者以外の者が使用施設に立ち入り、又は接近する場合は、その核燃料物質の使用に従事する者の指示に従わせること。

四 核燃料物質を使用する場合は、作業衣等を着用して作業し、かつ、これらの作業衣等は、使用施設外において着用しないこと。

五 使用施設における放射線量率、その空気中における放射性物質濃度及び核燃料物質による汚染の状況を使用施設に立ち入る者のある日について、毎日1回以上測定すること。

六 使用施設においては、次の措置をとること。

イ 従事する者の1週間の被ばく放射線量が、長官の定める許容週線量(以下「最大許容週線量」という。)をこえないようにすること。

ロ 従事する者の呼吸する空気中又は飲用する水中等の放射性物質濃度が、長官の定める許容濃度(以下「最大許容濃度」という。)をこえないようにすること。

ハ 従事する者の触れるものの放射性物質表面濃度が、長官の定める許容表面濃度(以下「最大許容表面濃度」という。)を こえないようにすること。

七 核燃料物質の使用は、いかなる場合においても、核燃料物質が臨界に達するおそれのないように行うこと。ただし、臨界集合試験のために使用する場合は、この限りでない。

八 換気設備、放射線測定器及び非常用設備は、常にこれらの機能を発揮できる状態に維持しておくこと。

(廃棄の技術上の基準)
第4条 法第58条に規定する核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物で廃棄しようとするもの(以下「放射性廃棄物」という。)の廃棄の技術上の基準は、次の各号に掲げるとおりとする。

一 気体状の放射性廃棄物は、排気施設によって廃棄すること。

二 液体状の放射性廃棄物は、排水施設によって廃棄し、若しくは廃液糟に廃棄するか、又はこれを容器に封入して廃棄すること。

三 液体状の放射性廃棄物を封入する容器は、容器が破損した場合において、封入された放射性廃棄物の全部を吸収することができる材料で包むこと。

四 固体状の放射性廃棄物は、水の浸透しない、かつ、腐食に耐える容器に封入して廃棄すること。

五 放射性廃棄物を容器に封入して廃棄する場合は、障害防止の効果をもった埋没箇所その他の廃棄施設にこれを行うこと。ただし、固体状の放射性廃棄物については、これらの廃棄施設に廃棄することが著しく困難な場合に限り、海洋に投棄することができる。

六 前号に規定する場合にあっては、その容器は、廃棄の際及び廃棄後において破損するおそれがない程度の強度を有するものであること。

七 固体状の放射性廃棄物を海洋に投棄する場合は、次によること。

イ 放射性廃棄物を封入した容器の比重は、1.2以上であること。

ロ 投棄する箇所の海洋の深さは、2千メートル以上であること。

ハ 放射性廃棄物の埋没箇所その他の廃棄施設には、その存在を明示する標識を設けること。

九 第四号の規定にかわらず、大型機械等容器に封入して廃棄することが著しく困難な放射性廃棄物は、容器に封入しないで廃棄することができること。この場合においては、次に掲げるところによる。

イ 浸水、風雨等によって当該放射性廃棄物による汚染が広がることを防止すること。

ロ 飲料の用に供する井戸、貯水池その他これに類するものに影響を及ぼさない箇所に置くこと。

ハ 当該放射性廃棄物を置いた箇所及びその周辺の場所で放射線障害の発生するおそれのある場所については、標識を設けて立入制限を行うこと。

十 放射性廃棄物を排気施設によって排出する場合は、排気施設においてろ過し、必要に応じて放射線の強さの時間による減衰、多量の空気による希釈等の方法をとって、排気中における放射性物質濃度をできるだけ低下させること。この場合、排気口において、又は排気口を中心とする周辺に放射性物質濃度を必要に応じて測定することができる排気監視域を設け当該監視域において、排気中の放射性物質濃度を監視することにより、人が居住し、又は通常立ち入る場所のいかなる地点においても、その空気中の放射性物質濃度を最大許容濃度の10分の1以下とすること。

