昭和32年度核原料物質探鉱計画

 核原料物質開発促進臨時措置法(昭和31年5月4日公布法律第93号)第3条により、原子力委員会は核原料物質の探鉱の合理的な実施を図るため、毎年、核原料物質探鉱計画を議決することとされているが、昭和32年度核原料物質探鉱計画については、去る7月11日開催の第27回定例委員会において議決を見、内閣総理大臣により公表されたものである。以下にその計画を示す。

昭和32年度核原料物質探鉱計画

1.方 針

 昭和32年度における核原料物質の探鉱については、前年度に引き続き早急に国内資源の開発が実施できるよう強力かつ合理的に推進するものとする。

 その探鉱にあたっては、通商産業省地質調査所が実施する基礎調査結果にもとづいて、原子燃料公社が民間企業と調整をとりつつ、効果的に企業化調査を実施することとする。

2.実 施 計 画

(1)通商産業省地質調査所が行う探鉱
わが国において核原料資源の既存が予想されている地域は、酸性迸入岩地帯およびその周縁部ならびに水成岩地域である。このような地域に対して、昭和31年度を初年度とし、3箇年計画をもって組識的放射能強度調査(エアーボーン、カーボーンまたは地表概査)を行い、放射能強度異常地域の発見に努めているが、本年度はその第2年度として、約35,000平方キロメートルについて調査を実施し、前年度実施分とあわせて調査予定地域の約65%について、調査を終了するものとする。
 その結果、放射能強度が特に異常な地域については、地質鉱床調査を実施するとともに、特に必要とする地域については、物理探鉱、化学探鉱または試錐探鉱等を併用して、放射能強度分布、地質構造および鉱床形式の概要等を解明するものとする。

実 施 地 域

(イ)エーボーンおよびカーボーン調査
東北地方 中部地方 中国地方 四国地方 九州地方

(ロ)地 表 概 査
北海道 秋田 山形 福島 群馬 新潟 岐阜 三重 福井 大阪 奈良 兵庫 岡山 大分 宮崎 鹿児島の諸道府県下

(ハ) 地質鉱床概査
岩手 宮城 福島 茨城 長野 富山 石川 岐阜 鳥取 島根 岡山 広島 山口 香川 愛媛 福岡 佐賀 鹿児島の諸県下等

(2)原子燃料公社が行う探鉱
 昭和31年度において探鉱を実施した倉吉鉱山(鳥取県小鴨鉱山およびその周辺)、人形峠鉱山(鳥取県および岡山県人形峠地区)および三吉鉱山(岡山県倉敷北縁地区)については、引き続き主として坑道および試錐により鉱床下部および延長方向の探鉱を実施し、品位および鉱量を推定するとともに、地質調査所が行った基礎調査の結果、新しく企業化調査の必要が認められた地区については、主として地質鉱床精査を実施し、鉱床の実態を推定して、将来の探鉱および採鉱にそなえることにする。

実 施 地 域

(イ)宮城県および岩手県気仙沼地区
地質鉱床精査物理探鉱 化学探鉱 試錐探鉱

(ロ)鳥取県倉吉鉱山
地質鉱床精査 物理探鉱 試錐探鉱 坑道探鉱

(ハ)鳥取県および岡山県人形峠鉱山
地質鉱床精査 化学探鉱 試維探鉱 坑道探鉱

(ニ)岡山県三吉鉱山
地質鉱床精査 試錐探鉱 坑道探鉱

(ホ)岡山県新美川鉱山
地質鉱床精査

(ヘ)岡山県奥津地区
地質鉱床精査

(ト)山口県宇部地区
地質鉱床精査

(チ)その他地質調査所等の調査の結果、早急に探鉱を必要とする地区