アルゴンヌ国立研究所の廃棄物処理系について

 本稿は、昭和31年度原子力留学生としてアルゴンヌ原子炉学校(正しくは国際原子核科学工学学校、略称ISNSE)における研修のためアメリカ合衆国へ出張を命ぜられた科学技術庁調査員石原健彦氏(日本原子力研究所研究員)の出張調査報告のうちの一部である。なお同氏は昭和31年8月31日出発以来約10ヵ月の出張を終えて去る7月帰国、目下日本原子力研究所において勤務中である。
 既報「ハーウェル原子炉学校について」(本誌Vol.2 No.9 52ページ)につづいて原子力関係留学生の報告第2号として以下に紹介する。

 この問題をいうにはまずアルゴンヌ国立研究所(ANL)について概要をしらねばならない。ANLは米国における原子力委員会所属の6大研究所の一つであり、(ロスアラモスのみがわずかに大きく、他の四つはANLより小さい)1956年末には投下総資本は308億円で、ここに2,682名、うち科学スタッフ643名がはたらいていた。そして1957会計年度の推定予算額は97億円である。このうち1%弱が廃棄物処理に用いられる。さてここはシカゴ西南40kmにあり、人口の比較的多いところ(シカゴ外縁に接する研究所中心の円内で820名/km2)にあるため廃棄物の貯蔵にはかなり厳しい制限がかけてある。廃棄物処理のために廃棄物処理建物、除染建物、廃液および下水処理場、廃棄物貯蔵所をもち、研究所全体453万坪のうちで約1%がこのためにさかれている。ANLは基礎研究所であり、そこでは高レベルの廃棄物はすこししか出ず、この点ハンフォードやサバンナリバー生産プラント(ともに4,000億円の施設)とは根本的に異なっている。

 地質条件はかなり良好である。最上部は平均厚さ50mの氷河性漂石粘土で、その下にナイヤガラ白雲石がある。この粘土層は水をとおしにくくて通常下の白雲石層に達するのに1年を要する。これらの地層は南東に傾斜していて、地下水の流れもそれに従い敷地南東を境しているデスプレインズ川にそそいでいる。現在研究所の使用する水源として三つの井戸があり、二つは敷地北西部にあり浅くてナイヤガラ白雲石層中からとり、他の一つはさらにその下の約100mの不透水性の岩層の下の砂岩層から水をとっている。廃液下水処理場は敷地南東端に、また廃棄物貯蔵所は敷地南端にあり、これらからたとい浸出液が出てもオークリッジにおけるように研究所の方へはいかぬように配慮されている。デスプレインズ川はみとめうるほどの流れのない小川であって流量は時期により異なり大体17〜170m3/分である。この小川は南西に425km流れてミシシッピー川に注ぐ。処理除染された液はすべてこれに注ぐが、この川の水を飲用に供するのはミシシッピーと合流しさらに16km流れてからであって、その水量比を考えた場合完全に心配ない。

 廃棄物処理に関してANLでは汚染廃棄物委員会をもっており、このような常置委員会は他に六つしかないことから見てもその関心の度合が察せられる。現在廃液の処理は化学工学部の担任であり、廃棄物処理建物、廃液および下水処理場と高レベル廃液処理室とをもっている。ただし最後のものは機密区域内にあって筆者もわずか1時間見学を許されたのみである。なお冶金部が別に小さい鍍金廃液処理場をもっている。研究所運転部の申の除染班は放射性廃棄物および汚染器具の運搬、除染および貯蔵を担任し、除染建物と廃棄物貯蔵所とをもっている。気体廃棄物に対しては各建物の換気系にフィルターをもっており、その取換えは除染班がうけもっている。しかし空中放射能の監視は保健物理部により行われている。

 この研究所の廃棄物処理建物の設備とコストについてはW.A.Rodger(化学工学部現副部長)によりニュークレオニクス誌(1951年6月号)に発表されているが、これは6年以前に書かれその後相当の変更付加もされているので注意しなければならない。またそれ以外の施設についてはこれまで発表されていない。