十一 放射性廃棄物を排水施設によって排出する場合は、排水施設においてろ過し、必要に応じてイオン交換樹脂法による吸着、放射線の強さの時間による減衰、多量の水による希釈等の方法をとって、排水中における放射性物質濃度をできるだけ低下させること。この場合、排水口において、又は排水口を中心とする周辺に放射性物質濃度を必要に応じて測定することができる排水監視域を設け当該監視域において、排水中の放射性物質濃度を監視することにより、排水監視域外における水中の放射性物質濃度を最大許容濃度の10分の1以下とすること。

十二 廃棄施設においては、次の措置をとること。

イ 従事する者の1週間の被ばく放射線量が、最大許容週線量をこえないようにすること。

ロ 従事する者の呼吸する空気中又は飲用する水中等の放射性物質濃度が、最大許容濃度をこえないようにすること。

ハ 従事する者の触れるものの放射性物質表面濃度が、最大許容表面濃度をこえないようにすること。

(運搬の技術上の基準)
第5条 法第59条に規定する運搬(鉄道、軌道、索道、無軌条電車、自動車及び軽車両によるものを除く。)の技術上の基準は、次の各号に掲げるとおりとする。

一 核燃料物質の運搬は、いかなる場合においても、核燃料物質が臨界に達するおそれがないように措置すること。

二 核燃料物質(使用済燃料を除く。)を運搬する場合は、これを容器に入れること。ただし、使用施設、貯蔵施設及び廃棄施設内を運搬する場合は、この限りでない。

三 使用済燃料を運搬する場合は、これを容器に封入すること。

四 核燃料物質を入れた容器は、容易に破損しないように措置すること。

五 液体状の核燃料物質を入れた容器は、容器が破損した場合において、容器内の核燃料物質の全部を吸収することができる材料で包むこと。

六 核燃料物質を運搬する場合は、核燃料物質の種類及び量を明示する標識を容器に付けること。ただし、使用施設、貯蔵施設及び廃棄施設内を運搬する場合は、この限りでない。

七 運搬する使用済燃料を封入した容器の表面から漏えいする放射線の放射線量率は、その表面で200ミリレム毎時をこえないようにし、かつ、漏えいする中性子線の放射線量率は、その表面から1メートルの距離において20ミリレム毎時をこえないようにすること。

(保管の技術上の基準)
第6条 法第60条に規定する保管の技術上の基準は、次の各号に掲げるとおりとする。

一 核燃料物質の保管は、貯蔵施設において行うこと。

二 貯蔵施設の目につきやすい場所に、保管上の注意事項を掲示すること。

三 貯蔵施設には、核燃料物質を搬出入する場合その他特に必要がある場合を除き、施錠又は立入制限の措置をとること。

四 貯蔵施設における放射線量率及びその空気中の放射性物質濃度を貯蔵施設に立ち入る者のある日について、毎日1回以上測定すること。

五 核燃料物質の保管は、いかなる場合においても、核燃料物質が臨界に達するおそれがないように行うこと。

六 貯蔵施設においては、次の措置をとること。

イ 従事する者の1週間の被ばく放射線量が、最大許容週線量をこえないようにすること。

ロ 従事する者の呼吸する空気中又は飲用する水中等の放射性物質濃度が、最大許容濃度をこえないようにすること。

ハ 従事する者の触れるものの放射性物質表面濃度が、最大許容表面濃度をこえないようにすること。

(報告の徴収)
第7条 核燃料物質の使用者は、核燃料物質の使用量の毎年4月1日から9月30日普での期間及び10月1日からその翌年の3月31日までの期間におけるそれぞれの合計量を記載した報告書を、それぞれその年の10月31日及びその翌年の4月30日までに内閣総理大臣に提出しなければならない。

2 前項の報告書の提出部数は、正本1通及び副本2通とする。

附則

この府令は、公布の日から施行する。