原子燃料公社製錬工場の敷地決定

 原子燃料公社の製錬工場敷地は、去る6月13日の第22回原子力委員会において「茨城県那珂郡東海村村松地区内を適当とする」ことが決定された。この地域の北側は現在建設中の日本原子力研究所敷地とその南縁を流れる小川を境として接し,南側は国立療養所村松晴嵐荘の境界附近一帯で広さは約6万坪であるが、この他域内には先に設立が決定した放射線医学総合研究所の建設が予定されており、かつこの他域は防風林があるので実効面積約4万坪を相互に調整することとなっている。将来の公社製錬工場の生産規模の拡大と加工・再処理等の施設についてさらに広大な地域を必要とするが、これについては周辺民有地の買収等を予定することとしてひとまず32年度予定の製錬関係の施設の建設を行う。32年度内には鉱石および中間製品等の試験を主とする試験所および30kg/日の金属ウランを生産する精製還元の施設を建設することとなっている。
 敷地決定までの経過は、すでに公社設立後約30万坪(製錬工場、加工・再処理工場、住宅など厚生施設を全部含めた敷地)の敷地を要することとして候補地を選考中であったが、第1候補地として旧水戸陸軍飛行学校跡の一部(茨城県勝田市)を選び、その飛行場を補助飛行場として規在使用中の米空軍に対し交渉を進め、その一部解除がほとんど可能とされていたものである。(この記事については本誌1巻6号〔1956年10月号〕に記載)しかるに本年に入って突然に米空軍の解除拒否の通達があった。
 このため公社はただちに次の候補地選定を開始したが、将来広い地域が必要であったため第1候補地が米空軍の模擬爆弾落下の危険の多いことが理由の第一であったので、危険のない飛行場北端地区(勝田市、東海村境界地区)を選ばざるを得なくなり、この第2候補地を選定した。この地域附近には防衛庁の射撃演習場があるので、原子力局・防衛庁・特別調達庁等を交えた関係各省庁との連絡会を開き、現地調査を実施して、約12万坪の敷地を決定して、再び4月末米空軍に交渉を行ったが、再拒否の返答を得たものである。
 このため公社32年度製錬関係事業の実施に影響することとなったので、早急な敷地決定の必要に迫られ、今回の決定となったものである。



敷地見取図