 放射性廃棄物は普通固体、液体、気体にわけられるが、ここでは液体廃棄物、特に低レベル廃液処理がおもな問題であり、廃棄物処理建物は実際は低レベル廃液処理建物といってよい現状である。

1. 液体廃棄物

 放射性廃棄物はその生成した最初のところで完全に分離しておくことが基本的な考えであり研究者はすべていかなる廃棄物たりといえどもそなえてある廃棄物容器に入れることが要求されている。これはトラックで廃棄物処理建物へ送られ、そこで適当な方法により処理される。かくして集められる容積は全研究所で毎月4m3をこえることはまれである。放射能のある廃液は絶対に下水へすててはならない。各建物には保留タンクがおかれているが、これは誤って流された放射能をつかまえて事故を絶対におこらぬようにするためにおかれているにすぎない。

 廃液系統は次ページの図のようで数値は一年間の流量である。汚染の恐れのないはずの廃液は普通下水、冷却水および実験室廃液の三つであり、第一の普通下水はまっすぐに普通下水処理場へ流れる。第二の冷却水は実験室廃液処理場へ流れて、ここで処理された廃液といっしょになる。

 放射能を使っている建物はすべて地下室にガラス・ライニングした5.7m3容量の保留タンクをもち、これは常に二つずつ対をなして設えてある。その一つがいっぱいになるとタンク内の液を循環混合して一様にしてから4ccをとり蒸発乾固してから(α+β)放射能を測る。普通1ヵ月間に500のタンクが満水になり測定が必要である。もしその放射能レベルが汚染廃棄物委員会の定める最大放出許容レベル120d/分・CCより小さければ、まっすぐに実験室廃液処理場へ流される。レベル以上の液はポンプでタンク車(デンプスター・ダンプスター)にくみあげられ廃棄物処理建物へはこばれ、そこでさらにα放射能とSr−90放射能がしらべられる。これらがもしそれぞれ5d/分・CCおよび10d/分・CCをこえるとさらに特殊の処理が必要になるが、これまでSr−90が限度以上であったことは開所以来ただ一度である。保留タンクの液には本来放射能のあるはずがないのだが、通常2%すなわち年440m3が最大放出許容レベル以上あった。その大部分は燃料再処理の基礎研究を行っている化学工学部から出されている。なお現在14億円で建設をおえたばかりのプルトニウム取扱施設(機密)が運転をはじめると、この数は倍加することが予想されている。さらに計画中のα冶金建物(43億円)がうごき出すときには、現在の処理方式を根本的に再検討する必要のあることは明らかである。

 タンク車でおくられてきたレベル以上の廃液は廃棄物処理建物の外側にある六つの供給タンク(おのおのの容量5.3m3)の一つへ移し、撹拌後水素イオン濃度(pH)をはかり、アルカリ性ならば建物の地下室にある八つの収容タンク(おのおのの容量13m3)へおくられる。酸性液には固体カ性ソーダを加えてpHを13にし、沈殿処理後その収容タンクへおくられる。次に収容タンクから水蒸気加熱による垂直自然循環式の単一効用蒸発缶(処理速度0.57m3/時)へおくる。蒸発留出液は7×10−7マイクロキュリー/CC以下であり、残液は固体含有分20%まで濃縮されている。この濃縮液およびアルカリ添加によりつくられたフロック沈殿は水蒸気加熱式濃縮缶(1日の処理量3.8m3)に送られて固体含有分50〜80%のスラッジにされる。このスラッジは鉄製ドラム缶に封入される。蒸発缶からの凝縮液は地下タンクに集められ分析してから放出される。蒸発法の除染率は103〜106で、沈殿法の10にはるかにまさるが、経費が1万円/m3程度かかるのが欠点である。この蒸発缶は6,400万円かかっている。

 有機液体および硝酸回収のためにそれぞれ小さい蒸発缶がある。前者の残留液を濃縮缶にかけると引火の恐れがあるので、雲母処理製品バミキュライトに吸収させて固化させている。かくしてできた半固体は濃縮スラッジ同様ドラム缶につめられる。乾操法は粉塵予防のためとられていない。

