ウラン鉱石基準価格等の設定について

32・6・29原子力委員会

 わが国の核原料物質の開発および核燃料物質の生産を効率的に促進するためウラン鉱石の価格について長期的指針を与える必要があるので、原子燃料公社が予算の範囲内において買い入れる鉱石の価格および条件については、諸外国における実例およびわが国の実情を勘案して、下記要領に準拠することを適当とする。


1. 基 準 価 格
(1)稀鉱酸により容易にウランを抽出できる鉱石 価格は基礎価格と品位割増金の二本建とし、次の基準による。ただし、U3O8の含有率0.10%未満であって、特に必要とする鉱石については、別に定める基準による。

(イ)基 礎 価 格
基礎価格の限度は,含有U3O8 量に、次の品位別U3O8 1キログラム当り価格を乗じたものとする。

(ロ)品位割増金
鉱石1トン中、2キログラムを超えるU3O8 を含有する場合は、その超える部分につき、U3O8 1キログラム当り500円を限度として前号の基礎価格に加算する。

(2)(1)以外の鉱石別に定める。

2. 運賃に対する加算
 鉱山最寄駅より公社の鉱石受入場所までの貨車運賃(荷扱料を含む。)については、鉱石1トン当り1,000円を限度として貨車運賃実費の半額を公社が負担することとし、これを鉱石買入価格に加算する。

3. 受 入 場 所
 鉱石の受入は、公社の製錬所または公社が指定する場所において行う。

4. 受入鉱量の決定
 鉱石の秤量は受入場所において売主立会の上公社がこれを行うこととし、その秤量より水分を控除した乾鉱量をもって受入鉱量とする。

5. 試料採取、水分検定および品位決定
 試料採取および水分検定は、鉱石受入場所において売主立会の上、公社が別に定める方法によりこれを行う。
 品位は、前記により採取した試料につき、公社が別に定める分析方法によりこれを決定する。分析に関し異議ある場合の裁定方法については、別に規定するものとする。

6. 他の有用成分
 鉱石中に、他に利用する価値がある成分を含有する鉱石の買入価格については、当該成分の含有率、採収率、時価、採収に要する経費等を勘案して、相当金額を加算するものとする。

7. 有 害 成 分
 製錬工程上支障のある成分(たとえば、石灰、硫黄、鉄等)を含有する鉱石の買入価格については、当該成分の含有率、製錬に要する経費の増加額等を勘案して、相当金額を減額するものとする。

8. 鉱石買入の場合の納付金

 公社が採鉱を行った鉱山につき、当該採鉱にもとづき採鉱する者から当該鉱山において産出される鉱石を公社が買入れるときは、あらかじめ公社が売主と協議して定めるところにより、公社に納付金を納付させるものとする。

9. 代金支払等
 代金支払方法その他については、一般買鉱慣習による。

10. そ  の  他
 本価格は、海外におけるウラン鉱石の価格等に著しい変動のない限り、今後5ヵ年間は変更しないことを適当とする。