昭和31年度における原子力平和利用研究委託費(昭和30年度予算繰越分)による原子力の開発及び利用に必要な試験研究の委託は、この要綱により行うものとする。 1.試験研究題目の選定 委託すべき試験研究の題目は、昭和31年度原子力開発利用基本計画に即応して、早急に行う必要のある試験研究であって、次の各号に掲げるもののうちから選定するものとする。 (1)日本原子力研究所又は原子燃料公社において行うべき試験研究であるが、これらの機関の研究態勢が整備されず本年度における実施が不可能であるか又は著しく困難であるため、基本計画の実施に支障を来たす恐れのあるもの。 (2)国として基本計画の実施上必要な試験研究であって民間企業の自由意思のみにては開発又は利用される可能性のないもの 2.受託者の資格 (1)試験研究の委託は、直接試験研究を実施する法人に対して行う。 (2)試験研究を特定の個人(権利能力なき社団を含む。以下同じ。)が実施することが妥当と認められるときは、前号の規定にかかわらず、当該試験研究に直接関連がありかつ、委託費の交付に係る事務を適確に処理する能力があると認められる法人であって当該個人の申出に基くものに対して行うことができるものとする。 3.受託者選定の基準 受託者は、次の各号に該当するもののうちから選定する。 (1)試験研究を遂行するに足る技術的能力を有すると認められるものであること。(ただし第2項第2号の場合は、直接試験研究を実施しようとする個人について審査する。) (2)試験研究の実施につき適正な計画を有するものであること。 (3)経理内容が堅実であると認められるものであること。 4.委託費の算定 委託費は、原則として、当該試験研究を実施するために直接必要な経費であって、別に定める基準により算定した額とする。 5.委託の決定 科学技術庁長官(以下「長官」という。)は、前4項の規定に従って、委託すべき試験研究、受託者及び委託費の額その他委託に関し必要な事項を決定するものとする。 6.委託契約の締結 第5項の決定が行はれたときは、科学技術庁長官官房会計課長は、別に定める様式に従って委託契約を締結するものとする。 7.保証金納付の免除 予算決算及び会計令第71条第1項の契約保証金の納付は、免除するものとする。 8.委託金の支払 委託費のうち必要があると認められる金額については、大蔵大臣と協議して前払をすることができるものとする。 9.受託者の義務 受託者に次の義務を負わせるものとする。 (1)試験研究計画の実施 (2)会計処理 (3)契約の変更等
(4)報告書の提出 (5)成果の取扱 (6)資産の取扱 (7) 残余金の返還 (8)第2項第2号の法人の義務 10.契約不履行等の場合の措置 試験研究の実施について、次の各号の1に該当する場合には、受託者に対して契約を解除し、変更し、支払った金額の全部若しくは一部の返還を請求することができる。 (1)契約の条件に違反したとき。 11.実施状況の監査等 長官は、必要があるときは委託研究の実施状況について臨時に報告を徴し、委託研究の実施場所について実地に調査し、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができるものとする。 支出負担行為担当官科学技術庁長官官房会計課長 杠 文吉(以下「甲」という。)と− −−(以下「乙」という。)とは、昭和31年 月 日科学技術庁庁議決定による「原子力平和利用に関する試験研究委託実施要綱」により、原子力平和利用試験研究の委託について、次のとおり契約を締結する。 第1条 甲は、その試験研究(以下「委託研究」という。)の実施を下記のとおり乙に委託する。