 この建物にはイオン交換樹脂装置があるが、一つは実験用であり、他は同建物の南東部をしめる高レベルγ線照射施設用のものであって、実際の廃液処理には用いられていない。普通廃液は固体含有分(全固体200〜1,000ppm、ときに6,000ppm、浮遊固体30〜200ppm)が大きくこれを10ppm以下に下げねば交換樹脂にかけることができない。そのためにアルソップ(濾紙プレス型)のごとき前フィルターが試みられたが余りにたびたびとりかえねばならぬために今交換樹脂法はとられていない。次に高レベルγ線照射施設では水泳プール型の深さ7mのカナル(210m3)中にアイダホのMTR炉からおくられてくる使用ずみ燃料を入れて最高200万レントゲン/時のγ線を照射することができる。材料の腐蝕生成物と燃料要素被覆からごく少し出てくる放射性物質を除いて、常に水をきれい(電気抵抗500万モー/cm、pH約7)に保つために流速3m3/時間で混床イオン交換塔へ循環させている。この塔はイリノイ水処理会社のMB−590型で、HCR樹脂が0.13m3、SAR樹脂が0.25m3入れてあり、現在では5,200m3(2月運転)で飽和し再生しなければならない。その時の液は蒸発缶へおくられる。水道水をプールに供給するのは同社のIllico 5番という小さい交換樹脂塔で行われるが、このときには固形分が多少あるので、アダムス社WFF型の前フィルター(多孔性アルミナ)を用いる。

 すべて液中の放射能は濃縮後ドラム缶につめて2,500坪の貯蔵場へおくられる。そしてここに一時的に貯えられる。一定数がたまるとオークリッジの永久貯蔵場へおくられる。いかなる放射性廃液も液体状態で外部へ出すことは禁じられている。

 実験室廃液処理場と普通下水処理場は敷地の南東端にならんでつくられている。これはニューヨーク市の下水局により設計され、衛生工学者の間でも注目されている。見取図を示すと次ページの図のようになる。

 廃棄物処理建物で処理除染された実験室廃液は、放出限度以下のモニターした保留タンクからの液および冷却水と合流してから実験室廃液処理場へ入る。pH調節室にはカ性ソーダ供給機二つ、混合機二つとpH記録調節装置がある。

 ここでpHを5.5にしてから二つのホールドアップタンクの一つへ流す。これにはおおいがなくコンクリート製で(容量各260m3)で、スラッジ・スクレーパーを備えている。このタンクで最大放出許容限度以上になることは現在1ヵ月に2回ほどはあるが砂フィルター床のはたらきによって限度以下にして放出されている。この処理場ははじめ1日520m3処理(ピーク時には1,560m3)するものとしてつくられたが、二つのホールドアップタンクでは不十分で、非常用の池(直径約20mの浅い池で1,500m3の液をたくわえることができる)を一時使うことが多いので、最近さらに二つのタンクが追加された。

 最近非常用として2組のイオン交換樹脂装置をもつイオン交換室がpH調節室の横につくられた。それぞれイリノイ水処理会社により設計された陽イオン交換型と混床型であるが、ホールドアップタンクの水は通常600ppmの固体分を含むので交換装置へとおすまえに前フィルターが必要である。なお混床型は現在のホールドアップ水では65m3で飽和に達するので、タンク一つの水260m3を処理するには4回再生しなければならない。交換装置の容量を大きくすると経費が急激に増加し、またこれが非常用でありきわめてまれにしか使用されないために、このような決定がされた。

 普通下水処理場は特にかわった点はなく、1日の平均流量820m3(ピーク時には2,050m3)として設計されたものであるが、事実上はそれを上回る1,200m3/日を処理している。Dorr式クラリジェスター、回転分布機つきトリックリング・フィルター、最終クラリファイヤ(沈降タンク)はいずれもDorr会社の設計で直径10mほどの大きさである。ここを出てから実験室廃液処理場からの流出液を合流して砂フィルター床をとおり、次に塩素殺菌をうける。この処理結果は次表に示すようにシカゴ下水区からデスプレインズ川に出されている廃水より良好である。

