原子炉地震対策小委員会の設置

 最近におけるわが国のエネルギー需給状況から原子力発電対策を急いでおく必要のあることはいうまでもないことであるが、さしあたって導入すべき原子炉としては、訪英原子力発電調査団の報告にもあるように、英国型がよいと考えられている。しかしながらこれを導入するにあたっては地震対策をはじめまだ種々検討すべき問題点がすくなくないので今年も再度調査団を派遣することが考えられている。さきに訪英調査団が解散した後、原子力委員会においては、動力炉専門委員会でこれに対する検討を進めていたが、特に地震対策については英国と全く条件を異にする点からも十分な検討を行う必要があると考えられ、その問題の重要性にかんがみ専門家よりなる小委員会を設置してこの対策にあたらせることになり、下記の人々が委員に委嘱された。

原子炉地震対策小委員会メンバー

東京大学教授 武藤 清
    〃    地震研究所長 那須 信治
東京工業大学教授 谷口  忠
早稲田大学教授 内藤 多仲
建設省 建築研究所長 竹山 謙二郎
電源開発(株) 原子力室 川村 泰治
東京電力(株) 建設部次長 川畑 整理
中部電力(株) 火力部次長兼
原子力課長
前田 一雄
関西電力(株) 技術究所長 吉岡 俊男
電力中央研究所 技術研究所
土木部長
神谷 貞吉
東京芝浦電気(株) 鶴見研究所原
子力研究課長
若林 良一
(株)日立製作所 日立工場
原子力課長
松本 政吉
三菱電機(株) 原子力技術課長 前沢 芳一
清水建設(株) 研究部 大築 志夫
鹿島建設(株) 企画監査第三部長
兼原子力室長代理
甲野 繁夫
昭和電工(株) 企画部
原子力課長
園田 晋
日本原子力研究所 理事 久布白 兼致
     〃     嵯峨根 遼吉

 同小委員会は、3月23日第1回、同30日第2回の会議を開催したが、その概要を以下にしるす。

第 1 回

 日時:昭和32年3月23日(土)午前10時から

 場所:人事院ビル 原子力委員会会議室(236号室)

 出席者:石川原子力委員

     武藤委員以下17委員
     久田(建築研)、弘田(原研)、藤原(電発)、小林(産業会議)
     法貴局次長、他担当官

 法貴局次長の開会の挨拶にはじまり、小委員会設置の経過説明があり、武藤教授に委員長を依頼し、また委員の自己紹介が行われた。
 次いで石川原子力委員から今後の見通しについて見解がのべられ、小委員会の協力を要請した後検討に入り、問題点の摘出、今後の検討方針等について検討された。なお当分毎週土曜日午前10時から定例的に開催することを決定した。

第 2 回

 日 時:昭和32年3月30日(土)午前10時から

 場 所:建築学会会議室

 出席者:石川原子力委員

     武藤委員長以下16委員

     久田(建築研)、梅村(東大)、黒柳、秋野(原研)、浅田、
     藤原(電発)、小林(産業会議)
     法貴局次長、他担当官

 各委員が持ち寄った資料を中心として説明、質疑および検討が行われた。