海外における原子力関係施設等の見学については、外務省および関係大使館等において許可手続や見学上の注意等につき再三注意をしているところであるが、最近これら施設等の見学者の激増にともない、在外公館から外務省あてこの点に関し報告がよせられているので、ここにその要旨をかかげて関係者の参考に資したい。 1.軍管理工場等視察のためのセキュリティー・クリアランス取付に当っては、NATO加盟国以外の国からの視察者は、原則として60日前に当国外務省に対して許可申請を提出する必要がある。その後の経路も複雑できわめて手数がかかり、許可取付までには相当の時日を要するのが実情である。したがって在フランス大使館としては、急な許可取付方要請には応じられないから、この種許可申請に当ってはできるだけ事前に準備を進められたい。 2.スケデュールについては、過去において事実上実行不可能であったり不明確で処理に窮した事例が間々あったので、これが作成に当っては訪問希望先の所在地を確認し、行程を勘案し、土曜、日曜、休日等を除く等実行可能なものたらしめるよう特に配慮ありたい。 3.訪問視察の目的は具体的かつ詳細に示されたい。 4.なお一昨年および本年を通じて防衛庁関係者が当国主要航空機工場の視察を行っているので、今後渡仏の上航空機関係工場を訪問する向は、本関係者ともあらかじめ十分打ち合せを行い重複を避けることを希望する。 参 考 合衆国国防総省関係工場等への立入許可取得手続について(抜粋) (前略)本件クリアランス取得については、従来国防総省内における事務処理にだけでも最小限30日を要したところ、最近日本のみならず各国からの要求がますますふえて3軍とも関係事務に忙殺されているため、その期間も次第に延びている現状なので、当方への申請書提出に当っては、すでに胃頭拙信で言及した2ヵ月の余裕期間を厳守するとともに、申請書の視察訪問目的をできるだけ具体的かつ、詳細に記述するよう重ねて関係方面に周知方相煩わしたい。 アメリカ合衆国における軍関係施設および軍管理工場の視察または訪問を希望する邦人は、年々増加の一途をたどり、在アメリカ合衆国大使館からの報告によれば、客年初頭から12月15日までの期間に同大使館が処理した視察ないし訪問許可取得申請件数は、一昨年の約200件に比し5割増の300件余(各施設または工場ごと)の多きに達した。 記 1.所要書類 (1)訪問者の略歴書(日本文) (2)官公庁職員以外の訪問者についてはその所属する会社等の事業内容、特に訪問と関係ある事業内容(日本文) (3)訪問許可申請書(別記様式に従い各訪問箇所ごとに英文で作成のこと)
Serial No: Date: To: From: *(1)Name,Rank and Appointment: *(2)Visit To: *(3)Purpose: (4)Security: *(5)Date and Duration: (6)Remarks: 備考 申請者は*印のみ記載する。 (4)旅行計画(英文) なお、提出部数の詳細については当省へ照会されたい。 2.本許可取付については国防総省内の作業にのみ最小限1ヵ月を要するため、関係書類は在アメリカ合衆国大使館には40日前に、したがって、当省には2ヵ月前に必着するよう手配ありたい。 今般、在アメリカ合衆国日本大使館から、1月10日付公信をもって、10日AECから受けた連絡によれば、最近アルコのMTR(材料試験原子炉)の視察者が激増し業務にさしつかえが生ずるに至ったので各国大使館に対し、AECに視察許可を申入れる前に十分スクリーンしてMTRを視察することが特に必要と認められる者のみに申入れを限定するよう申越しがあり、したがって、今後は同大使館においてもこの申越しの線に沿い、希望者から訪問の理由を十分聞いた上、視察許可申請を断ることもあり得る旨報告があった。 チョークリヴァー研究所への邦人の訪問に関し、訪問者の調整方検討を在カナダ日本大使館を通じ依頼越した。 湯川委員のインド派遣 バーバインド原子力委員長から宇田原子力委員長あて、1月20日インドトロンベイの原子力施設開所式とスイミング・プール型原子炉運転開始式に参列されたいとの招請状がとどいた。原子力委員会は、委員長代理として湯川秀樹委員の派遣を決定した。湯川委員は1月17日羽田を出発、同式典参列の後、各国代表と意見の交換およびインド各地の視察を行って24日羽田着帰国した。 |