 Biological Oxygen Demand が小さくてすぐれているだけでなく、放出放射能の量についても見るべきものがある。すなわち1年間にデスプレインズ川に放出する水量は56.6万m3、放射能は0.07キュリー、したがってその仮想的平均濃度は1.2×10−7マイクロキュリー/ccとなる。これはさらにデスプレインズ川の流水、年間少なくも895万m3によってうすめられるから核種不明の場合の飲用水中の最大許容限度10−7マイクロキュリー/cc以下になることは確実である。しかも飲用されるのは 425km 下流のAltonがはじめてで、ここはミシシッピーとの合流点からさらに16km下流で、この値はさらに1万分の1程度になると考えられる。

 普通の廃液容器表面で50ミリレントゲン/時よりも高いレベルの液量は現在ではきわめて小さく、化学工学部の建物の一部の蔽遮室内ですべて遠隔操作により、酸性またはアルカリ性のつよいものは必要ならばそれぞれカ性ソーダまたは硝酸により中和し、つぎに遮蔽ドラム缶内でポルトランドセメントと混和し固化させられている。このとき容積が25〜100%増加するが、この増加量は廃液の固形分の多いほど小さい。現在1缶に最高2,000キュリーまでつめられ、月2回程度の操作により十分処理せられ、後貯蔵場へおくられている。

2. 固体廃棄物

 はじめ汚染固体廃棄物のうち80容積%が可燃性で、その絶対量は1日2.1m3、そのうち30%は木材、60%が通常の廃棄物、10%が使用ずみ空気フィルターと推定されたが、これを処理して容積縮小し貯蔵量を軽減させるために次の6方法が検討された。(1)化学的浸漬分解法、(2)機械的圧搾法、(3)細菌による分解法、(4)選択抽出法、(5)熱分解法、(6)焼却法、そして炭素−14を除外して処理できるならば焼却法がもっとも良好なことを確かめて、1日8時間うごかし2.8m3を処理する焼却炉がArthur D.Little会社により設計製作された。主体は高さ3.3mで蒸発缶よりやや小さいが、焼却により生ずる放射性飛散塵灰を完全除却するための設備(シュライアー・バルトルッチ・スクライバー、ピース・アンソニー・ベンチュリスクラバー、ピーボディ・ガススクラバーおよびAECフィルター)がつくため全体の設備は廃棄物処理建物中で最大の空間をしめ、その経費も2,500万円に達した。これを週40時間でうごかすときのコストは3.4万円/m3(焼却のみでは1.5万円/m3)で、直接貯蔵費5.1万円/m3より安くなるはずであった。ところが数年間の運転の結果汚染焼却物の量が予期したものの70%以下であって、直接貯蔵より高価につくことがわかり、現在は完全に取りはずし放棄されている。焼却法は現在他の研究所でも放棄されており、焼却炉の利用能率をあげるか(1日3交替してこの4倍量を処理するとすればコストは2.0万円/m3にさがる)あるいはそのコスト過半の経費を要する飛散塵埃の処理をさらに効果的に改良するかせぬ限りはふたたび用いられぬようである。

 現在非放射性の普通固体廃棄物は露天で焼却されており、汚染またはそのおそれのある廃棄物は所定の容器にあつめ貯蔵場にはこばれている。乾燥放射性廃棄物の標準容器はステンレス鋼の足ぶみ蓋つき缶で、28l 容量のパラフィンぬりボール紙缶が入れてある。このボール紙缶は全研究所で毎月1,000個くらいずつ消耗されている。容器の外側で50ミリレントゲン/時以上の放射能を示すものは、除染班のもっている5cm鉛の遮蔽容器、10トンのコフィンなどへ入れなければならない。