第2条 乙は、委託研究を、別添の試験研究計画書(様式第1)に記載された計画に従って実施しなければならない。当該試験所究計画書が変更されたときも同様とする。 第3条 甲は、委託研究に要する費用として−−−円を乙に支払うものとする。 2.乙は前項の規定により支払を受ける金(以下「委託金」という。)を別添の試験所究計画書に記載された支出区分に従って使用し又は既に支払った経費に充当しなければならない。当該収支予算が変更されたときも同様とする。 第4条 予算決算及び会計令第71条第1項の保証金は、同条第4項により免除する。 第5条 乙は、委託研究に関する経理について、他の経理と区別して帳簿を備え、収支予算額並びに収入額及び支出額を記載し、その出納を明らかにしておかなければならない。 2.乙は、委託金の支出額を使途別に区分して前項の帳簿に記載し、かつ、その支出内容を証する書類を整理して、保管しなければならない。 第6条 乙は、次に掲げる場合には、第15条第1項に規定する場合を除き、甲の承認を受けなければならない。 1.契約書に記載した事項又は試験研究計画書に記載した事項を変更しようとするとき 2.委託研究を中止又は廃止しようとするとき 2.甲は、前項の承認をするときは、条件を付することができる。 第7条 甲は、会計法(昭和23年法律第79号)第46条第2項の規定に基き、委託研究の実施状況について監査を行うことができる。 第8条 乙は、年度終了後1月以内に、試験研究年度末届出書(様式第2)を作成して、甲に提出しなければならない。 第9条 乙は、委託研究が終了したときは、終了後2月以内に、試験研究終了報告書(様式第3)を作成し、甲に提出し、甲による終了の認定を受けなければならない。 2.甲は、前項の規定により、乙から試験研究終了報告書の提出を受けた場合には、遅滞なく認否を行いその結果を乙に対して通知するものとする。 3.甲は、前項の終了の認定を行うときは、委託費の額を確定しなければならない。この場合確定された額が委託金の額と異るときは、確定額をもって委託金の額とするものとする。 第10条 乙は、前条第2項の終了の認定を受けた後2月以内に委託研究の成果を詳細に記載した試験研究成果報告書(様式第4)を作成して甲に提出しなければならない。 第11条 乙は、既に支払を受けた委託金が第9条第3項の確定額をこえるときは、その部分について、甲の指示に従い返還しなければならない。 第12条 委託研究の結果得られた試作品又は試料の利用及び処分については、乙は、甲の指示に従ってこれを行わなければならない。 第13条 委託研究の結果得られた技術が、特許権又は実用新案権の対象となるときは、乙は、遅滞なくその権利を取得するための手続きをとるとともに、その旨を甲に通知するものとする。 2.前項の技術に関し乙が取得した特許権及び実用新案権の利用及び処分については、甲の指示に従わなければならない。 第14条 委託研究の実施に伴い、委託金を使用して製造又は取得した土地、建物、構築物、機械装置、工具、器具、備品等については、乙は、善良なる管理者の注意をもって保管しなければならない。 2.前項に規定するもののうち建物、機械装置及び工具、器具備品(耐用年数1年以内のものを除く。)の所有権は、第9条第2項の規定による委託研究の終了の認定後甲の指示に従って甲に移転しなければならない。 3.第6条第2号の規定による委託研究の廃止の場合には、前項の規定を準用するものとする。 4.第1項に規定する建物、装置、機械、器具等についての危険負担は乙にあるものとする。 第15条 契約締結の際予期することのできない事由であって、甲乙いずれの責にも帰することのできない事由により、委託研究の遂行が不可能になり、又は試験研究計画書に記載したところに従って委託研究を行うことが不可能になったときは、甲及び乙は協議して契約を解除し、又は契約書及び試験研究計画書の変更を行うものとする。 2.前項の規定により契約の解除を行うときは、甲は、乙がそのときまでに委託研究に要した経費のうち、甲が負担すべき額を乙に対して支払うものとする。この場合において既に支払われた委託金が甲の負担すべき額をこえるときは、乙は、甲の指示に従い、その部分について返還するものとする。 第16条 甲は、次に掲げる各号の1に該当する場合には、契約を解除又は変更し、及び既に支払った金額の全部若しくは一部の返還を請求することができる。 1.乙が契約書に記載された条件に違反したとき 2.乙が契約締結に際して不正又は虚偽の申立をしたとき 3.乙が委託研究について、不正、怠慢、その他不当な行為をしたとき 4.乙の責に帰すべき事由により委託研究を遂行する見込みがなくなったとき 上記の契約の証として証書2通を作成し、甲乙各1通を保管するものとする。 昭和 年 月 日 甲 支出負担行為担当官 科学技術庁長官々房会計課長 杠 文吉 乙・・・・・・・・・・・・・・・・ |