 乾燥廃棄物は規則的に集めて廃棄物貯蔵場へおくられ、普通の圧縮機で容積を1/5に縮小してから1.2×1.5×1.8m(3.2m3)軟鋼箱へ入れられている。この鉄箱は貯蔵場の野外に放置され、一定数がたまると特別編成の貨車でオークリッジの7,000万坪の永久貯蔵場へおくられる。現在1年間に約220の鉄箱がおくられている。この箱はもどってこない。なおオークリッジのような永久埋没貯蔵場は、ほかにハンフォード、アイダホ原子炉試験場、ロスアラモス、サバンナリバーがあり、永久地上貯蔵場としてはナイヤガラ近くのレーク・オンタリオ貯蔵場がある。

 高レベル固体廃棄物は鉄箱に入れ、深さ3.3mの2列の木製屋根つきコンクリート溝の中でオークリッジへの出荷まで貯えられている。貯蔵経費は1m3が5万円くらいである。さらにレベルの高いものは特別のコンクリート壕のピットの中に貯えられ、上には厚いコンクリートの蓋がしてある。これらを扱うのに高さ3m、容量5トンの自動式起重機を20mはなれた塔の上から操作している。しかしEBWR炉のイオン交換樹脂装置が飽和して廃棄しようとするとそれは5トン以上あり放射能もつよく、ピットよりも大きく、近い将来貯蔵場の設備を拡張せねばならぬ現状である。さらにこの貯蔵場は都市に近いため5年以内の一時的貯蔵しかゆるされていないが、研究のレベルが高まるにつれたとい5年貯蔵するも輸送規則のゆるす限度まで減衰しない廃棄物、汚染機器があらわれてきて係員を悩ましている。

3. 気体廃棄物

 研究室の廃気は前フィルターにより浮遊塵埃をとり、ついでAECフィルターにより煙霧質を除いてから屋上の1m煙突により大気中へ放出されている。その能率は99.95%またはそれ以上で通常これ以外の何の施設も必要としない。冶金工作工場ではさらにロートクロンスクラバー、布フィルター集塵器が用いられている。

 実験室フード前フィルターはフェノールホルムアルデヒド樹脂で結合させた直径2〜5ミクロンのガラス繊維を厚さ1.2cmの棒綿状にして107×43cmの鋼製枠にとりつけたもので、これをとおる流速は15.5m、このとき抵抗は水柱5mmまたはそれ以下である。

 AECNo.1フィルターはアスベスト・フィルターペーパーで、この繊維素紙は厚さ0.89〜1.14mmの苛性処理した長繊維クラフトまたはサルフェイトウッドパルプ、アスベストは青ボリビヤまたは青アフリカアスベストである。直径0.3ミクロンのDOP煙に対して透過度は0.05%またはそれ以下、そのときの抵抗は水柱25mmまたはそれ以下である。この平均寿命は18ヵ月で、値は1.45万円である。これらは製造会社で十分テストされるのでANLではその検定テストの施設はない。

 CP−5本館から20mくらいはなれたところにある半地下の換気建屋には4塔からなるガス・スクラバーが設けてある。事故事には本館は全部閉鎖されて、その中の空気は毎分57m3の流速でくりかえしスクラバーへおくり12.5%カ性ソーダ水溶液向流で洗われる。安全設備として1,050m3の半球形の蒸気ドーム内のプラスチック膜の作用により原子炉運転中は常時減圧に保たれているため、閉鎖後毎時間8.5m3 ずつ(1956年10月測定)本館内にリークしても5.2日間は本館内を負圧に保つことができ、内部の汚染空気を外部へ出すことはない。スクラバーへくりかえしまわして許容レベル以下になると15mの煙突から大気中へ放出される。ただしアルゴン41のような不活性気体は単に大気と混合希釈されるだけである。

 最後に全廃乗物につかう経費の配合は不明であるが、推定してみると全体の40%を廃液の処理、10%をそれぞれ廃気および固体の処理につかい、のこる40%が貯蔵および運搬につかわれるようである。